SaaS不況、乗り越える術は「地道なシナリオづくり」だ──調達マーケットの現状を、One Capital浅田・DIMENSION宮宗・ジェネシア水谷がオフレコありで大激論!

登壇者
浅田 慎二
  • One Capital株式会社 代表取締役CEO, General Partner 

伊藤忠商事株式会社および伊藤忠テクノソリューションズ株式会社を経て、2012年より伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社(ITV)にて、メルカリ、ユーザベース、Box、Muse&Co、WHILL、TokyoOtakuMode、Fab等国内外ITベンチャーへの投資および投資先企業へのハンズオン支援に従事。 2015年3月よりセールスフォース・ベンチャーズ 日本代表に就任しSansan、freee、Visional、Goodpatch、Yappli、フレクト、Andpad、カケハシ、スタディスト等B2Bクラウド企業へ投資。2020年4月にOne Capital株式会社を創業、代表取締役CEOに就任。慶應義塾大学経済学部卒業、マサチューセッツ工科大学にてMBA取得。

宮宗 孝光
  • DIMENSION株式会社 代表取締役社長 

東京工業大学・大学院を卒業後(飛び級)、シャープ株式会社を経て、2002年からDIにて20年間、大企業とスタートアップの戦略策定、幹部採用、M&A、提携、出資・上場支援に従事。2019年DIMENSIONファンドを立ち上げ、2021年MBO・独立。
出資先6社の上場、7社のExitを経験。直近の出資・支援先はSHOWROOM、五常・アンド・カンパニー、AnyMind Group 、LegalOn Technologies など。2006年から起業家との勉強会を主催。メンバー17名中、10名が上場。

水谷 航己
  • 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Investment Manager 

2013年4月、住友商事株式会社に入社し、リスクマネジメント部に配属。再生可能エネルギーを含む電力事業や自動車向け鉄鋼製品の製造流通事業におけるM&Aを担当。また、M&Aの高度化を目的に意思決定プロセスの見直しを実施するなど投資の成功確率向上に向けた全社プログラム策定に従事。2018年7月より株式会社ジェネシア・ベンチャーズに参画後、多様な産業領域においてDXを推進するシード期のスタートアップを中心に約20社の投資支援(ソーシング、投資実行、アップラウンド支援等)を推進。東京大学法学部卒。

及川 厚博
  • 株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO 

大学在学中にマクロパス株式会社を創業。東南アジアの開発拠点を中心としたオフショアでのアプリ開発事業を展開し、4年で年商数億円規模まで成長。別の事業に集中するため、2015年に同事業を数億円で事業譲渡。その際に、売却価格の算定と買い手探しのアナログな点に非常に苦労した。また、自分自身が事業承継問題の当事者であり、中小ベンチャーのM&Aに興味を持った。これらの課題をテクノロジーの力で解決したいという思いから、株式会社M&Aクラウドを設立。Forbes NEXT UNDER 30選出。

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この1~2年ほど、日本でもITスタートアップにおいて資金調達に難航する場面が少しずつ増えている。特にダウンラウンドIPOとなる事例が明確に指摘されることもあり、不安が広がっている面もある。

スタートアップエコシステムにおけるそんな課題意識から、2023年2月にFastGrowは、《【オフレコ大激論】2023年、どうなる?SaaSマーケット──3名のVC視点で「バリュエーションの傾向」と「資金調達・採用・新規投資の落とし穴」を明かす》と題したイベントを開催した。

M&Aクラウド代表取締役CEOの及川厚博氏をファシリテーターとして、One Capital代表取締役CEO・General Partnerの浅田慎二氏、DIMENSION代表取締役社長の宮宗孝光氏、ジェネシア・ベンチャーズInvestment Managerの水谷航己氏をお招き。数々の投資先の成功と失敗を見てきた実体験を、オフレコも含めて披露してくれた。この記事では、一部は泣く泣くカットとしつつ、できるだけ臨場感を残して記録した。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
  • PHOTO BY TOMOKO HANAI
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ターニングポイントは「2021年11月」だった

──最初はマクロな話からしていきたいと思います。ご自身で投資されている会社の状況や近年のSaaS企業の動向、各VC間の現状などをお話いただけますか。

浅田日本はアメリカに次ぐ世界第2位の需要があると思っています。やはり良い会社は成長率も良いですね。私たちは創業から2年半ほど経っていまして、1号ファンドが170億円あり、3年間で92億円を出資しています。

日本では8,700億円ほどのベンチャーキャピタルマーケットがあり、その20%がSaaSに投じられている状況ですね。なお、日本の5年先をいくとされるUSではその割合は30~40%です。

──投資先のARR(年次経常収益)の成長に関しては、どのように意識していますか?

