連載ベンチャー人事報

Zealsの採用力が異常な件について、PR TIMES大胆すぎる人事施策など──21年4〜5月の注目人事情報

関連タグ

ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。

それを「人」に見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。

第7回目となる今回、取り上げたのは、渡邉雄介、内田均、田岡凌、猿渡歩、和田洋一、山本花香、金子達哉の計7名。

【人事報への掲載希望、著名人・実績ある方の入社・昇進情報をお持ちの方、情報提供はこちらから】

SECTION
/

Zealsの採用力が異常

「日本をぶち上げる」。そんな清水正大氏の志から始まった、株式会社Zeals。“おもてなし革命”を掲げ、「チャットコマース」と「接客DX」を展開している同社は、この度JPモルガンでエグゼクティブディレクターを務めた渡邉雄介氏を迎え入れたことを発表した。コーポレートストラテジー部門の立ち上げ、グローバルな経営体制の強化を目指しての抜擢となる。

Zealsといえば、昨年11月に長年サイバーエージェントにて全社の採用戦略、育成を担当した渡邊大介氏が執行役員に就任したことでも注目を集めた。

4月1日には総額18億円の資金調達とともに、上場準備の開始も発表したZeals。同社の急成長の要因の一つがその”採用力の高さ”であることは言うまでもない。実際今回ジョインした渡邉雄介氏もこう語っている。

近年、日本においてもスタートアップに参画する外資金融出身者が増えました。私の周りにも、主に少し若い世代ではありますが、昔机を並べて一緒に働いた仲間で、現在はスタートアップのCFOやVCで活躍している人が沢山います。

こうしたメンバーに共通していることは、真剣にキャリアと向き合い、時間的にも精神的にもコミットをするからにはその見返りとして、「面白さ」や「学び」を求めることが根底にあるように思います。

ジールスにはこの「面白さ」と「学び」があります。代表取締役の清水ほか経営陣が、人と世の中の為になることを実現するという理念を掲げ、やりきることへの強いコミットメントを示し、日本から世界を目指す大きな目標を定め、急速に事業を拡大してきました。良い企業には必ず良い企業カルチャーがあるといいますが、こうした夢や想いを抱いているからこそ、共感する人が集まり、人に支えられ、ビジネスチャンスを掴めていると感じています。

理念で人を惹きつける。Zealsの採用手腕に学ぶことは多い。

渡邉雄介
三菱UFJ銀行→JPモルガン証券、モルガンスタンレー証券→シーザーズ、ラスベガスサンズの日本法人副社長→ nendo執行役員→Zeals

参考:ジールス、JPモルガンでエグゼクティブディレクターを務めた渡邉 雄介氏が入社。経営体制を強化。

SECTION
/

リチカ、CTO、CMOの就任で狙うは「動画の枠を超えた事業展開」

続いては、マーケティング動画生成ツール『リチカ クラウドスタジオ』を運営するリチカ。昨年までは動画生成スマートエンジン『リチカ』を主力事業としていた同社だが、コロナ禍によるデジタルシフトの波を受け、伝えたい想いを最適な形で届ける「リッチコミュニケーション」への注力を表明。制作会社から、リッチコミュニケーションカンパニーへと変貌を遂げるためのキーパーソンとして、今回CTO、CMOを招聘した形となる。

CTOには、キヤノンにてSafariのブラウザエンジンWebKitやXMLの研究開発に従事した内田均氏が就任。CMOには、ネスレ日本にて「ネスカフェ ドルチェグスト」や「ミロ」などのブランド担当を、WeWork Japanにてはブランドマーケティング責任者を務めた田岡凌氏が就任した。

「テクノロジーとマーケティング領域を強化し、動画の枠を越えた事業展開の加速をねらう」と語る同社。コロナ禍を追い風に「Switch to the Rich. 想いが届く、で世界を豊かに。」というビジョンを体現できるか、注目だ。

内田均
キヤノン→マサチューセッツ工科大学→リチカ→リチカCTO
田岡凌
ネスレ日本→WeWork Japan→リチカCMO

参考:株式会社リチカ、元キヤノン社の内田均がCTOに、元WeWork Japan社ブランドマーケティング責任者の田岡凌がCMOに就任

SECTION
/

Anker日本法人COO猿渡歩氏、ステディジャパンに

自宅フィットネス器具、ボディケア製品を自社開発し、ECを中心としてトップクラスの販売実績を誇るステディジャパンは経営体制強化及びD2C事業成長を目的として、猿渡歩氏の社外取締役就任を発表した。

猿渡氏といえば、充電器やスマートホームといったデジタル製品をグローバルに展開する先駆的なD2C企業Ankerにおいて、日本事業部門(日本法人アンカー・ジャパン)の創設に携わり、現在は取締役COOを務める。また、アンカー・ジャパンの子会社で実店舗を運営するアンカー・ストアの代表取締役CEOという肩書きも持つ。今回そんな猿渡歩氏の幅広い領域での経験と専門的知見を活かし、経営体制及び事業戦略の強化を狙う。

