海外スタートアップ事情、ぶっちゃけどれくらい追うべき?
VCが明かすビジネスヒントの見つけかた
事業を新たに始めるうえで、海外の事例を徹底的に分析し、インスピレーションを得たと語る起業家は少なくない。たとえば、今やグローバルでも存在感を発揮するソフトバンクグループも、先行する海外のニュービジネスを日本に持ち込んで成功させる「タイムマシン経営」を用いて、大きな成果をあげてきた。海外のトレンドの把握は、ビジネスを展開するうえで非常に有利に働きやすい。
FastGrowは2021年1月、次なる偉大な事業家を生み出すため、道を開拓してきた現役事業家の経験に学ぶ「FastGrow Conference 2021」を開催。その中のセッション「ビジネスヒントを見つけろ!VCが明かす、海外スタートアップトレンド」に登壇したのはOne Capital 代表取締役CEOの浅田慎二氏とDNX Ventures Investment VPの湊雅之氏だ。モデレーターは、FastGrow 事業部長・編集長の西川ジョニー雄介が務めた。
「新型コロナウイルスの流行で、政府総出でリモートワークを推進する今年は、100年に一度のSaaSの大波が来ている」と語った二人。変化を捉えて、波に乗るために、いかにしてトレンドをつかんでいくべきなのだろうか?
- TEXT BY RIKA FUJIWARA
- EDIT BY MASAKI KOIKE
83億円ファンドを運営する浅田氏、グローバルな投資をする湊氏
西川司会進行を務めます、FastGrow編集長の西川ジョニー雄介と申します。よろしくお願いします。このセッションの登壇者である浅田さんと湊さんは、セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)時代の元同僚で、久々の再会とのことです。テーマに関しても、読者の皆さまに事前アンケートを取ったときに「ぜひ聞きたい」という反応が多かったセッションです。
それでは、浅田さん、湊さんの順に自己紹介をお願いします。
浅田初めまして。One Capitalの浅田慎二と申します。2020年7月7日に独立し、83億円規模(2021年1月時点)の独立型のファンドを経営しています。以前は湊さんとSalesforce Venturesで働いていて、2015年からSaaS企業に特化して投資していました。
Forbes JAPANの「日本の起業家ランキング2019」のBEST10のうち、7社に出資しています。ちなみに、これは非上場の起業家のリストで、上場するとこのリストからどんどん卒業していくんです。過去の出資先だと、freeeやヤプリなどが上場しました。この中に掲載されている起業家の会社は、ほとんどが上場していくのではないかと思っています。
湊初めまして、湊と申します。2020年までSalesforce Venturesにいて、浅田さんと一緒にSaaSのスタートアップに投資していました。今はDNX Venturesで、ロンドンのスタートアップに出資しています。
もともとはテック界隈ではなく、大企業にいました。BASFというドイツの化学メーカーでエンタープライズ営業を経験したあと、アメリカに留学。帰国後はボストンコンサルティンググループで、メーカーのターンアラウンドを支援しました。VCとしては3社目でBtoB向けSaaSに特化して出資をしています。
今はロンドンで、妻と娘1人と犬1匹で暮らしています。ロンドンは外に馬が走っていたりしていて(笑)、楽しく過ごしています。
私たちDNX Venturesについても簡単にお話しします。BtoBに特化した日米のアーリーステージのスタートアップをメインに投資をしているVCで、日本円で約330億円規模の3号ファンドを運用しています。パートナーは5人です。
ファンドの投資領域についてお伝えします。日本は95%がクラウド・SaaSです。海外では、アメリカとヨーロッパに2社投資先があり、サイバーセキュリティやFrontierTechに投資をしています。FrontierTechは、宇宙領域が中心で、衛星データを使うものが含まれています。
あとは、われわれのLPにカード会社といったリテール系の企業がいらっしゃるので、FinTechやRetailTechなども、アメリカでは積極的にやっています。Retail Techは、日本でもDXのニーズがあるので、投資に力を注いでいる領域です。
西川ありがとうございます。本日は「起業家が知っておくべき“トレンド”との付き合い方」「グローバルマーケットと日本の『差』」「2021年は、〇〇の年になる」という3つのアジェンダを用意していますので、早速ディスカッションに移っていければと思います。
海外トレンドはどこから仕入れる?
マクロトレンドはどれくらい気にすべき?
──VCたちの情報収集術
西川では1つ目のアジェンダ「起業家が知っておくべき“トレンド”との付き合い方」について、お伺いしていきたいと思います。
マーケットのトレンドを追うことは、起業家をはじめベンチャー・スタートアップに関わっている皆さんにとって重要だと思います。事前のアンケートでも、情報収集の仕方をはじめ、情報との向き合い方に関しても気になっている参加者が多いように感じられました。お二人は、どのように向き合っていますか?
