サクセッションに向け、経営者は“メタ認知”を進めよ──「人の可能性を引き出す」が共通点のGunosy・ゲームエイト西尾・スローガン仁平による経営承継論議
「経営のサクセッション」が、日本でもにわかに注目され始めた。特にスタートアップエコシステムにおいて、SmartHRが代表取締役の交代を進め、その後も急成長を続けている事実が一つの大きなきっかけになっているとも感じられる。
FastGrowを運営するスローガンでもこの2023年、創業者の伊藤豊が代表取締役社長を退任し、取締役COOを務めていた仁平理斗が新たな代表取締役社長として就任した(サクセッションを中心に語った単独インタビューがこちら)。そこで、この仁平が、他企業のサクセッションについて聞いていく連載を始めることにした。
第1回目のゲストは、ゲームエイト創業者の西尾健太郎氏。2022年6月に代表取締役社長から退任し、サクセッションを進めた。現在は親会社であるGunosyにおいて、取締役の一人としてグループ全体でのAIを活用した事業機会の創出を担いながら、ゲームエイトの代表取締役会長としても動く。
そんな西尾氏から、サクセッションについて振り返ってもらった。「社長を交代したほうが伸びると感じた」「“会長”じゃない肩書のほうが良かったかもしれない」「後継の自己肯定感が重要」といった金言の数々について、深く聞いていく。サクセッションをいずれ検討すべき経営者はもちろん、事業やマネジメントについて思索を深めたいという若者にもぜひ伝えたい、そんな内容にまとめた。
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
創業社長として、「成長に向けた意思決定の難しさ」をメタ認知
西尾「私がいなくてもまわるかたちに、なかなかならない」とか、「今の延長線上で経営をしていくと、資本主義市場で求められる意思決定がしにくくなっていきそうだ」とか、そんな葛藤も抱えるようになっていたというのが、正直なところです。
言葉を選びながら、慎重に、生々しく振り返ってくれた西尾氏。サクセッションを進めた当時の心情には、さまざまなものがあったという。
誤解が生じないよう、初めにしっかり補足しておこう。日本で社長交代というと、不祥事や世代交代がイメージされやすい。だがもちろん西尾氏のサクセッションは、このいずれでもない。あくまで、親会社をはじめとしたステークホルダー全体での継続的な発展のため、最良の手段として、社長交代を決断した。
今回は敢えて、葛藤の面からも語ってもらった。それは、「サクセッションについてなかなかじっくり考えることができない」という経営者だけが抱える難しい社会課題を解きほぐすためだ。
西尾創業から8年、経営をしてきて、率直に感じるようになってきたのがまず「私がいなくてもまわるかたち」を構築する難しさでした。これが、サクセッションについて具体的に考えるようになった大きな理由ですね。
それと同時に、企業成長をさらに続けていくためには、資本市場の観点でも「こうすべき」とされる合理的な意思決定をしっかり進める必要がありますよね。もちろん、それを意識して経営してきたのですが、その難しさをより強く感じるようになっていたんです。
仁平なるほど……。それは、「会社への愛着があるからこその葛藤」ということですか?
西尾はい、そうですね。愛着があるからこそ事業に全力で取り組むことができるわけではあるのですが……。
特に「メンバー一人ひとりの成長や自己実現」を中心に考えてしまうのが、私の性格なんです。組織あるいはメンバーへの愛着が、企業として強くなるための意思決定の妨げになっていきそうだ、そんな葛藤を抱えていましたね。
仁平そうしたメタ認知をしっかりした上で、実際の意思決定や行動につなげられているのは、さすがだなと感じました。
この「メタ認知」が、経営者がサクセッションを考えるうえでのキーワードになっていきそうだ。仁平も同様に強く意識し、社長就任を考える際には3カ月間、40時間もの思考時間をかけてドキュメント30ページにも及ぶメモを基にメタ認知を進めていた。
仁平私は以前から、メタ認知をかなり意識的に進めてきました。スローガン社内全体でも、その重要性を伝えています。メタ認知を進めるためには、相談が重要ですよね。
一方で、サクセッションについてはなかなか相談しやすい場がないように感じています。
西尾さんは誰かにサクセッションの相談って、できましたか?
