世のマーケターに告ぐ。「我々の責務は事業を伸ばすこと。広告に非ず」──スタートアップのグロースを牽引するマーケティングの立役者4名が語る

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登壇者
山代 真啓
  • 株式会社GrowthCamp 共同代表 

2007年、P&G Japanに入社。 マーケティング本部にて「パンパース」や「パンテーン」のブランドマネージャーを務める。 2017年、株式会社メルカリに入社。マス広告からデジタルまで、IPOまでのマーケティング全般を統括。2018年からは株式会社メルペイのグロース責任者として事業の立ち上げに従事。 2020年、株式会社GrowthCampを創業。スタートアップ企業のプロダクト改善や大規模なマーケティング施策などのグロース支援を行う。

三浦 慶介
  • スパイダープラス株式会社 CMO・PMM部長 

一橋大学法学部を卒業後、08年サイバーエージェント入社。ソーシャルゲーム開発に関わり11年よりゲーム事業子会社の取締役。13年よりリヴァンプにて顧客のIT×マーケティング支援。17年よりサイバーエージェントのゲーム事業子会社のマーケティング責任者としてTVCM・デジタル広告・市場調査などを統括。20年9月より建設SaaSのスパイダープラス社CMO。マーケティングに加えプロダクト責任者を兼任。

駒口 哲也

2010年東京大学大学院工学系研究科を卒業後、P&Gジャパンおよびシンガポールオフィスにて、北米・アジア・ヨーロッパ向けブランドのプロダクト戦略、マーケティング戦略、およびブランドマネジメントに従事。2018年にマネ―フォワード入社。リブランディングや大型プロモーション等を担当後、現在はマネ―フォワードクラウドの経理財務領域事業を統括。

田部 正樹

2004年に中央大学文学部を卒業。テイクアンドギヴ・ニーズの戦略室長、マーケティング戦略部長などを経て、2014年にラクスルに参画。テレビCMを中心に累計50億を超えるマーケティング投資を行い、5年で売り上げを25倍に。CPAを1/4に低減し、ハイグロースとROI改善を実現。現在はCMO 兼 ノバセル事業本部長として、クライアント企業に対し、効果のでるテレビCM戦略の企画提案を行う。

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現在、CxOと名のつくポジションにおいて、CEO,COO,CFOと並んでCMOというポジションが設置されている企業は数多く存在する。もちろん他にもCxOは存在し、例外もあるのは承知の上だが、売上を直接的に担う職種にも関わらず、営業の責任者がCxOというポジションについている例は稀である。

なぜ、営業CxOと比べて、CMOはほぼどの企業でもポジションがつくられているのか?

今回は有数のスタートアップでCMOを務める識者達の経験や言葉から、その理由を考えてみたい。

  • TEXT BY KENTA SAKUMA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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綺麗なコピー、お洒落な広告だけでは事業は伸ばせない

現在ではCMO(Chief Marketing Officer)というポジションがあるとはいえ、各人のキャリアはもちろん狭義のマーケターからスタートしている。まずは彼らのキャリアから、冒頭に述べた問いに対する手がかりがあるか考えてみよう。彼らが、一般的にプロモーション領域といわれる広告や集客を担ういちマーケターとしてのポジションから卒業したのは、何が転機となったのだろうか。

山代ファシリテーターも兼ねる私自身がいわゆるマーケティング責任者として、良い意味でマーケターの守備範囲を意識しなくなったのはメルペイの事業立ち上げでしょうか。P&G時代から事業責任を背負ってましたが、事業を立ち上げるために採用から営業から、必死になんでもやる経験は大きかったです。

駒口僕の場合、転機はP&Gで北米、ヨーロッパ担当のブランドマネージャーをしていたときです。当時会社からは「アメリカ含む世界全体で、3年後に100億円の事業を作ってくれ。」というミッションだけ与えられて、プロダクトやコンセプトは何も決まっていない。きれいなコピーを書いて広告を作っているだけでは、とてもそんなミッションは果たせない、事業を伸ばせないと痛感したのがキッカケでした。

三浦個人的にはマーケティングという言葉をなるべく使わないで生きてきました。理由としては、一般的にあるマーケティング=”デジタルマーケティングを運用する人”という誤解のある捉え方が嫌で、僕自身はマーケティングとは、あくまでも”事業を伸ばす”、”事業の生産性を高めるための手段すべて”として捉えています。こうした考えを持つに至った転機があるというよりは、もともと事業サイドからキャリアが始まっていることが大きな要因と感じています。

