EVENTREPORT
岩田 真吾 川村 洋一郎 及川 厚博
19-02-21-Thu

老舗×ベンチャーイノベーションを生む若手経営者が語る、事業承継の軌跡

11月29日、「事業継承のリアルと今後」をテーマとしたイベントが、スローガン株式会社2階会場にて行われました。
登壇者は三星グループ代表取締役社長の岩田氏と、川村通商株式会社取締役の川村氏です。

両氏とも、大学卒業後名だたる大企業に勤めながらも、20代の若さで家業を継ぐことを決意しました。
本イベントでは、「親族内承継の難しいポイントとは?」、
「今後事業承継はどうなっていくか?」といったテーマについて、お二人に語って頂きました。

※このコンテンツはM&Aクラウド社により制作されたものです。

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モデレーターの自己紹介と乾杯

本イベントのモデレーターを務めたのは、M&Aマッチングプラットフォームを運営する株式会社M&Aクラウド代表取締役、及川氏。同氏は、一度会社を売却した経験から、M&Aにおいて相場を図る仕組みや、買い手探しにおける有用なプラットフォームが存在しないことに不満を覚えます。また及川氏自身、父親が不動産会社を経営しており、事業承継の難しさと向き合う当事者としての立場から、こうした解決策としてのM&Aを考え、サービスを構想。

今回のイベントでは、「事業承継」というやや固そうなテーマをよりフランクに話したいというコンセプトから、(事業承継者がブランディングしている)COEDO社のビールを片手にディスカッションが行われました。

当日は「乾杯」の挨拶と共に、フランクな雰囲気で議論がなされました。
(左から川村洋一郎氏、岩田真吾氏、及川厚博氏)

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登壇者の事業継承に至る経緯とは?

まず、それぞれの現在に至るまでの経緯が語られました。

川村氏は、大学卒業後、三菱UFJ銀行でコーポレートファイナンス、ストラクチャードフィナンス業務に従事。その後、国内商社への出向を経験、現在は家業である川村通商にて取締役を務めています。

創業から87年目となる川村通商では、川村氏のお父様が3代目社長。初代社長の代で皮革産業へ参入した川村通商でしたが、時代と共に事業を多角化させます。現在では「ファミリー企業×イノベーション」の観点から、ベンチャー企業と共に「親が子供の位置情報を把握できるランドセル」の開発にも参画。その商品はグッドデザイン賞を獲得し、活動の幅を広げています。

岩田氏は、大学卒業後、三菱商事とボストン・コンサルティング・グループを経て、27歳の時に、家業である繊維業・三星グループを継ぎます。当時、「自らがオーナーシップを持ってリスクをとってチャレンジする」上で、「若い時のほうが何度でも挑戦できる」と考えていた岩田氏は、起業するよりも家業を継ぐ方がユニークな人生だと考え、事業承継を決意。

三星グループでは、衣料向け繊維素材(織物、編物)の企画・製造および自社ブランド事業の展開を始め、繊維素材の染色や整理加工、およびそこから派生し、合成樹脂の着色コンパウンド製造まで、幅広く手掛けています。岩田氏は社長として、パリの展示会へ出展するなど、自社ブランドの拡散やブランディング施策にも力を入れています。

また、岩田氏は、創立130周年に伴い、「100年すてきカンパニー」というMissionを策定。

岩田130周年という節目を迎え、改めて「100年すてきカンパニー」というMissionを定めました。Missionと聞くと通常は「成し遂げたい使命」や「事業の方向性」のことを指しますが、自社のMissionを考える上で、三星グループの様な「続いてきたことに価値がある」会社の場合、「どういった存在でありたいか」を示すものとして策定しました。

100年続いてきた中で、お客様と築いてきた信頼関係が一番の財産であり、それは今いるメンバーだけで築いてきたものでもありません。だからこそ、「短期の結果に一喜一憂するのではなく、しっかりと信頼のバトンを受け継ぎ、次の世代に伝えていかなければならない」というメッセージが込められています。

ままた、今の時代「モノを作る人」と「モノを使う人」が分断されてきていると感じており、だからこそ両者をつなぐ架け橋として「この製品や材質は、どんな人がどういう背景で作っているか」を伝えていきたいですね。

例えば、現代のIT業界やベンチャー界隈では、スーツにこだわらない多様なファッションがビジネスシーンでも認められています。岩田氏は、そうした普段スーツを着ない人に向けて、「生産性が高められる」Tシャツを開発中。こうした製品に込められた「想い」を伝えて行きたいと語られました。

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後継者に求められるスキルとマインドセットとは?

