連載プラットフォームビジネスの真髄──EdTechの雄が明かす

なぜ巷にあふれる参考書では、理解はできても「覚えられない」のか?──Google発の“天才”エンジニア、「記憶」に革命を起こす

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「解いて憶える」記憶アプリ『Monoxer』を展開し、「記憶のプラットフォーマー」を目指すモノグサ。

FastGrowでは過去3記事にわたり、同社の躍進の秘密を解き明かしてきた。これまで登場したのは、代表取締役CEOである竹内孝太朗氏、CFOを務める細川慧介氏、そしてリードインベスターであるUB Venturesの麻生要一氏の3名。彼らが口を揃えて「天才」と称し、モノグサに欠かせない存在として言及した人物がいる──共同創業者であり、代表取締役CTOを務める畔柳圭佑氏だ。

畔柳氏は新卒でGoogleに入社し、世界中で利用されているAndroid用ソフトウェアキーボードの開発を手がけたのち、竹内氏とモノグサを共同創業。そもそも、最初に「記憶」に着目したのは畔柳氏だったという。最先端テクノロジーの社会実装に挑む「天才」は、いかにして「記憶」に革命を起こそうとしているのか?あらゆる知的活動の根幹を大きく変えうる、その構想に迫る。

  • TEXT BY RYOTARO WASHIO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY MASAKI KOIKE
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あらゆる知的活動の根幹をなす「記憶」

「記憶」のあり方が、根本から覆されてしまうかもしれない──。

畔柳氏へのインタビューを進めるうちに、そんな期待がふつふつと沸き起こってきた。

『Monoxer』はすでに2,500教室以上の塾や予備校に導入されており、一見するといわゆるEdtechサービスの一つに思える。しかし、映像授業などのコンテンツを用い、ユーザーに「理解」を促す一般的なEdtechサービスとは異なり、フォーカスを当てているのは「記憶の定着」だ。

『Monoxer』はユーザーの学習習熟度を分析して、「何を覚えていて」「何を覚えられていないか」を明らかにし、記憶を定着させるための問題を自動生成する。また、覚えるべき情報と期日を指定すると、その期日までにどのような問題をどれだけ解けば記憶が定着するかをAIが導き出す「学習計画機能」や、参考書を購入するためのマーケットプレイス機能まで実装している。

その射程は学習塾・予備校市場の外にも及んでおり、すでに企業の研修などでも活用されているという。『Monoxer』は、情報を記憶するために必要なありとあらゆる機能を備える「記憶のプラットフォーム」なのだ。そして、この「記憶のプラットフォーム」というコンセプトの生みの親こそが、CTOで共同創業者でもある畔柳氏だ。

モノグサ株式会社 代表取締役CTO 畔柳圭佑氏

畔柳「記憶」はすべての創造的な行為の基盤にあります。イノベーションは、何かを大きく変化させることですよね。そのためには大前提として、変えるべき何かを「知っている」必要があります。記憶は、それなしには知的活動はなしえない、人類の活動の根幹をなす要素なんです。

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「記憶」はつらい行為ではない。
革命を起こすための“3つのポイント”

「詰め込み教育」というネガティブな言葉に象徴されるように、「記憶という行為は嫌われてしまっているのが現状だ」と畔柳氏。このイメージを払拭すべく、「重要なポイントが3つある」という。

畔柳1つ目は、記憶のプロセスにおける「大変さ」を取り除くこと。知り合いの名前や昨日の夕食の内容は、努力せずとも自然と頭に残りますよね。「記憶すること」そのものは、大変な行為ではないんです。

しかし、覚えるべき情報の量が増え、「この日までに覚えなければならない」といった期間が設けられると、途端に大変になる。ということは、「いつまでに」「何を覚えるべきか」をシステムの力で整理できれば、記憶の大変さの大部分は取り除けると思うんです。

そして2つ目が、記憶するための「道筋」を示すこと。現状では『Monoxer』を除き、「どのように記憶すれば良いか」までサポートしてくれるアプリはない。記憶する方法は、個人に任されていたんです。でも、実はすでにさまざまな研究によって、効率の良い記憶法が体系化されている。その研究成果をプロダクトに実装できれば、記憶するプロセスまでサポートすることができると思っています。