田部私の転機は完全に前職の社長に言われたことですね。色々な施策を社長に提案した時に「お前それ自分のお金ならやるの?」「お金を使うなら投資以上の利益をあげろ、できないなら営業で数字作るか給料を下げろ」とかなり厳しく言われて、そこからマーケターとしての在り方を自問自答してきました。

なるほど、描いてきたキャリアはそれぞれ違うものの、一様に「事業を伸ばす」という明確な指針を得てきていることは大変興味深い。駒口氏の言葉にあったように、広告を作っているだけ、狭義のマーケティングをしているだけでは事業を伸ばせないという点に、CMOというポジションのヒントがあるようだ。

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事業を伸ばす存在としてみる、マーケターの役割

次に、マーケティングを語る上で、4Pという言葉に馴染みのある方は多いだろう。事業を伸ばす際に考えるべき、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通・営業)、Promotion(販促)の頭文字をとったフレームワークだ。ここでは広告、販促だけにとどまらない、マーケターとして意識すべき点について具体的な見解をみていく。

三浦事業を伸ばすという観点でみた時に、どうしても広告だけでは成果を挙げる上で限界があります。当然ですが、Product、製品のバリューアップが伴わないと、事業成長のための両輪は回せません。

田部僕が新卒入社した当時は、製品開発されたものを如何に売るかがマーケターの仕事だと思っていました。ですが、前職での経験も踏まえて改めて考えてみると、マーケターの真の仕事とは、如何に売れるものを作るか、にあると思っています。

両名が述べるように、プロモーションはあくまでも顧客との最後の接点であり、プロダクトなど他の領域にも踏み込まないと、本質的な事業のグロースには繋がらないのだという。

田部前職の社長に言われたことで今でも大事にしている考えがもう一つあって、これは厳密な正解ではないというのは理解した上ですが、マーケティングの和訳は「商売」だとフィードバックされたんです。プロモーションだけを見るのではなく、事業を成り立たせるためには何でもやるという気概が重要ではないでしょうか。

マーケティングの定義における論争は巷で数多く起きていることは理解しているが、この言葉は文字通り”market-ing”と綴るように、「市場を創造していく」という役割がマーケターに求められているのは間違いないだろう。

こうした見解を踏まえると、冒頭に問うたCMOというポジションが各社で常設される背景は2つあり、1つめは、マーケティング部が顧客と製品をつなぐ重要なポジションであるということ。2つめは、多額の攻めの投資を行う部門であるが故に、事業全体を俯瞰してみることが求められるポジションだからではないかと推測することができる。

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事業をグロースさせる、マーケティング必殺のキーは何か

では、CMOというポジションが事業を伸ばすための存在として置かれているとして、どのような意識を持ち、どのような経験を積むことでその能力が得られるだろうのか。マーケターが事業を伸ばすためのポジションであるならば、その成果を出すことで自身のキャリアアップと成長にもつながるという前提で、各社が如何にマーケティングドリブンで事業を伸ばしてきたのかを聞いてみた。

三浦とにかく1つのことをやり切る。そこで新たな課題を得て、また次へと進む。その繰り返しだと思います。具体的に自社の例を挙げると、ノバセルさんにご依頼してテレビCMを実施したタイミングで、リード獲得という点において次のフェーズに入ったと感じました。そして、そのタイミングで同時に、LTV/CAC(顧客獲得単価)を高めるにはプロダクトのテコ入れをしないとダメだとも実感したんです。

そのように、まずはプロモーションをやり切る。そして、次はプロダクトを突き詰める。と、1つ1つ課題をクリアして次のフェーズに進んでいくことが、事業成長として、ひいてはキャリアとしても有効なのではと思います。

田部事業、個人の成長という観点でいうと、敢えて自分の苦手なことに挑戦することをオススメします。デジタルマーケティングが得意な人はリアルな現場を見る、顧客に会う。クラシックなマーケティング出身の方はデジタルマーケティングに取り組んでみる。

例えばリスティング広告を回してみて、どんなキーワードが実際に刺さっているのかを見てみる。僕自身リスティング広告の管理画面を自分で見ている時に、思わぬキーワードから顧客が成約に至っており、これまで予想だにしていなかった顧客のインサイトを発見したことが何度もあります。

駒口弊社の場合は、車輪の再発明をしないということを念頭においています。海外含め、必ず自分たちの事業領域で先を行っている企業はいますので、そこが打っている施策をみて、成功しているものはどんどん自社でも取り入れること。古巣P&Gでも、“shamelessly reapply”(=恥じらいなくパクれ)という言葉があるくらい、先行事例を参考にせよという教えがありましたね。