西尾あまりしていませんでしたね……。ずっとお世話になっているごく一部の大先輩とか、社内の一部の人とか……。起業家や投資家の知人にそういう話をしたら「また新しく起業したら?」と言われそうですよね、そんな話がしたいわけではなかったので(笑)。
仁平やっぱり、誰にどのように相談すればいいのか、っていうのはありますよね。
西尾私、実はゲームエイトの前に事業を売却したことがあり、その運営企業の経営は、別の創業者から受け継いだものだったんです。また、ゲームエイトとしてSmarpriseという会社を2019年に買収してもいます。
つまり、社長という立場をサクセッションしたり、されたり、あるいはM&A前後の企業経営をどのように進めるかを考えて推進したり、といった多様な経験があるともいえますね。
仁平それはなかなか珍しいですね(笑)。
リード文でも書いた通り、今回はCOOに社長のポジションを譲った西尾氏と、COOから社長になった仁平。携わったサクセッションの進め方にはこのような共通点もあり、特に具体的な意向の中の話が盛り上がった。次のセクションから、具体的に紹介していこう。
必死で口説いたCOOへ、
「阿吽」を確認して移譲を決断
ここで改めて、ゲームエイトにおけるサクセッションの流れを確認していこう。
ゲームエイトは2014年創業。2015年にGunosyグループに入り、西尾氏自身も2018年からGunosy執行役員、2020年からは取締役に就任している。
西尾氏がゲームエイト社長の後継者としたのは、沢村俊介氏だ。リクルートなどの事業会社で経験を積み、2018年に執行役員COOとしてゲームエイトにジョインした。「2週間で7回も会って口説いた」といったエピソードが西尾氏のnoteに綴られているのでぜひ合わせて参照いただきたい。
その2018年は、ゲームエイトの従業員数が50名を超え、100~200名体制に向けて組織づくりを強化しようとしていたタイミング。そのために、事業成長・組織成長のプロフェッショナルの採用を検討し、出会ったのが沢村氏だったのだ。
ただしこのタイミングではまだ、西尾氏もサクセッションなど一切考えていなかったという。新COOの沢村氏とともに、ゲームエイトのさらなる成長の最前線に立っていた。
そんな中、ほとんど脈絡のないかたちではあったが、2020年ごろにとある誘いを受けたことが一つのきっかけになる。
西尾実は一度だけ、冗談のレベルでしたが、「このスタートアップの社長をやってみない?」という話をされたことがありました。もちろんお断りをしました。ゲームエイトでやりたいことはまだありましたし、なにより、自分で広げた風呂敷の責任を全うするという思いが強かったためです。
でも一方で、「一生、ゲームエイトの社長をやるわけじゃないんだよな」という想いを、初めてしっかり意識するようになったんです。
そうして、社長をやめるとしたらいつなのか?それは自分が何を成し遂げた場合なのか?後継になるべきはどのような人物なのか?そんな問いを、少しずつ考え始めた。
そして上述のように、沢村氏を後継と決めるに至る。
西尾長く続き、発展している企業を調べてみると、どこも経営のバトンをうまくつないでいるのだということに目が向くようになりました。ゲームエイトもGunosyも、そういう企業にしていきたいという想いが強くなっていったんです。
2020年ごろにはもう、沢村さんもかなり組織に馴染んできて、私との間で阿吽の呼吸で物事を進められる部分が増えてきました。「これなら社長を任せることもできるだろう」といつからか感じるようになったので、具体的に検討し始めました。
仁平後継は、沢村さん一択だったんですか?
西尾正直、そうですね。
仁平実際に交代するまでの準備期間はどれくらいあって、どのようなことを優先して進めたんですか?
