連載ベンチャーキーパーソン名鑑

【ベンチャーキーパーソン名鑑】エンタープライズセールス編 Vol.1:SmartHR 和田 一真氏

和田 一真

大学を卒業後、関西の金融機関に入社。その後株式会社リクルート(旧リクルートキャリア)にて既卒・第二新卒層の人材紹介事業部に所属。RA/CA/拠点責任者としてマネジメント業務、新規サービス立ち上げ推進。2019年10月より株式会社SmartHR関西支社立ち上げメンバーとして一人目フィールドセールスとして入社。関西エリアのマーケット開拓、関西エンタープライズセールスの立ち上げに従事したのちに従業員規模2,001名以上を対象とする全国エンタープライズセールス部門にて部門責任者として牽引。直近では従業員10,001名以上の特定グループ及び特定業界にフォーカスしたハイエンプラセールスチームを立ち上げ。2025年7月よりエンタープライズ事業本部 セールス本部 本部長に就任。

「あの会社の急成長は、なぜ実現できたのか?」その答えは、最前線で事業の課題と格闘し、成果を出し続けている「ベンチャーキーパーソン」の仕事術に隠されています。

本連載では、スタートアップやベンチャー企業が事業を伸ばす上で避けて通れない具体的な「業務の壁」を、彼ら/彼女たちがどう乗り越えてきたのかを徹底解剖。

日々の業務ですぐに役立つ実践的なノウハウ、困難な意思決定を支えた思考プロセス、そしてリアルな成功と失敗の事例、そこから得たノウハウを、ご本人たちの言葉で共有する。

彼ら/彼女たちの生きた経験は、あなた自身の課題解決のヒントとなり、スタートアップやベンチャーでの活躍、あるいはキャリアアップを加速させる具体的な「処方箋」となるはずだ。

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SmartHRにおける「エンタープライズセールス」の魅力とは?

以下、話者は和田さん

「オープンでフラット」なカルチャーを踏まえた部門またぎでの協働提案による、本質的な顧客に対する価値提供の支援スタンスだと思っています。

顧客にとって必要であれば配慮はしつつも遠慮なく相談し、部門跨ぎで総動員で顧客にとって最善を尽くす提案スタンスは、確実にカルチャーや「人が欲しいものを超えよう」という自社バリュー(*編集部注1)に通ずるものです。それこそがSmartHRらしさの滲み出るエンタープライズセールスの面白さではないかなと思っています。

また、「スケールアップ企業(*編集部注2)」という企業フェーズとして、より一層、大手企業に対する支援がしやすいような組織体制を構築中です。

「スクラップ&ビルド」で毎期変化が生まれ新しいポジションが生まれるのも、組織フェーズとしておすすめしたい面白さです。

*注1……SmartHRのバリューやカルチャーはこちらでチェック!

*注2……FastGrowによる解説記事や、SmartHR代表芹澤氏による解説noteなどを参照ください

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エンタープライズセールスの処方箋

処方箋 その1:
部門跨ぎの「横串総力戦」でのプロジェクトリーダーシップ

エンタープライズセールスで成果を上げるために求められるスキルとしては、社内外問わず旗振り役としてプロジェクトリーダーシップを発揮することです。特に顧客は大きな金額を投資し、多くの社員を巻き込み推進されるので、意思決定においては「期待」は持ちつつ、「不安」も非常に大きいと思っています。

そのため、関係者それぞれの不安をしっかりと理解し、受け止めつつ、都度解消しながら、大きな投資をする価値のある提案だと思ってもらえるよう、推進する必要があります。

適宜必要なタイミングで自社の各部門のプロフェッショナルを巻き込み、顧客の不安も極力減らしながら、最大限の期待を超える価値提供をできるか。そのための適切な社内外への旗振りができるかどうかがエンタープライズセールスとしてのプロフェッショナルとして問われるところです。

ここの力量によって大きな差がでてくるため、プロジェクトリーダーシップこそが成果を出すための重要なスキルセットだと捉えています。


処方箋 その2:
意思決定に関わるステークホルダーの把握とミッション理解

エンタープライズセールスにおいて顧客の組織理解とバイヤー相関の把握は必須だと思っています。

また私が強く意識していることは、目の前の担当者や意思決定に関わるさまざまな部門・役職者がどんなミッションを持って働いているのかまで踏み込んで支援することです。

企業を一人格と捉えるのではなく、立場の異なる意思決定に関わる人それぞれがどんなミッションを持っているのか?日々の業務の時間やマインドシェアがどうなっているか?などを理解した上で、関係者それぞれにとって欲しいものを提案できているか。