浅田これは僕の考え方のベースになるのですが、成功している人やVC、SaaS企業などについては、貪欲に情報収集すべきだと思っています。成功に至るまでに、いろいろな失敗もしているので、経験知が詰まっているんですね。
SaaSに特化したVCはもちろん、起業家でも0→1で立ち上げてきた経緯をブログにまとめている人もいますよね。あとはOpenView Venture Partnersという、やたらSaaS企業の経営成績を発信しているような企業もあります。ここは、もはやVCなのかコンサルティングファームなのか、よくわからないぐらい多くの情報を出しています。海外の情報を集めたうえで、国内のトレンドにもとづいて事業構築をすればいいと思うので、情報収集しすぎて困ることはないでしょう。
西川湊さんは、トレンドとの向き合い方についてどうお考えですか?
湊おっしゃるとおり、BtoB領域は、プロダクトの技術スタックや法規制を含め、進化の過程がどの国でも6割ぐらいはあまり変わらないです。そういう意味だと、海外のトレンドはちゃんと追っていくべきだと思います。
とはいえ、日本とアメリカで差分があるところはあります。要は、よく「Why now?」と言われますけれども、「なぜ、今このスタートアップは出てきているんだろう」と思考を巡らせるのは、とても重要ですね。
あとは上場マーケットがどう評価するか。特にSaaSに関していうと、エクイティストーリーをどう描いていくかは、個人投資家だけでなく海外の機関投資家も興味を持つので、すごく重要なところです。その観点でもトレンドはキャッチアップすべきだと思います。
西川ありがとうございます。情報チャネルについては、メディア、ブログなど、お二人がオススメする情報源はございますか?
湊One Capitalさんのnoteじゃないですか。定期購読するといいと思うんですけれども(笑)。
浅田僕は、DNX VenturesのSaaS Blogをオススメしようと思いました(笑)。
西川お二人のnoteやTwitterですね(笑)。
浅田湊さんのブログやTwitterは、わかりやすく噛み砕いてくれているので、絶対にフォローした方がいいと思います。
あと、日本でも徐々にSaaSの情報の透明度というか、情報量が増えてきていると思います。欧米系の市場規模は日本よりも大きくて、すでに十数兆円あるとされていますが、日本はまだ5,000~6,000億円と言われているんですね。
5,000~6,000億円という数字はボクシルにも出ていますが、僕は「そんなに大きいかな?」と疑問に感じています。市場規模は基本的に売上の総和のはずですよね。Sansanが約150億円、freeeが約100億円、セールスフォースの日本法人ですら官報で公表している数字を見ると約1,000億円だから、5,000億円に届かないのでは、と。僕の肌感では、日本の市場規模は約3,000億円しかないんじゃないかと思っています。
つまり、3,000億円相当の情報量しか流通していないんです。市場規模が世界で約15兆円あるのであれば、それ相応の情報が流通しているはずですから、ポッドキャストで「SaaS」とか「SaaS growth」とか入れると、山ほど良いポッドキャストが出てきます。アメリカでいうとSaaStrとかは鉄板じゃないでしょうか。
西川湊さん、海外のチャンネルやメディアでオススメのものはありますか?
湊僕はオタクなので、いろいろやりすぎている部分がありますが……(笑)。僕が何をやっているかをお話しすると、よく「鳥の目と虫の目」と言われますが、要はミクロとマクロの両方の情報を追っているんですね。
マクロの面で言うと、欧米のクラウドやSaaSのトレンドを追っていくうえでは、浅田さんもおっしゃっていたSaaStrはいいですよね。日本人でも、浅田さんやDNX Venturesの倉林陽さん、ALL STAR SAAS FUNDの前田ヒロさんは、国内外の情報を両方発信してくれていますね。日本の投資家の人たちは、海外の情報を日本向けにわかりやすく伝えてくれているので、Twitterやnoteなど、彼らのコンテンツをフォローしておくと、すごく役に立つと思います。
あわせて、業界ごとの法規制の変化も追っています。SaaSは法規制の変化に伴って新たなプロダクトが出てくるケースが多いと感じていて、特にイギリスはその傾向が強いんです。たとえば、アメリカのFinTechに対抗するために、イギリスではコンシューマー向けのFinTechであるチャレンジャーバンクなどを作っています。法規制が変わってコンシューマー向けのFintechが多く出てきたときに、その裏側を支えるようなBtoB向けのSaaS企業が台頭しだすんです。法規制の変化については、日本だと日経新聞などによく出ていますよね。
ミクロの観点でいうと、ポイントが2つあります。1つ目は、BtoCのテクノロジーの変化に目を向けること。なぜかというと、Slackで今、絵文字が普通に使われていますよね。でも、その絵文字はSlackが開発したわけではない。もともとFacebookのメッセンジャーやTwitterで長くコンシューマーが使ってきたものです。BtoBのコミュニケーションにおいても、対企業とはいえ、結局は「人」が相手ですよね。今、どんなアプリやUIが使われているのか。そういった、コンシューマー向けのテクノロジーを理解したうえでBtoBに実装していくのは、一つの勝ち筋になりうるかなと思います。そうした意味で、海外の潮流を追うというよりも、身近なところに目を向けるとヒントを得られるかもしれません。
2つ目は、いろいろな業界の人と話すことが大事だと思います。起業において重要なのは、「自分しか知り得ない真実」なんです。ピーター・ティールも『ゼロ・トゥ・ワン』で、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」と問いかけていますよね。たとえば、顕在化している日本国内の課題として、労働生産人口の減少が挙げられますが、そうしたマクロの課題だけでなく、さまざまな現場にいる人たちと話してみると、より臨場感のある課題やリアルタイムで直面している課題をつかめるんですよね。
だから逆に言うと、僕たちVCはありがたい立場です。起業家を通して顧客の話を聞くこともありますし、その顧客と直接話す機会もあります。さまざまな立場の人と話すことで、トレンドの変化やボトルネックがわかる。ですから、VCや起業家、大企業に勤めている友人など、さまざまな課題を把握していそうな立場の人たちと接点を持つのがいいと思います。私も意識的にやっていることですね。
西川ありがとうございます。事前に「情報収集を効率的にやるために、良いツールはありますか?」というご質問をいただいていました。管理ツールなのかRSSなのか、お二人がオススメするものはありますか?