浅田できれば3倍、その次も3倍という成長をイメージして、ARR1億円のタイミングにて投資し、2年ほどで10億円くらいまでのARR成長を目指すSaaSスタートアップに出資しています。

SaaS事業は不況と相性が良いので、今後仮に国内に不況が訪れた場合、さらに強い成長が出ると予想しています。企業はデジタル化を通して経営指標を可視化していくというニーズがさらに高まるためです。

──投資先でどういうSaaS企業が上手くいっていますか?

浅田コラボレーション系がうまくいっています。コロナで一気にリモートワークが普及し、下支えするコラボ系SaaSのニーズが高まったためです。

以前はPMFするのに平均で2年かかるとされており、ARR1億円に達するまでは平均4年くらいかかるものでした。ですが、投資先のoViceは8ヵ月ほどでARR1億円を達成し、そこからさらに成長を遂げております。まさに「大波に乗ったな」と思いますね。

──なるほど。それは非常にわかりやすい例ですね。

宮宗やはり近年のSaaS業界のターニングポイントは2021年、それも11月だったのは間違いないと思っています。

SaaSであれば、お金を集めて採用と集客を行い、どうビジネスを回していくかを皆さん考えられると思うの ですが、やはり上手くいく企業といかない企業があります。実際に、多くのお客様を抱えたときに、的確なサービスが提供できるのか。また、プロダクトを改善できるチームがあるのかといった部分で得られる結果が変わっていきます。

あとは、我々のような投資家とコミュニケーションをしっかり取れるのか。投資家とコミュニケーションを取れる企業は資金調達の確率を高めている印象があります。

大切なのは「自分が自分が」とならないこと。やはり相手から見て自分たちがどう見えるかであるとか、相手の都合も考えられる企業が上手く資金調達も進めている印象があります。

──面白いですね。そういう底力も見られて判断されると。

宮宗はい。2021年11月に実際企業のコミュニケーションが2つに分かれたと感じました。ひとつはバーンレートが出ているのに、「いや、うちは大丈夫です。必ず調達します」と言ってバーンレートを落とさない企業。

一方、環境変化によるマイナスの影響をしっかり受け止めて、柔軟性を持って取り組みを大きく変えられた企業は比較的上手に仲間づくりをしながら資金を集められている所が多い印象です。

人には感情があるので、「この企業はいくらアドバイスをしても全然変えないな」と思うと、「御社だけで前進してください」と判断されやすくなります。やはり仲間づくりが上手な企業が荒波を乗り越えていくと感じますね。

私共の出資先で言えば、LegalOn Technologies(旧LegalForce)は仲間づくりが上手な1社です。

──なるほど、経営陣のみなさんが、その点、以前から上手なのでしょうか?

宮宗初めてお会いしたのは創業1年目。月間売上十数万円、社員が数名でしたが、創業期からそうしたコミュニケーションが非常に上手でした。自分の軸もありながら柔軟性もある。

当時勢いがある市場だったので、「自分だったら“こう”できます」という表現をする方もいたのですが、LegalOn Technologiesはそうではなかった。これなら大企業でもしっかり受け止めていくだろうなと感じました。その結果、初期から大企業の顧客化に成功していました。お客様もファンになるようなコミュニケーションに非常に長けていた印象があります。

水谷シードVCという私の立場からは、SaaS企業の動向として注目している事業領域について2つほど挙げたいと思います。社会環境の変化が非常に早く大きいので、スタートアップがビジネスモデルとしてSaaSを選択する事例も豊富にあるように考えています。

一つ目は、COVID-19の影響によるものです。

働き方改革の文脈からコロナ禍におけるコラボレーションの在り方や、リモートワークとオフィスワークのハイブリッドワークにおける生産性向上といったイシューに対しては、感染拡大から数年が経過した現在でも、更なるソリューションが求められているように考えています。

