急成長スタートアップが陥る『成長スピードと組織の成熟度のアンバランス』を克服せよ──メルカリ・ネオキャリア出身者が語る、X Mileの“メガベンチャー級”のオペレーション構築術

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インタビュイー
三木 翼

新卒で森・濱田松本法律事務所に弁護士として入所し、M&A、ファイナンス、Fintech案件などを中心に企業のサポートを行う。2018年12月にメルカリに入社し、経営戦略室で全社ロードマップの策定や越境ビジネス全般の推進を担当。その後メドレーに入社してUS事業の立ち上げに携わったのち、2024年1月からX Mileに入社し、クロスワーク事業の立ち上げを担う。

吉田 悟史

社会人未経験入社したネオキャリアでITエンジニア派遣事業や看護師紹介事業の立ち上げを経て、海外事業の立ち上げを担当。東南アジア全体で9か国14拠点・300名規模まで組織を拡大させ、執行役員として事業だけでなく経営管理も管掌する。その後自ら起業を経験したのち、X Mileに入社。新規事業の立ち上げを担う。

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事業拡大フェーズに突入したスタートアップが直面する最大の難所は、事業の成長スピードに組織の成熟度を追いつかせることかもしれない。人材採用、組織カルチャーの醸成、オペレーションの効率化、仕組み化など、克服すべき課題は山積みだ。

その突破口を探るべく、FastGrowが注目したのが、シリーズBの資金調達を完了し、事業拡大フェーズに突入したX Mileだ。「令和を代表するメガベンチャー」を目指すこのコンパウンドスタートアップは、創業Day1から1,000人規模の組織を見据えた基盤づくりを進めている。

今回はX Mileから、他社での経験を持つ2人に話を聞いた。日本を代表する弁護士法人で培った知見を武器に、メルカリの越境事業を牽引した三木氏。そして、ネオキャリアにて海外事業の立ち上げと大規模組織マネジメント経験を持つ吉田氏だ。

メガベンチャーにて幅広い成長フェーズを経験してきた彼らだからこそ感じる、アーリーステージのスタートアップならではの課題とは何か。そして、それを乗り越えるためのX Mileなりの処方箋とは。

両氏の経験と学びから導き出される、“スケールに強い組織”をつくるためのエッセンスを紐解いていく。

  • TEXT BY MAAYA OCHIAI
  • TEXT BY SHINICHIRO FUJITA
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メガベンチャーで海外事業立ち上げとスケールを経験した2人

三木翼氏と吉田悟史氏。彼らのキャリアには、新規事業立ち上げと海外展開という共通点がある。

三木氏のキャリアのスタートは、日本を代表する弁護士法人の森・濱田松本法律事務所だ。新卒で入所し、弁護士として、M&A、ファイナンス、Fintech案件など、大企業からスタートアップに至るまでさまざまな企業のサポートを行った。その後、2018年12月にメルカリに入社。経営戦略室で全社ロードマップの策定や越境ビジネス全般の推進を担当し、中国への商品展開にも携わるなど、ビジネス側での経験を積んだ。

三木氏がメルカリ在籍時に特に力を注いだのが、越境ビジネスの立ち上げと推進だ。日本で人気の商品を中国に展開する際には、現地の法律や税制など、さまざまな課題が立ちはだかった。

三木氏

三木僕がメルカリで越境ビジネスに携わっていた当時は、中国の法律や税金の仕組みについて議論が重ねられていました。やはり日本とは商習慣が大きく異なるので、どう折り合いをつけるかが大きな課題でした。

そうした国をまたぐビジネスの立ち上げにおいて、森・濱田松本法律事務所時代に培った知識が役立ったシーンは多かったという。

三木海外ビジネスに限らず、事業をつくっていく上ではさまざまな法的な論点が生じるものです。その都度、自分の持つリーガルの知見と経験を新たな実務対応に落とし込む対応が求められました。

そして同時に、事業推進における数字への責任も背負わせてもらいました。例えば、予算作成時の売上や経費の予測や管理などは、法務の仕事ではなかなか経験することはないので、一から勉強する必要がありました。

もちろん、上流の戦略策定だけを担っていたわけではない。スタートアップの新規事業のため、マーケティング施策の企画・実行や、プロダクトマネジメントなど、幅広い実行業務にも直接携われたことで、ビジネスパーソンとしての総合力を磨くことができたと語る。

