連載ベンチャー人事報
ペイミーの新しい門出。元コイニー代表の卜部氏へ、経営のバトンタッチ
──22年1~2月の注目人事情報
ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。
それを「人」に見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。
「人」の流れをみることによって、皆さんに事業戦略だけでなくキャリアとしても、気づきを与えたい。
第16回となる今回、取り上げたのは、卜部宏樹氏、三好啓介氏、宇野雄氏、沖本裕一郎氏の計4名。
- TEXT BY HARUYUKI HIROSE
元コイニー代表の卜部宏樹氏、ペイミーCEOを引き継ぎ
働いた分の給与を本来の給料日よりも先に受け取ることができ、急な資金ニーズに応えることが可能なサービス『Payme』を運営するペイミー。同社の代表に元コイニー(現ヘイ)代表の卜部宏樹氏が就任することが発表された。
先月でheyを退職し、「働く人々のためのデジタルバンキング」をつくる新しいチャレンジをします。ペイロール領域から参入していくためにペイミーというサービスを引き継がせてもらいました
— ウラベヒロキ (@tobechan) February 1, 2022
新しいことも仕掛けていきますので一緒に立ち上げてくれる創業メンバー募集中ですhttps://t.co/CHo39Q8yy2
卜部氏は2010年に新卒でサイバーエージェントに入社。同年7月、子会社となるアプリボットを設立し、取締役に就任。2011年には同社の代表に就任し、2014年からはサイバーエージェント取締役に就任した。
翌年、AbemaTV取締役副社長に就任。2017年にはサイバーエージェントビットコインを設立し、代表に就任した。2019年5月からは、ヘイのグループ会社だったコイニーの代表取締役社長を務めた。
サイバーエージェントを退職した後、起業しようかと悩んでいたところに、「起業の仲間とテーマがまだ見つからないなら、しばらく一緒に大きなことを目指そう」とヘイ代表の佐藤裕介氏に誘ってもらったのが、同社にジョインしたきっかけだったと語る。
もともと起業しようと考えていた卜部氏。佐藤氏や佐俣奈緒子氏と日々肩を並べて働く中で、「自分も起業家として打席に立ちたい」という思いが日に日に増していったという。
そんなとき、代表の佐藤氏との1on1で「ヘイも当時から比べると大きくなり、これからも成長していくことを考えると、卜部氏にとって起業するには良いタイミング」と背中を押してもらったことがきっかけとなり、起業することを決めた。
「働く人々のためのデジタルバンキングをつくる」をコンセプトにし、新しいチャレンジをすることに決めたタイミングで、サイバーエージェント・キャピタルの近藤裕文氏や北尾崇氏から投資先のペイミーを紹介してもらったことがきっかけとなり、今回の代表取締役就任に至った。
ペイミー現経営陣の方々が次のチャレンジしたいということ。また、卜部氏が考えているデジタルバンキングの入り口として、ペイミーというサービスがとても相性が良いと感じたため、経営陣の株式を譲渡してもらい、サービスを引き継ぐ形となった。
今後は、半年から1年後を目処に、「働く人々のためのデジタルバンキングをつくる」というコンセプトをミッションに掲げ、新しい形でのリブランドを予定しているという。
卜部 宏樹氏 |
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サイバーエージェント→アプリボット→サイバーエージェント 取締役→AbemaTV 取締役副社長→サイバーエージェントビットコイン→コイニー 代表→ペイミー 代表 (2022年2月) |
ジャフコグループ代表に、三好啓介氏が就任
ジャフコグループ(以下、ジャフコ)の取締役社長(代表取締役)に、三好啓介氏が4月1日より新たに就任することが発表された。現代表の豊貴伸一氏は取締役会長となる。
おおおお今見たけど4月からJAFCOの代表取締役社長が三好さんに!!熱いhttps://t.co/EcbhaOu8b5
— Junichi Akagawa @ミラティブ (@jakaguwa) January 26, 2022
三好氏は1993年にジャフコに入社。スタートアップ投資から事業立ち上げ、M&A、IPO実現等、25年間ベンチャー企業の成長戦略に携わってきた人物だ。主な投資先としては、ココナラ、WACUL、LayerX、ミラティブなどがある。
ITベンチャー企業が数多く誕生し、急成長を遂げた1990年代後半。そんな熱狂の時代よりもさらに前、1973年4月に設立したベンチャーキャピタルがジャフコだ。
現存する日本のVCの中で、最も歴史が古い。以後、30年以上にわたって、起業家の支援を続けてきた。またVCとしての規模も日本最大だ。国内外における累計のファンド運用額は1兆円を突破した。
「VCが起業家を選ぶ」のではなく、「起業家がVC選ぶ」時代。新経営体制でどのような存在感を発揮していくのか、改めて注目したい。
三好 啓介氏 |
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ジャフコ→同社 代表 (2022年4月) |
note、CDOにクックパッドでデザイン戦略本部長を務めた宇野雄氏が就任
noteは、ヤフーやクックパッドでデザイン責任者を務めた宇野雄氏がCDO(Chief Design Officer)に就任したと発表した。noteのデザイン領域をさらに強化することで、プロダクトと組織の成長を加速させていく。
2月からnote株式会社のCDO(Chief Design Officer)に就任しましたよ!