3つ目のポイントが、記憶の「管理」、すなわち「覚えていること」と「覚えていないこと」を明確に区別することです。Edtechサービスには、ある問題を間違えると「この知識を覚えていない」と判定され、知識を覚えるための演習問題が出題される仕組みのものが多いです。

しかし、人はどうしたってミスをするものですし、「問題を間違えたこと」と「記憶が定着していないこと」はイコールではないはず。どのトピックは定着していて、どのトピックは定着していないのかを峻別し、後者を覚えることだけにフォーカスできれば、学習の効率は飛躍的に上がると考えています。

畔柳氏は、『Monoxer』を通して、「記憶」がはらむイメージをポジティブなものに変化させたいという。科学的なアプローチを用いて、「記憶すること」のつらさからユーザーを開放し、前向きに記憶と向き合うことができるようにしたいと意気込む。

畔柳「記憶」は何かを学ぶために仕方なく行われる行為であり、向き合うためにはかなりの意気込みが必要だと考えられているのが現状です。まずはその認識を変え、すべての人が気軽に記憶に向き合えるようにしていきたい。

記憶は何かを学ぶときだけではなく、物事をより「楽しむ」ためにも重要な要素だと考えています。最近、映画『鬼滅の刃』を観たのですが、映画を楽しむために、事前にどんな物語なのか、どんな登場人物がいるのかをしっかり「記憶」しておいたんですよね。

主人公の炭治郎にはどんな過去があり、メインキャラクターである伊之助や善逸たちがどんなキャラクターなのかを記憶しているだけで、映画をより楽しめるようになるなと。実際、事前知識をインプットしたからこそ、楽しみが広がったと感じます。

「記憶」をもっと自然に行えるようになれば、複雑な情報をインプットしないと楽しめないようなコンテンツが、どんどん生まれていくのではないかと思っているんです。娯楽の多様化や進化という意味でも、記憶に対する向き合い方を変化させることは、大きな意味を持っていると考えています。

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「自ら答えを導き出す」体験を生み出すため、
適切な量のヒントを編み出すアルゴリズム

人びとを記憶のつらさから解放するため、『Monoxer』に実装されている機能の一つが、「生成効果」をプロダクト上で再現するものだ。

生成効果とは、外部から与えられた情報よりも、自らが内発的に生成した情報の方が、記憶効率が良くなる効果のことだ。「りんご」を意味する「Apple」という英単語を記憶するステップを例に説明しよう。

まず「りんご=Apple」と理解する。その後、記憶を定着させるステップへと移るが、このとき「Apple」という単語を繰り返し見て発音するよりも、自分の頭の中で「Apple」という情報を生成した方が記憶の定着は効率良く進む。

たとえば、「頭文字はAである」「次の文字はpである」といったヒントを段階的に取り込み、自らの頭の中で「Apple」という単語全体を導き出していくことで、記憶は定着しやすくなるのだ。

この生成効果をプロダクト上で再現するために重要になるのが「ヒントの量を最適化すること」だ。

畔柳個人ごとの記憶の定着度合いを見極め、「このユーザーはどれくらいのヒントを出せば答えを自らの中で生成できるのか」を推測し、その推測値に応じてヒントを出すことが重要になります。まったく記憶が定着していないようであれば、ヒントの量を多くしなければなりませんし、逆に定着が進んでいれば、なるべく少量のヒントで答えを生成できるように導かなくてはなりません。

たとえば、漢字の「柳」という文字を覚えたいとしましょう。まだ全然書けないユーザーに対しては、画面にうっすら文字の全体を映し出して、それをなぞってもらうようにします。そして徐々に記憶の定着が進んでいくのに応じて、「部首である木へんのみ示す」「1画目の書き出しのみ示す」といったように、ヒントの量を減らしていくんです。

『Monoxer』には、ヒントの質や量を自動で調整する機能が実装されています。「この人はどれくらいのヒントを出せば答えを生成できるのか」をアルゴリズムで予測し、最適なヒントを出すことで、効率良く記憶を定着できる仕組みになっているんです。

