連載スタートアップピッチ特集号――FastGrow Pitchレポート

建設テック、スリープテック領域を切り拓く注目スタートアップが集結
──FastGrow Pitchレポート

登壇者
中島 貴春

1988年生まれ、群馬県出身。2013年に芝浦工業大学大学院建設工学修士課程を修了し、株式会社竹中工務店に入社。大規模建築の現場監督に従事した後、建設現場で使うシステムの企画・開発およびBIM推進を行う。2016年3月に株式会社フォトラクション(当時の社名はCONCORE'S株式会社)を設立。

小林 孝徳

自身の睡眠障害の経験をきっかけに、この社会問題を解決すべく2013年にニューロスペースを設立。企業向け睡眠改善プログラムで健康経営や働き方改革を推進し、のべ1万人以上のビジネスパーソンの睡眠改善をサポートしている。人々が最高の笑顔で毎日の睡眠を楽しみ仕事とプライベートを120%充実できる社会の創出を目指す。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社フォトラクション、株式会社ニューロスペースの2社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY HARUKA MUKAI
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株式会社フォトラクション
建設データの“見える化”でより良い社会を実現する
SaaS型クラウドサービス

株式会社フォトラクション

最初に登壇したのは、フォトラクション代表取締役の中島貴春氏。「建設の世界を限りなくスマートにする」を掲げ、2016年に創業した。そのきっかけを次のように語る。

中島私は大学院まで建設工学を専門に学び、卒業後は大手総合建設会社に就職しました。スタートアップに珍しく、建設畑で経験を積んできた人間です。

大規模な建設プロジェクトに携わるなかで気づいたのは、建設の記録管理などの煩雑さです。管理はいまだに紙の書類が中心。利益率や品質の改善を、データを元に行うことが難しかった。こうした現状を変えられないかと考え、起業に至りました。

Photoruction(フォトラクション)』は、図面や写真など、建設現場で必要な情報を一元管理できるSaaSだ。簡単な操作で、リアルタイムに関係者と現場の進捗情報を共有できる。建築・土木生産者は、現場の図面や写真を記録・管理する煩雑な業務から解放され、品質向上に向けた仕事に集中できる仕組みだ。

さらに、『フォトラクション』を通して集まった図面や工事写真などのビッグデータを用いた事業も展開している。図面や写真、工程などから情報を読み取り、建設業向けのAIシステムを構築できるAIエンジン『aoz cloud(アオズクラウド)』だ。

『aoz cloud』では、物体検出技術を用いた全自動での見積システムや、画像判定によるリアルタイムの進捗管理システムなど、企業のニーズに沿って多様なソリューションを開発できる。

これら二つの事業によって建設業のDXを進めるフォトラクション。その先に見据えるビジョンは「感動であふれる風景を造る」ことだという。

中島建設業向けのソリューションというと、巨大産業ではあるものの、分野としてはニッチだと思われがちです。

しかし、建設業界は衣・食・住のすべてと関係しています。例えば、服を製造する工場も、運送を担う道路も、建設業者がいなければ存在しない。

少し話を広げて考えると、建設業界の生産性や品質を向上できれば、私たちの口にする食品の質を向上させたり、家賃を10分の1に削減できたりするかもしれない。

私たちは建設業界のDXによって、私たちの暮らす風景をより良いものにしていきたいと考えているんです。

現在、大規模建設を担う建設会社を中心に、順調に導入企業数を増やしている。引き続き、水道や土木など建設業界内での展開、ビジネス版LINE『LINE WORKS』やDropboxなどと連携したソリューションの拡充など、周辺領域へ事業を広げていく予定だ。

「全方面で積極的に採用しています。エンジニア・ビジネス問わず、お気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです」とピッチを締めくくった。

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株式会社ニューロスペース
“個人の睡眠”が尊重される社会を目指す
スリープテックスタートアップ

株式会社ニューロスペース

続いて登壇したのはスリープテック事業を展開するニューロスペース代表取締役の小林孝徳氏だ。

ピッチの冒頭、「実は夜型の人間なのですが、質の良い眠りを取るための技術を駆使し、ピッチ(朝7時開催)に間に合うよう早起きしました」と明かした。

そんな小林氏だが、起業に至った背景には、自身が睡眠障害に悩んだ経験があった。

小林学生時代から、質の良い睡眠が取れない日が多く、社会人になってからは4時間睡眠が1週間続いていた時期もありました。短時間睡眠が続くと、記憶が途切れたり、メンタルが不調になったりと、ネガティブな影響が起きてしまう。

こうした過去の私のような症状を抱えている人は決して少なくありません。現在、日本では睡眠障害に悩む方が、約3,000万~4,000万人いるんです。

「俺は4時間睡眠で仕事をしているのだから、お前も寝ないでがんばれ」といった風潮も完全に消えてはいないのではないかと思います。

こうした風潮を変え、睡眠が『個人の権利』として尊重される世界をつくりたいと考え、ニューロスペースを創業しました。

ニューロスペースでは、企業向けの睡眠改善プログラムの提供、 スリープテックビジネスの共同開発事業を展開している。

睡眠改善プログラムでは、企業の人事や健康経営部門などを対象に、専用の睡眠デバイスを用いた習慣改善プログラムや、睡眠課題の調査、睡眠にまつわる研修・ワークショップを提供する。プログラムの運営を通して得たノウハウを生かし、シフト業務で働く人の多い企業や、エンジニア中心の企業など「働き方に応じて柔軟なプログラムを設計します」と小林氏は語る。

睡眠計測デバイスは、イスラエルのEarly Senseという企業から仕入れて活用しているが、データはニューロスペース独自に収集。自社内でのアプリ開発やサービス品質向上を進めているという。

また、 スリープテックビジネスの共同開発事業では、KDDIとホームIoTサービスが連携した睡眠アプリを展開し、人々の健康・生活の質向上に資する睡眠サービスの提供を進めているという。

最近では、眠りの質を改善したいエグゼクティブ向けに『lee Pro』というサービスをβ版で提供し始めた。

小林「lee Pro」では、睡眠計測デバイスを活用した計測や、私を含め眠りのプロによる日々のチャット相談を通して、眠りの質を改善するためのアクションを提案します。睡眠薬や寝具に頼らずに睡眠の質を高められます。

すでに導入されたエグゼクティブの方のなかには、寝つきまでの時間が平均49分から27分に短縮した方や、深い睡眠の割合が平均6.4%から25%近くまで増加した方もいらっしゃいます。

スリープテックは今後ビジネス的にもさらなる発展が見込まれる領域だ。小林氏は「独自の技術をこれからどう社会実装していくかを考える面白いフェーズにあります。我々の理想とする世界観を一緒に実現したい方は、ぜひお気軽にご連絡ください」と呼びかけた。

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第26回目となった今回は、領域は違えど、これまで可視化されていなかったデータを見える化し、より良い暮らしを実現する点が共通していた。

今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2021年01月06日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

向 晴香

inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ

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