ステディとは以前より、経営顧問としての関わりがあったが、ステディの更なる成長加速に貢献したいという思いでジョインしたという猿渡氏。経験豊富な社外取締役と急成長スタートアップが織りなすイノベーションに期待したい。

猿渡歩
Deloitte→PEファンド日本産業パートナーズ→アンカー・ジャパン→アンカー・ジャパン取締役COO兼アンカー・ストア代表取締役CEO→ステディジャパン社外取締役

参考:ステディジャパン、猿渡歩氏が社外取締役に就任

SECTION
/

GENDA取締役にスクウェア・エニックス元社長が就任

アーケードゲームのレンタル、オンラインクレーンゲーム『GOTON!』、『LIFTる。』などの運営を手掛けるGENDAは、スクウェア・エニックス元社長の和田洋一氏を迎え、同氏が取締役に就任したと発表した。GENDAといえば、昨年末セガ エンタテインメントを買収したことで注目を集めた企業である。

2021年4月30日に新たに3億円の資金調達を行い、その資本合計が約26億円となった同社。IPOに向けて、エンタメ及び金融領域への知見が深く、10年以上にわたり上場企業の経営に携わってきた和田洋一氏を招き入れることで、より一層強固な経営体制を構築していくという。

このように経験豊富な人物を社外取締役に招聘することは、いよいよ上場に向けてのカウントダウンが始まったサインとみることもできる。 今回の和田氏のみならず、こうした“大物”の移動に目が離せない。

和田洋一
野村証券→スクウェア→スクウェアCEO→スクウェア・エニックス代表取締役社長兼タイト―代表取締役社長→メタップス取締役→GENDA社外取締役

参考:GENDA取締役にスクウェア・エニックス元社長の和田洋一氏が就任したと発表。昨年12月にセガ エンタテインメントの株式を取得した会社

SECTION
/

元SELECK編集長の山本花香氏、お試し入社期間を経てGaudiyに正式ジョイン

元SELECK編集長の山本花香氏が2021年1月から約3ヶ月にわたる「お試し入社期間」を経て正式にGaudiyにジョインした。

注目すべきは今流行りの“YOUTRUST転職”であったこともさることながら、Gaudiyの「お試し入社期間」という独自の制度だ。ただの試用期間だと思ったそこのあなた、ぜひ山本氏のnoteにてその取り組みの面白さを知っていただきたい。さすがは元編集長、非常に分かりやすくまとめており、参考にするための学びも深い内容になっている。

要約すると、お試し入社期間の終了時に実施されるアンケートにて「全社員が一緒に働きたい」と回答しなければ、不採用だという。お互いの価値観や働き方がマッチするかどうかを確認するための期間であり、もちろんお試し入社に至る前に、選考面談もあり、最終確認という位置付けではあるものの、「もしや正式Joinできない事態も可能性としてはあったので、とりあえず安心しました。」と山本氏も語っている。「ファンと共に、時代を進める」という壮大なビジョンの元にエンタメ業界のDXを進める同社だからこそ、カルチャーフィットが最重要であるのには納得のいくものがある。

自社にフィットする人材の見極めが重要であるスタートアップにおいて試用期間を設けることは増えているようではあるが、Gaudiyのようにその目的に見合った制度になっているか、山本氏のnoteがそれを見つめ直す良い資料になっているので、採用に課題を感じている読者には必読の内容だ。

山本花香
SELECK編集長→Gaudiy

参考:「お試し期間」を終えて、Gaudiyに正式入社しました!

SECTION
/

PR TIMES、CTO就任や新卒2年目マネジャーなど大胆な人事を

皆さんご存知、プレスリリース配信サービス『PR TIMES』等を運営するPR TIMESがかなり大胆な人事施策を一挙に発表した。

詳しくはこちらをご参照いただきたいが、FastGrowとして注目したいのは以下の四点だ。

  1. ピクシブ、メルカリにて開発・インフラ両面からサービス運営に携わった経験を持つ金子 達哉氏のCTO就任
  2. 新卒2年目がマネジャーに抜擢
  3. 「現時点で適格者不在のため専任の部門長を置かない部門があります」と明示している思い切りのよさ
  4. 詳細な組織図が公開されている

さすがはサービス開始以来、一貫して人の心を揺さぶるニュースをより多く、より広く届けようという姿勢を貫いてきた同社。今回のニュースのその大胆さ、思い切りの良さに、この記事の著者も思わず心を揺さぶられてしまった。今や情報の出し手、受け手双方にとってなくてはならない存在となったPR TIMES。今後はどのように我々を楽しませてくれるのか、目が離せない。

金子達哉
ピクシブ→メルカリ→PR TIMES CTO

参考:PR TIMES、新たに執行役員CTOと事業部長2名が参画。Tayori事業部化、新卒2年目抜擢、顧問招聘で体制強化

こちらの記事は2021年05月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

次の記事

記事を共有する
記事をいいねする

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

新規会員登録/ログイン