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08

「決着案件の振り返り」で差がつく、成果を上げる営業会議

顧客への提案トークスクリプトや案件の進め方などと違い、注力されずに長年アップデートされないものの一つが「会議」ではないだろうか。特にスタートアップにおいては、効果的な営業会議のやり方に関するノウハウがないことが多い。

そこで今回は、チームで成果を上げるために知っておくべき営業会議のコツをお伝えしよう。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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営業会議をただの「マネジャーの確認業務」にしないためには?

前回の記事では、日々の商談や活動を前に進めるための指導をどうするか?について解説しました。今回は、営業会議をテーマにお話していきます。

特にスタートアップでは、営業会議の「型」が最初からあるわけではなく、どこかのタイミングで自然発生的に営業会議が行われるようになります。既に営業マネジメント経験が豊富なマネジャーがいればいいのですが、組織にいない場合、どのようにして営業会議を回していくかについてもご参考になればと思います。

営業会議の目的は、「成果を上げるためのすり合わせやディスカッション」ですが、営業会議が単純に「マネジャーの確認業務」を置き換えたもので終わってしまわないよう、焦点を当てるべきポイントを5つに整理してみました。

  1. フォーキャスト:数字の着地見込みや、目標達成に向けた課題及びアクションをすり合わせる
  2. KPI進捗:方針や戦略に対する状況を俯瞰し、営業組織の「健康状態」を把握する
  3. パイプライン:受注を控えた案件に対して、無駄な取りこぼしを防ぐ
  4. 決着案件:成果を上げるためのポイントに対する認識を揃え、皆で学習する
  5. アクション:やると決めたことが実行に移されているかをモニタリングし、結果を検証する

では、一つずつ見ていきましょう

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成果を上げる、営業会議5つの焦点

1. フォーキャスト:数字の着地見込みや、目標達成に向けた課題及びアクションをすり合わせる

目標がいくらで、いま達成率が何%で・・・という会話に終始せず、「このままいったときに、期末は達成できるのか(どのぐらいで着地するのか)」「確実に達成するためには、どのぐらいの活動が必要なのか」を見える化しましょう。

ここで「着地予想」や「必要な商談金額(ヨミ)」を算出しようとすると、受注率や受注金額の変化トレンド(月/週/日あたり、どんなペースで増えていくか)のようなデータが必要になってきます。

しかし、スタートアップの場合、受注率や受注金額のトレンドについて、データが充分に揃っていないことも多いので、普段から営業管理のためのデータ入力がきちんと行われるよう現場での運用を徹底しておきましょう。

例えば、資金調達をしてアグレッシブな目標を立てたタイミングなど、フォーキャストがまったく見えなくなってしまうと、絶えず目標に対して不安な状態が続いてしまいます。そうならないために、「受注したら商談を記録」ではなく、「受注前の段階から商談を記録し、プロセスをモニタリングする」文化を醸成することが重要です。

2. KPI進捗:方針や戦略に対する状況を俯瞰し、営業組織の「健康状態」を把握する

目標達成状況として、結果としての受注や売上を追いかけていくだけでは、方針や戦略がきちんと実行されているかどうかが把握できません。

組織としての方針や戦略を、「どのぐらいできていたらよいのか」の基準とともに、プロセスのKPIに落とし込んでいく必要があります。

KPIを見るときのポイントは、数字の大きさだけを見るのではなく、「メンバー同士の比較」や「時系列における比較」など、比較分析の観点が必要です。

最近はSFAの画面をプロジェクターに映しながら会議を行う会社も増えていますが、沢山あるKPIのダッシュボード画面をそのまま映して見ていくだけだと、集中すべきKPIが複数にまたがっており、トレードオフの議論がされないために、どこに集中すべきかよくわからない、といったことも起こります。

この際、どのぐらいできていればよいのかという基準値や、優先順位に対する考え方がないと、GoodかBadかが判断つかないので、こういった指針については、トップから提示があると望ましいでしょう。