また、コロナ禍で需要が蒸発しかけた飲食、旅行・宿泊、ブライダルなどの業界では、人員を絞り切ってから客足が一気に戻ってきていることで、オペレーション効率化のギアが一段上がっていると思っています。

これらの既存産業の事業者さんも、コロナ禍によってZoomなどのクラウドサービスに触れた人が増えたことで、テックタッチでのセールスやCSが容易になり、営業コストが結構下がってきているという声を耳にするので、スタートアップにとってのチャンスも大きいと考えています。

水谷もうひとつの大きな変化はサステナビリティやESG関連ですね。ここは本当に大きなビジネスチャンスになってきているのを感じます。

我々の投資先でも、電力・エネルギーの領域でチャレンジしているスタートアップはもちろんですが、HRの領域でチャレンジしているスタートアップも、人的資本開示の文脈でこの一年間で強い引き合いが顧客からきています。

プロダクトの成長ポテンシャルを最大限に活かすべく、アンテナを早く立て、社会の変化の波をいち早く捉えて継続的にチャレンジできる経営チームは、力強い事業成長とファイナンスを成功させている印象があります。

──なるほど。最近だとLayerXが50億円を調達していますが、スタートアップが複数事業展開するという流れはあるのでしょうか。

水谷傾向としては増えていくと思います。スタートアップの資金調達の大型化に伴い、TAMを拡大していく上で、隣接領域で事業開発しているプレイヤーが自社の領域に攻め込んでくるということは当然想定しておくべきです。

また、一事業にフォーカスしていくなかで、そこからバリューチェーンを拡大していくことは、成長戦略に沿った自然な動きでもあり、スタートアップが得意とする新規事業立ち上げのノウハウや経験を活かして、複数事業を展開していく事例は増加する流れにあるかと思います。

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そのカテゴリーで第一想起される存在になれるかが鍵

──二つ目はSaaS企業の調達資金の活用事例です。投資家目線で活用方法を提案しているのか、使い方に変化があるのかなどをお聞きしたいです。

浅田通常調達資金の大半は採用に使われます。

2020年、21年のときのスタートアップの空気感は、グロースグロースグロースというものでした。とにかくグロース一点張りでした(笑)が、今は「バーン」「グロスマージン」「バーンマルチプル」の3つが重視されるように変わりました。次の資金調達が12カ月〜18カ月後なので、そのタイミングでCash efficientなビジネスがつくれるか問われるはずです。

──浅田さんの意思を理解して、お金が付いてくるはずだという感じでやられているんですね。

浅田そうですね。

宮宗浅田さんと重なってしまいますが、集めた資金は基本的にまずチームに使います。その次にマーケティング。

私は商売が好きなので「集客」という表現を使わせていただきますが、集客は方程式が一定確立されているので、成功事例を調査しながら取り組んでほしいと思っています。

多くの方は自分で考えてふわっとCMを打ってしまう傾向があるように感じているのですが、失敗はパターン化されているので、同じ轍を踏まないように過去の事例を参考にしながら確率を上げてもらいたいと思っています。

──宮宗さんから教えたり紹介したりすることはあるんですか?

宮宗私自身が知っていることには限界があるので、社外の信頼できる人に頼ることも多いです。答えを知っている先人の人たちの力を借りられる対話をしています。ご縁を得た方からポイントを吸収できる企業は強いですね。

水谷シードVCにいる私の場合、「まずはARR1億円を目指してやっていこう」というフェーズのスタートアップの支援をしていることもあり、集客よりもプロダクト開発の方により資金使途の比重が置かれる事例が多いですね。

ただやはり、創業間もないスタートアップが良いエンジニアやPdM、デザイナーにキャリアの場として選んでもらうのは年々難度が上がってきているように思います。

開発チームの採用をスピーディーに進められているスタートアップは、創業者が開発経験を持っているケースが多いです。あとは、英語・中国語でのコミュニケーションを取り、採用プールを拡大して海外のエンジニアにLinkedinなどでDMを送ってリモートで開発を進めてもらえるようなケイパビリティを経営チームが持っているところですね。そうしたスタートアップは事業の立ち上がりスピードで差をつけることができると思います。

