INSIGHT
NUMBER
09

担当者に振り回されない情報収集のやり方
──課題レベルの把握と情報網の構築法

  • TEXT BY FastGrow Editorial

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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担当者が話している「課題」はどこに位置するものか?

前回までの記事で、「アカウント型営業は情報戦である」すなわち、お客様の課題を広く深く収集することが勝ちパターンである、ということをお伝えしました。

今回の記事では具体的にどのように情報を集めていくのかについて考えていきましょう。

まず必要なのが、お客様が抱える課題と、組織の構造を捉えることです。

お客様が抱える課題の構造をサンプルで示したのが図1です。

一番上が経営レベルの課題、すなわち社長や役員が考えている課題です。これは事業レベルの問題へとブレイクダウンされ、さらに、業務上のミッションや目標に直結する業務レベルの課題へと分解されていきます。そして一番下の情報は現場の担当者がまさに日々の仕事で抱えている課題を解決するためのアクション、ということになります。

ここで注目すべきは、担当者の課題がどのような構造で上位レイヤーの課題と結びついているのか、ということです。

ピラミッドをきれいに書くのが目的ということでは決してありません。

目の前のお客様と話をしたときに「今このお客様が発言している課題は、全体の中でどの階層に当たる課題なのだろうか?」ということを掴んでいこうとする姿勢が求められます。そして、目の前のセリフの裏側には必ず背景があることを知り、その背景をより経営レベルまで遡っていくこと。

それこそが、お客様との取引を増やすことや、受注率を高めることに繋がるのだと理解しておくのが重要です。

例えば、お客様企業の中でも窓口担当者からは「コストを何パーセント下げなければいけない」「もっと短納期で対応してほしい」など様々ありますが、そのような要求にそのまま全て応えようとすると、自社のリソースも無限にかかってしまいます。

特に、ベンチャー企業やスタートアップが、既に入っている競合サービスのリプレイス(発注先変更)を狙おうとする場合、「とにかく価格を安くしてほしい」ということを突きつけられることも多いでしょう。しかしそれに応えようとすると、自社にとっては疲弊する戦いになってしまうため注意が必要です。

このような「値引き」を求められた場合、目の前の担当者にとっての本質的な課題は何なのか?なぜ値引きを求めてくるのか?といった背景を探る必要があります。

しかし、担当者が伝えてくれる課題がどの部分に当たるのか、という構造を掴めただけでは受注に至りません。実際に発注いただくためには、キーパーソンを抑えることも必要になってきます。

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キーパーソンへ到達するために「味方」を確保する

お客様の組織構造をイメージしたものが図2です。

キーパーソンは意思決定者とも言い換えられることがありますが、注意が必要なのは「意思決定者」といっても実際に発注先を決める役割を担っている方(実質的な意思決定者)と、書類にハンコを押すだけの方(形式的な意思決定者)が別々ということもありえるいうことです。当然、追いかけていくべきキーパーソンは「実質的な意思決定者」ですね。

ただし、実質的な意思決定者は忙しいことが多く、なかなか接触できないことがほとんどでしょう。

そうすると、意思決定者へ辿り着くために、まず窓口となる担当者から当たっていくことになりますが、窓口からアプローチする際に、「キーパーソンをご紹介いただけますか」と言うだけではご紹介いただけないことも多いのが実際のところです。

特にアカウント型営業において他社からのリプレイスを狙う際には、このような「キーパーソンにたどり着くまでの壁」を乗り越えていかなければなりません。

そこで、組織の何人かに接触して名刺を獲得していくうちに「この方は当社に前向きな反応を示しているな」であったり、「この方は慎重派だな、後ろ向きだな」であったりというように、自社に対する担当者ごとの温度感を掴み、その中でも特に前向きに協力してくださる方や、情報を提供してくださる方を見つけていく必要があります。

疎かにされがちながらも特に重要なことは、「協力者や情報提供者を社内に複数人作っておく」ということです。

アカウント型営業というのはどれだけお客様を知りつくしているかが重要ですが、組織構造を把握することにより、複数名の「味方」とつながりを作ることによって、多様な情報を手に入れやすい環境を整えていくと、結果として、キーパーソンへと辿り着くためのルートが見えてきます。

そのようなことを意識すると、キーパーソンである実質的な意思決定者以外の方も大事にしながら徐々に巻き込んでいく、という動き方になっていきます。

そうして徐々に外堀を固め、キーパーソンを先方が自然と紹介してくれる流れを作れるようになると、営業活動の生産性が飛躍的に向上します。

キーパーソンを紹介してもらう際、目の前の担当者に「ではキーパーソンに会わせていただけませんか?」とお願いされてかわされてしまった、もしくは、相手から拒絶されてしまいそれ以降なかなかアプローチが進まない、といった声をよくお聞きます。

しかしそのようなときこそ、関係者の全体像を押さえてキーパーソンに辿り着く道筋をしっかり描くのが重要です。そのためには、お客様の課題構造をよく理解し、当社が役に立てることをしっかりと示す、といったことが重要になってきます。

キーパーソンに辿り着くための方法が見えてきたところで、「具体的にどう動けば、アカウント型営業において受注が獲得しやすくなるのか?」について、次回の記事で更にお話していきたいと思います。

執筆者

高橋 浩一 (たかはし・こういち)

TORiX株式会社 代表取締役CEO

高橋 浩一

たかはし・こういち

TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(その後ブーズ・アンド・カンパニーに)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。新卒を戦力化して業界平均よりパフォーマンスの高い受注を獲得する営業組織を構築。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。 自らがプレゼンしたコンペの勝率は100%(現在も8年以上継続中)。その経験を基にしたメソッドが好評で、年間200件以上の研修登壇、800件以上のコンサルティングを実施。『ワールドビジネスサテライト』『日本経済新聞』『日経BP』など取材実績多数。

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執筆

FastGrow編集部

こちらの記事は2017年11月27日に公開しており、記載されている情報が異なる場合がございます。