オンライン英会話で日本人は変われるか?
レアジョブがリードする「英語教育3.0」

インタビュイー
星 秀雄

1998年 4月、日本放送協会放送総局報道局へ入局。記者として8年半ほど働いた後、ブルームバーグに転職。
そして、2008年 6月に三井物産株式会社へ入社。
2015年 9月に株式会社レアジョブに出向し、法人事業部、スクール事業部長を経験したのち、執行役員に就任。

安永 成志

2000年 4月 株式会社エスワイエス入社
2003年 11月 株式会社光通信入社
2006年 4月 株式会社インフィニティーソリューション(光通信100%子会社)設立 代表取締役就任
2008年 5月、株式会社グローバルホットライン入社。
2009年 8月、株式会社アクセルジャパンを設立、代表取締役就任。
2010年 5月、株式会社カカクコムへ入社。フォートラベル株式会社へ出向し、代表取締役就任。
2017年 1月に株式会社レアジョブへ入社し、執行役員に就任。

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教育業界に大きな風が吹いている。保守的な領域というのは昔の話。

世界的にEdTech(エドテック)への関心はどんどん高まり、公立校でもオンライン教育が導入されてきている。

オンライン英会話で会員数No.1を誇るレアジョブは、英語教育によって子供たちの“国際的志向性(外国への興味、異文化の人々とコミュニケーションとろうとする姿勢のこと)”を高めていると自負している。

EdTech界で今また注目が集まるブレンディッド・ラーニングにも本格参入していく意気込みだ。

  • TEXT BY MISA HARADA
  • PHOTO BY YUKI IKEDA
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世界中のIT系教育企業の中から選ばれしベンチャー

レアジョブが行うビジネスは、「IT×教育×ビジネス」という三つの要素がバランスして成立している。

IT×教育の分野のリーディングカンパニーとなった同社が、継続的にサービスを拡大し、より多くのお客様に永続的に価値提供していくためには、“ビジネス”基盤を更に強化し、拡大していくことが必要不可欠。その拡大をリードする2人が、星と安永である。

星は元記者という異色の経歴の持ち主だ。NHKで記者として8年半ほど働いた後、ブルームバーグを経て三井物産に中途入社し、ビジネスとして教育事業を行う部署で働いていた。

そんな折、三井物産が教育のIT化を推進する企業との連携を模索することとなり、国内外数百社の教育系IT企業をヒアリングして回る日々を送る。

その成果として、社内で何度反対されても「絶対にここです」と言い続けた、星が選んだベストパートナーがレアジョブであった。

教育の世界においては、今後IT化とグローバル化が進む方向性は揺らがないとの確信を持つ星にとって、IT、グローバルオペレーション、そして教育の「質」のいずれをも、高い水準で満たしている唯一の企業だったのだ。

その熱意が認められ、2015年9月にレアジョブに出向。文教事業担当を経て、現在は社長室長として経営企画などに携わっている。

一方、安永は、大学在学中に友人たちと起業し、ホテル予約サイトなどを運営。その後勤めた企業では、子会社の社長を務めた。

カカクコムに転職した後も、子会社であるフォートラベルの代表取締役に就任。2016年9月に同社を退任し、レアジョブにジョインした。

安永は、レアジョブにジョインした理由のひとつを「10年腰を据えて結果を出せる環境」だと感じたと語る。

安永実を言うと私は、40歳でビジネスリタイアするつもりで、カカクコムを辞めたとき39歳だったんです。でもちょうどその頃、孫正義さんが引退を撤回する出来事があって、『もう10年やる』という言葉が妙に刺さりました。

それで私も思い直したんですが、とはいえ、また何度も転職したりするイメージは持てなかった。そこで10年腰を据えて自己実現できる環境を探したところ、レアジョブが最適だったんです。

安永が「最適」と考えたのは、自分が感じていたビジネス環境における閉塞感や日本のグローバル化への遅れに対しての危機感がきっかけだ。

企業として日本社会の中で拡大し、世界に出ることで新しいステージに登れる可能性がある企業はたくさんある。また、会社のステージが上がらないと、働いている人にとってのステージも上がらない。今後の社会の変化を見据えたときに、世界のマーケットに挑み、自身もグローバル視点を持って働ける環境を探していた。

