EVENTREPORT
小沼 佳久 澤山 陽平 五嶋 一人
18-02-14-Wed

アントレプレナー・イノベーターから若い世代へ。
LIFULL主催「LEAP」VCとCVCが語る投資基準

TEXT BY TOMOMI TAMURA
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2018年1月14日、LIFULL社の主催で、
熱い想いを抱くアントレプレナー・イノベーターによる未来を担う
学生のためのサミット「LEAP」が開催されました。

日本の未来を担う若い世代が「跳躍」するきっかけを作りたい、
そんな思いから生まれたサミットの、

LIFULLのCSO(Chief Strategy Officer)小沼 佳久氏と、
500 Startups Japanマネージングパートナーの澤山陽平氏、
iSGSインベストメントワークス代表取締役の五嶋一人氏による

トークセッション「VCとCVCが語る投資基準」の様子をご紹介します。

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2016年に生まれた、新生VC

小沼株式会社LIFULLグループ経営戦略部 部長、CSO(Chief Strategy Officer)の小沼と申します。本日は、500 Startups Japanマネージングパートナーの澤山陽平さんと、iSGSインベストメントワークス代表取締役の五嶋一人さんに、「VCとCVCが語る投資基準」をテーマに、VCやCVCで取り組まれていることや、投資したい起業家や学生像、興味のある領域などを伺いたいと考えています。

澤山500 Startups Japanの澤山と申します。500 Startupsは、シリコンバレー発のアクセラレーター兼ベンチャーキャピタルで、私はその日本向けファンドのマネージングパートナーをしています。大学での専攻は原子力工学とコンピューターシュミレーションで、もともとはエンジニアでした。大学卒業後はまったく違う領域に飛び込んでみたいと思い、J.P. Morganという外資系投資銀行に入社。金融プロフェッショナルとしてのキャリアをスタートしました。上場企業のファイナンスやM&Aをサポートする仕事でした。

ただ、入社はリーマンショックの直後。入社3年目には、チームごとなくなりました(笑)。次は「ベンチャー企業と関わる仕事をしたい」と探していたところ、出会ったのが野村證券です。ヘッドハンターからベンチャー支援や調査をする部署が、金融とITの両方が分かる人を求めていると知り、迷わず飛び込みました。

500 Startups Japanの設立は、2016年2月。日本語が話せるアメリカ人と、英語が話せる日本人である僕の2人で運営しています。一回当たり平均約2000万円をスタートアップに投資し、その会社がうまくいけば、5000万円、1億円と追加投資するスタイルです。

シリコンバレー発のVCなので、日本のスタートアップと海外のスタートアップやノウハウをつなげられるのが強みですね。グローバルは7年間で約1800社に投資していますが、日本はまだ約28社。ですから、積極的に日本でも投資したいと考えています。

五嶋僕は大学を卒業して銀行に入り、そこで7年半、ちょうど30才まで銀行員として働いていました。その後、ソフトバンクグループのVCで5年半経験を積み、DeNAでベンチャー投資や、旅行代理店・中国のモバイルインターネット企業・横浜ベイスターズなどの買収と、買収後の経営も担いました。その後ゲーム会社のコロプラで投資とM&Aをやらせていただいたあと、現在のiSGSを設立しました。

iSGSには、僕以外にも2人の代表パートナーがいます。1人は新卒一期生でサイバーエージェントに入り、おそらく日本で唯一、女性で独立系ベンチャーキャピタルの代表パートナーを務める佐藤 真希子と、もう1人は現在アイスタイルでCFOを務める菅原 敬です。 3人がそれぞれ代表パートナーとして意思決定権を持ち、お預かりした資産を運用しています。

僕らのファンドも、日本中心ですが海外にも投資させていただいています。500Startups Japanさんとご一緒させていただいている企業も2社ありますね。1社あたりの投資金額は数百万円から億までと幅広く、1社平均だと約3,000万円。2016年6月に1号ファンドを設立し、現在までに39社に投資させていただきました。

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投資したいのは、素直な「愛すべき変人」

小沼お2人それぞれ伺いたいのですが、「投資したいチーム、起業家」や「成功する起業家の共通点」を聞かせてもらえますか?