習熟度に応じて、適切なガイドを提示。左端が「画面にうっすら文字の全体を映し出して、それをなぞってもらう」状態、右端がヒントなしの状態。

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細かな間違いも見逃さない。
高精度で認識する手書き入力機能

直前の畔柳氏の発言に、「文字の全体像をなぞってもらう」という言葉があった。さらりと口にしていたが、実はこれは『Monoxer』の核となる仕様の一つ。用意された選択肢から回答を選ぶだけでなく、手書きで答えを入力する機能も備えているのだ。

手書き文字の細かなニュアンスも、正確に認識。どんな些細な間違いも認識し、正解と異なる部分をフィードバックする。

手書き入力自体は、珍しい機能ではない。だが、「『Monoxer』以上に、手書きされた文字の『評価』に力を入れているプロダクトはない」と畔柳氏。一般的な手書き入力機能は、「積極的に推測して文字を認識する」方針で設計されているそうだ。すなわち、手書きされた文字が多少間違っていても、システムが「この文字だろう」と推測し、入力のサポートをしているのである。

文字「入力」のためのシステムであれば、こうした仕様でも十分だろう。しかし、正しい情報の「記憶」をサポートするためのシステムには、細かな間違いであっても認識し、指摘することが求められる。

畔柳正しい漢字を書けるようになってもらうためには、細かな間違いでも、大目に見てはいけない。どんな些細な間違いも認識し、正解と異なる部分をフィードバックしなければなりません。

正しい文字を認識している人が利用する文字認識システムであれば「ここの点が抜けている」といった些細な間違いは見逃し、文字を推測できることが重要になります。しかし文字を正確に認識し、きれいな文字を書くための学習を進めている人にとって、その“忖度”は不必要ですよね。

ユーザーが手書きした文字を正しく評価すること、そしてお手本とどこが違うのか正確にフィードバックをすること。この2点に関してはかなり力を入れており、独自性の高い機能になっていると思います。

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あらゆる問題を構造化・要素分解し、
要素ごとの定着度を「一元管理」

さまざまな機能によって記憶の定着をサポートする『Monoxer』だが、豊富な機能の中でも特に重要な役割を果たしているのが、記憶の「一元管理機能」だ。『Monoxer』がユーザーの学習習熟度に応じて出題する問題の難易度をコントロールできるのは、この機能あってこそだという。一体どんな機能なのだろうか。「少しややこしい話になってしまうかもしれませんが、数学の学習を例にご説明します」と畔柳氏。

畔柳数式は複数の要素が組み合わさって成り立っています。「2+3」であれば、「整数」と「足し算」という要素の組み合わせですし、「12/√3-√18」であれば、「分数」と「引き算」、そして「平方根」で構成されている。

『Monoxer』は利用履歴から、それぞれの要素ごとに記憶の定着度合いを分析し、管理しているんです。たとえば、「12/√3-√18」の計算はできないけど、「3/12-1/8」といった計算は問題なくできているユーザーがいたとしましょう。

「12/√3-√18」は「分数」「引き算」「平方根」で構成される一方、「3/12-1/8」は「分数」「引き算」で構成されます。したがって、このユーザーは「分数」の「引き算」方法の記憶は定着しているものの、「平方根」の計算方法が身についていないということになる。

それが分かったら、あとは平方根の計算法を身につけるだけです。今度は、平方根の計算に関する学習の習熟度を分析し、それに応じて記憶の定着に導くための問題を出題していく。そうして自然と、「12/√3-√18」を解く力が身につくんです。

畔柳これは、数学学習に関する記憶を「一元管理」しているからこそなしえることです。一般的な教材では、何を間違えたのかを記憶しておくことも大変ですし、間違った箇所の共通点、さらには定着度を理解することは難しいですよね。『Monoxer』のシステムでは、そうした要素をすべて一元的に管理しているわけです。

もちろん、この仕組みは数学以外の学習にも活用できます。あらゆる問題を構造化し、それぞれの要素を記憶できているのか、できていないのかを明らかにする。そして記憶できていないとすれば、どういった問題を解くべきなのかを提示し、記憶の定着を促進する。『Monoxer』は記憶を一元管理することによって、この流れを実現しているんです。