西尾「どのタイミングで言おうかな」という悩みがまずあったのですが、早く相談したほうがいいかなと思い、緩めに「社長交代を考え始めた」と伝えました。そこから約2年くらいですね。
幹部クラスには早い段階で、社長交代について伝え、意見も聞いていきました。やはり懸念としては、創業者である私に対してエンゲージメントのあるメンバーが少なからずいることですね。「西尾さんの時は良かったのに」という事態にならないよう、細心の注意を払っていこうと思いました。
合わせて進めたのが、私への直接のレポートラインをなくしたことです。すべて、COOである沢村さんにつながるようにしました。沢村さんの希望もあってのことです。こうした丁寧な取り組みのおかげか、社長交代前後に大きなハレーションは起こりませんでした。
サクセッションの決断は創業者自らが強い意志を持って進めつつ、実際の移譲の流れは丁寧に進める。まさにお手本のような綺麗な流れで取り組んでいった印象を抱く。それは、西尾氏個人の特性がそうさせているのだろうとも感じられた。
だが一方で西尾氏の中にも若干ではあるが、「もっとこうすればよかった」という点があるのだという。次のセクションではそんな部分も解明し、読者への学びとしてさらに深めていきたい。
「肩書」は、意外と難しい
仁平ところで、今になって振り返って、「もっとこうすればよかった」と感じていることはありますか?
西尾ちょっとキャッチーな感じに聞こえてしまうかもしれませんが、私の肩書を「会長」じゃないものにしたほうが良かったかもとは思います(笑)。
というよりもう少し正確に言うと、意思決定に関する言語化をもっと精緻にやるべきだったというところですね。
仁平「会長」になるのはよくある話だと思うのですが、どういった点で改善を考えたいということなのでしょうか?
西尾もともと肩書を決めた背景は、ゲームエイトの事業拡大により、グループ内での影響力が増え今まで以上にガバナンスを強化していく必要が出てきたことです。意思決定速度を保ちながらそれを実行していくために、Gunosyとの連携は、適切な距離感を担保すべきという考えがありましたので、会長という立場を新たに設けることで、歴史的経緯踏まえ今の体制に合った最適なサポートができ、当初からやりたいと思っていた成長のドライブを改めて実現できると考えました。
しかしながら、ゲームエイト社内で何か発言する機会があったとき、それがグループ会社の取締役としての意志なのか、それとも会長としての意志なのか、捉え方が複数生まれてしまったんです。
私の中では沢村さんに社長というトップを引き継いでいるので、意思決定を彼に行ってもらっているつもりなのですが、発言の際は意識しないとメンバーを混乱させてしまうこともあり、会長という肩書がそれを助長している側面があると感じました。
サクセッションを実際に進めつつ、その後も経営や事業に携わったものでしかわからない葛藤が、まさにここにある。「会長職」にはメリットが多くあるからこそ、多くの企業で設置されているのだろうが、ベンチャー企業におけるそのデメリットを冷静に考え、課題まで指摘するのは、貴重な話だ。
仁平スローガンは、創業社長の伊藤がこのタイミングで社を完全に離れます。取締役としても残りません。西尾さんは、例えばGunosyさんでの役職がなかったら、完全にやめるということもありえたと思いますか?
西尾うちの場合、それはなかったと思います。「会長」という肩書ではなかったとしても、「Founder」として残る必要があったかなと。
というのも今回の意思決定は、「会社を成長させるための手段」だったためです。具体的には、沢村さんと僕の得意・不得意のバランスを考えると、私が新規事業機会の創出に意識と工数を振り切ることでこそ、会社のさらなる成長が実現できると思ったんです。現に私はグループ全体でのLLM(大規模言語モデル)を活用した事業機会創出の役割を担っていますので、その筋は今も通っていると思います。
西尾それに、創業社長がいきなりまったくいなくなってしまうと、やはりその「抜けた穴」は大きい。その穴を中長期的に埋めていくための採用や育成が、ゲームエイトではまだまだ必要ですから、私自身が汗をかくべき部分もあると思うんです。
仁平なるほど、そうですよね。「社長の座を渡すこと」がゴールではなくて、その後に新たな体制をつくり切ることが最初のゴールであり、さらにその後も挑戦が続くわけですよね。
西尾そうですね。ただし、もし沢村さんが「西尾さんがいなくなっても大丈夫です、私が一人で代表をやります!」と強い意志を示したとしたら、その時には私の退任も当然考えますよ。
現段階ではそうじゃなかった、一緒にやっていこうと最初から同じ方向を見ていたというだけでしょう。今後そういうタイミングが来る可能性もありますよね。
創業代表が完全に退任すべきか、残るべきか。それは企業文化や事業特性、あるいは創業者のキャラクターなど、さまざまな変数によって考えるべきものだろう。
スローガンにおいてはすでに公表しているように、「そのほうがサクセッションの成功確率が高まる」と考えた。一方でゲームエイトにおいてはむしろ「会長として残るほうが、サクセッションの成功確率が高まる」と考えたわけだ。
では、その「サクセッションの成功」を、どのように定義し、考えるべきだろうか?その議論を次に見ていこう。
サクセッションの成否は、
「2代目社長の自分ごと化」にある?