レアジョブは、グローバルが軸になった事業であり、且つ事業自体が「日本社会のグローバル化」という社会課題の解決にも繋がることは非常に魅力で、安永にとって「10年かけて結果を出す事業の未来図がイメージしやすかった」のだという。

代表取締役社長である中村岳と、取締役副社長である藤田利之の「等身大感」にも好感を抱いた。

安永印象的だったのは『今後目指していくビジネスの規模感は自分たちが経験がないし、正直想像が難しい。だからこそ、先の世界を知っている安永さんの経験は我々にとって非常に心強い。』という言葉でした。

それを素直に打ち明け、期待を持ってくれる誠実さはとても受け入れやすいものでした。うちは必ず天下獲るから、みたいな社長だったら、ジョインしなかったかもしれない。すごくフラットにすべてをさらけ出してくれる姿勢には、100%共感を覚えました。

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従来の英語教育とは異なる学びを得た、子供たちが作る未来

営業を管轄する立場である安永は、レアジョブの「商品を売ることに何の引け目も負い目も感じない」ことに心地よさを感じている。

安永商品を売りつつも、『自分だったら、これ欲しいか?』という葛藤ってあったりするじゃないですか。でも私たちのサービスとか事業って、英語の必要性を感じている人だったら、やらない理由はないと思うんですよ。

商品に対して純粋にパッションが持てて、その感情を相手に伝えて、売れて、導入してもらえて。ものすごく営業マン冥利に尽きる環境ですよね。

星もまた事業に強いやりがいを感じている。以前は文教事業を担当していた彼だが、子供たちの“国際的志向性”を伸ばすことができるこのサービスに深い感動を覚えた。

1回の英会話で開始直後はしどろもどろだった生徒たちも、徐々にたどたどしい英語ながら、終了間際にはオンライン上でフィリピン人講師とコミュニケーションがとれていく。

星は、「この経験を積んだ子供は、英語に対するマインドセットが変わる」と指摘する。

実際、佐賀県の上峰町立上峰小学校ではレアジョブを英語の授業に導入。「外国の人と話すことが好きですか?」という質問に対して、「とても好き」と「少し好き」と答えた児童の割合が、導入前後で47%から92%と大幅に向上した。

また、「外国に行ってみたいと思いますか?」という質問に対して、「とても思う」「少し思う」の割合が63%から72%に改善する等、「国際志向性」も向上するというデータが得られている

レッスンを繰り返すうちに、文法は嫌いでも英語自体は嫌いじゃない、自分は英語が話せるぞ、という子が増えてくるんです。これはすごい価値提供をしているな。この子たちが大人になる未来では、英語が喋れない大人ばかりの自分たちの時代よりも、周りの国々ともっと仲良くなっているだろうな。素直にそう思えるんです。

従来の日本の英語教育と全然違う世界を次世代に提供できているのが嬉しいし、新しい学校での授業内オンラインレッスンを見に行くと、いつも泣きそうになるくらい感動します。

マインドセットという意味では、フィリピン人講師を採用していることも大きい。

ノンネイティブスピーカーとして世界1位の英語力(グローバル・イングリッシュ調べ、2013年度版「ビジネス英語指数」より)を持っており、第2言語学習の悩みも理解してくれるという理由で、レアジョブ英会話には4,000人以上のフィリピン人講師が在籍している。

英語というものはネイティブスピーカーに習って、ネイティブ通りにできるようになるのが偉いと思われていますが、これだけアジア諸国が伸びている中で、本当に必要な言語ってネイティブな英語じゃないかもしれませんよね。必要なのは、インドやシンガポール訛りの英語かもしれない。アメリカやヨーロッパだけではない“外国”を生徒たちに見せている意義は大きいと思います。

また、日本とフィリピンは大戦時の悲しい歴史もありましたし、発展途上国故に良いイメージを持たない人もいたかもしれない。その部分も含め、さまざまな偏見を崩してこられたんじゃないでしょうか。

