連載LIFULL主催「LEAP」

アントレプレナー・イノベーターから若い世代へ。
LIFULL主催「LEAP」学生ピッチ

登壇者
井上 高志

1968年、横浜市生まれ。青山学院大学卒業後、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)入社。株式会社リクルート(現:株式会社リクルートホールディングス)を経て、26歳で独立し、1997年に株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)設立。2010年に東証一部上場。また、新経済連盟理事、一般財団法人「NEXT WISDOM FOUNDATION」代表理事、一般社団法人「21世紀学び研究所」理事、一般社団法人「Living Anywhere」理事も務めている。

小幡 和輝
  • 地方創生会議 Founder 

1994年生まれ。約10年間の不登校を経験後、高校3年で起業。最近では47都道府県すべてから参加者を集めて、世界遺産の高野山で開催した「地方創生会議」がTwitterのトレンド1位に。GlobalShapers「世界経済フォーラム(ダボス会議)が認定する世界の若手リーダー」に選出。

新居 日南恵
  • 株式会社manma 代表取締役社長 

東京都出身。1994年生まれ。2014年に「manma」を設立。2015年1月より学生が子育て家庭の日常生活に1日同行し、生き方のロールモデル出会う体験プログラム「家族留学」を開始。”家族をひろげ、一人一人を幸せに。”をコンセプトに、家族を取り巻くより良い環境づくりに取り組む。内閣府・文科省委員 / 日本国政府主催WAW!(国際女性会議)アドバイザー / 慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科在学。

中村 暖
  • 株式会社DAN NAKAMURA 代表 

1995佐賀県生まれ。高校一年生/16歳で世界一周し、京都造形芸術大学空間演出デザイン学科空間デザインコース卒業。2015年時には世界経済フォーラム(ダボス会議)「World Economic Forum - Global Shapers Community」メンバーに選出される。2016年には株式会社DAN NAKAMURAを設立し、自身初となるファッションショー「sustainable clearness crocodile」を渋谷ヒカリエホールにて開催。2017年、同コレクションがニューヨークのアートギャラリーにて展示開始される。

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2018年1月14日、LIFULL社の主催で、熱い想いを抱くアントレプレナー・イノベーターたちによる未来を担う学生のためのサミット「LEAP」が開催された。

レポート第3弾は、地方創生会議Founderの小幡和輝氏、株式会社manma社長の新居日南恵氏、株式会社DAN NAKAMURA代表の中村暖氏の3名、いずれも学生起業家による学生ピッチの様子を紹介する。

  • TEXT BY FastGrow Editorial
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「地方創生会議」Founder小幡和輝/age23

小幡和歌山大学観光学部の4年、小幡和輝と申します。

僕は15歳まで、家でひたすらゲームをして過ごすゲーマーでした。ただ、夜間高校に通うようになってからいろんな機会があって。特に影響受けたのは学校に通いながらアルバイトをしてお金を稼ぎ、イベントを運営している同級生に出会ったんです。イベントやって地域活性化みたいな。これはすごいなと彼の手伝いをするうちに、僕も自分でイベントを興してまちづくりに関わりたいと思うようになりました。

地方には、食や文化など、広く知られていないたくさんの宝が埋まっています。これを発掘して磨き、発信したいと思い、18歳で起業しました。

「いいものがあるけど、知られていない」これが地方の課題だと思っていて、それを解決するためには人が必要。だから、まちづくりは、ひとづくりだと考えています。

僕が最初に取り組んだのは、和歌山の魅力を発信するワークショップの開催でした。行政の人に「何人集められるの?」と聞かれ、「50人くらい集められます」と言ったのですが、当日ふたを開けると集まったのはたったの3人。泣きまくりましたね。人を動かすことの大変さを痛感しました。

これが本当に悔しくて、もう一回やろうといろんな方に協力をお願いして周りました。さらに、twitterとfacebookで、高校生だと思われるアカウントには片っ端からメッセージを送信。結果、2回目の開催時には約60人の人が来てくれて、本当にうれしかったです。以降、和歌山の魅力を伝えるイベントや、起業家に登壇してもらう講演会、商店街でのイベントや学校でのワークショップなど、5年間で約100回のイベントを開催してきました。