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「なぜ世の中には英単語アプリが溢れているのか?」
Googleの鬼才、見落とされがちな本質にたどり着く

それにしても、「記憶」に革命を起こしつつある畔柳氏は、いったい何者なのだろうか。

東京大学大学院でコンピューターサイエンスを修めたのち、2013年にGoogleに新卒入社した畔柳氏。とりわけ、ここでAndroid向けソフトウェアキーボードにおけるジェスチャー入力機能の開発を経験したことは、現在につながっていると振り返る。

ジェスチャー入力機能とは、一つひとつ文字を選択しなくても、キーボード上を大まかになぞるだけで、文字入力を可能にする機能。たとえばユーザーが「this」と入力したいとき、デバイス上に表示されている「t」「h」「i」「s」のキーをなぞるのと近しい指の動きを取るだけで、「this」という単語がサジェストされ、それを選択すると入力できる。

畔柳氏が担当していたのは、ジェスチャー入力を支える、パーソナライズ機能の開発だ。ユーザーの指の動きにあわせて、どの単語を候補として出すべきなのか、入力履歴を参考にしながらサジェストするためのアルゴリズム開発を手がけていた。

畔柳個々人の利用履歴から最適な選択肢を導き出すアルゴリズムの開発に携われた経験は、『Monoxer』の開発に大いに活きています。ジェスチャー入力では単語、『Monoxer』では「問題」と、提示する内容は異なりますが、「利用履歴をもとに最適化する」という点では共通していますから。

Googleで得たものは、近しいコンセプトの機能を開発した経験だけではない。むしろ「こちらの方が今に活きているかもしれない」と語るのが、研究レベルの技術を社会実装していく機会を得られたことだ。

畔柳ジェスチャー入力は、僕がプロジェクトに関わり始める前から、社内外でさまざまな研究が進んでいる分野でした。実装実験も行われていましたし、十分実用に耐えうるレベルの技術水準になっていた。

しかし、あくまでも研究は研究。実際にプロダクトとしてリリースすることの間には、大きな隔たりがあります。研究で重視されるのは、技術が十分に機能すること。“使えること”が重要なのであり、細部の使いにくさは無視されてしまう。

しかし、技術をプロダクトに実装するためには、ユーザーにとっての使いやすさを突き詰めなくてはならない。なぜならば、使いにくいプロダクトは、いくら技術的に優れていたとしてもユーザーに受け入れられず、ビジネスとしての利益を生むことはないからです。

『Monoxer』にもさまざまな最先端の技術が導入されています。それらの技術をプロダクトに落とし込んでいくうえで、ジェスチャー入力の開発過程で得た経験値が大いに役立ちました。研究の域を脱しない技術をプロダクト化していく際、どんなことに注意し、将来ビジネスとしてグロースさせていくためには何に気を配るべきなのかを学べたことは、Googleで得た大きな財産の一つです。

モノグサの代表取締役CEOである竹内孝太朗氏は、インタビューの中で「Googleに在籍していた畔柳に事業の壁打ちをしてもらう中で、畔柳が提示したのが『記憶のプラットフォーム』というコンセプトだった」と明かしている。畔柳氏はいかにしてこのコンセプトを導き出したのだろうか。その過程をたどると、竹内氏が「天才」と称する畔柳氏の洞察力と思考力が浮かび上がってきた。

畔柳竹内が持ってきた事業アイデアは、英単語帳アプリでした。でも、ディスカッションを重ねる中で「なぜ世の中には似たような英単語帳アプリが溢れているのだろう?」と考えるようになって。すでにたくさんのプロダクトがあるにもかかわらず、その数はどんどん増えている。この状況は、「どのアプリも本質的な課題を解決できていない」ということを示しているのではないかと思ったんです。

英単語帳アプリの便利なところは、覚えるべき情報がまとまっていることですよね。でも、ユーザーにとって最も重要なのは「覚えるべき英単語が揃っていること」ではなく、「英単語を覚えること」。情報が揃っていることの価値は、あくまでも付随的なものであって、英単語帳アプリが向き合うべきなのは、「いかにユーザーに英単語を覚えてもらうか」であるはずなんです。