— Yu Uno / note inc. (@saladdays) February 7, 2022
今まで以上にデザインに対してのコミットを強めていく会社とプロダクトを作っていきますhttps://t.co/rKP4nptrd3
宇野氏は制作会社やソーシャルゲーム会社勤務の後、ヤフーへ入社。『Yahoo!ニュース』や『Yahoo!検索』などのデザイン部長を歴任し、その後クックパッドでVP of Design/デザイン戦略本部長を務めた。
noteでは、これまで、CXOの深津貴之氏が会社全体のUXを担う一部としてデザインも管轄してきた。今回、さらにプロダクトや組織の成長を加速させるため、経営メンバーにデザインの専任ポジションを設置。
宇野氏をCDOにむかえ、プロダクトデザインからデザイン組織の成長、会社全体のデザインスキルアップなどを推進していく。
CDOとCXOの両方を持つ経営体制と聞くと、一見オーバースペックにも感じる。しかし、そこにはnote代表の加藤貞顕氏とCXOの深津氏の、並々ならぬデザインの力への信頼と期待が現れている。
CDOとCXO、両方突っ込んだらどうなる?という壮大なチャレンジ。
— 深津 貴之 / THE GUILD / note (@fladdict) February 7, 2022
宇野 雄氏 |
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スゥープ→コントロールプラス→コミュニティファクトリー→Zynga Japan→ヤフー→クックパッド→note CDO(2022年2月) |
日本版Instacart『ツイディ』に、元ロコガイドCOOの沖本裕一郎氏がジョイン
日本版Instacartとも言われる、地域密着型お買い物代行サービス『ツイディ』を運営するダブルフロンティア。FastGrowではこれまでもCaSy元CMOの斎藤氏のCMO就任や、砂川氏のCTO就任を伝えてきたが、その勢いは止まらない。
同社は新たにトクバイ(現ロコガイド)で代表取締役、COO、CFOを務めた沖本裕一郎氏がジョインすることを発表した。
まずは顧問として参画し、将来的には社外取締役として関わる可能性もあるという。
沖本氏は2001年から2012年まで、リクルートで新規事業やWEBサービスの開発に従事してきた。その後はクックパッドに入社し、新規事業責任者としてO2Oプラットフォーム事業『クックパッド特売情報』の立ち上げを行った。
2016年に事業分割によりトクバイを設立。同社を、56,000店舗以上(*2021年3月現在)の小売店や施設が参画する国内最大のプラットフォームに成長させ、2020年に東証マザーズに上場した実績を持つ。
『トクバイ』は全国47都道府県のチラシが無料で見られる、スーパー・ドラッグストア掲載数No.1のチラシサービスで、月間利用ユーザー数は1,600万人以上(*2021年3月現在) 。そして、ダブルフロンティアが運営する『ツイディ』は地域密着型のお買い物代行サービス。ライフや文化堂といった地域に根ざしたスーパーから、近隣の地域住民が消費者のもとへと食料品などを直送する。
両サービスはどちらも地域の生活者を対象とし、また地域の小売店にプラットフォームを提供しており、これまで『トクバイ』をグロースさせてきた沖本氏の経験が生きることとなる。 『ツイディ』の日本全国への事業拡大に向けて、さらに拍車がかかる人事となった。
沖本 裕一郎氏 |
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リクルート→クックパッド→トクバイ(現ロコガイド)→ダブルフロンティア 顧問 (2022年2月) |
あなたの会社のキーパーソンを教えていただけませんか?
さて、今月は卜部宏樹氏、三好啓介氏、宇野雄氏、沖本裕一郎氏をご紹介した。どの企業にも必ず成長を支えるキーパーソンがいるはず。あなたの会社のキーパーソン、ぜひFastGrowに紹介いただけませんか?
こちらのフォームより、ぜひ教えてください!