浅田……Twitterってやつですね(笑)。
西川初めて聞きました(笑)。
浅田過激なことを発言すると規制されてしまうので気をつけてください(笑)。 メディアでいうと、ある種、欧米のビジネス誌の鉄板であるForbesさんが出す「Forbes Cloud 100」のリストはチェックしておいた方がいいでしょうね。毎年秋に発行される未上場の有望なクラウド企業のランキングです。100社すべて見る必要はありませんが、トップ10やトップ20に、かなりトレンドが凝縮されています。
西川先ほど湊さんから、法規制の話が出ましたね。スタートアップ各社、自社との類似業種や類似企業といった競合の情報収集はもちろんのこと、「マクロ経済の情報やマスメディアとの向き合い方はどうしたらいいですか?」という質問が来ています。マクロ環境の捉え方や考え方についてはいかがですか?
浅田VCは多少マクロ寄りの理解をしながら進めなければいけません。結局、ファンドに投資してくれるLPは、マクロレベルの動きを見ながら、アセットに入れるべきかどうかを考えています。そのため、彼らと会話をするうえでは、多少マクロの話が必要です。マクロといっても、別にGDPを延々と語るわけではなく、政府の動きについての話をします。たとえば、今だとデジタル庁の創設に向けて動き出して、クラウドファーストにした戦略が出てきているとか、IT調達も、オンプレミスよりもSaaSやPaaSやiPaaSといったクラウドを優先させようと、政府が2019年に購買の制度を変えたとか、そういった話をしますね。
とはいえ、起業家の人たちは、そこまでマクロな話は勉強しなくていいと思います。それよりも、目の前の業界について理解を深めるべきです。ターゲティングを疎かにする方がリスクだと思うので、むしろミクロダイブしまくった方が僕はいいと思いますね。
湊僕もそのとおりだと思います。マクロに関しては、力を入れすぎる必要はないかなと。たとえば矢野経済研究所などが市場の傾向を算出したデータがあるじゃないですか。僕もコンサルティングファームにいたときによく使っていましたが……すでに出ているデータをもとに、狙いを定めるのは、その時点で遅いので、あまり意味がないかなと感じます。「盛り上がっているからやりました」「原体験はないけどやりました」という話をたまに聞くのですが、顧客のインサイトもないですし、常に伸びているとしたら、大企業も含めて他の人がやっているので、その人がやる理由が薄弱です。
浅田確かに。VC向けのピッチデックに、矢野経済研究所のデータが1ページぐらいあってもいいのですが、5ページぐらい割かれると、ちょっと寂しい気持ちになりますね(笑)。
湊おっしゃるとおりです。
10年遅れのテクノロジーの発展、
会社“外”に多く存在するエンジニア。
日本はITとの距離が遠い?
西川では2つ目のアジェンダ「グローバルマーケットと日本の『差』」に進みます。市場や企業、スタートアップのグローバルと日本の差を、お二人はどう感じていらっしゃいますか?