三木メルカリの後半2年間では越境ビジネスチームで事業全体を見るポジションにいたので、予算をつくったり、マーケティングをしたり、プロダクトマネジメントを担ったり、経営や事業推進で重要な業務を現場で多くを経験しました。自分は何か一つに秀でているというより、いろいろなことを押さえている器用なところが強みだと思っています。

メルカリを退職後は、メドレー社に入社してUS事業においてプロダクトマネージャー兼事業推進担当として活躍。日米両国での事業推進の実務経験を積み、2024年1月にX Mileに入社した。

一方、吉田氏は人材業界のネオキャリアに社会人未経験で入社。同社で50名規模から3000名規模への組織成長を経験する中、ITエンジニア派遣事業や看護師紹介事業の立ち上げに加え、東南アジアでの事業展開も担当した。

吉田氏

吉田ゼロから事業をつくり上げていく過程では、人材採用から配置まで、すべて自分たちの手で行う必要がありました。特に海外では、採用だけでなく現地の法人設立など、日本では経験できない実務をこなすことになりました。

東南アジアの拠点は9ヶ国14拠点にまで拡大。最終的には300名規模の組織にまで成長させた。

吉田事業が軌道に乗り始めると、今度は組織のマネジメントが重要になってきます。事業運営だけでなく、採用や育成、会計や総務などのバックオフィス業務まで、幅広い仕事に携わる必要がありました。

ネオキャリアでの経験について吉田氏は「会社経営に必要なスキルを総合的に学べた」と振り返る。

吉田海外事業の立ち上げと成長を通して、会社経営に必要不可欠な財務・法務・人事といった知識を身につけることができました。幅広い経験をさせていただいたおかげで、今の自分の強みになっていると思います。

帰国後、自らも人材領域での起業に挑戦するなど、さまざまなチャレンジを経験。スタートアップの経営に必要なスキルを実践の中で体得してきた。

三木氏と吉田氏。メガベンチャーで新規事業の立ち上げと組織のスケールを経験し、総合力を磨いてきた2人だ。

弁護士としてのバックグラウンドを生かしつつ、ビジネス・プロダクトの双方に精通するスペシャリストへと進化を遂げた三木氏。事業推進だけでなく採用やバックオフィス構築まで幅広く担うことで、経営者として必要な素養とスキルを身につけた吉田氏。

2人に共通するのは、海外の事業推進に携わってきたことで、グローバルな感覚を体得している点だ。

そんな2人が、次なるキャリアの舞台に選んだのが、X Mileという創業5期目のスタートアップだった。メガベンチャーから、アーリー・ミドルステージのスタートアップへ。次章では、メガベンチャーと比較して見えてきたスタートアップの課題、X Mileならではの乗り越え方に迫っていきたい。

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スタートアップならではの
「実行力」と「スピード感」を痛感

数千人規模のメガベンチャーを経験した三木氏と吉田氏が、X Mileに入社して強く感じたことの1つが組織面での“ギャップ”であった。

FastGrowでの過去の連載記事で何度も言及されていることではあるが、X Mileでは「令和を代表するメガベンチャーを創る」というミッションを掲げ、COO渡邉氏のもと、徹底した組織の磨き込み、オペレーショナルエクセレンスが行われているのだ。

三木氏も入社直後から、「思っていた以上にオペレーションが洗練されている」と感じたという。

三木X Mileはあらゆる先行事例を調べ上げて、積極的に参考にしています。それは事業戦略だけでなく、社内の仕組みにおいても同様です。例えば、メルカリの取り組みを真似てSlackの全体定例チャンネルがつくられ、Zoomで実施される全体定例ミーティングにおいてもみんなが感想など好きなことを書いて盛り上がっています。

メルカリにおける「ワイワイチャンネル」(オンラインのイベントなどを見ながら、メンバーが感想など好きなことを書けるチャンネル)について書かれたメルカン(メルカリのオウンドメディア)記事がそのチャンネルに貼られていて、真似していることを隠そうともしていません(笑)。そもそも、そのメルカン記事は広報目的とはいえかなりライトな記事でしたから、X Mileがそこまで目を通して参考にしていることに驚きました。

他社の先行事例を積極的に取り入れる姿勢は、アーリーフェーズのスタートアップならではのスピード感の表れと言えるだろう。限られたリソースの中で、いかに効率的に成果を出していくか。そのためには、目の前の問題に対して、過去の成功事例に学ぶ謙虚さが不可欠だ。