で、イベントを通じて人を集めることができると、地域の商品づくりやプロモーションなど、新しい話がくるようになったんです。でも、僕の一番やりたいことってそこじゃないなと思って、「もっと人に関わりたい」「チャレンジする人や起業家精神を持つ人を増やしたい」と思うようになりました。これは和歌山だけじゃなくて、日本中の地方の課題だと思っているので、現在は「地方創生会議」に注力しています。

小幡昨年は、47都道府県すべてから参加者を集めて、世界遺産の高野山で地方創生会議を開催しました。いろんな分野で著名なゲストをお招きしたこともあって、全国からの参加者は約300人でした。これは今年も開催予定ですので、興味ある方は、ぜひ参加いただけると嬉しいです。

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ファンドを立ち上げ、地方の若手起業家を支援したい

小幡僕が地域の事業をやる上で大切だと思っているのは、お金から逃げないことです。何かやろうとしたときに資金面の問題が発生したら、逃げずに向き合い、継続する事業をつくるのが重要。だから、CAMPFIREさんと提携して、日本中の地域でクラウドファンディングを立ちあげてきました。

地方創生会議の資金もクラウドファンディングで集めています。クラウドファンディングの良さは、サポーターからお金が集まるのはもちろんですが、一緒に想いも集まってくることです。地方創生とクラウドファンディングはすごく相性がいいと実感しているので、広めていきたいと考えています。

小幡ただ、問題はクラウドファンディングで集める数百万円では、圧倒的に資金が足りないケースがあること。そこで、地方創生をしたい起業家を増やすために、ファンドを作りました。これからは、クラウドファンディングで資金を集めている起業家に、追加で500万円、1000万円と、投資したいと考えています。

地方の企業は短期間で上場できないから、既存のVCは投資できない領域です。だからこそ、これから日本中を周って、地方の起業家、具体的には25歳以下の人に投資していきたい。そうして、全国にたくさん仲間をつくり、地域を埋もれている宝を発掘して、世界中に発信したいと考えています。

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株式会社manma社長 新居日南恵/age23

新居私は、慶應義塾大学大学院で学生をしながら、manmaの社長をしています。manmaの中心事業は、「家族留学」です。家族留学とは、家庭版のOB・OG訪問で、若者が子育てをしている家庭に1日体験訪問をするプログラムを実施しています。参加するのは就職活動中や社会人数年目の人が多く、自身の人生やキャリアプランを考え始めるタイミングで来る人が多いですね。

manma | 家族をひろげ、一人一人を幸せに

新居manmaのコンセプトは、「家族をひろげ一人一人を幸せに」です。仕事やキャリアステップを考えるのと同じように、結婚出産に関しても、自分がより良い選択ができるように、いろんな家族・外部をつなげています。

これまでの3年間で、全国22の都道府県に展開しており、全国の20代から40代の子育て家庭にmanmaに登録していただき、体験したい若者とマッチングさせています。岡山大学では家族留学の参加で単位を取得出来たり、自治体と連携した取り組みも始まる予定です。昨年は、大手企業との連携も始めました。

新居私が大学院生を続けているのは、どうしたら家族というコミュニティが良くなるのかを研究するためです。事業と研究の結果を文科省の有識者委員会などでアウトプットしながら、家族というテーマに社長として、学生として、関わり続けているところです。

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やらない理由を論破され、起業

新居私は大学1年生のころ、いわゆる意識高い系大学生で(笑)、インターン3つとバイトを掛け持ち、いろんなイベントに参加していました。それはそれで楽しかったんですけど、口だけ達者で自分で何もしていないのはダサイなと感じるようになりました。とはいえ、自分で何か新しいことをするのも面倒で。

そんなとき、ある方との出会いがありました。その人に、「家族が大事だとか、政治を変えなきゃ世界は変わらないとか、いつまでブツブツ言っているんだ」と言われたとき、私は「実力がないのでできません。いつか私も実力がついたら、家族をテーマに何かをはじめます」と意見すると、「今やりなさい」と一言。

「もしあなたが30歳になってやり始めたら、同じような人が掃いて捨てるほどいることになる。だけど、19歳で始めて10年続けば、29歳のときのあなたは、経験を積んだ唯一無二の存在になれるかもしれない。だから、今始めるしかないよ。」と言われたのです。