湊いろいろありますが、特に実感している点を3つ挙げたいと思います。
1つ目は、クラウドの状況以前に、新型コロナウイルス感染症への対処状況がまったく違います。日本は緊急事態宣言が発出されたといっても、営業している飲食店や小売店が少なくないですよね。でも、イギリスは営業が禁止されているので、ずっと閉まっている。
その状況での生き残り戦略として、デリバリー専門の飲食ブランドが台頭するなど、店舗自体のDX化がかなり進んでいます。今後、日本のトレンドがどうなるかわかりませんが、飲食業や小売店のDXという意味だと海外のトレンドをキャッチアップしていく必要性はありますよね。特に在宅でモノを買うという意味では、ネットスーパーも含めてかなり浸透しています。日本でDXを推進していくうえでも、この流れを注視していくべきだと感じています。
2つ目は、クラウドの進展が日本はアメリカに比べて10年ほど遅れているという点です。今の日本は、オンプレミスからクラウドに移行するフェーズですが、アメリカではリーマンショックのときに爆発的に起こったことなんです。2008年や2009年にかけてなので、ちょうど10年ぐらい前です。昔作ったスライドを共有しますね。
湊イメージでいうと、SaaSが広がる前提条件のようなものがあるんです。第1世代は、僕らがいたようなセールスフォース。ある意味、SaaSの生みの親でもあるのかなと。ASP(Application Service Provider)も第1世代かなと思います。
その後の第2世代では、2006年にAWSが出てきて、安価かつ簡単にSaaSの開発が可能になりました。DevOps(デブオプス)という、要はSaaSの起業家が簡単に開発できるようなプラットフォームですね。それからHR領域のテクノロジーであるヒューマンキャピタルマネジメント、インダストリー SaaS、バーティカルSaaSが出てきました。専用のヘッドセットを使った、VR百貨店などもありますね。
第3世代になってくると、アメリカではクラウドをまとめるようなiPaaSなどが出てきます。パンデミックによって、日本でもコラボレーションツールを使わなければいけない状況になり、広がりつつはありますが……やはりアメリカの方がホットではありますね。そういう意味では、もう少し時間がかかりそうなので、どのようにクラウドが進展していくのかを捉えたうえで見ていく必要があります。
たとえば、アメリカのID管理サービスの『Okta』が伸びているとしたら、前提条件として、そもそもID管理のツールが増えていないと成長しないですよね。そういう意味では、アメリカのセクターの進化を調べるのは大切だと思います。それこそ浅田さんや僕たちのようなVCは、そういった進化を日々追っているので、話してみると情報収集ができるのかなと感じます。
3つ目に移りますね。マッキンゼー・アンド・カンパニーが2020年9月に出した「【マッキンゼー緊急提言】デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」をもとにお話しします。このレポートには、日本の他にアメリカとドイツのITエンジニアが、雇用されている場所が記載されています。
湊アメリカとドイツは、ほとんどのITエンジニアが大企業で雇用されています。ITリテラシーの高い人たちが社内にいる状況なので、デジタルを実装しやすいんです。 一方で、日本ではITエンジニアは、SIerをはじめとしたITプロバイダに雇用されています。大企業がITの知識に乏しいという前提で開発に臨まなければいけない。ですからプロダクトの作り方なども、若干違うんですね。端的にいうと、アメリカのプロダクトに比べて日本のものは、UI / UXをかなり使いやすくしないと浸透しにくいです。特に、ノーコードのプロダクトが日本には必要だと思います。
西川浅田さんは、日本と海外の差を感じることはありますか。
浅田まずお金の面でいうと、年間5兆円ぐらいがSaaS企業に流れているのに対して、日本は800億円ぐらいで、ピーナッツみたいなサイズです(笑)。僕は、この「年間800億円」というお金の量を増やしたいと考えて独立しましたし、DNX Venturesさんのような300億円ファンドも出てきています。僕とDNX Venturesと、ALL STAR SAAS FUNDをやっているBEENEXT、あとはセールスフォース・ベンチャーズがSaaSに特化していますね。とはいえ、まだまだ全然お金の総量が足りません。お金が流れるようにするため、僕は海外の機関投資家と積極的に話をして、ミドルやレイターステージのスタートアップにもにどんどん投資してもらえるような流れを作りたいと思っています。
目安としては、SaaS企業1社あたり100億円を調達したら、100億円のARR(年間経常収益)を作れると思っています。もちろん、経営の上手さもありますがね。ただ、100億円を集めるためには、われわれ単独では無理なので、海外から流し込みたいと思っています。
次に、人の面についてお話しします。僕もセールスフォース時代に、「The Model」の導入を一生懸命提唱していました。これを実際にインストールした会社は成長しています。ちなみに、以前Twitterに書きましたが、アメリカで「The Model」と言うと、「何それ?」と言われます。「要は集客から商談、クロージング、カスタマーサクセスまでを分業して、情報を可視化し、部門を越えて連携をしていくことだよ」と伝えると、「え、それ普通じゃないの?」と。「いや、日本では普通じゃないんだよ。The Modelを否定する人もいるんだ」と言うと「どうやって営業しているの」と聞かれて。「ひたすら最初から最後まで同じ人が手がけるんだよ」「それってアホなの?」とも言われました。
向こうは、もっと解像度が高いんですよね。「The Model」のように分解分業して効率化するのは当たり前。インサイドセールスのフィルタリングの質問をどうすべきかなどを考えています。最近だと商談の内容を可視化するMiiTelさんとか、すごくいいテクノロジーが出てきています。電話しているときはブラックボックスだから、録画録音したデータにもとづいて自動分析して、自分でトークを解析するテクノロジーです。 どんどんテクノロジーが深くなっているんです。そうすると、下手したら1分あたりの効率性まで測れるような時代になってくると思います。
冒頭の質問で「どういうふうに情報収集すべきですか」とありましたが、いろいろなデータが出てきていますから、それらを参考にしてみてはいかがでしょうか。日本のSaaS企業の中で、そこにいち早く投資をしてインサイドセールスの効率を上げている会社は非常に良いMRRを作れるでしょうから、競争優位につながっていると思いますね。なので、ぜひ海外の情報を貪欲に収集してほしいです。
そして、情報収集をしても実行しないと意味はありません。実行の方こそ難しい。僕がタイガーウッズの本を読んでも、ゴルフのスコア100を切れないのと同じです(笑)。失敗も含めて、実践の数を増やして質を高めていくことが大事だと思います。
西川今のお話、Day1のセッション「起業家よ、この国を出よ──海外から見た、日本人の可能性」とも絡めてのご質問が来ています。オーティファイ、RamenHero、Anyplaceの、3名のCEOに出ていただいたのですが、彼らは口を揃えて、「日本のプロダクトの品質は高いから、英語の壁さえ越えてしまえば日本の企業のスタートアップは海外でも通用するんじゃないか」とおっしゃっていましたが、お二人はどう感じますか? というご質問です。日本のベンチャー・スタートアップは、海外拠点において、本気で始めればうまくいくものなのでしょうか?