一方で、オペレーションの磨き込みを急ぐあまり、自社の成長フェーズを考慮しないのはリスクがあると三木氏は指摘する。

三木組織面について他社の取り組みを幅広く学び、自社に取り入れていくことは非常に重要です。ただし、スタートアップは売上成長が最優先ですし、投資家からのプレッシャーもあるので、つい目先の課題ばかりに目が行ってしまいます。

それでもX Mileでは、将来のあるべき姿、つまり思い描く規模や時価総額の会社を見据えて、早い段階から組織づくりにも並行して取り組んでいます。事業と組織、両面でのスピード感ある成長を実現するには、こうした先を見据えた布石が欠かせないのだと思います。

X Mileの事例は、「成長スピードと組織の成熟度のアンバランス」という落とし穴を克服する一つの方向性を示唆している。事業の拡大に必要な組織基盤を早期に構築することで、急成長がもたらすリスクを最小限に抑えようとしているのだ。

吉田氏も、組織拡大フェーズにおける「仕組み化の重要性」をX Mileの取り組みから学んだと話す。

吉田KPI管理はものすごく細かいですし、ミーティングの際には経営陣から的確な指摘が入ります。KPIだけでなく、会議体の設計自体も緻密につくり込まれています。ベンチャー企業だと、どうしてもアドホックな判断が多くなりがちですが、X Mileは仕組みで担保する部分を明確にしているのが特徴的ですね。

三木つい最近も、COO渡邉さんから「クロスワークの会議が、報告中心になっていて戦略の議論ができていない」と指摘がありましたね。その場で、戦略に特化した小ミーティングの新設と、そこでの議論を落とし込む場の設計まで提案されて。問題意識の高さと実行力の速さに驚かされます。ただ仕組みをつくるだけでなく、その運用状況を常にウォッチし、改善につなげる。このメタ認知ができていることこそが、X Mileの組織的な強みだと思いますね。

会議体一つとっても、ただルーティンをこなすだけでは意味がない。議論の内容をアウトプットにつなげる仕組みを設計し、定着させていく。そうした地道な積み重ねが、組織を強くするのだ。

三木氏はさらに、メタ認知の重要性を説く。仕組みを形骸化させないためには、常にその有効性を検証し、必要に応じて修正を加えることが肝要だという。

吉田変化の激しいベンチャー・スタートアップ企業では、環境変化に即応できる柔軟性が何より大切ですよね。その点、X Mileは特に川田さん(インタビュー記事はこちら)や安藤さん(インタビュー記事はこちら)などのマネージャー層を筆頭に柔軟性を持った人が多い印象です。

状況に応じて最適解を即座に編み出す力、組織の屋台骨を支えるだけでなく、さらなる成長を牽引するキープレイヤーが揃っている。ビジネスを磨き上げる素養はすでに備わっているので、あとはそれを最大限発揮できる環境整備が肝要だと考えています。

成長フェーズの変化に柔軟に適応できる組織づくり。それを実現するには、仕組み化と併せて、それを回す人材の力が問われる。マネジメント層の意識改革なくして、真の変革は成し遂げられない。

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全社を挙げた採用活動と目標達成へのこだわり

スタートアップが組織の急拡大を目指す上で、もちろんオペレーションの徹底と仕組化だけでは不十分だ。もう一つの鍵は、優秀な人材の獲得にある。

事業の拡大スピードに組織の成熟度を追従させるには、人材の量と質の両面における充実が不可欠。その点において、X Mileの採用手法は特筆に値するだろう。三木氏と吉田氏も、X Mileの採用プロセスのスピード感には驚嘆せざるを得なかったと語る。

吉田面接の際、HR事業のカギを握る集客(マーケティング)について私の懸念や疑問を話したんです。すると即座に、マーケ責任者の川田さん(再掲・インタビュー記事はこちら)との面談がセッティングされました。私の疑問や不安にとことん付き合ってくれて、最後は川田さん自らが熱く口説いてくれた。また、その場に急遽渡邉さんや野呂さんも現れたり(笑)。

とにかく、スピード感や手厚さに圧倒されましたし、会社を挙げて採用に臨む本気度が伝わってきましたね。

三木一般的に言えば、X Mileはまだ知名度が高いわけでもなく、会社規模がものすごく大きいわけでもなく、やってるビジネスもわかりやすい派手なものではない。

また、採用は、会社としてかなりのコストを払うことですし、その方の人生を左右してしまう可能性もあるので、急激に人を増やすことは怖さも伴うと思います。

それを全部わかった上で、相当数の採用に踏み切れているし、目標採用数をしっかり達成していっている。このフェーズのスタートアップの採用とは思えなかったですね。

「即断即決」「トップ自ら動く」という採用スタイルからは、スタートアップに求められる圧倒的なスピード感が見て取れる。リソースが限られる中で、いかに迅速に優秀な人材を獲得できるか。それが組織の成長を大きく左右するからこそ、全社を挙げて採用に取り組む姿勢が重要なのだ。

