INSIGHT
NUMBER
12

営業マネジャーが陥りがちなマネジメントの罠
──会議やKPI管理の正しい運用方法

  • TEXT BY FastGrow Editorial

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

SECTION
/

受注につながる営業会議、できていますか?

前回までの記事で、ルート型、アカウント型それぞれのパターンに対してどのように勝率を上げていくか、生産性を上げていくかといった話をしてきました。

これらの勝ちパターンがマネジメント時に認識されたとしても、それを現場のメンバーにどう浸透させていくのかといったポイントを抑えることが重要です。

今回から、営業のプロセスやモニタリング自体をどのようにマネジメントするかについてお話をしていきます。

まずは、営業会議やその会議の際に使用される資料をテーマに考えていきます。

営業会議というものを行っている会社は多いと思いますが、営業会議においてよくみられる現象として、現時点での売り上げや受注の達成率はわかるものの、このままいくと期末にどのくらいで着地しそうかという客観的数字がわからない、というものがあります。

「XX万円不足していますが、何とかなると思います」。このようにだけ言われても、経営としては着地予想が立てられません。

また、会議において資料を見ればわかる数字や全ての案件リストについてそのまま読み上げていくという流れになることも多いのではないでしょうか。このような場合、他のメンバーが手持無沙汰になって内職をし始め、集中力や会議の生産性が落ちてしまう、といったことが発生します。

その他にも、(最近では減ってきましたが)、特に目標達成の意向が強い組織において、できていないことややっていないことに対してマネジャーから厳しく問い詰められることも起こりがちです。

「これやるって言ったよね」「なんでこの数字こうなっているの」など、詰めるタイプのマネジメントだと、メンバーはそれとなくはぐらかしたり都合の悪いことを言わなかったりと、「詰められないような報告」をしてしまうということが起こりえます。

さらに、受注状況が思わしくないと、上層部からの指示によって、やることや管理項目が増えていきます。それらの優先順位が議論されないため、営業マンの仕事がどんどん増え続けていってしまう、ということも起こりえます。

気をつけなければ、せっかくPDCAをまわすために行っている会議が、非生産的な時間になってしまう余地はそこかしこにあります。このようなことが起こらないよう、営業会議のマネジメント法を考えていきましょう。

SECTION
/

可視化・適切なプロセスマネジメントの2つが重要

図1は営業会議の資料におけるひな型のサンプルイメージです。

営業会議の資料においては大きく4つの要素が必要です。

1つ目が目標達成状況。これは売上や受注が現状どのくらいか、ということを示すものになります。ここで大事なのは、今何%かという情報だけでなく、過去の受注率のトレンドや、案件から成約に至る受注率といった数字を見ると、期末はどのくらいで着地できそうか?について予想が立っているということです。

案件がどのくらい見込み(ヨミ)として積まれ、達成のために十分な見込み(ヨミ)がいまあるのかどうか、が可視化されていると、意思決定やコミュニケーションがスムーズになります。

そして2つ目のKPIについて。大事なポイントは、基準となる値をクリアしているのか、していないのか、ということが一覧化されていることです。一覧化されているということは、特定KPIに対してのOKライン/NGラインが明示されていて、クリアしているのかそうでないのかが、色分けされているなど、本人の口頭報告なしに視覚化されているということです。

ここが一覧化・視覚化されていないと会議において報告の時間ばかりが長くなり、議論の時間が無くなってしまいます。

そして3つ目が案件リストです。1人ひとりが持っている案件を全て報告するというよりは、この場にいるメンバーで特に議論する必要がある案件が絞られてピックアップされた状態が理想です。全ての案件状況共有のために逐一報告していくと、案件の報告だけで膨大な時間がかかってしまいます。

そのため、会議に参加しているメンバーで話す価値のある案件がピックアップされていることが重要です。

そして4つ目がタスクリストです。営業組織においてやるべきことをきっちりやることは重要ですが、メンバーがやるべきことについて実行済みなのか/そうでないのか。が一覧化されている必要があります。

一覧化されているというのは、やっているか/やっていないのかが、色分けされているなど、本人の報告なしに見ればわかる状態になっているということです。

このようにポイントをお伝えしてきましたが、会議の資料においては、口頭による報告がなくとも、誰もが視覚的に理解できる・見える状況になっているかことが重要なポイントです。

そうでないと、報告に費やされる時間が多くなり、議論に費やされる時間が少なくなってしまいます。そして、これらのポイントをマネジャーが管理・監督していく上で、プロセス自体をマネジメントするという考え方が重要です。

プロセスのマネジメントをするというのは、最終的な目標の達成状況だけをみるのではなく、そこに至るまでのプロセス指標をしっかり把握し、どのプロセスが不十分なのか、ということを正しい目線で見られるようにするということです。

正しい目線で見るということは、図2にあるような受注や売上に至るまでのプロセスにおいて、特に今はどこに焦点を当てて話をするべきかが明確になっている状態、ということです。

例えば受注率を上げようとすると、受注率というのは「受注件数/案件数」を百分率で表したものであるため、メンバーとしては「受注率を上げろ」とばかりマネジャーから言われると、分母である「案件数」を少なく報告しようとしてしまいます。

すなわち、確実に受注につながりそうな案件以外は案件数に含めないということです。そのような状況だと、各メンバーが心の中で認識しているものの、営業チーム全体としてはテーブルに挙がっていない、話題にのぼらない案件数が増えてしまいます。

そうすると、受注率へ過度にフォーカスすることによって、やり方によっては受注につながる「案件の種」がどれくらいあるのかという実態が正しく見えなくなってしまう事態が起こりうるのです。

そのような理由から、バランスを考えながらKPI・指標をマネジメントしていかねばなりません。

営業プロセスのマネジメントにおいては、会議の資料や会議の運営の仕方と同様、見るべきKPIも定期的に改善を図っていくこと。それによって、営業組織に対して浸透させようとしている戦略や勝ちパターンがうまく回っているかどうかを定期的に観察していく必要があるのです。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

関連タグ

執筆

FastGrow編集部

こちらの記事は2017年12月18日に公開しており、記載されている情報が異なる場合がございます。