凸版印刷の脳波デバイスが、定額宿泊サービスのスタートアップを進化させる──注目M&A・資本提携ニュース
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowは、さまざまなコンテンツを通して、いま注目すべき次世代の成長企業と出会う機会を提供している。
月刊『スタートアップの注目M&A・資本提携ニュース』では、編集部が厳選したスタートアップ関連の注目M&A・資本提携ニュースをまとめてお届け。M&A・資本提携の様子を定点観測していれば、新たなビジネスモデルが見えてくるはずだ。今月は4社をピックアップした。
- TEXT BY KEISUKE KOSAKAI
- EDIT BY YUI TSUJINO
KabuK Style
定額宿泊サービスをITが変革する
資本提携概要
凸版印刷とKabuK Style(2018年2月設立)が資本業務提携
サービス概要
KabuK Style は、毎月定額で世界中の宿泊施設に滞在することができる定額宿泊サービス『HafH』を展開するスタートアップ。
『HafH』は、世界515都市の809拠点(2021年5月末現在)に宿泊することができるようになる定額サービスだ。
凸版印刷は、個人情報保護・認証機能の共通基盤プラットフォーム『My Anchor™』や、自分の集中状態を可視化できる脳波デバイス『b-tone™』などを提供。
本提携により、下記3点を推進する予定だという。
- 『HafH』会員の個人認証(顔認証やマイナンバーカード利用による認証)や生活者情報の一元的な管理を『My Anchor™』を通して実現。
- 脳波デバイス『b-tone™』を使用し、ワーケーションの効果測定を実施。
- 『HafH』の宿泊施設に対し、凸版印刷と提携している製品のプロモーションエリアを設置。
凸版印刷とKabuK Styleは両社の知見・ノウハウを融合し、ウィズコロナ・アフターコロナ時代における新しい働き方を加速させるためにも、ワーケーションをはじめとした働き方改革を支援していく予定だという。
スタートアップが大企業の持つ大きなプラットフォームを活用する例は多い。この提携のように、大企業の技術をスタートアップのプラットフォームで活かす例は比較的珍しい。ワーケーションの、より有意義な形での拡大を期待したい。
GENIC LAB
ビジュアルコンテンツを活用したマーケティングの強化
資本提携概要
サービス概要
GENIC LABは、インスタグラファー(インスタグラムでフォロワーを多く抱えるフォトグラファー)が、企業の商品を写真・動画で撮影するビジュアルコンテンツサービスを展開している。
所属するインスタグラファーは150人を超え、コスメ・ファッション・食・インテリアなど様々な領域で活躍。インスタグラファーの得意領域を活かして、クライアント企業のブランドやサービスイメージに沿った世界観の構築をサポートしている。
ガイアックスは、創業以来20年以上にわたり、SNSの運用コンサル・広告運用代行・SNSの投稿分析・炎上対策まで、幅広くSNSマーケティングのサポートをおこなっている。
ガイアックスのデータ分析・戦略設計における強みに、GENIC LABのビジュアルコンテンツ制作の強みが加わることにより、SNSマーケティング領域での更なる事業拡大を目指すという。
互いの強みを十二分に活かした戦略が垣間見え、今後の展開が楽しみだ。
VAMOS
子どもの成長を保育園と学習塾で支援
資本提携概要
サービス概要
VAMOSは、子どもひとりひとりに寄り添った個別カリキュラムを用いた指導を行う、中学受験を主に支援する学習塾で、都内3か所で展開している。
広告費をかけずに安定的に顧客の獲得を実現。保護者に代わって受験にまつわるすべてを塾が管理するスタイルが特徴である。
さくらさくプラスは、“子どもたちの成長が花開くよろこびやうれしさをともに”をキャッチフレーズとし、都内を中心に73園の保育所を運営している。
今回の子会社化により、保育対象年齢から中学受験に至るまでを一貫してサポートする体制が整え、“子どもが成長し花開く”のを包括的に支援していくという。
リベイス
オンラインプログラミングスクール × デザイナークラウドソーシング
資本提携概要
サービス概要
リベイスは、デザイナーと企業をマッチングするデザイン特化型クラウドソーシングサービス『JOOi』を展開。
通過率5%の審査を突破したデザイナーたちにより、迅速かつ安定した品質でプロフェッショナルなデザインサービスを提供している。
ユナイテッドは、オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスを中核とし、さらなる成長に向けて積極的な事業投資を行っている。
今回の子会社化により、『JOOi』と『テックアカデミー』に登録されているキラメックス独自の選考を通過した高品質のメンターを連携し、サービス強化を図る予定だという。
さらに、メンターとテックアカデミー卒業生が共同で案件に取り組むキラメックスの新事業「テックアカデミーワークス」と連携して、対応案件の拡大を目指していく。
こちらの記事は2021年07月12日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
小酒井 圭祐
国内スタートアップの資金調達ニュースをまとめていきます。トレンドの変遷を追っていくことに興味があります。趣味は筋トレとプログラミング。
編集
辻野 結衣
1997年生まれ、東京都在住。関西大学政策創造学部卒業し、2020年4月からinquireに所属。関心はビジネス全般、生きづらさ、サステナビレイティ、政治哲学など。
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