そうした本質的な課題にアプローチしているアプリがないからこそ、際限なく似たようなアプリが増え続けているのだろうな、と考えるようになりました。

そうして思考を深めていくうちに、「記憶」というワードが頭をよぎりました。英単語帳アプリが向き合うべき本質的な課題とは、いかに情報を記憶してもらうか。そして、この課題は英単語学習に限ったものではないと思ったんです。

どんな領域であれ、「覚えること」をサポートできれば大きな価値になる。それにもかかわらず、世界中どこを探しても、「記憶の定着」にアプローチしているプロダクトは存在しなかった。「これはビジネス的にも大きなチャンスがあるのではないか」と思いました。

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「仕様通りに正しく素早く実装できる」より、暗闇でもがける胆力を

Googleでの華々しいキャリアを捨て、「記憶」に革命を起こす『Monoxer』の開発にコミットするようになった畔柳氏。今後は「現在のメインユーザーである学習塾や予備校の先生と生徒のコミュニケーションを変えていくことが、短期的なテーマ」だという。

畔柳記憶の定着度合いにもとづいたコミュニケーションがなされている状態を、当たり前にしていきたいんです。『Monoxer』がない世界では、テストの結果を見て会話するしかなかった。テストの結果が良ければ「この調子だね」、悪ければ「もっと頑張れ」。これは、あくまでもテストの点数にもとづいたコミュニケーションですよね。

理想的なのは先生が「この単元に関する記憶が定着していないから、点数を落としてしまっている」と説明し、生徒がその内容をしっかり理解することだと思うんです。

また、良い点数が取れていない生徒の中には、「頑張りたいが、どう頑張ればいいのか分からない」子もいる。だからこそ、先生には頑張り方、すなわちどんな問題をどれだけ解けばいいのかを指導することが求められる。学習の効果を最大化するためには、先生と生徒のコミュニケーションが重要だと考えています。

以前からチャット機能は実装していたのですが、今後はよりコミュニケーション面の機能を充実させていきたい。たとえば、AIが学習の進捗を見て励ますべき生徒をリストアップ。先生はボタン一つで学習が遅れているリスト上の生徒たちに、激励のメッセージを送信できるような機能を実装することを考えています。

生徒一人ひとりの記憶の定着度合いに合わせて適切なコミュニケーションを取れるように、プロダクトを進化させていくことが、現在最も力を入れて開発を進めているポイントですね。

長期的なテーマとして掲げるのは、活用領域を拡大していくことだ。

畔柳先ほど数式の例を用いて、問題を構造化し、要素ごとに記憶の定着度を明らかにすることで学習をサポートしていることをご説明しました。現在は国語や数学、英語といったような中高生の学習に活用されることが多い『Monoxer』ですが、ものごとを構造化し、要素ごとに記憶の定着を促進する手法は、さまざまな領域に応用可能だと思っています。

言語学習や資格学習ではすでに一部導入していただいていますが、企業の研修などでも同じ手法が使えるはず。サポートできる領域をどんどん広げていきたいですね。

そんな未来を実現するためには、「記憶」を扱うことに興味を持つエンジニアの存在が不可欠だと畔柳氏。エンジニアとしての経験は問わないというが、胆力が求められる環境だと話す。

畔柳研究は進んでいるものの、記憶には依然として解明されていない、未知の領域も多く残されている。「よく分からないこと」が山積する領域で開発を進めることは、簡単なことではありません。「仕様通りに正しく素早く実装できる」といったエンジニアとしてのスキルよりも、暗闇の中でも前に進むためにもがき続けられる、胆力が必要になります。

そして、もう一つ求めたいのが、物事を体系化して理解するための思考力。というのも、今後は記憶に関する研究活動にもチャレンジしていきたいと思っているんです。多くのユーザーが記憶するために集まっているモノグサだからこそ行うことのできる調査もあり、既存研究からは思いもよらない新たな発見ができる可能性もあると思っています。

これまで解明されていなかった記憶の仕組みを体系化し、プロダクトに落とし込み、発信していく。そうした気概のある方に、仲間になってほしいですね。

こちらの記事は2020年12月28日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

写真

藤田 慎一郎

編集

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

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