新市場開拓3つの鍵とは?
三菱地所と片山右京という大物が狙う「低コスト」なイノベーションへの道筋

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登壇者
片山 右京
  • 株式会社ジャパンサイクルリーグ チェアマン 

1992年から日本人3人目のF1ドライバーとしてレギュラー参戦、日本人最多出場記録を持つ。1999年にはル・マン24時間レースにトヨタTS020にて出場、日本人チーム最高位2位記録。2012年から国際自転車競技連合(UCI)登録サイクルチーム「Team UKYO」チームオーナーに就任して自転車業界に転身すると、国内とアジアでは数々の優勝を経験。2020年8月から、ジャパンサイクルリーグを創業。初代チェアマンに就任。

犬伏 真広
  • 株式会社ジャパンサイクルリーグ 取締役 

証券会社、投資ファンドでM&A・資金調達の業務を経験。不動産、不良債権、ベンチャー企業、成熟企業、海外企業などの幅広い分野での投資・経営支援に携わった後、自身が代表を務める経営コンサルティング会社を設立。自身の会社では、投資ファンド、商社、IT、ヘルスケア、飲食などを支援。2020年8月から、元F1レーサーの片山右京と自転車業界に新たな風を吹かせるべく、ジャパンサイクルリーグを創業。

那須井 俊之
  • 三菱地所株式会社 新事業創造部統括 

2006年に三菱地所に入社。マンションや市街地再開発、住宅事業グループ各社のバリューチェーン構築に携わった後、2016年から新事業創造部へ。オープンイノベーションの実現と新たな事業での利益創出を目的として、スタートアップとの協業・資本業務提携を推進。社内のアイデアを活用した新規事業開発にも携わる。

古田 秘馬
  • 株式会社umari 代表 

東京・丸の内「丸の内朝大学」などの数多くの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手がける。農業実験レストラン「六本木農園」や讃岐うどん文化を伝える宿「UDON HOUSE」など都市と地域、日本と海外を繋ぐ仕組みづくりを行う。現在はレストランバスなどを手掛ける高速バスWILLER株式会社やクラウドファンディングサービスCAMPFIRE、再生エネルギーの自然電力株式会社・顧問、医療法人の理事などを兼任。

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世界最高峰で戦った元F1ドライバー片山右京氏と、あの大企業・三菱地所がタッグを組んだ。どうやら、自転車競技を全国各地に根付かせようとしているらしい。日本では未だ定着しているとは言い難いサイクルビジネス。片山右京氏と三菱地所という大物が、なぜ今さら新たなビジネスを興し定着させるという、地道な取り組みに乗り出すのだろうか?

実は自転車競技、世界では有数の大規模スポーツであり、巨額の経済効果を生み出している。かの有名な「ツール・ド・フランス」は、オリンピック、ワールドカップと並んで世界三大スポーツと評されているほど。しかしご存知の通り、日本で自転車競技といえば競輪くらいで、一般に広く定着しているとは言い難いのが現状だ。

そこで立ち上がったのが、片山右京氏だ。F1の世界から引退した後、自身の自転車チームを設立するなど自転車競技にのめり込むと、その活動をさらに拡張させ、地域密着型ロードレースリーグ・JCL (ジャパンサイクルリーグ)を発足させた。

2021年4月、FastGrowは新規ビジネスに挑む大物たちの狙いを探るべく、オンラインイベントを開催。JCLで初代チェアマンを務める片山右京氏と取締役の犬伏真広氏、三菱地所新事業創造部統括・那須井俊之氏、「丸の内朝大学」や「UDON HOUSE」などの地域プロジェクトを多数手掛けるumari代表取締役・古田秘馬氏の4名が登壇した。

地域密着型リーグを立ち上げ、地方を巻き込んだ新しい文化を生み出そうとしているJCL。そこには地方創生というフィールドにとどまらない“イノベーションの作り方”のヒントがあった。

  • TEXT BY SAE OTA
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三菱地所が“地方”でビジネスする理由