ここを考え抜き、仮説提案し、一人ひとりの声を聴きながら一緒に「顧客にとって欲しいもの」へと仕上げていくことが大事なことだと思っています。

これが徹底できていれば確実に大きな期待を寄せてもらうことができ、着実に成果に返ってくると思っています。


処方箋 その3:
潜在的な顧客にとっての理想の導入スケジュールの提案

一つ目の意識ポイントに通ずるのですが、顧客の深層心理として、新しいプロダクトを導入するときは「期待」と「不安」の両方を抱えています。セールスはどうしても導入いただくまでの前工程のプロセスに目が行きがちになるかと思うのですが、顧客にとって最も大事なのは導入後うまくプロジェクトを推進できるかという点だと思っています。

どれだけ導入後の顧客のことを想像して、仮説をぶつけながら、顧客理解を深めた上で安心してプロジェクトを推進するための絵を描けるかが重要だと思っています。

理想の導入スケジュールも一緒に考えることへの強いこだわりが結果的にエンタープライズセールスとしての信頼と成果につながってくると思います。

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エンタープライズセールスを学べるオススメコンテンツ

オススメその1:「たった一人の熱狂

書籍情報
著者 見城 徹
出版社 幻冬舎
出版日 2016/4/12
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幻冬舎社長である見城徹氏の生き様が綴られている著書では「結果のでない努力に意味はない」という言い切りの名言があるのですが、結果というゴールに向けて仕事で関わる人たちにここまで向き合い尽くすのか…という気づきを得られる書籍です。

「やり切る」とはなんなのかという「やり切りの果て」を見せつけられるような、仕事を共にする方々への本気の向き合い方をまざまざと思い知らされる、強烈であり・痛烈な一冊です。

エンタープライズセールスのノウハウ本では全くありませんが、大手企業とのやりとりにおいては多くの関係者がいる中、それぞれの関係者に「一緒にやりたい」と思ってもらう必要があります。

最終的な決裁の決め手は、極端な価格差や、サービスの機能としての期待値に差分が少ないときは「誰とやるのか」で決まるケースがほとんどです。著者の仕事相手への向き合い方は体現しきれてなくとも私も参考にしています。


オススメその2:「オレたちバブル入行組

書籍情報
著者 池井戸 潤
出版社 文藝春秋
出版日 2007/12/6
Amazonリンク

ご存じの方も多いと思いますが、ドラマ「半沢直樹」のシリーズの1作目です。 自分自身のファーストキャリアが金融機関だったため学生時代に読みました。

メガバンクという大手企業は役職や役割、思想・思惑・それぞれの生活も違う多数の人たちで構成されていて、さまざまな事情の取引先とのやりとりも踏まえて、いろいろあるんだな〜というのが当時の感覚でした。

ただこの感覚がエンタープライズセールスでは大事だと最近とても痛感しています。大手企業は事情が違うさまざまな人で構成されている組織だからこそ、一つひとつの事象や課題を丁寧に紐解き、いろんな人の協力を得ながら、欲しい結果の合意を取っていくという仕事の進め方が重要だからです。

今思うと実は、セールス感覚を養う上でとても参考になっていたかもしれないな、と感じる一冊です。エンタープライズセールス視点で読んでみたら改めて面白い著書だと思っています。

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キーパーソン和田氏から皆さんへのメッセージ

改めてSmartHRではエンタープライズセールスの採用を強化中です。

ぜひ以下のnoteも参考にしていただきたいですが、現在「スクラップ&ビルド」で今まで以上にエンタープライズにフォーカスした支援体制を構築しようと進めていますので、エンタープライズセールスを経験したい方にとっては面白いフェーズだと思っています。

「SaaSエンタープライズ領域の勝ち筋の一つとしてベンチマークされる組織」を一緒に創っていきましょう!!


こちらの記事は2025年06月04日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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1記事 | 最終更新 2025.06.04

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