新居たしかに、10年後まで自分のチャレンジを先延ばしにする必要はなくて、もし失敗したら、就活すればいいと、納得しました。だけど、中高6年間帰宅部だった私はリーダー経験がありません。「リーダーに向いていないから、団体の立ち上げはできません」と言うと、「やったことないのになぜわかる? リーダーをやったことないのに、向いていませんと言われても説得力ないよね」と一蹴。私のやりたくない理由を全部論破され、これはやるしかないと決意しました。

そこから4年間続けてきて思うのは、何かやりたいことがあったら、何でもいいからまずやってみることが大切だということ。AかBか悩むなら、どちらを選んでもいいと思います。実力がなかった私でも、1年間で100回くらい失敗をして、そこから学び、未来を描けるようになりました。

だから、早く意思決定をして、誰よりも早く失敗して、大変なことがたくさんあったとしても、とりあえず進んでみる。ぜひ皆さんも、いち早く行動を起こすのをお勧めします。

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株式会社DAN NAKAMURA 中村暖/age22

中村広告とジュエリーやバッグのデザインをしている中村暖と申します。月火水は広告会社でデザイナーとして働き、木金は自分の会社であるDAN NAKAMURAの仕事をして、土日だけ大学院で院生として研究をしています。

今、ちょうど自分の会社と大学院で、透明なワニ革を開発・製造・研究しています。これは、ビニール素材のワニ皮で、何度も繰り返し使えるのが特長。たとえば、このワニ革でバッグを作ったとします。使っていて傷ついたり、黄ばんだりしたら、もう熱加工や様々な圧力加工など再生工程を経てもう一度透明なワニ革に戻してバッグを作り直せるのです。

中村僕がデザインに興味をもったキッカケは、、16歳の時に行った世界一周でした。訪れたイスラエルではバスが爆発したり、タイではスラム街で本当に線路で寝ている人を見たり、すごく衝撃的なことばかりで。その衝撃をブログやフェイスブック投稿したら、、友達がたくさん見てくれていて。「暖がブログでやばいの載せているぞ」と。「本当にテロが起きているんだね、本当に貧しい人が外で寝ているんだね」とたくさんの反応がありました。

だけど、次に友達から出た言葉が、「てか、聞いて!スマホを落として画面が割れて超最悪!」だったんです。その言葉にすごくモヤモヤを抱いてしまって。

スマホの画面で見る世界中で起きている出来事を知って悲しむ事より、自分のスマホが割れてしまったことの方が悲しく感じてしまう。悲しさの捉え方にすごく疑問を抱きました。どうすれば悲しさの捉え方を、この心のモヤモヤを解消できるのか悩みながら、京都造形芸術大学に入学しました。

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小学1年生の夢が、大学院1年生で実現

中村僕は大学では、の空間演出デザイン学科で、空間デザインを勉強し、同じ大学の大学院で勉強をしています。僕がデザインしている空間は、「人間に一番近い空間」である皮膚より0,01mmの空間です。身につけているジュエリーやバッグ、洋服は、資本主義で安さを追求しすぎた故に、環境によくないことをしていたり、誰かが泣いていたりなど、人や地球に優しくないサイクルが潜んでいて不透明。これをどうしたら解決できるのか。そんなサイクルも、ジュエリーも透明にすることで、その生産背景や製造スタイルが良い方向に変わらないかなと考えて、制作/研究しています。

今は大学院の一年生22歳。今年の正月に帰省したとき、小学校1年生の6歳ときに書いた文集を見つけました。

「大人になったら、焼き物をつくる人になりたいです。お皿や花瓶をつくりたいです。星もつくりたい。お花もつくってみたいです。魚もつくってみたい、蝶々もつくりたい。上手に作れるといいです。お母さんが上手にできたねと言ってくれると嬉しいです。そしてお母さんがお店をひらきます。そのうらが僕の工場です。」

こう書かれていました。実は、株式会社の登記は地元の佐賀県でしているんですね。ジュエリーの展示はNYやベルリン、東京の表参道でしていますが、自社は佐賀県。小学校1年生の時の構想が、大学院1年生で実現していたことに、正直自分でも驚きました。会社の書類とか母親に手伝ってもらっているので、まさに母親がのくだりも。