浅田ざっくりとしたアプローチだと、絶対に失敗すると思います。BtoBのスタートアップの、BtoCとの一番の違いは、あくまで「国境」ではありません。アメリカであれば、州ごとやセグメントごとに、ユーザビリティがまったく違うんです。ですから、「アメリカへ進出しよう」というざっくりした感じではなく、販売のチャネルやオペレーションをきちんと確立させていかないといけない。「ノーコード・ローコード」の時代になってくると多少変わるかもしれませんが、ここはまだ小さいマーケットですから。
セールスフォースは、オペレーショナルエクセレンスの完成度が非常に高いんです。セールスパーソンのインセンティブの仕組みも、ものすごく科学されています。正社員とコントラクター(契約社員)が、セールスディベロップメントにもいるのですが、コントラクターのオンボーディングやリテンション、インセンティブの仕方などが、かなり細かく設計されています。
それは表に出てこない情報ですから、「アメリカで有力な企業とパートナーシップを組めばいけるんじゃないか」と勘違いしがちなのですが、「プロダクトのユーザビリティがいいから、海外でも通用する」というほど単純ではありません。作っているプロダクトがどういうチャネル、インセンティブやオペレーション設計を通じて売れるのかというマーケティングの手法については、それこそアメリカの先行者の事例を研究して、真似ていくことが、少しでも速くグロースさせる方法だと思います。
西川湊さんいかがでしょう。
湊BtoBとBtoCの違いだと思います。BtoBのプロダクトは、基本的にビジネスで使うものなので、ターゲットとなる国の法規制や商習慣はもちろん、各国で使われているUIが結構違うんですね。日本のサービスやプロダクトの品質が良いから持っていくといっても、「品質が良い」の定義もかなり違うので、難しいです。
たまに海外に進出したいという起業家の方もいらっしゃるのですが、本気で目指すのであれば、海外を拠点に戦うべきです。日本から広げようとすると、正直言って難しいと思います。たとえばインドの起業家がいきなり「日本のマーケットに入りたいです。でも、インドでサービスを立ち上げて徐々に拡大します」といっても、「矛盾していないか?」と、多くの人が思うでしょう。満足なサポートも受けられなさそうですし。それと同じ感覚で、BtoBは若干ハードルが高いように感じられます。
政府総出でのテレワーク推進。2021年は100年に一度の大波か
西川では3つめのアジェンダ「2021年は〇〇の年になる」にいきたいと思います。2021年はどんな年になりそうでしょうか? 注目すべきジャンルなども踏まえながら、お二人の視点からお伺いできればと思います。
浅田僕は、2015年から毎年「今年はSaaSの年になる」と言い続けてきていますが(笑)、変わらず2021年はSaaSの年になると、言いたいと思います。
言葉は一緒ですけれども、中身はだいぶ変わってきています。たとえば、テレワークが当たり前になって、自宅で仕事をすることによる税制優遇が出てきています。政府総出でテレワークを推進していますので、合わせてテレワーク用のツールも推進されているんですね。日本のSaaSの業界にとって、大波が来ていますよね。この波に乗らずして、いつ乗るんだという気がしています。半年後のプロダクトリリースやマーケティングの企画も、どんどん前倒しした方がいいですね。
プロダクトのリリースを前倒ししたとしても、ソフトウェアなのでベータ版ですよね。どんどんチューニングできますし、チャーンが出たらその理由を分析して活かしていけばいいですし、早くやるべきです。
この大波はそうそう来ないです。100年に1回という説もありますから。
西川湊さん、いかがでしょう。
湊注目しているところをお話ししますね。ニューノーマルに移り変わりつつある中で伸びているSaaSは、結構あると思っています。僕自身がいろいろな起業家と話している中で感じるのが、「SaaS×FinTech」の組み合わせが増えていること。デジタル決済は導入ハードルも低いですし、コロナで単純に現金を使いたくない、使えないというケースがある。そこを皮切りに、SaaSと組み合わせて展開していく傾向は、日米問わず増えている印象があります。
あと、BtoB決済においても、アメリカのCoupaというスタートアップが台頭しています。時価総額は、日本円で数兆円規模。浅田さんと僕もよく使っていた「Coupa Payments」というBtoB決済のプロダクトは、コンシューマーの決済に比べてかなりボリュームが大きい。SaaSから圧倒的に大きなFintechの領域を攻めていくのは、2021年のトレンドになるかなと感じています。