3. パイプライン:受注を控えた案件に対して、無駄な取りこぼしを防ぐ

受注前の案件については、ヒアリングは済んでいるのかどうか、見積もりは出しているのかどうかなど、進捗度合いに応じてフェーズが定義されます。

このフェーズごとにいくらの金額が積まれているのかというのがパイプラインの考え方です。

パイプラインについては、

  • 金額や件数の規模として、充分に積まれているか
  • フェーズの移行は順調に進んでいるか(望ましくない停滞は解消されているか)
  • フェーズからフェーズへの推移(コンバージョン)はどうか

といった観点で見ていきます。

4. 決着案件:成果を上げるためのポイントに対する認識を揃え、皆で学習する

これからの案件に関する確認や議論のみならず、メンバーのパフォーマンスを上げるためには、「決着案件の分析」が有効です。決着案件の振り返りが効果的にできると、特に経験値の少ないメンバーが、成果の上げ方を理解しやすくなります。

特にスタートアップでは、入社年次の浅いメンバーや、場合によっては営業未経験者を早期に育成して戦力化していかねばなりません。

一方で、充分に社内研修などの時間も取りづらいでしょう。

そのようなとき、「会議を通じた人材育成」として決着案件の分析はまさにうってつけです。

特に「接戦が決着」したとき、その決着要因をカテゴリ分析して、増やしたいパターンの受注を増やしつつ、減らしたいパターンの失注を減らしていくのが決着案件分析です。

この際、

  • 決着要因は、自由記入のコメントで終わらせず、カテゴリ化すると、集計して時系列での推移を見られる
  • 失注だけでなく受注もカテゴリ化すると、「増やしたい勝ちパターン」をモニタリングできる

といった点がポイントです。

接戦における「減らしたい失注」については、時間をかけて減らしていくことができると望ましいのですが、そのためには、全員が集まった会議で、接戦の決着要因を分析する場があると望ましいです。

具体的な進め方としては、直近の決着案件のうち、皆で確認・議論したい案件をピックアップして、決定理由や決定場面を一緒に追いかけていきます。

決定理由については、ざっくりとした回答がお客様からくることが多いので、「いつ、どの場面に商談が決着したのか」を確認していきます。

もしそれが、自社や他社のプレゼン直後なら、プレゼンそのものに大きな要因があったということになりますし、場合によっては上司の一声や社内会議で決まった、というケースもあります。

そのようなときは、上司はどんな台詞をおっしゃったのか、会議ならどんなメンバーが参加されていたか、などといった情報があると、「どのようにして提案が決まるのか」に関する皆の知見が深まります。

提案書を見比べて担当者が決めたのであれば、それこそ、提案資料の何ページが特に響いたのかなどの情報も知りたいところです。

こういった情報を社内で共有するためには、決着案件についてお客様に対するヒアリングを、最初はマネジャー自ら行っていき、メンバーにもヒアリングのコツを仕込んでおくことが必要です。

組織全体で、「決着案件を学びの材料とする」ことができると、メンバーの成長スピードが一気に上がります。

5. アクション:やると決めたことが実行に移されているかをモニタリングし、結果を検証する

会議では、単なる確認や議論にとどまらず、「では、次にどうするのか」のアクションが明確になるのが望ましいのですが、この決定アクションに関する実行度合いを追いかけるか否かで、組織のパフォーマンスが大きく変わってきます。

会議の際に、「前回決まったことが実行されているかどうか」についての振り返りがあったり、あるいは会議の議題にせずとも、きちんと実行結果が見える化されていると望ましいです。

そのためには、会議の中で決まったアクションについて、「誰が、いつまでにやるのか」を明確にし、会議後すぐに議事録を共有することが必要です。

さて、今回は営業会議について、5つのポイントを解説してきました。

  1. フォーキャスト:数字の着地見込みや、目標達成に向けた課題及びアクションをすり合わせる
  2. KPI進捗:方針や戦略に対する状況を俯瞰し、営業組織の「健康状態」を把握する
  3. パイプライン:受注を控えた案件に対して、無駄な取りこぼしを防ぐ
  4. 決着案件:成果を上げるためのポイントに対する認識を揃え、皆で学習する
  5. アクション:やると決めたことが実行に移されているかをモニタリングし、結果を検証する

次回は、行動の質や量に関する推移をモニタリングしながら、どうやってメンバー育成をしていくかについてお話します。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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こちらの記事は2019年06月24日に公開しており、記載されている情報が異なる場合がございます。