また、集客やプロダクト開発以外ではチャレンジしている領域や事業テーマでカテゴリーリーダーになれるかどうかは非常に重要だと考えています。

限られた資金でその領域におけるカテゴリーリーダーのポジションを如何に取るか、取れずとも芽を出すところまでいく道筋を描けているか。こういう点にこだわってPR活動をシード期からできる企業は、スムーズにシリーズA以降のファイナンスを乗り越えていけることが多いと考えています。

──こういうセグメントでこの部分を取りましょうということをやっていくということですね。

水谷そうですね。支援先のスタートアップが手掛けるサービスに関して、世界初、日本初、業界初の要素がどこにあるのかを考えるようにしています。世界初と言われるとお客様もちょっと話を聞きたくなりますから。結局何が1番新しいのか、ユニークなのかを自分でも考えるようにしていて、第一想起されるPR戦略について起業家と一緒に考えています。

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SaaS企業と非SaaS企業とで投資判断に違いは「ある」

──VCはSaaS企業と非SaaS企業とで投資先の判断基準に違いを持っているのかが次のテーマです。これは宮宗さんにお聞きしたいなと。いかがですか?

宮宗結論から言うとあります。

SaaS企業は、シード期だとしても、顧客にプロダクトを提供すれば、すべて数値で結果が出てしまいます。どれだけ広告宣伝費をかければ伸びるのかもわかるので、ある意味すごく科学的だなと思っています。

一方で、SaaS企業には“商売感”も必要です。

例えば、これまで人件費がかかっていたところを代替するプロダクトであれば、その人件費見合いで、もしかすると高い価格設定ができるかもしれません。一方、負の解消だけを考えたプロダクトだと、値段をどうつければいいかわからなくなってしまいます。なかなか顧客単価を上げられないという悩みを持つ企業もいます。

LegalOn Technologiesは数社のエンタープライズ企業に最初無償でプロダクトを提供して実績をつくってから、有償での顧客を増やすシナリオをもって事業拡大に取り組んでいたのですが、そうしたシナリオがないまま、安い価格設定で事業を始めてしまうと早い時期にARRの規模や成長性に陰りが見えてしまう傾向が強いように思います。

──なるほど。値付けはかなり難しいですよね。

宮宗勇気がいります。値付けは、チームの胆力や器が表れるところだと考えています。「何でその値付けなんですか」というときに、シナリオを持っている企業は強いと思います。

──そこまで説明できると、営業も納得感があるでしょうね。

水谷投資の判断基準について、SaaS企業と非SaaS企業による違いで大きなところは、経営チームに求められるケイパビリティですね。やはりSaaS企業だと顧客に向き合って地道な改善ができるか、それを喜んでやれるかどうかは最初のシードで意思決定をする際に非常に大切になると思っています。

──経営チームでいうと、どういうスキルを持った人がいるといいですか。

水谷BtoBのSaaSでもグラデーションがある前提ですが、例えば中小規模の事業者向けにセルフサーブ型のプロダクトで攻めていこうとする事業であれば、求められるケイパビリティとしてBizDevよりも開発の比重が高くなると考えています。

一方、BtoBのSaaSをやるとなるとエンタープライズを攻めていく必要が高い確率で出てくると思うので、そうなるとエンタープライズの方とコミュニケーションを取りながら開発に必要な「課題欲求」を上手く吸い上げられるBizDev力ある経営チームかどうかも大事になるかと思います。

──ありがとうございます。

浅田私が投資判断する際に最も重視しているのがプロダクトの力です。プロダクトが良いと感じられれば直ぐに投資する。これを大切にしています。当然リピート率などのリテンション率も初回ミーティング後には深く掘り下げますが、初回ミーティングでプロダクトの力をみて投資判断するようにしています。

戦略系の話ももちろんお伺いするのですが、投資家としてそのプロダクトを愛せるかどうかだと思っています。私は起業家をプロダクトをつくり上げるアーティストだと思っていまして、プロダクトの将来の姿について議論することでお互いの相性についても理解を深められると思っています。プロダクトを使ってみて、プロダクト中心に会話することを大切にしています。

