この3要素を抑えれば、日本の成長マーケットがわかる
〜REAPRA主催 REAPRA Ventures Summit イベントレポート〜
REAPRA出資先企業の経営陣や関係者のみ参加が許されるミートアップイベント、REAPRA Ventures Summit。オープンニングではREAPRA創業者の諸藤自身が、REAPRAのミッションや出資先企業への支援方法を詳細に説明した。
- TEXT BY FastGrow Editorial
100年以上成長し続けるために、再現性の高い事業戦略を見つける
REAPRA Ventures Summitは、立ち上げフェーズのベンチャー企業によくある失敗談を、優れた経歴を持つ先輩経営者に共有していただき、REAPRA投資先の経営陣や関係者の目線を上げることを目的としたイベントです。
今回は我々REAPRAの説明のあと、フリークアウト創業者の佐藤さん、ユーザベース共同創業者の新野さん、アヴァント創業者森川さんの3名にも講演いただきます。REAPRAのサポート体制の一環として、今後このようなミートアップを定期開催していく予定です。
まずは、REAPRAのミッションをお伝えします。社名自体がReasearch & Practiceに由来するように、「研究と実践を通じ、新産業を創出することにより、社会に貢献する」というものです。
実際に投資先企業が産業リーダーになっていくプロセスから、GEやデュポンのような、事業内容やビジネスモデルを変革しながらも長期的に成長し続けられる企業となるために、再現性の高い経営手法を研究しています。
これをやろうと決めた背景は、私がエス・エム・エスを11年間経営して感じたことがあります。それは世の中のほとんどの経営理論がバックテストになってしまっていて、再現性がない、ということです。
そこでREAPRAでは時代の波や産業の違いを越えても通用する、再現性の高い企業成長戦略を見つけていくことをミッションとしています。
REAPRAの最初の10年、2024年までのビジョンでは、リソース集中という意味と、マクロ的視点での経済成長を考慮し、東南アジアに限定し、0→1フェーズの企業成長に特化して研究と実践をしていきます。
そして、少なくとも2つの領域で時価総額$2billion(約2,000億円)以上かつ、マーケットリーダーといえる企業を輩出します。
なぜ0→1フェーズに限定するかというと、GEなら電球、デュポンならダイナマイトというイノベーションの発明により、2つの企業は多額のキャッシュがある状態でスタートしましたが、REAPRAには現在そのような、キャッシュカウとなる大きなイノベーションがないためです。
しかしながら、REAPRAはミッションにもある通り産業創出が目的であるため、いくら儲かりそうだからといって、時流にのったビジネスモデルを利用した企業を作ることはしません。UBERが流行ったからといってGrabをやろう、という発想にはならないということです。そのような戦略はREAPRAの得意領域でもありません。
あくまでも、前述のGEやデュポンのように、100年単位で見ても時代の変化に合わせて自らを変化させながら成長し続けているような企業の創造を目指しています。

ビジネスモデルは決めない。REAPRA独自の参入領域決定方法
ここまで、REAPRAのミッションおよび実現したい世界観について説明しましたが、実際にどのようなプロセスで投資する領域を決め、投資先企業の成長を支援しながら産業創出するのか、という部分を説明します。
まず、REAPRAが、自社のリサーチチームの活動および外部のプロフェッショナルリサーチファームとの連携を通じて、これから長期間で大きな成長が見込める産業を特定します。
直近の10年ビジョンである2024年に向けた取り組みとしては、
- 今後10~20年で大きな成長が見込める産業であり
- 寡占されておらず
- 領域全体でスケールさせるためには複雑性をマネジメントする必要がある
という3つの要素を兼ね備えた領域・産業をリサーチしています。
そのため、「あの領域って伸びそうだけどまだ小さいよね、わかりづらいよね」というような世間の評判が参入領域のヒントにもなります。一見すると地味な領域であったり、ニッチなBtoB領域であることが多いのもREAPRAの特徴です。
参入領域を決定した後には、REAPRAのリサーチチームに在籍する者や、その領域に知見があり、かつREAPRAが定める15個のアントレプレナーの基準をクリアしていると判断した人材などをCEOとし、REAPRAも出資の上、新規に企業を設立します。
その後REAPRAは投資先企業の経営陣に対し、定期的なメンタリングを通じて、事業戦略・採用・資金調達など創業後にぶつかるあらゆる壁を乗り越えるための支援を実施します。
ここまで0→1フェーズのハンズオンをしっかりと支援している企業は世界中どこにも無いのではないか?と思えるくらい、しっかりとした支援を受けられることがREAPRAと共に企業を創っていく魅力だと思っています。
具体的事例で言うと、セールス経験のない投資先CEOに対して営業同行し営業のイロハを教えたり、営業組織の戦略確立によって売上のアップサイドが見込めるフェーズの投資先に対して定量管理を徹底する手法の導入支援をしたりしています。
その他にも、マーケティング領域のスペシャリスト、広報・採用領域のスペシャリストも用意し、投資先を横断的にスペシャリストが支援できる体制を構築します。
REAPRAが出資し企業を設立する際、一般的なVCと異なる点としては、創業後にどのような事業展開をしていくかについてそこまで詳細に検討しないことがあります。REAPRAはビジネスモデルありきではなく、領域を軸にして参入を決定するためです。
もし我々がビューティー・美容領域に取り組むとするならば、創業事業はヘアサロンかもしれません。
そうは言うものの、東南アジア全域で30社以上に出資していく中で、
- キャッシュが作りやすい事業から参入し
- キャッシュを貯めながら事業領域の構造や負を把握しながら
- 領域内のその他の事業へとポートフォリオを多角化する
という3ステップでマーケットリーダーを目指すのが、複雑性の高い領域でのベストな戦略だと考えています。
最後に、REAPRAと関係するREAPRA Venturesを紹介します。

日本で30社以上を創業予定。10年後に1,000億円の時価総額が狙える企業に投資
REAPRAとして東南アジア全域で活動していく中で、日本にもまだ成長が見込める事業領域があるのでは?と思うようになりました。
また、私自身もREAPRA経営陣にも、日本での創業・立ち上げ経験があるメンバーが多いため、日本という地であればよりスピーディに出資先も事業拡大できるのでは?という期待もありました。
そこで、REAPRAと同じ取り組みを日本にフォーカスして行う組織として設立したのがREAPRA Venturesです。
日本市場において、5年後に100億円、10年後に1,000億円の企業価値となる企業を出資先メンバーと共に創っていきます。
2017年7月現在、8つの領域の11社に出資していますが、2019年までに出資先を40社以上に拡大していく予定です。2024年には、投資先が10社以上IPOしており、継続的に成長が見込める状態を目指しています。
REAPRA自体は一旦リクルーティング活動を中止していますが、前述の通り、REAPRA Venturesでは新規に30社以上の創業を支援する計画です。
本日の参加者の皆さんのお知り合いに、
- 実績あるREAPRAメンバーとともに、100年単位で継続的に成長し続けられる企業を創っていきたい起業意欲のある方
もしくは
- 起業したいというわけではないが、自分の持ってるスキル・ノウハウを駆使して、出資先数十社の0→1フェーズを支援していきたいという方
がいらっしゃいましたら、ご紹介いただければ嬉しい限りです。
こちらの記事は2017年08月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
FastGrow編集部
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