田部氏は他にも「守破離」という言葉を掲げてもいたが、何の分野においても、自身の能力に自信を持っている人ほど最初からオリジナリティを発揮しがちなものであるが、やはり基本に立ち帰り、先人からセオリーを学ぶことが肝要だ。

事業成長の観点でも、個人で成果を出し成長していくキャリアアップの観点でも、まずは先行事例を真似る、エッセンスを抽象化して転用するということが、成果への近道だということだろう。

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論理で「正解」を導びける、B2Bマーケティングの醍醐味

ここまでは理想のマーケターとしてあるべき姿やそこに近づくための方法について語られてきた。一方、今回のインタビュイーの共通点として、B2CもB2Bも経験しているという点が挙げられる。その両方を高いレベルで経験してきた各人だからこそ感じる、B2Bマーケティングの醍醐味とは、どんなところにあるのだろうか。

田部基本的にB2CとB2Bに大きな違いはないと思っています。ただ、B2BはB2Cに比べると、クライアントの意思決定が論理的になされることが多いです。CMで見たからとか、たまたま買うということがあまり起こらない。これは裏を返せば、マーケティング施策としての正解が論理的に導けるということです。

なので、個人のマーケターとしてのキャリアでみると、B2Bで論理的思考や成果を挙げる方程式を学んだ上でB2Cを経験するということをおススメしたいですね。

山代ではその上で、B2Bマーケターを各社採用されていると思うが、どういう人がこのポジションに向いていると思いますか?対立概念ではありませんが、B2Cと比べて違いがあるかどうかも踏まえつつ見解を聞かせてください。

駒口そもそもマーケターとは2種類いると思っていて。それはクリエイティブを作ることが好きな人と、事業を伸ばすことが好きな人です。あえて極論すると、前者はB2Cが向いているでしょう。必ずしも論理的に積みあげるわけではなくとも、ヒットするクリエイティブを作れてしまう人もいる。

一方後者はB2Bが向いていると思います。顧客もベンダーもB2Cと比べると数が少なく、カテゴリーへのエンゲージが高いため、論理的な判断を行いやすい。それをロジックで攻略していくのが好きな方などでしょうか。私自身は完全に後者ですね。

これはなかなか面白い視点だろう。確かにB2Cは何がきっかけで当たるか読みづらく、再現性も高くはない。一方で、B2Bは論理的思考を元に顧客に向き合い続ければ、自ずと解は見えてくるのだ。もちろんB2C or B2Bどちらを選んでも正解なのだが、読者が今後マーケターとしてキャリア選択をする上で、この指針は良き判断材料になりそうだ。

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会社の成長率こそが、個人の成長ドライバーとなる

“B2Bは論理”という明確なキーワードが得られた上で、更に読者が気になる点は、「どこでその力を発揮すれば最短最速で成長できるのか?」ではないだろうか。FastGrow読者であれば、事業が成長している環境を選ぶことが前提となる旨は百も承知だろうが、そこから更に今回は、各人が所属する企業の特色やポイントについても詳しく伺った。

山代今回お話いただいている各社はそれこそB2Bの領域で急成長していますし、ここまでお話を聞いていてもCMOやPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)として非常に知見のある方々です。そんな各社にジョインすることで得られる経験やキャリアについて教えていただければと思います。

三浦今スパイダープラスは会社として大きな変革フェーズにいます。10年かけて作ってきたプロダクトをリニューアルしながら、新サービスも開発している。今後は事業のスピードを今の5倍にしたいと思っていて、事業のグロース真っ只中が味わえる環境です。

また、スパイダープラスは建設業向けにVertical SaaS(業界特化型)を提供していますが、Horizontal SaaS(業界横断型)と比べると該当領域の業務のコアなペインが解決できます。実際にスパイダープラスを使うことで残業が1日2.5時間減り、「子供との時間が生まれた」というような声も実際に顧客から頂きます。このように、社会的価値が高いサービスを提供しながら、事業としての成長フェーズも味わえるという点が魅力です。

山代マネーフォワードはどうでしょうか。「上場して安定期に入っている」と思われていることもありそうですが。

駒口その辺は良く言われます。しかし、ウチは組織としての規模は大きくなってきていますが、そのなかで事業部制をとっています。事業ドメインがバックオフィスのSaaSという点は全社共通ですが、それ以外は逆に自由。