中村このように、気づいたら出来てたぞ!って6歳の自分に伝えたいですね。 僕はこれまで、ワニ革を制作したり、や爆弾からジュエリーを作るなど、いろんなことに挑戦してきました。でも、どれも1人では作れず、たとえばワニ革のジュエリーに携わった人は84人います。だからこれからは、僕に携わったことをステータスに感じてもらえるような仕事をしたい。

お金などではなく、「暖くんから頼まれた」関わるみんながが嬉しそうにに自慢してくれるような存在になりたいと思っています。それが、協力してくださってるチームダンナカムラに対する最大の敬意です。

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学生起業家、パネルディスカッション

井上ここからはパネルディスカッションをはじめます。それぞれの話を聞いて、共通点はありましたか?

小幡何かしら、始めた時期が早いのは共通点だと思います。

新居早いのはそうですね。ただ、早いと「生き急いでいるの?」「早熟ですぐ潰れる」など結構言われませんか? 実際に周りでも大失敗した団体は知っていますが、若いからこその良さと、若いからこその難しさを知った上で行動できるなら、早いほうがいいと思いますね。

中村周りからの目を気にする、見え方を気にするのも共通点だと思います。

新居それから、引き返せないくらい応援してくれるコミュニティがあるとか。

井上巻き込み力や、共感や応援させる力が共通しているように思うのですが、人に囲まれるような経験はありますか?

中村たとえば、工場の70歳のおじいさんだったら、毎回同じ服で会いに行って印象を残します。逆にデザイナーは16歳や17歳もいるので、オシャレなデザイナーとして会いますね。

新居暖君は、街中でデザイナー系の人を見かけたら、ポートフォリオを持って話しかけて、そこから何かを仕入れてくるような、24時間365日、気を抜かない人です。

逆に私は知らない人に突撃できないので、SNSを2日に1回は更新するようにしています。タイムラインで見る機会が増えると、関係が深くなった錯覚に陥ることはよくありますよね。だから、じわじわと近い存在に思ってくれる人を増やしています。

小幡 僕はやっぱりチャンスに対して行動できるかどうかって重要だと思っていて、例えば、僕らも井上さんもいまこの距離にいるじゃないですか。このセッション終わってから話しかけようと思えばいけますよね。それをやれるかどうかって重要だと思います。

井上3人は、自分のチャレンジをワクワクしながらやっていますよね。やりたいことを見い出せない同世代から相談を受けることもあると思いますが、どう答えますか?

中村嬉しいと悔しいに敏感になるべき!答えます。僕は、制作したジュエリーを誰かが身につけてくれると嬉しい。逆に街中で、これは、やられた、かっこいい、、、。悔しい。とも毎日思う。小さいことでも“嬉しい、悔しい”に敏感になるべきだと。その悔しいと嬉しいがエネルギーになるから!!!

井上感受性を上げようということですね。

新居いつか、情熱を注げる何かが現れると思っていても、そんなもの現れないんじゃないかなと思います。それよりも、サイコロを振って出たマス目に書いてあることをコツコツやればいいと思っていて。やれば、合わないことも好きなことも分かってきますよね。仮にお菓子が好きな人なら、毎日お菓子を紹介するブログを書いて、1000日書き続けてみる。やり続けて違うと思えば、別のことを1000回やればいいと思います。

井上それ、食わず嫌いと同じですね。楽しいのか楽しくないのかは、やってみて、経験しないと分からない。マニュアル本を読んで正解探しをするのではなく、自分と対話するには行動が必要ですからね。3人はたくさん失敗を重ねたと思いますが、その失敗から学んだことや、その失敗をどう乗り越えたかを教えてもらえますか。

小幡僕の失敗は人が集まらなかった最初のイベントですね。

新居私、ポジティブすぎて失敗した過去を洗い流している感じはありますけど(笑)。やってみて苦手だと思ったのは、組織を作ることです。リーダーは世界観やビジョンを語り、組織をマネージしないといけないと思い、自分なりに頑張っていました。でも、「やる気がないなら淘汰されればいい」という性格上、やっていることと心の中がかい離していて。だから、チームのマネジメントや組織作りは違う人に任せました。そうしてからは、manmaがハッピーな組織になったと感じています。

井上同世代の3人から、非常に心に刺さるような、刺激的なお話をいただきました。ありがとうございました。

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こちらの記事は2018年02月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

FastGrow編集部

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