2020年8月に創設され、今年3月から第1回リーグが開幕しているJCL。宇都宮、広島、大分など全国9つのチームが競い合っている。プロ野球やサッカー・Jリーグのような一大ビジネスを目指し、まさに勝負が始まったばかり、というところだ。大丸有(大手町、丸の内、有楽町)を中心に大都市開発を進めるイメージが強い三菱地所は、どうして地方中心の新規ビジネスに着目しているのだろうか。

那須井自転車競技の大きな特徴の一つとして、競技場が要らないという点があります。野球やサッカーのような会場は要らず、街そのものがスタジアムになる。世界最大のロードレース「ツール・ド・フランス」では、世界中から1,500万人もの観客が世界から集まってきますから、その街への経済効果は、言わずもがなです。

三菱地所は丸の内を代表に“まちづくり”を行ってきた会社ですが、外部から人を呼び込むというインバウンド効果が期待できる自転車競技・イベントは、地方創生文脈のまちづくりと非常に相性が良い。最近は空港事業やアウトレットモール事業など、大都市圏に限定せず事業を拡大しており、またそういった場所での新たな事業も考えていますから、大きなビジネスチャンスとして期待しています。

片山氏も同様に、自転車競技の持つ「地域密着性」に大きな期待を抱き、地域密着型チームによるリーグの創設に至ったという。

片山F1だけでなく、プロ野球やJリーグなど、他のスポーツからは大いに学びがありました。どの競技も、地域密着型チームを作ることで地方創生の役割も果たしている。また、地域密着型チームを作ることで低いコストで大きな経済効果を得ることができます。

イベント第一部では、片山氏と犬伏氏がJCLの概観を説明した

片山氏が見据えるのは「地域における広告ビジネス」の変化だ。これまでの地域広告と言えば、駅や鉄道に設置される広告や、地元テレビ・新聞の広告が最も目立つものだった。しかし、自転車に関わるビジネスが生まれると、新たな広告モデルが生まれ、話題性も経済効果も獲得していけるのだと指摘する。

片山地域で大きな話題を呼ぶためには、例えば鉄道会社を買い取ることなんかを思い浮かべますが、これは難しいですよね?でも、自転車を新たな文化として定着させれば、シェアサイクルや駐輪場などで新たな広告の場が増える。広告というのは、クリエイティブと組み合わせによってさまざまなパターンが生まれますから、新たな広告モデルが生まれ、経済の活性化につながります。最初から巨額の投資を行わずとも、広告効果の広がりを生み出していけるわけです。

もちろん、自転車競技を新たな「文化」として定着させることは、そう容易なことではない。チームやリーグの運営を維持するにも、コストがかかる。片山氏は、スポンサーの重要性についてこう語る。

片山三菱地所のような大きなスポンサーはもちろん大事。しかしそれと同じくらい、少額のスポンサーも重要です。というのも、国内外における他の有名スポーツの発展の歴史を見ていてもそうですが、ただ経営として維持するだけでなく、人々に愛されて初めて競技が「文化」として定着するのです。

そのためには、たとえ額が小さくても、長く応援してくれるスポンサーを見つけることが大切。無料で選手の髪を切ってくれるとか、マッサージをしてくれるとか、そういう支援の仕方でもいい。小さなスポンサーを大切にして、長く育てていくことが「文化」として定着させる鍵なんです。

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時速100キロの自転車が、家の目の前を通過する

世界3大スポーツである「ツール・ド・フランス」。世界中で35億人が熱狂するその世界観を日本でも実現したい、と語るのはJCL取締役の犬伏氏だ。企業への投資や経営コンサルティングの経験を豊富に持つ同氏が、前のめりにその魅力を語る。

犬伏ロードレースの魅力は、なんといっても競技そのものの迫力です。もちろん、経済効果も大きいのですが。

まず迫力の面を伝えたいですね。ロードレースの自転車は、なんと時速100キロを超えるスピードで公道を走ります。それを、目の前で観戦できる。その迫力といったら、すごいですよ。ツール・ド・フランスでは、この魅力に取りつかれた人たちが毎年世界中から1,500万人も観戦に訪れ、レース映像の視聴者数は35億人に達するんです。