五嶋澤山さんの会社とは、なぜか投資先がほとんど被りません(笑)。被っているのは2社だけ。ですので、投資基準は結構違うのかな、と思います。

まず僕らは成功確率にの高さだけを基準にしているのではなく、10社中9社が失敗しても、1社が100倍になればいい、という考えで投資しています。ただしこれは「失敗してもいい投資」があるわけではなく、リスクは取るがすべての投資先が大成功すると信じて投資している、ということです。

投資したい経営者やチーム、ということで言えば、経営者としてもチームとしても、完成している状態はあまり求めていなくて、どちらかというと未熟な人、足りないところがあるチームに投資をする方が、ファンドとして大きなリターンが期待できる、投資価値があると思っています。

五嶋ただ、大切なのは、未熟さや欠けている部分を「欠点だ」と本人たちが認識していること。「自分はこれが足りていないので、支援が必要だ」と素直に言える人や、アドバイスを聞いたら即行動に移せる人は、魅力を感じますね。

澤山VCのモデル自体は一緒ですね。僕らも、投資して100億円以上の価値になった会社は5%を切るから、20社に1社しかうまくいっていない。だから、基本的には“ホームラン狙い”の投資という考えは同じです。それから、経営者が素直であることは、とても大事です。メンタリングの前後でどう変わるのかはチェックしますし、メンターには、必ずメンタリングした起業家に「教えを聞く態度があったか」を確認しています。

違う部分で言うと、「好かれる能力:ライカビリティ」を見ていること。その経営者が、いろんな人に好かれそうか、いろんな人を巻き込めそうか、少なくともチームの中にそういう人がいるかどうかは、重視しています。

五嶋人を惹きつける魅力は、見た目でもスペックでもないですよね。想いを言語化して、伝え続けて、人が集まってくるかどうか。僕らの投資先を見ると、胸を張って「みんな変な人です」と言えます(笑)。愛すべき変人だと思っていて、そういう人が僕らの投資先としてマッチしているのかなと思いますね。

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大事なのは、変化率と行動力

小沼「諦めなさそう」な人の評価は高いですか?

五嶋この事業はぶっちゃけうまくいくかわからないけど、この人ならとにかくどうにかするだろう(笑)、って人は評価高いですよね。

澤山教えたことに対して成長が見える人も同様ですね。

五嶋変化率はすごく大事ですね。次に会ったときに、どう変わっているのかは重要です。

澤山そうですね。行動が早いかどうかも大事なポイントだと思います。少し前ですが、あるイベントでベンチャー企業の社長に会ったんです。「新しい保険を作りたい」というプレゼンを受け、いろいろアドバイスをして、「また1カ月後くらいに会いましょう」と別れました。すると、1ヵ月後に連絡があり、「45日もかかっちゃいました」と言いながらも、すでにプロトタイプを作り、実証実験も始めていたんです。僕らも焦って、すぐに投資しましたね。そういう行動力、学ぶ速度がある人は好きです。

五嶋そういう起業家の方は僕らも応援したくなるし、素晴らしいですね。自分で動いて自分で失敗して、また新しくチャレンジする。「自己PDCA」を回せる行動力と、折れない心の両方を持っていることは、とても大事だなと思います。

澤山始めたときに持っているスキルよりも、パッションと推し進める力が大事ですね。

小沼すでに完成された人よりも、これから伸びそう、この人ならやり続けそうというのが大事なんですね。

澤山そうですね。計画通りいくことはほぼ無いので、やってみないとわからないです。だから、「これまでこんなことやってきた」「ピンチの時にこんなことをやった」などの話を聞くと、この人ならどうにかするかもしれないと思います。

五嶋事業計画から外れていたとしても、「外し方」にはいろいろ言うこともありますが。外れたこと自体には一切文句は言いません。というのも、事業計画や売上は、結局「手段」でしかないから。利益ですら手段でしかない。「世の中をこう変えたい」を実現させるための手段として「利益」があるんです。だからこそ「利益」は必要ですが、スタートアップはほとんど計画通りにいきません。そこは問題ではないんです。

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注目したいのは、一見地味だけど大化けしそうなサービス

小沼投資家と起業家は、二人三脚で事業を創出し、世界を変えていくチームだと思います。今後お二人が注目する技術や領域はありますか?

五嶋最近、「日本沈没」という1973年に公開された映画を観たのですが(笑)、人間の生活は、結局土地に紐づいているなあって思わされたんですね。日本が沈没して日本人はみんな難民として世界中に散っていくわけですが、土地がなくなると国家ってやっぱり崩壊するんですね(笑)。これは45年前の映画ですが、テクノロジーがどれだけ発展しても、やはり国というものは、土地に紐づかないと成り立たないのではないか、と。だから日本でもアメリカでも、不動産は重要な領域だなあと、いまさらながら改めて思いました(笑)。

澤山僕らが最近注目しているのは、紙やExcelに代替するサービスです。なんだかんだ、紙でメモを取る人はたくさんいます。僕はExcelも使っていますが、大量の紙が必要で手間な作業が発生することや、Excelのデータがまったく活用できないこともたくさんありますよね。そういう課題は地味ですが、解決していくことで大きな流れにつながる可能性はあると思います。

例えば、弁護士が作った契約書を自動でクラウド上に管理するサービスがあります。契約書は締結する際、さまざまな部門の人が関わりますが、それが紙ではなくクラウドで完結する。これってすごく便利ですよね。