それ以外にもいろいろな領域がありますが、総じて「質は変わったもののSaaSの年である」という見方は、浅田さんがおっしゃるとおりだと思います。
浅田個人的な想いをお伝えしますね。AIベンチャーで上場している企業が日本で4~5社出てきたじゃないですか。彼らの関係者に聞くと、プロダクトをSaaS化していきたいと言うんですね。つまり、「AI×SaaS」の領域に進出しようとしている。SaaSは仕様上、データを体系立てて実装させられるので、とてもよく整理された良質なデータ群が生まれるんです。そこに機械学習などのAI技術が組み合わされば、いろいろなことができると思っています。
たとえば、個別最適化によって、湊さんが見ている画面と、僕が見ている画面が変わるとか。ダッシュボードで自分が見たいものを手動で選ぶのではなく、自動で表示される。Googleのサジェスト機能が使うたびに賢くなっていくのと同じように、どんどんチューニングされるのではないかと思います。『Salsforce』でも、バック、フロント、ミドルの人によって使い方が違うので、自分で画面設計を移動させるのではなく、UIの部分が最適化されていきそうですよね。
あと、プロダクトを契約する際に、「松竹梅」という形で毎回出てくる価格ページも、自分にマッチした値段のものが出てくる機能が出てきたら面白いですよね。これはユーザーのIPアドレスを読む必要があるので、プライバシー保護に関する法律的な問題があるので、それをかいくぐる前提ですけれども。
そして、最終的にはSaaSを使ってのカスタマーサクセスに注目が集まるでしょうね。会社の規模や職種がそれぞれ違うので、かなりチューニングされたカスタマーサクセスが、何らかのSaaSで実現できるようになったら、可能性は無限に広がると思います。「AI」がSaaSの中に流れ込むと、僕は非常に良い年になるんじゃないかなと思っています。あくまでも2021年は、初期段階ですね。2021年から2025年までの間に、「使っていくうちに、どんどんUIもよくなるし、価格も各々に合ったものが提案されてくるし、カスタマーサクセスにもつながる」といった日本発のグローバルSaaSが出てくるのかなと考えています。
ローカルの課題に根を張れば、
日本からもグローバル規模のスタートアップは登場しうる
西川この後、質疑応答に移りますが、お二人同士でご質問し合いたいことはありますか。
浅田では湊さんに僕から質問します。2020年の「Forbes Cloud 100」を見ると、その多くをDevOps系の企業が独占していますよね。1位だったアメリカのSnowflakeが上場したり、13位のGitLabが、気づいたら時価総額が6,000億円になっていたり。日本からは、それぐらいの規模のDevOps系のスタートアップは出てくると思いますか?
湊簡単なことではありませんが、領域によっては出てくると思います。一般的には、DevOpsやDevSecOps(デブセックオプス:DevOpsに、セキュリティーを加えた開発手法)、サイバーセキュリティなども含めて、アメリカは新たな流行を作り出すトレンドセッターであり、コンピューターエンジニアやコンピューターサイエンスの発祥の地でもありますよね。そういう意味では、トップランナーのアメリカのプロダクトがグローバルで使われるというスタンスの中では、日本からはなかなか出にくいと思われても仕方がない。
ですが、浅田さんが投資されていたオーティファイなどの領域はローカルに根ざした部分もありますよね。オペレーションやリテラシーレベルが違うところがあると考えると、日本から出てきてもおかしくないと思います。
浅田いいですね。イギリスだと、セキュリティ関連のSnycという会社がありますよね。
湊ありますね。Snycは大きい。イギリスはセキュリティ周りが強いですよね。日本との大きな違いでいうと、オックスフォード大学やケンブリッジ大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンといった世界のトップタレントを集められるだけの大学があるんですよね。イギリス人が賢いだけではなく、中国人やインド人などの優秀なエンジニアの人たちが来る土壌があるところが、有力なスタートアップが出てきている理由だと思います。 日本の東京大学や京都大学、慶應義塾大学にも頑張ってほしいんですけれど……。まだそのレベルには達していないように感じられるので、どちらかと言うとローカルに根ざしたDevOpsに期待したいですよね。
浅田僕も同感です。僕からまた湊さんに質問ですが、2021年はSaaSの国内ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSl、どちらに投資したいですか?