また、経済効果の面で言えば、レースを行う地域の自治体にとっても、競技場を持たずともオープンエアで、例えば1万人規模を集客することができるイベントはなかなかありません。その点、主催側はもちろんのこと、地域にとっても大きな経済効果を見込めるわけです。

イベント第二部で4名がクロストーク。裏側の戦略と構想を明かした

このコロナ禍において、野外で大きな経済効果を見込めるイベントは魅力が大きい。また、野外イベントというと音楽や飲食が多くみられるが、そういったものと比べての大きな違いは「地域内の広い範囲で行う」という点がある。「自宅近くだから見てみよう」といった集客が期待できるほか、広告掲載の範囲も広がるため経済波及効果も新たなものとなる。

確かに、自分がよく通る地元の道を、時速100キロのロードバイクが連なって駆け抜けていく様を想像してみると、それは思わず高揚してしまうかもしれない。そう感じる読者もいるだろう。

そして、自らロードレースチームを立ち上げるなど、プレーヤーとして自転車競技の魅力にのめり込んだ片山氏。熱狂的人気を誇る世界と対照的に、日本では自転車競技が盛り上がりを見せないことに大きな課題を感じてきたという。

片山自転車競技に深く関わるようになってから「どうして日本人選手は自転車で金メダルを獲ることができないのか」と疑問に思うようになりました。テニスだろうがゴルフだろうが水泳だろうが、どのスポーツも日本人のトッププレイヤーが素晴らしい成績を残していますが、自転車はそうではない。

どうしてだろうと考えた末に行き着いたのは「文化として定着していないから」という答えでした。そして文化として定着するには、人々から本当に愛され必要とされ、世界に送り出してもらう環境が必要だと思ったのです。学校の体育の授業から始まり、その延長線上として職業があり、それを支えるチームが日本中にあり、そこでちゃんと儲かる仕組みがあること。その環境を作ることが、JCLのミッションです。

ないものを生み出し、かつ定着させるということですから、とても地道で難しいことのように感じます。ですが、日本では自転車競技は必ず定着するという確信があります。なぜなら、自転車競技は他スポーツと比べてもビジネスとして持続しやすい特徴があるから。競技場を持つ必要がないという点でコスト面でかなり有利ですし、機材にもモータービジネスほどのコストはかかりません。

なおかつ、地方創生ビジネスとの親和性も高い。国内リーグで切磋琢磨し、強い選手を生み出して世界の頂点に挑戦すること。これをそう遠くない未来で必ず実現します。

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スポーツなのに、ひたすら「低コスト」

ところで、スポーツというとやはりコストばかりがかさむというイメージを持つ読者も多いことだろう。間違いなく、運営コストは大きな課題の一つだ。日本でも一部のスポーツでしかプロ化が進んでいない大きな要因がこの点にある。しかし片山氏は、自身の経験を踏まえ、F1という特にコストが高そうな事例を引き合いに出したうえで、自転車競技のコスト面の魅力を説明してくれた。

片山F1の世界では、一つのチームが初期投資として機材を購入したり専門人材を雇ったりするだけで1,000億円、少なくとも500億円はかかります。実業団としては、経営が悪化すればすぐに持続不可能になってしまう金額です。

日本では、プロサッカーのトップリーグであるJリーグ1部で、営業収益が1チーム平均約50億円(2019年度のJリーグ開示資料より)となっている。F1と比較すれば小さく見えるが、それでもやはり「プロチームの運営は簡単ではない」という感覚を誰もが持つだろう。

では自転車チームはというと、どうなのだろうか。

片山自転車競技は、圧倒的に低いコストで運営が可能です。ツール・ド・フランスに出場するチームの年間運営費が、約15~50億円と言われているくらいですから。少ないコストで多大な経済効果を見込めるという点で夢がありますし、少額投資でもよければスポンサーになってくれる企業の裾野も広がります。

ステークホルダーが多くなればなるほど、運営費を急に賄えなくなるというリスクは減るので、続けやすくなる。スポーツは、続けることで初めて文化として定着しますから、持続可能なビジネスモデルであることが非常に重要なのです。

現在JCLで最も強豪とされているチーム・宇都宮ブリッツェンは、年間一桁億円の運営費で賄っているという。少なくとも国内レベルでなら、低コストで強豪チームを作ることが十分できるという証拠だ。