他には、国際物流にも着目しています。コンテナ船で物を運ぶ際、通関では紙をたくさん使うんです。その課題を解決するために、三井物産の方が立ち上げたベンチャー企業もあります。一般的に、スマホやIT、クラウドなどのサービスは、まず消費者向けに始まります。その後、B向けに広がり始めるのですが、いまちょうどその流れが出始めているなと感じています。

一見地味かもしれませんが、そういった領域が面白いと思っています。話を聞いて「すごい!」という感じがないかもしれませんが、実はじわりじわりと盛り上がっている、そういうところに注目しています。

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ライブエンターテインメント、宇宙、バイオテックにも大注目

五嶋僕は、スポーツとエンターテインメント、特にライブエンターテインメントはいいと思います。投資対象としてはもちろんですが、ベイスターズに続いて、スポーツやエンタテイメント領域のカテゴリトップの企業を巻き込んで、産業全体の発展に貢献できればいいなと思っています。

それから、日本は世界最先端の高齢化社会なのでヘルステックは伸びるでしょうし、日本で成功できれば世界でも成功できるチャンスもある領域だと思っています。しかし単に「健康にいいことをしましょう」だけでは成り立たないので、スポーツ領域との掛け合わせだと思っています。ただ、若い人が「スポーツベンチャーを立ち上げるぞ」と考えても、スポーツ業界のネットワークがなく、なかなか事業が立ち上がっていかない。それは僕らでどうにかしたいですね。

今、スポーツもエンターテインメントも、メディアを介したコンテンツとしての消費は実は減ってきています。インターネット関連ですら伸びていない。一方でライブエンターテインメントはこの10年で2倍の規模に成長していますし、スポーツの観客動員も右肩上がりです。この分野には可能性があると思っています。

澤山宇宙関連のベンチャーや、バイオテックにも注目しています。ヒトの遺伝子情報は、数年以内に1万円程度で読み込めるようになると言われています。そうなると、チャレンジするコストがどんどん下がりますよね。同じように、今までは大金が必要で手を付けられなかった領域も、チャレンジできるようになります。

今世界では、日本の相対的な地位が下がっているんです。500Startupsでも、海外の投資家に「なぜ日本に投資するのか、東南アジアの方がいい」と言われてしまうのが本当に悔しい。だから、新しい領域に挑戦する企業を支援し、「やっぱり日本はすごい!」と言われたいですね。

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努力を努力とも感じない、好きで得意な領域を見つけて欲しい

小沼最後に、実際に起業している、もしくは起業に挑戦したい学生に向けてメッセージをお願いします。

澤山「IKIGAI」という4つの円からなる絵をご存じでしょうか。これは、自分が好きなこと、自分が得意なこと、儲かること、社会のためになること、この4つが重なるときに生きがいを感じているという絵で、出所は定かでないのですが、僕はすごく納得しています。

自分が得意で儲かることばかりやっていると、それはそれで虚しくなったり、自分が好きで社会のためになることでも、儲からないのではだんだん辛くなってくる。なので、この4つを満たす仕事を見つけるのが今後のキャリア形成において重要なことではないかと思います。自分の好きなことなら、努力は苦痛に感じないでしょう。すると、それが得意になっていく。そのうち、その「得意」をどう使えば儲かるのか、社会に役立つかを考えるようになると思うのです。

同じ技術を同じように提供していても、価値が全然違うこともありますし、評価も違うかもしれない。大事なのは、自分が好きだと思えて努力が苦にならない、努力とも感じないような領域を見つけることだと思います。

五嶋最近、学生さんと話す機会が多いのですが、学生さんって「腹落ち」を求めることがよくありますよね。「なぜですか」と、自分が納得できるまで聞いてくる(笑)。しかし、世間は皆さんにそんなに親切にする必要はないんです、実は皆さんの腹落ちなんかどうでもいいと思っている(笑)。そういう社会ですから、腹落ちしていなくても動かなければいけないときは沢山あると思います。また投資家としては、起業家には腹落ちする前にまず動いて欲しい、という場面もたくさんあります。

五嶋それから、就活の相談で「コミュニケーション能力を高めるにはどうすればいいですか」とよく聞かれるのですが、僕はコミュニケーション能力とは、話す力ではなく「聞く力」だと思っています。学生さんと会うと、ものすごく一生懸命話してくれるんです(笑)。でも「聞く力」を養うことが学生さんにはすごく大事だと思います。

僕らの仕事も、半分以上は話を聞くことです。起業家が何を考えているのか、どんな想いなのかを、根掘り葉掘り聞いて、言語化していくことが仕事の根本だと思っているんですね。だから、皆さんも聞く力を養うと、おそらく就活もうまくいくし、仕事も楽しくできるんじゃないかと思います。

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[文]田村 朋美

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