土屋 尚史
株式会社グッドパッチ
代表取締役社長 / CEObtrax Inc.にてスタートアップの海外進出支援などを経験し、2011年9月に株式会社グッドパッチを設立。自社で開発しているプロトタイピングツール「Prott」はグッドデザイン賞を受賞。2017年には経済産業省第4次産業革命クリエイティブ研究会の委員を務める。2018年にフルリモートデザインチーム「Goodpatch Anywhere」をリリース。2020年6月、デザイン会社として初めて東証マザーズに上場。
先日発表されたファンドで、投資する起業家の条件はありますか?
ご自身のバイブルとなっているような、何度も読み返す書籍はありますか?
グッドパッチという組織の根幹になっているのは、「ピクサー流 創造するちから」ですね。毎年新卒に渡している書籍であり、会社のカルチャーに大きな影響を与えているバイブルです。
定期的に読み返すという観点だと、「スラムダンク」です(笑)。やっぱり漫画で育ってますから。
土屋 尚史氏の回答
デザイナーといっても多様ですが、例えば新卒でキャリアスタート、20代・30代・40代とキャリアを重ねた場合、デザイナーの役割の変化、良いなと思ったキャリアパターン例を教えていただきたいです。
事業立ち上げフェーズにおいて、1人目のデザイナーがすべきこと、またそもそもデザインを重要視すべきかを教えていただきたいです。
事業案/タネを思いついた時に、一旦検証してみようと思うアイデアの条件と検証してこれはいけるんじゃないかと実装を考える条件を具体的に伺いたいです(例えば現在のメインで取り組まれている事業の場合)
上場目論見書でも相対的に高額なプロジェクト単価、人月単価が注目を浴びたと思っていますが、最初から高単価を狙っていたのでしょうか?もし徐々に単価があがっていったのであれば、どのように上げていったのか教えていただきたいです。
結果的には徐々に上げていったという回答になりますが、最初から高単価になるようには意識していました。なぜなら、これまでの業界水準が低すぎたから。日本においてデザインは過小評価されており、単なる装飾としか思われていないケースもこれまで多くありました。そして僕らの使命は、その認識を変えていくこと。UI/UX領域のパイオニアとして、業界の価格水準をつくっていく立ち位置です。デザイン産業自体を魅力的な産業にするために、僕らは絶対に価格を崩すことはできない使命感がありました。提供している価値自体は、大手の戦略コンサルティングファームと遜色ない思っているので、同じ単価感までは頑張りたいと思っています。
土屋 尚史氏の回答
土屋氏が自身のnoteに上場までのストーリーを綴っていたのを拝見しました。その中で、一度組織が完全に崩壊し、そこから再起を遂げたエピソードが印象的だったのですが、現在組織を率いる上でリーダーとして意識していることを知りたいです。
会社への当事者意識を持つことと、それを誰もが感じられるように態度で示すことです。当然、創業者なので誰よりも当事者意識はあるのですが、それを社員へ発信したり伝えていくことを怠ってはいけないというのを常に意識しています。当たり前のことですが、当たり前で済ますことなく、態度で示す。しっかりコミュニケーションを取り続けることが大事です。
また仕組み化を行い、権限移譲することは重要です。しかし、権限移譲とコミュニケーションを取らないことは違います。仕事が回っているだけでは、魂の籠もった組織にはなりません。組織の中心で強い想いを持つ人に影響されて人は動くので、社員への語りかけは意識しています。例えば、コーポレートアクションがあるタイミングや社内の中で課題を感じた時に僕の想いを伝える「社長報」というものを月に1〜2回発信していたり、Slackで今何を考えているのかを垂れ流すチャンネルでつぶやいたりしています。組織を率いるリーダーは、熱い想いを持ち続けなければいけないし、当事者意識の薄れを絶対にメンバーに感じさせてはいけません。
土屋 尚史氏の回答
今年上場され、時価総額も250億円を超えておりますが、創業当初ここまで大きくなると思っていましたか?またデザインカンパニーとしては珍しく、ここまで大きくなれた理由があれば知りたいです。
全く想像していませんでした。こちらのnoteでも触れましたが、上場すら予想していませんでした(笑)。
そんな僕らがここまで拡大できたのは、他のデザイン会社が取らない選択肢を取ってきたから、と言えるかもしれません。出資を受けたり、クライアントワーク以外のビジネスを立ち上げたり、組織規模を大きくしたり。どれも多くのデザイン会社では敬遠されることです。
デザイナーが立ち上げたデザイン会社は、「いいものをつくること」が目的になっているケースが多いです。そんななかグッドパッチは、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、デジタルデザイン産業自体の価値をいかに上げるかという視座でビジネスをやってきました。もちろんいいものはつくりますが、目的は「デザインそのものの価値を上げること」。デザインの力を証明する、そんなミッションを掲げたことで、選ぶ選択肢も他とは違うものになったのだと思います。
土屋 尚史氏の回答
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