片山比較的容易に準備できる金額で運営でき、そして強豪チームにまで成長させられるというのは自転車競技の大きな魅力です。もちろん、世界に打って出るにはさらなる成長が必要ですが、まずはチームを活動させ、地力を付けて行くことが何より重要ですから。

また、宇都宮でのチーム創設においては、市長が大々的に動いてくれたのも大きかった。スポンサー獲得や話題作りにおいて大きな力を発揮してくれます。強豪チームを育てるには、行政のサポートも大切なのです。このおかげで、地元の人や企業も盛り上がり、地方創生につながります。

この地方創生という観点でも、コストが低いことは重要です。私たちは東日本大震災の復興を掲げ、「ツール・ド・三陸」というイベントを行いました。コストが低いからこそ、実現できたこと。競技場も駐車場も要らないおかげで、いち早く開催することができました。

こうして地域に貢献することで社会の中で必要な存在として認識してもらうこと。それが、チームへの応援、ひいてはリーグへの熱狂につながるわけです。

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自転車と地方創生ビジネスの相性が良い理由

地方創生の鍵は、地域に根付いた「コミュニティ」を大切にすること。そう語るのは、「丸の内朝大学」や農業実験レストラン「六本木農園」、讃岐うどん文化を伝える宿「UDON HOUSE」などの地域プロデュース・企業ブランディングを手がけるumari代表・古田氏だ。

古田よく“Think globally, act locally”と言いますが、私はグローバルビジネスをローカルに転用しても上手くいかないと考えています。なぜなら、規模が全く異なるからです。

ローカルでビジネスを成功させるには、コミュニティとマッチするかどうか、が最も重要なポイントでしょう。例えば海辺にボロボロの小屋があったとして、グローバルな不動産価値は全くありませんが、地元のサーファーにとっては価値があるかもしれませんよね。

私が企画した『UDON HOUSE』では、観光客に粉からうどんを作ってもらって、その地域で人気のうどん店へ誘導するというプロジェクトを行っています。これを香川ではなく阿佐ヶ谷でやっても何の意味もないわけです。もっと言えば、長野でやるとしたらうどんじゃなくてそばの方がいいのかもしれない。そんなふうに、地域に応じたコミュニティの色を出していくことがとても重要なんです。

第二部は大きく三つのアジェンダを設定。しかし、想定以上の盛り上がりに、やや脱線気味に

片山氏率いるJCLが目指すのは、ツール・ド・フランスの熱狂を日本でも実現させること。しかしそのためには、ツール・ド・フランスの真似をするだけではいけない。日本という土地柄・文化に合わせた展開をしていく必要があるというわけだ。

一方で、古田氏は自転車競技と地方創生ビジネスの親和性に、大きなポテンシャルを感じているという。その理由にあるのは、自転車という乗り物の持つ特徴だ。

古田自転車ビジネスは、参加できる地域が限られないという点で裾野が広いですよね。これがサーフィンだったら海がないといけませんし、登山だったら山がないといけない。自転車は都心だろうと田舎だろうと、どこでも走れます。

しかも、多くの人が幼少期から慣れ親しんでいる乗り物です。コミュニティとしての基盤が大きい分、大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

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「移動」を変えて、生まれる価値が地方には多い

約900万人とも言われている日本の自転車人口。それほどまでに慣れ親しまれた乗り物であるという裾野の広さに加えて、日本の道路環境が優れていることも、“自転車×地域創生ビジネス”の成功において重要な要素となるという。

片山日本の場合、地方でも道路が綺麗に整備されており、他国に比べてロードレースのコースが作りやすいんです。

また、自転車文化がより定着していけば、観光の仕方を大きく変えていくこともできます。例えば車では通り過ぎてしまうけれど、徒歩だと遠すぎる、というような今では中途半端に思えるような場所にある観光スポットってありますよね?自転車を使おうと考える人が増えれば、訪れる人もきっと増えます。地域活性化に間違いなくつながるでしょう。