仁平ゲームエイトさんは社長交代から9カ月ほど経ちましたね、まだ道半ばということですか?
西尾はい、まだまだそうですね。詳細はまだ言えませんが、同時に新しい動きも増やしているところです。なので、サクセッションが終わるというのはどういうタイミングなのか、難しいところですよね。
そんな中でやっていきたいことを挙げるとするなら、「ゲームエイトとしての意思決定」をより強いものにしていくことですね。
仁平どういうことですか?
西尾規模の大きな意思決定をする際には、親会社の意思決定も必要になります。そんな時、「ゲームエイトではこれが良いと考えて決めたのに、親会社から否決されてしまった」という事態が生じたら、正直、現場としてはつらいですよね。
そうならないよう、ゲームエイトの事業現場と経営をより強いものとして、Gunosyの経営会議で検討するよりも前に「質の高い意思決定」ができるように目指そう、と言っています。
社長交代後のゲームエイトにおける経営課題として、「質の高い意思決定ができるようになる」というのは、非常にわかりやすく、一方で難しい印象を受ける。西尾氏自身からも、このチャレンジでのやりがいを感じている様子が見受けられる。
一方で社外から見ればやはり、「社長交代後の数字」も気になるところだ。この点も率直に聞いた。
西尾事実をそのまま伝えれば、社長が変わった次の四半期は業績がへこみました。でもその次は打ち返しました。
ゲーム関連領域の市場はボラティリティが大きく、連動して売上が変動してしまいがちなので、短期的に経営指標を見て成果を判断するのは難しいと考えています。
経営の成果は短期では現れないので、沢村さんに交代していなくても確実に難しい局面でしたし、今も楽観視できる市況ではまったくありません。ここは常に高い意識を持って行かなければと、改めて気を引き締めるべきところですね。
仁平それでは逆に、経営指標以外で、サクセッションの成否を測る変数はあると思いますか?
西尾変数と呼べるかどうかわかりませんが、「新たな経営者が、自己肯定感を高く持てているかどうか」がけっこう重要なのかなと感じています。
言い換えるなら、「人の企業の社長という座を、“借りている”という意識になっていないか?」ということですね。
仁平なるほど……。この点、私はまだまだだなと感じました。「良いものは残して、変えるべきは変えて」という感じで、半々くらいの意識になっています。
西尾もちろん、その2つは共存すると思います。
でも、スタートアップを力強く前に進めるエンジンって、「この会社は自分が魂を込めて自分の意思で動かすんだ!」と強く思い続けていくことじゃないでしょうか?この点、創業者は当たり前のように思えるのですが、2代目はよほど強く意識しないと、難しいのかなと。
西尾氏の新たな挑戦は、LLMで「人の機会を最大化」
最後に聞いていくのは、西尾氏がGunosy取締役として何を成し遂げていくのか、という点だ。ゲームエイト以外での活躍を期待している声もあるだろう。新たな挑戦の方向について詳しく聞いていきたい。
西尾2022年に出てきたChatGPTで、「メディアのあり方が変わって、世界が変わる!」と思ったんです。これこそまさに、私のやりたかったことなんですね。
もともとGunosyの中に、自然言語解析をやっていたチームはありました。そのチームの事業を強化して、ゲームエイトも含めたグループ全体のバリューアップを実現しよう、そんな構想でのチャレンジを始めたところです。
仁平もしかしたら新たに起業しても良かった……というところで、ご自身の愛着のある分野で、愛着のあるゲームエイトにも貢献できる、良い役割が見つかったんですね。
西尾はい、実は自然言語処理系の研究室出身でもあります(笑)。ただ、私の想像の数十倍ほど早く、世間一般に広がっていきそうなので、驚きましたね。「早くやらねば」と焦っています。
仁平と言いつつ、先日の「動画AI要約記事」のプレスリリースは、早かったですよね……!さすがです。
西尾はい、Gunosyのチームが素早く実現してくれました。
一方で、グループ全体でトライしたい・しないといけないことは沢山あるのに、できていないことが多くあるので、 反省しきりです。