川村後継者として「若」「ジュニア」と社員から見られることもありますが、「先人を真似する」ことが求められていることではなく、「自分だからこそこの会社で何ができるんだろう」と考えて、自身ができることを探していくことが大事になってくると思います。

スキルに関して、「銀行の経験が役に立つか」とよく聞かれることがありますが、銀行はファイナンスや資金繰りといった「事業を守ること」に関して強みがある一方で、後継者に求められる様な「事業を継続的に成長させること」「次の世代に繋ぐこと」とは異なってくる様に感じます。ファイナンスのスキルは、必要でありますが、事業承継者としてのスキルとしてはそれほど重きを占めるものではありません。

岩田岩田事業を継ぐ前は、BCGにいた経験を生かすことで、「1年後、売上は倍くらいになっているだろう」と思っていたが、中々思っていた通りにならない。そんな時に、BCG時代の先輩と話した時、「1年で達成できるようなミッションではないだろう」と言われ、20年や30年という中長期的なスパンで考えていかないといけないと気づきました。30年という長さで事業を考えるという視点は、事業承継ならではの特徴のひとつだと思います。

また、事業承継者の先輩と話している際に、「なぜ自分がいきなり取締役や社長になれるのか」という話になったことがあります。その答えとして「株を持っているから」という理由はあるものの、それよりも「コミットメントの量が一番多いから」そういうポジションにつけるのだという結論になりました。その事業についての能力だけで言えば昔からいる人の方が高い中で、「その会社に人生のすべてをささげる」「何が起きても絶対に逃げない」といったコミットメントができる人こそが、「社長」の次にその役を担う「事業承継者」なのだということです。

両氏ともに、自身のバックグラウンドである銀行やコンサルの経験が「絶対に必要」ではないと語る一方で、社員との「1on1」での対話を通して、直接コミュニケーションをとることの重要性や、近年問題として取り上げられる「働き方改革」や「女性の働き方」への理解を示し、社員のことを大切にする姿勢というものが大事になってきていることを指摘します。

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老舗企業においてどのようにイノベーションを起こすのか?

岩田岩田社長をやっていると既存事業に時間を取られ、片手間だと集中し切れないため、新たな取り組みに専任で担当するチームを設ける必要性を感じています。最低一人はそういった領域に、集中して取り組む仲間をつくりたいですね。

社外におけるイノベーションに関しては、老舗企業が持っている生産設備など生かすためにも、生産性改善に意欲的なベンチャー企業などに設備を貸してあげると、喜ばれたりします。また、老舗企業である自分たちが、エンジェル投資を行うことで、「イノベーションに取り組み、常に新しい事業を探している会社」なのだという印象から、イメージやネットワーク面においてプラスに働くことが多いですね。

川村僕もベンチャー企業への出資をしていますが、「ファミリー企業は第三者とどう組めるか?」というのが大事で、ベンチャーなどの人と志が合った場合には良いマッチングになると思っています。トラッキング機能付きランドセルも、相手方の社長の想いと、自社の強みを組み合わせてwin-winになるという流れで作られました。ファミリー企業自社たちだけでやるのは限界があると感じています。

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事業継承におけるHard Thingsとは?(事業継承するか悩んでいる際、何をすればいいのか?/事業承継する場合は、何を握るべきか?)

川村(事業承継をするか迷っている場合、)売却することもひとつの選択肢です。それを決断する上で、後継者と先代で「何を残したいのか」を話し合うことが大事です。それは、例えば「名前」なのか、「家族の安定」なのか、「社員」なのか。その順番を考えてやるべきです。

例えば、社長に「何を残しますか?」と聞いた時、「名前を残したい」という人は結構多いです。そんな時は、親子間でしっかり話していくべきだし、「従業員を保護したい」となれば、選択肢の一つとして売却も視野に入ってきます。ただ、お互いに経営理念や方針を持っている当事者同士ですから、そんなに上手く話し合いは進みません(笑)。

話し合いが難航した場合は、第三者を通じたり、母親を通して話すといった様に、全方的に話し合いながら、双方にとって納得のいく道を探れると良いのかなと思います。

岩田(事業継承をする際は、何を握っておくべきか?)先代と意見が分かれた時に、どちらの意見を優先するのかは、お互いに認識しておいた方が良いと思っています。株の相続という実務的な話もありますが、それ以上に、どちらがこれからの会社や事業について責任を持ってやりきるのか、という視点が大事です。

(事業承継を決断する上で、)人間はどこか弱い部分を持っていて、誰かに「継げ」と言われて継いだという意識であれば、辛いことがあった時に、多くの場合「他の人のせい」にしてしまいます。事業を継いだ後に、辛いことはたくさんある中で、「自分が継ごうと思って継いだ」という意識を持ちやっていくべきです。

だから、「親に言われたから」という理由で事業承継を決断するのではなく、必ず自分の中で理念や意思を固めて、自分の人生として意思決定を行うことが最終的には大事になってくるのです。

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