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まだまだSaaS企業に資金が流れるチャンスはある

──最後は2023年の予測、チャンスについてお聞きしたいと思います。

水谷シードやアーリーフェーズの調達環境は、あまり変わりません。ミドル以降にバリュエーションに関しては上場市場の状況に鑑みて一定調整が入りますということだと思います。どんどん新しいVCファンドが立ち上がっているのは事実ですし、これからさらに立ち上げるという話も耳にしますから、一定の資金が今後も供給されるとは言えるのかなと。SaaSのスタートアップについても、引き続き資金調達を続けていくんじゃないかなとも思っています。

あと、今回の大きなテーマがバリュエーションだと思うのですが、これって絶対的な指標ではなく、誰が値付けするかによって価格が大きく変わるものだと思っています。投資家がその投資を通じてどれだけのリターンを得たいかによって、株価や評価額って当然変化するものなんですよね。

なので、ファイナンスに臨むスタートアップ経営者としては、この投資家は何年で何倍のリターンを得たいんだっけというところをしっかり見ていくことが大事になります。あとは、経営者としてどこまで大きな事業を目指すことができるかという話が一層問われていくと。そこの経営者と投資家とのせめぎ合いは引き続き2023年も行われると思います。

大きく調達して成長すればいいというマーケットは変わって調整はすでにされてきてはいるんですけど、資金は確保されていますし、私としても投資を継続していきたいと思っているという感じですね。マクロというより個人の見立てになってしまうのですが。

──目を付けているSaaS領域はありますか?

水谷サステナビリティ関連事業の領域は、やはり成長スピードが速いですね。大企業のサステナビリティ対応の文脈もそうですし、再生可能エネルギーも企業の関心が強いですから、そこで名乗りを上げるところが出てくるのかなと思っています。

あとはまったく目新しいことではなく、既存のオペレーションとしてやっていることが簡単に安くできるというサービスがあれば不況のタイミングで広がりやすいとも思っていて、注目していきたいと思っています。

宮宗2021年頃の水準での資金調達はまだ難しいと思いますが、2~3年後であれば、2021年以上の調達ができる環境になっていくと期待しています。

その論拠の1つは、まだアナログ的な事業領域がたくさんあるからです。そうしたアナログ領域を代替するサービスを提供するスタートアップが大きな額での資金調達を実現し事業を伸ばせば、スタートアップへの期待もさらに高まります。アナログ代替への期待→資金調達→事業成長の好循環サイクルが回り出せば、資金調達環境は2021年以上の水準になっていくと考えています。

我々が最近出資した会社でザブーンという会社があるのですが、そこは船舶の人事労務管理のサービス『MARITIME 7(マリタイムセブン)』を展開しています。船員の人事労務管理はグローバルで問題になっていまして、国土交通省に複雑な書面を出さないといけない手間が発生しています。そうした分野をクラウドベースの使いやすいUI/UXサービスを利用すれば大きな手間から解放されるとなると、顧客は新しく便利なサービスに乗り換えていきます。

こうした規制にともない、大きな手間が発生しているアナログ的な領域を代替する便利なサービスは急速に普及していくと考えています。

浅田2023年はおそらく1兆円のスタートアップ資金調達市場になると予想しています。そのうちの25%にあたる2,500億円は、SaaS企業の調達になると予想しています。

エクイティ調達に加えて、SaaS企業向けに新しい資金調達手法であるRBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)が注目されています。クラウド上でfreeeやStripeのような財務データと連携しているので、一週間後にはキャッシュが動くので、手間が小さく、スピードが圧倒的なんです。

こういった新しい調達手段が増えているわけですが、SaaSは予測性が高くリピート率もあるので、確実性が高いんです。リカーリング契約や3年契約があるので、私が昔いた商社に比べると非常に予測性が高いビジネスなので、SaaS領域にはこれからもどんどん投資したいと思っています。

SaaSに特化して聞くだけでも、時間が全く足りない、そんなことを感じさせられた60分間だった。市況だけを見れば難しさを感じてしまいそうだが、そんな中でも成果を出している企業・事業があることがよくわかったのではないだろうか。

この後の懇親会では、起業家やCFOの面々が、キャピタリストそれぞれと濃密な相談の時間を過ごした。もし、この記事だけを読んで興味を持ったということがあれば、ぜひ次回開催時の情報を楽しみに待ってほしい。

こちらの記事は2023年04月03日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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花井 智子

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