ゲームエイトの代表取締役会長として、サクセッションの成功に向けた取り組みを続けながら、GunosyではAIの中でも特にLLMを活用した新規事業の責任者として、本格的に動き始めている。
仁平動画を要約するだけじゃないですよね、どんな構想なんですか?せっかくなのでもう少し具体的に教えてください。
西尾軸を、大きく2つに分けて考えています。
一つは、社内のDX加速です。LLMを本格的に活用すれば、一人ひとりができる仕事が増えますよね。これ、国内の新興上場企業のほうが相性が良いと感じています。
なぜなら、上場してしばらく経ち、基幹事業の成長が踊り場に来てしまうと、新しいチャレンジをしなくてはならないが、コストを許容できないというジレンマに陥りがちだからです。
そういう現場でこそ、既存事業の運営効率を上げながら、トータルのコストは変わらないが、新しいことへのチャレンジに対する比率を上げていくような工夫が必要なんです。
そしてもう一つ、「メディアにおけるコンテンツの創り方」が変わりますよね。特に「一次情報の編集」は、もっともっと効率化しないと、勝負にならない時代です。使える技術は徹底的に活用して、LLMに負けない人間独自のコンテンツづくりができるようになっていく必要性が大きい。
このようなかたちで、Gunosy内を中心に、新たなチャレンジが増える環境をつくりたいんです。
仁平西尾さんが自然に「新しいチャレンジにLLMを使える」と考えるところが、とてもすてきだなと感じます。しかも、行動も速い。そういう考え方ができるのはなぜなんですか?
西尾ゲームエイト創業期から、「付加価値の高い仕事に、どれだけ専念できるか?」を追い求めてきました。そもそもそういう性格なんでしょうね。
それに、私が初期から採用していたメンバーは「ゲームが好きすぎて、会社員を辞めた人」とかなんです(笑)。そういう人たちが、ゲーム領域のインターネット人材として活躍する余地を見つけて、成果を創出できるような仕組みとなるように努力してきた。そうして競争力をつけてきたんです。
仁平私たちスローガンも「人の可能性を引き出す」というのをミッションに掲げているんです。企業として目指す方向が、一緒ですね。
西尾完全に一緒ですね。ゲーム業界を盛り上げることを通じて、より多くの人により多くのチャレンジをしてもらえるようにしたい、そう考えて、取り組んできました。
仁平この考え方も、サクセッションにおいては活きているんですか?
西尾そうですね。沢村さんに社長になってもらったのも当然そうですし、ほかのメンバーみんなの可能性が大きくなるようにという意志を込めて社長の役割を移譲したつもりです。
沢村さんに対しても「ミッションやビジネスモデルは変わってもいいけれど、『人の機会を増やすことに繋がる』という価値観を大切にしてほしい」と伝えています。
仁平なるほど、そこがまた素敵ですね。ぜひ、西尾さんらしい新規事業を花咲かせて、社会に新たなインパクトを与えてほしいです、応援しています。
終盤、「人の可能性を引き出す」という意外なところでつながった西尾氏と仁平。企業を「社会の公器」といったかたちで捉え、社内外のさまざまな人に良い影響を及ぼしたいと考えることが、起業家や経営者として成果を出し続け、評価されるゆえんなのかもしれない。
サクセッションをテーマとし、実際に推し進める際の葛藤を生々しくも慎重に語ってくれた西尾氏。二人の言葉にもあるように、今も決して「相談しやすいテーマ」にはなっていない。そんな意識を共有したからこそ、二人とも、悩んだらぜひ相談してほしいと声をそろえた。
読者としてお読みいただけた経営者、あるいは投資家などの立場からでも、気になることがあればぜひ、FastGrowへとお問い合わせをいただければ幸いだ。
サクセッションに関する相談など、ぜひお問い合わせください
こちらの記事は2023年04月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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藤田 慎一郎
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