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NUMBER
02

営業の仕組み化を支える、プロセスマネジメント(前編)

創業社長やトップセールスに依存せず、組織として成長していくためのノウハウをお届けしている本連載。第2回の本稿では、営業の仕組み化を支える考え方、「プロセスマネジメント」について、前後編に分けて解説していく。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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営業プロセスマネジメントの5W1Hとは?

前回の記事では、いわゆる3K(勘・経験・気合い)になりやすい営業マネジメント現場のお話をしました。特にスタートアップでは、創業初期に経営陣が自ら顧客開拓をしているケースが多く、「超人が売上の数字を作っている」状態になりがちです。しかし、そこから組織が成長を遂げていくためには、現場で営業活動のサイクルが回ることが非常に重要です。

今回と次回、2回に分けて、営業の仕組み化を支えるプロセスマネジメントの全体像についてお話をしていきます。

営業における「仕事の流れ・工程」を管理できていると、再現性高く成果を出しやすくなりますが、ここではまず、営業プロセスマネジメントについて、5W1Hに沿った整理をしてみました。

①Why/When/Who:何のために/いつ/誰が行うか?
②What:何の指標や情報をウォッチするか?
③Where:どの画面を見るか?
④How:画面を見た後、どうやりとりするか?

最近のスタートアップでは、早い段階からSFAを導入して営業管理をしているケースも多く見受けられますが、特に、SFAを管理する立場にある方がこの考え方を社内に浸透させていくと、営業マネジメントの効率が上がっていきます。

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時間単位に合わせた「目的」を正しく理解する

プロセスマネジメントは、時間の単位に合わせて大きく3つの目的があります。

  • 「計画策定」(年/四半期ごと)

経営上の目標を、部署やチーム、個人に対して割り振っていきます。この際、達成すべき数字を単に分解して、現場に対し「さあ、この目標金額を達成してくれ!」といったコミュニケーションをするだけでは、目標の妥当性が腑に落ちないまま活動がスタートしてしまいます。

特にスタートアップでは、チャレンジングな目標設定がつきものですが、単に目標数字を掲げるだけでなく、具体的にどうやってその数字を達成するかの活動計画が必要です。

既存顧客でどのぐらいの数字を見込むのか。毎日、どのぐらいのアクションをすればよいか。こういった、具体的なアクションプランを抜かして数字だけをコミュニケーションしてしまうと、現場が疲弊してしまいがちです。

  • 「進捗確認と介入」(月や週ごと)

策定された計画に対して、目標と実際のギャップを追いかけながら、順調に進んでいるかどうか、もし順調に進んでいないとしたら、何をどうテコ入れするのかを検討・実行していきます。これを月単位で行うか、週単位で行うかといったPDCAサイクルの尺は、扱う商材やビジネスモデルによって変わってきます。一般的には、現場のメンバーから管理職に数字や活動状況が報告され、管理職がメンバーとやり取りしながら、取りまとめた状況のサマリーが経営に報告されていき、そういった諸々の報告に対して、指示や指導が随時行われていきます。

スタートアップ創業初期のフェーズでは、こういった仕組みが抜けたまま「結果の数字」だけが議論されがちですが、専任のCOOやCFOが機能してくると、このあたりが整ってくることが多いです。

  • 「活動推進」(日ごと)

日々の商談の中で、お客様に対する提案活動が行われます。メンバーが単独で遂行するのが難しい案件は、上司に対する相談や同行依頼がされ、そこで案件の状況を確認しながら上司は商談を進めるためのアドバイスや同行訪問をしていきます。また、この商談はメンバーに任せようといった案件でも、活動が順調に進んでいるかどうかモニタリングしていき、ピンチになったら助けに入る、といったことも起こります。最近では、便利なチャットツールを使って日々の相談などを行っている企業も増えてきました。

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数字をどのようにモニタリングするか?

KPI(Key Performance Indicator)管理と言えば、セールスフォース・ドットコムが提唱する「The Model」が有名です。

特に、インサイドセールスやカスタマーサクセスと言った言葉は、世の中全体ではまだまだ普及・浸透度合いは低いですが、スタートアップ界隈では、インサイドセールスやカスタマーサクセスのチームを作って分業体制を敷いている企業も珍しくありません。

ただ、数字をどうモニタリングするかについては、「現状の数字だけが経営に報告されている」ケースが多く見受けられます。そうすると、レポートとして大量の数字があがってきますが、そこに「どう分析するか」の切り口がないと、せっかくのデータがもったいないことになってしまいます。

代表的な切り口としては、例えばこのようなものがあります。

  • 目標や基準値と比べる
  • 過去の同じ時点と比べる
  • 時系列で比べる
  • 人どうしで比べる

特にスタートアップでは、成長のスピードが非常に大きく、「T2D3(Triple, Triple, Double, Double, Double)」という言葉もありますが、ストレッチ感のある売上目標に対して、途中のプロセスを細かく分解して見ていく視点が必要です。

さて、今回はプロセスマネジメントの5W1Hについて、前半部分をお話してきました。次回の記事では、続きを解説していきます。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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こちらの記事は2019年06月14日に公開しており、記載されている情報が異なる場合がございます。