湊グッドクエスチョンですね。僕は基本、バーティカルの方が好きです。バーティカルは海外のスタートアップが進出しにくい。そもそもの商習慣や商流が違うので、つなぐ相手も変わってくるんですよね。そういう意味ではホリゾンタルl SaaSが海外から入ってきて、日本の大企業でDXが進む部分はありますが、バーティカルの領域は取り残されるところが多いんです。したがって、大きなチャンスがあるし、日本でユニコーンがどんどん出てくるような領域になるのではないかと思います。
浅田確かに。あと株価は、上場も非上場もアップダウンがありますよね。勇気を出してレストランホテル業界のSaaSに投資をするべきなのか、様子を見るべきなのか、僕も悩んでいるんです。結構、有望なレストラン向けのSaaSも登場してきています。悩ましいポイントですが、どう考えていますか?
湊ダメージはかなり受けていますが、正直「今やった方がいい」と思っています。なぜかというと、お客さん側がペインを感じている時期だと思うんですよ。このペインを解消できれば、お金が付いてくるかと問われると疑問が残りますが……。とはいえ、飲食店に「皆さんの食への需要が減っていますか?」と聞いてみると、全然減っていないんですよね。当たり前ですが、コロナだから食への欲求がなくなるわけはないので。 そういう意味だと、チャレンジングではありますが、逆にDXがすごく進みやすいタイミングだと思います。
浅田僕も、関与しているレストランテック系の経営者から「廃業が進んでいる分、デジタルを実装したうえで、新たにオープンする店舗が出てきている」と聞きました。そのタイミングで、マーケットリーダーとしてシェアを取っていければ、レストラン業界も必ず復活するので、その時に非常に良いビジネスが作れるかもしれないですね。
湊まったく、その通りだと思います。今のイギリスの状況もそうなのですが、そもそもデジタルが起点になっている店舗が増えている印象を受けますね。もともと、実店舗で自分のブランドを展開していた人が、若者にリーチするためにWebにシフトして展開していく例があるんですね。日本でもこのパターンの店舗は出てきそうな気がします。パンデミックがどこまで続くかはわかりませんが、かなり厳しい状況というのは理解していますので、あり得るかなと思っています。
浅田僕もホリゾンタルSaaSの話をすると、ものすごくたくさんの企業があるんです。別に日本だけの特徴ではないと思うんですけれども、たとえば一つのセグメントで3社しか残らないということは絶対にありません。特にBtoBでは、ものすごくマニアックなニーズがそもそも日本の企業はあるじゃないですか。ゼロスクラッチで、オンプレミスのソフトウェアを開発する文化がある。ですから、SaaSも10億円ぐらいのレベルだったら、下手したら同じセグメントに50社ぐらい残れるんじゃないかと思っています。Winner-takes-allでは、こういったマーケットもないですよね。
湊全然違いますね。よくCRMだと「セールスフォースがいるからやるのがおかしいよね」という話になるんです。別にセールスフォースがいようが、アメリカにも日本にも、実際に伸びている企業もたくさんある。要はB2B SssSというのは、GAFAみたいな領域ではないというのがいいところかなと思います。
浅田本当ですよね。ありがとうございます。
湊僕も浅田さんに質問させていただきたいです。どちらかというとお客さん側、大企業の経営者が、コロナの前後でどこまでマインドセットが変わっているのか。合わせて、具体的な行動として何か変わったところがあるのかも教えていただけますか?
浅田われわれのファンドに出資いただいている大企業2社と、かなり濃い交流をするようになりました。そこはわれわれのファンドに出資してくれたというのも一つのシグナルなんですけれども、積極的にこのタイミングで働き方のあり方を、考えるのではなくて「変える」と決めて、どんどん実践しています。
具体的には、最初にエンゲージメントスコアをはかるために組織の状態を可視化する『wevox』を入れました。大企業で数千人の規模単位で実施しているんですけど、モチベーションのアップダウンも実値で見られます。すると、悪いところをまた別のHRテクノロジーを入れてもっと可視化しようという動きが生まれる。コラボレーションのスコアが低かったら、協業促進プラットフォームの『BeaTrust』をPoC(実証実験)で、使うなど、積極的なデジタル投資を実行していますね。
この2社以外、私たちはあまり直接関係していないので情報は持っていませんが、様子見の会社と積極的に実践している会社で、すでに動きが変わっていると思います。いろいろなSaaSを買っているので、多少予算の状況把握をするための質問をしたんですけれども、「オンプレミスのソフトウェアに、かなり多額の保守料を払っていたのですが、それをやめたので予算はいくらでもありますよ」と言われるんです。「SaaSはとても安い」という反応もありますよ。
あとはクリアすべき問題が、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)といった、セキュリティのポリシーですね。セキュリティと言われると、戦々恐々とするかもしれませんが、情報資産をいかに守るのかといった「プロセス」なんですね。そこさえちゃんと設定できれば、いくらでもSaaSは導入してもらえるチャンスはあると思います。よくわからないから、セキュリティポリシーに着手していない大企業の経営者もいると思うんですよ。かつ、外部のSIerに丸投げしているケースもある。そういった企業は、いまだに「Zoomの導入は無理です」と言ってくるんです。そこが見分けるポイントですよね。「よし、これは説得したらSaaSを導入してもらえる可能性がある」みたいな。それぐらいでも僕はいいと思います。