「オフラインでの観戦のみならず、生中継で地域の魅力を発信することもできる。地方の美しい自然や風景を楽しみに観る人も増えるはず」と三菱地所・那須井氏は期待を込める。古田氏は「直接的な経済効果の他にも、付随的な効果が発生するだろう」と語った。

古田最近「健康経営」という言葉が流行ったように、社員の健康を重要視する企業は増えています。単なるスポンサーというだけでなく、自転車文化が広まり社員が健康になれば、企業価値が上がったと言えるでしょう。

私は以前「丸の内ヘルスカンパニー」という架空の会社を作るプロジェクトを立ち上げました。“年功序列”ではなく“健康序列”をルールとして、健康になればなるほど役職が上がっていくという仕組みです。そのうち“健康本部長”だけが参加できるイベントなどが企画されていきました。丸の内という街を中心として、新しいコミュニティが生まれるわけです。

自転車文化が定着すれば、今は黒塗りのリムジンで出勤することがステータスとなっている会社役員が、いずれはロードバイクで出勤したがる日が来るかもしれません。そういった新しいカルチャーが生まれる可能性は、大いにあるでしょうね。

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小さなビジネスも、とにかく続ければ「文化」になる

自転車競技を「文化」にすること。そのためには「小さくても続けることが大事だ」と片山氏は繰り返す。

片山他のスポーツの発展の歴史を見ていると、ただ実業団やリーグを経営し続けるというだけでなく、人々に愛される文化にまで昇華させていることがわかります。そうでないと、続けられませんし、逆に愛される文化にまでなるには「続くこと」が最低条件となります。

自転車競技は、幸いにもコストが低いという大きな強みがあります。業績悪化を理由に撤退するリスクも低いですし、ビッグなスポンサーがつかなくともチームを立ち上げることができるというメリットもある。

現在の宇都宮ブリッツェンのような強豪チームが一桁億円台で運営できるのですから、数社集まって少額ずつ出資するというのも現実的に実現可能なわけです。決して大きなスタートでなくて構わないから、小さなスポンサーやステークホルダーをいくつも巻き込んで育てていくこと。それが重要なのです。

現在、日本で自転車競技を「食っていけるスポーツ」として認識している人は少ないでしょう。しかし、サッカーも少し前までは同じような状況でした。Jリーグができたおかげで職業として選択できる幅が広がり、サッカー選手になることを夢みる少年が増えた。

結局「食っていけるスポーツ」として認識してもらうためにはその基盤として、チームやリーグのような活躍の場がなくてはなりません。そこでやっと、強豪選手を育成・輩出することができるのです。

「文化を作る」ことの重要性には、古田氏も強く共感するようだ。

古田物事を定着させるために必要な3要素は「ツール」「ルール」「文化」だと言われています。例えばコロナ禍でリモートワークが急速に進みましたが、その中で鍵となった「ツール」はZoomでした。加えて、国や首長が企業に対して「リモートワークを推進するように」と要請したことによって「ルール」が生まれた。

しかし一方で、Zoomを使って仕事をする文化がまだ根付いていなかったことから、ストレスを覚える人は多かったように感じます。例えばどんな業務はリモートで行うのか、Zoom会議はどのように進めるのか、など、慣れないと戸惑うわけです。

それと同じように、自転車競技にも「ツール」「ルール」はあります。あとは「文化」をいかに作っていくか、ということが定着への肝でしょう。

片山「文化」として定着させるために、地域密着型のチームを作り、全国を回るリーグを創設しました。地域活性化と同時に自転車競技を浸透させるべく、今後いっそうJCLを盛り上げていきたい。野球やサッカーのように、日本でも自転車競技を「愛される文化」にしていきたいですね。

自転車という乗り物の特性・優位性を最大限に生かしたビジネスを企画し、地方創生につなげていくこと。そして、たとえ小さくとも、スポンサーを多数巻き込み、持続可能な取り組みにしていくこと。片山氏らの取り組みは意外にも地道なものだが、もしかしたらその地道な取り組みから初めて小さくても続けていくことこそが、後に「イノベーション」と評価される事業を作るために必要なことなのかもしれない。

こちらの記事は2021年06月22日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

太田 冴

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