例えば売上が数十億円規模の事業部もあれば、まだ数百万円規模のところもある。なので、自身が最も力を発揮できる事業規模を選んでご活躍いただけますし、また更なる成長を目指して他事業部へとチェンジしていくこともできる、1社にいながら多様な事業フェーズの環境を経験できるところがポイントです。

田部まず僕の考え方からお話しすると、事業の成長率が高い会社で働くべきだと考えます。なぜなら、人が成長する速さや幅は、所属する組織の事業の成長率によって大きく変わると思うからです。

ノバセルでいうと現在は前年の3~4倍事業が伸びているので、ノバセルにはまさにこの成長率が高い環境だと言えます。また、弊社ならではの魅力を挙げると、チャーン(解約率)が事業のドライバーになること。1回限りのお客様ではなくて、継続して使っていただくところまで俯瞰してみることが求められますので、そうした環境で働くことは、マーケターとしての個人のキャリアを大きく広げてくれるはずだと思っています。

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捨てるのが難しい、マーケターがゆえの悩み

最後にセッションに参加した視聴者からキャリアとは異なる部分で「マーケティングの打ち手としてやらないと判断したことは何か」という質問が寄せられた。マーケティングというとやれることはたくさんあり、集客だけではないということは各人から語られたものの、集客をしなくて良いわけではない。そのため優れたマーケターであればあるほど、何かを捨てるというのは難しいものだ。そこで、一流のマーケターはこれまでどんな背景で、何を捨ててきたのだろうか。

三浦例えばスパイダープラスの一例では、デジタルマーケティングの定石ともいえるSEOを捨てています。ちょっとやってみたところ、そもそも検索クエリが少ない上にコンバージョンもしない。そこで実際に顧客の声を聞きにいったこともありますが、やはり情報を得るうえで検索の比重が低く、代理店や業者、同業他社から情報収集しているとのことでした。

一般的にはセオリーでも、それが自社にとって不正解な場合もあるということ、常に顧客を見るという大前提を改めて感じましたね。

田部施策ではありませんが、事業を行う上で取らない顧客を決めました。自社にとってターゲットが誰なのかを明確にするということです。

2:8の法則というものがあるように、自社にとって2割の顧客が8割の売上を作っているときもあります。この場合の8割は、売上という観点では実はターゲットとは言いづらい。でもここを捨てるのが苦手なマーケターは多い。CPAやCV数でみると当然そこも拾ったほうが良いですからね。これはKPI設定の方法にも関わりますが、「事業成長につながる本質的な顧客なのか」という視点でみるべきだと思います。

駒口「社長や上司が言ったから」が理由ならやらないということですね。顧客やビジネスのためにやるのか、単に上司を喜ばせたいのか。結局どこを向き、どれだけ事業を伸ばすという強い意思があるかにつきると思います。

今回はスタートアップ領域のCMOを代表する4名から、マーケティングとは広告や販促だけではなく、事業成長に関わる全ての取り組みを指す。そして、特にB2Bマーケティングに関わるものは論理を突き詰め、顧客の解を見つけていく事が重要であるといった学びを得た。

マーケターとして具体のスキルセットを高めていく努力は勿論必要だが、そもそもマーケターが事業のなかでみるべき領域、持つべきマインドセットについては、日々の活動のなかではなかなか窺い知ることができなかった。そういった意味では、自身のマーケターとしての在り方を考え直す、良い機会になったと思う。

このように各社様々な金言が飛び交う会となったが、今後もこうしたB2Bスタートアップ企業を代表するCMO・PMMの方々から、マーケティングに関する学びや気づきを得たいというマーケターも多いのではないだろうか。

そうした要望に答えるべく、このような第一線で活躍しているCMOの方々が中心となり、創設されたコミュニティーがMarketer’s Communityだ。「マーケターが共に極め、高め合う未来を創る」というミッションのもとイベントや勉強会が開催される予定なので、興味のある方々は是非、最先端の実践知に触れてみることをオススメしたい。マーケターとして視座やスキルを高めるだけでなく、同じ志を持つメンバーとの交流も魅力的だ。

詳しい情報は近日公開予定。FastGrowの方でも引き続き彼らの動向をキャッチアップしていくので、期待して待っていて欲しい。

また、今回登壇いただいた各社も事業が急成長するなか積極的に採用もしているとのことだ。興味を持った方はぜひその門を叩いてみてはいかがだろう。

スパイダープラス株式会社 https://jobs.spiderplus.co.jp/

株式会社マネーフォワード https://corp.moneyforward.com/recruit/

ラクスル株式会社 https://recruit.raksul.com/products/novasell/

こちらの記事は2021年09月16日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

佐久間 健太

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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