湊とはいえ、スタートアップからすると大企業にいきなりセールスに行くのはハードルが高いといいます。どのように接点を持っていったらいいのでしょうか。
浅田SaaSは生産性を向上させるためのソリューションなので、僕は経営企画へのアプローチは外せないと思います。場合によっては、予実管理をするだけの部署の場合もありしますが……。そうではなくて、経営戦略を実行する責務を担っている部署であれば、経営企画へのアプローチは有効だと思います。
場合によっては、DXを進めていくDX室というのもあるので、そこにアプローチするのもいいと思います。 他には、情報システム部門にアプローチするのも悪くはないのですが……どちらかというと、下請けのSIerとベタベタな部署も結構あるので時間がかかるし、「セキュリティは大丈夫なんですか?」などと言われてしまいます。「AWSです」「AWSも危ないんだよね」「ですよね」といったやりとりが永遠に続いてしまう気がするので。
湊そういう意味では、大企業の経営企画の人とスタートアップのマッチングが促進されれば、大きなインパクトを残せそうですよね。
浅田いいと思いますね。あと、大企業の経営企画も3年に1度異動があるので、情報のメンテナンスをしていくことが大事だと思います。
湊確かにそのとおりです。ありがとうございます。
西川もう一つ、視聴者の方から来ているご質問です。「まったく新しいSaaSサービスをつくるのは、世界的に見たら難しいとは思います。海外から日本の仕様で展開する、優秀なSaaSが日本にやって来る前に、どうやって参入障壁を作ればいいでしょうか」と。それは作れるのか、作らなくていいのか、それぞれお考えはありますか?
浅田作れると思いますよ。当たり前かもしれないですが、ユーザーのペインをちゃんと解決して、MRRを積み上げていくことですね。チャーンレートが抑えられたら、それはプロダクトが使える証明。そうやって、地道に実績を上げていくことですね。 僕、弁護士ドットコムで、クラウドサイン事業部のアドバイザーもやらせていただいているのですが、この領域は海外にも競合が多いんですね。でも、『クラウドサイン』は圧倒的なマーケットシェアもとっていますし、日本のユーザーのことをよく分かっているので、それが優位性としていろんな施策をオールインしています。
湊僕の意見としては、端的に言うとカスタマーサクセスが決め手になると思います。概具体的に言うと、海外SaaSが、参入してきたときはカスタマーサクセスの人員がいないので、きめ細かいサポートは難しいんですね。当たり前ですが、本社が海外にあるので、プロダクトを細かく改善できないんです。そういうところで、お客さんの意見を聞いて改良して、関係性を積み上げていく、お客さんの成功に寄り添っていくというのが、本当に単純な、シンプルな話ですけど勝ち筋にはなっていくと思います。
浅田僕も、外資系企業から日本市場へのエントリーの相談を受けることがあるのですが、その時にアドバイスしていることがあります。日本のSaaS起業家からするとやめてくれと思うでしょうけど……カントリーヘッドをちゃんと日本人にしましょうと。英語が上手な、学歴や職歴が輝かしいピカピカの人を雇うのではなくて、ちゃんとジャパンヘッドを登用するべきですね。
あとは、最初にカスタマーサクセスヘッドを雇うべきだとアドバイスしています。どうしてもセールスとして実績を残してきた人を起用して、どんどん契約数を増やしたいと思ってしまうんですよね。ですが、大切なのはその後のサポート。カスタマーサクセスに注力しているところは、実績ベースで見てもうまくいっている気がします。
西川ありがとうございます。あっという間に時間が経ってしまいました。最後に一言ずつお願いできますか?
湊本日の参加者は、ベンチャーの方が多いと聞いています。みなさん、ぜひいろいろなSaaSを使ってみてください。他のツールを使うことで見えてくる学びは大きいんですよね。僕たちもそうなのですが。やはり、多くのSaaSを使っている人が開発したプロダクトは進化が速いかなと思うので。ぜひ、使ってください。
また、投資の時はぜひ浅田さんと僕に声をかけていただけると嬉しいです(笑)。
浅田2021年も間違いなくSaaSが盛り上がる「SaaS year」なので、一緒に盛り上げていきましょう。そして、SaaSを盛り上げていくためにも、日本のデジタル化を実行支援していきましょう。
西川ありがとうございます。湊さんがいらっしゃるロンドンは、なんと今、朝3時ということでですね。遠くからご参加いただき、ありがとうございました。みなさま、PCの前とはなりますが、大きな拍手をお送りください。ありがとうございました。
こちらの記事は2021年03月05日に公開しており、
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執筆
藤原 梨香
ライター・編集者。FM長野、テレビユー福島のアナウンサー兼報道記者として500以上の現場を取材。その後、スタートアップ企業へ転職し、100社以上の情報発信やPR活動に尽力する。2019年10月に独立。ビジネスや経済・産業分野に特化したビジネスタレントとしても活動をしている。
編集
小池 真幸
編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。
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