INSIGHT
NUMBER
07

営業マンの行動の「質」の上げる2つのポイント。
──どの訪問先で、何をするか

前回の記事では、営業マンがメンバーの行動の「量」を増やそうとした時に直面する2つの壁について紹介しました。

今回はメンバーの行動「量」が増えてきた次の育成プロセスである、
行動の「質」を上げるときに着目すべきポイントや育成時に覚えておくと良いポイントを解説します。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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「どこに訪問するか?」「そこで何をするか?」

前回までの記事では、ルート型での営業組織やアカウント型での新規開拓の局面において、「行動の量を増やす」方法について解説をしてきました。 今回の記事では、「行動の質を上げる」方法をテーマにお話していきます。

行動の質を上げたい、と思ったとき、営業のレベルアップをするために指導したり研修トレーニングをしたりする、ということが思い浮かびますが、根本的に行動の質を左右する要因としてどのようなものがあるかについて考えていきましょう。

図1をご覧ください。行動の量が増え、そこから質を上げていこうとする段階において重要なのが、「どこに訪問するのか」の道筋と、「その訪問先で何をするか」の2つに関しての改善サイクルを回していくことです。

質を上げるとき、なるべく、訪問先が自社にとって売上・利益ポテンシャルの大きい企業である必要があります。例えば、同じ営業(アポ)1件をとっても、その1件が開拓できたときに、大きな取引の可能性が見込めそうな企業、と、開拓できたとしてもそこまでの売上・利益規模にならない企業、を比較すると、やはり将来のポテンシャルが大きい企業を狙っていきたいのですが、この訪問先について陥りやすいワナがあります。

図2は、営業先リストの訪問先分類と優先順位をマトリックスに分類したものです。このマトリックスは縦軸に「顧客との関係性」をとっていますが、これは「顧客における自社の(予算)シェア」ともいえるでしょう。関係性が強いところではシェアが大きいですし、関係性が弱いところではシェアが小さい、あるいは取引がない、ということになります。

横軸は「顧客の予算規模」を示しています。もちろん、お客様の企業規模が大きければ、その分だけ予算規模が大きくなりやすい、ということですね。

営業リストはこのマトリックスの4象限のいずれかに必ず分布します。当然、ロジカルに考えると、どの営業マンも優先すべきは右上のセグメント「1」、いわゆるロイヤル顧客です。このロイヤル顧客を重点的にアプローチすることは、どの営業マンも意識しているでしょう。しかし、ここで重要なのが、「1」にアプローチした残りの時間でどこに訪問するか、という問題です。

行動の質を上げるためには、どこに訪問するかの優先順位をディレクションする必要があります。

多くの営業マンが陥りやすいのは、左上の「3」、すなわち、関係性ができているがそこまで予算の規模がない、つまり、訪問しやすい/アポが取れやすい小規模のお客様に通い続けてしまう、ということです。「1」、「3」のセグメントにいる営業先をぐるぐる回っていると、大口のロイヤル顧客から何らかの要因で失注したとき、自分が回っている訪問先での予算のパイ・合計額が全体としてそこまで大きくないので、営業目標に届かない、ということが起こりえます。

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「予算はあるが関係性は薄い」お客様を攻略しハイパフォーマーへ

そこで、ハイパフォーマーの行動に注目すると、セグメント「1」と「2」を重点的に回っている・訪問していることがわかります。関係性ができていなくても予算規模が大きいセグメント「2」を重点的に狙い、ここに時間を充分に割いている、ということです。

裏を返すと、ハイパフォーマーは「2」のセグメントを狙って成果を出せるということですが、「2」のセグメントに対して、アプローチしたこともないのに攻略する力は身につきませんよね。

そこで、メンバーを指導する際には、訪問先に「2」のセグメントが一定割合以上入っているかどうか、を計測・観測する必要があります。ただし、セグメント「2」に訪問するうえで、他者(競合)が入り込んでくることにより難易度が高まることも当然ありますので、具体的にメンバーの行動を改善するための指導やトレーニングが必要となっていきます。

図3には、営業メンバーの成長ステップが書いてあります。成長ステップというのは、お客様、特にセグメント「2」のお客様を新規にアプローチしていこうとした場合、一見すると取引までなかなかたどり着けないのではないかと思える事象が発生します。そうすると、このステップの1段階目である「お客様に会ってもらえる」までのハードルが高いという状況や、2段階目の「お客様が基本的な質問に答えてくれる」が達成できない、すなわち質問に答えてもらえない・ガードされてしまう、という状況が生まれます。

そこで、順番にこのステップを上がれるように指導する、すなわちセグメント「2」で成長ステップを昇っていけるよう、メンバーをディレクションすることが求められるのです。

メンバーに対する教育や指導をどれだけ行ったとしても、セグメントの中でパイが小さいところばかり回っていると結局目標金額に届かないということになりますし、セグメント「2」の有望な見込み先を回っていたとしても、そこで結果が出る算段がたつような営業的な側面支援ができないと、結果的に受注や達成につながらず、メンバーのモチベーションが落ちてしまうことが予想されます。

つもり、行動の質を上げていくためには、「どこに訪問するのか」の道筋と、「その訪問先で何をするか」の2つに関して、メンバーをレベルアップさせることが重要となるのです。

次回は、アカウント型の営業組織に焦点をあててお伝えします。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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こちらの記事は2017年11月13日に公開しており、記載されている情報が異なる場合がございます。