ベンチャーという言葉が生み出す印象とは裏腹に、星と安永は大変穏やかな口調で語り続ける。

グローバル云々と、言おうと思えばどこまでも壮大な夢を語れる事業内容であるにもかかわらず、2人はあくまで控えめな態度を崩さない。

そのような印象を持ったことを伝えると星は、「安永もさっき似たことを言いましたが、いいことをしていると心から信じられる仕事だと、働く人間も自然と素直になるのかもしれませんね」とはにかんだ。

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教育の流れが一気に変わる。歴史の転換点で──

安永は、レアジョブのサービスにおいて競合の存在を意識していない。語学ビジネス総市場規模3,490億円のうち、レアジョブが入るe-learning市場の規模はまだ90億円。市場としてまだ「他とパイを奪い合う段階ではない」からだ。

2020年度以降、小学校では3、4年生から英語学習の時間が設けられる。また、同年度より大学入試でセンター試験に替えて導入される“大学入試共通テスト”では、英語にスピーキングテストも加わる。

社会人に対しても「学び直し」が政府の重要施策としても注目される中、公教育現場に関わらず、企業でも英語教育の熱は高まっており、オンライン英会話のターゲット顧客は拡大している。まだ充分“これから”の市場なのだ。

今後、レアジョブとしては各地方自治体や経産省・文科省などとの取り組み、先日発足したEdTech推進議員連盟にも参加し、社会と一緒に教育の変革を推し進めていくべく奔走している。

また、三井物産と連携した顧客開拓を推進することに加え、「英語教育3.0」の世界を実現するために、オンラインとオフラインを組み合わせたブレンディッド・ラーニングをはじめ、「データとテクノロジーが作り出す新たな学び」といった新領域に挑戦していく。

まだ公にできない部分が多いそうだが、自動翻訳に携わる人達が「データください」と連絡をくれるほどの大量のデータがレアジョブにはある。

そのデータを活用した新事業では、教育の大変革につながるような取り組みをしていると教えてくれた。

英語教育を取り巻く社会の空気が変わる中で、事業としても更なるチャレンジが続きそうである。営業やマーケティングといった職種に縛られず、顧客やユーザーと向き合いながら、事業価値を上げるためのアイデアをどんどん思いつけるような人には、たまらない環境だろう。

そんなレアジョブが大切にしている人材の要件は、けっして一方通行にならず、“通じる”、そして、“理解しあう”というコミュニケーションの本質を理解できていること、そして、「パッションがあること」だ。

安永他社での経験とかスキルどうこうって部分よりも、このサービスや会社に共感してやりがいを感じてくれることの方が、僕個人としては重要です。

東京オリンピック・パラリンピックを2020年に控え、今我々の市場の動きは激しく、会社として常に変化が求められ、最適な形を追い求めつづけなければならないだろうし、無理をしないといけないシチュエーションも、ときに必要とされるかもしれない。

その時に、共感が強くないと『なんで今自分がこんなに頑張っているのか』やりがいを見失ってしまいますよね。なぜこの事業に関わりたいのか、という自分自身の情熱への理解は重要だと思います。

繰り返すが、教育領域では今まさに変革が訪れている。終始控えめな口調だった星も、その変化について語るときは、さすがに熱がこもった。

これまでの教育の流れが一気に変わる、歴史の流れの一番面白いところの、ど真ん中の、ど真ん中の、ど真ん中にいる会社だと日々感じています。教育領域はスピードが遅い、なかなか変わらないというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、大風はそこまで来ている。

まだビュービューは吹いていなくとも、台風前の、あの匂いがするような感じ。間違いなく来る。いつ来る? あさって来る? 明日来る? それくらい近くまで変革が迫っているんです。

控えめに言っても、レアジョブが“今変わりつつある業界のフロントランナー”であることに間違いはないと思っています。

教育なんてそう簡単に変わるはずが無いだろうに──。

教育に興味があるが故にそう感じるあなたこそ、レアジョブメンバーと共に、教育変革をリードしていくべき存在なのかもしれない。

こちらの記事は2018年02月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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池田 有輝

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