加えて両氏が口を揃えて語るのは、X Mileの“圧倒的な実行へのこだわり”だ。

三木X Mile経営層の“実行”への意識は半端ないなと感じます。

もちろん他の会社でも、考えうる手段・施策はやり尽くすわけですけど、X Mileでは例えば「インサイドセールスはこのコール数でいくと決めたのだから、何が何でもやりきる」みたいな、行動量や実行へのこだわりが圧倒的に強いなと感じますね。

それが伝播してか、他のメンバーであっても目の前の数字への貪欲さがすごい。自分で絶対に数字をつくってやるんだみたいな。これほどまでの実行力は、他では味わったことがないですね。

そんなX Mileの「仕組み化」へのこだわりは、コミュニケーションの場面でも発揮されている。前回の記事でも触れられた通り、X Mileでは、Appleでも同様の取り組みが行われている「エスカレーションフォーマット」というルールが設けられている。メッセージを送る際は、「依頼」「相談」「確認」など目的を明示し、回答期限を必ず添えるのだ。これにより、タスクの内容や締め切りが正確に伝わり、スピーディーな対応が可能になる。

三木氏は、この運用ルールに組織の成熟度の高さを感じたという。

三木僕は元々弁護士というバックグラウンドもあって、どうしても文章が長くなりがちでして……(笑)。今でもそうなんですけど、Slackでつい長文を書いてしまうことがあります。自分のメッセージが“読む側の心理的な壁”になってしまうのではと危惧していたので、なるべくわかりやすい書き方を心がけるようになったんです。

ところがX Mileでは、それを全社的なルールとして最初から導入していた。かつしっかりとエスカレーションフォーマットに則らないと、年齢や役職に関係なく、指摘が飛んできます。シンプルな仕組みですが、コミュニケーションの質を大きく変えるインパクトがあると感じますね。

吉田本当ですよね。年齢が下のメンバーレイヤーからも容赦なく「明日の19:00まででお願いします」と期日を切った依頼がどんどん飛んできますもんね(笑)。

この習慣が、みんなの生産性を高めていると思います。メンバー同士が適度な緊張感をもち、かつ変な忖度なく、業務に取り組めますから。

X Mileの事例は、急成長スタートアップにおける組織構築の道標となるだろう。洗練されたオペレーションを可能にする仕組み化と、スピード感溢れる採用活動。そして何より、全社一丸となって目標達成に邁進する姿勢。

これらの要素を高次元で融合させることによって、事業の加速度に負けない「強靭な組織」が生み出されるのだ。

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事業はまだまだ。
急拡大する中で出てくる課題を1つひとつつぶしていく

きわめて順調にも見えるX Mileだが、三木氏と吉田氏は事業・組織に少なからず課題も感じている。

2023年8月に立ち上がった製造業人材紹介事業『メーカーキャリア』は、これまでX Mileが得意としてきた領域とは様相が異なる。

吉田製造業の人材紹介は他の業界とは違う独特な難しさがあると感じています。資格や勤務地はもちろんですが、求められる経験やスキル、年齢や転職理由など、マッチングの条件が非常に複雑になるんです。

例えば、ある企業が即戦力となるベテランの機械設計者を求めていたとします。単に「機械設計の経験者」という条件だけでは絞り込めない。どの業界で、どんな製品を、どれくらいの年数設計してきたのか。キャリアの棚卸から丁寧にヒアリングしていく必要があるんです。

このように、一人ひとりに寄り添った丁寧なコンサルティングがマッチングの質を左右するのが製造業の特徴だ。吉田氏自身、製造業界の知見はまだ十分とは言えない。

吉田私にとっては未知の業界ですし、専門性が高すぎてなかなか理解が追いつかない部分もある。でも、だからこそ企業の採用担当者や求職者の方に直接会って、リアルな課題をヒアリングしながら、自分なりの仮説を立てて、一つひとつ検証しているところです。

一方、三木氏は『クロスワーク』の利用規約の整備にも注力している。自身の弁護士としてのバックグラウンドを存分に活かせる領域だ。

三木今、『クロスワーク』の利用規約を1から見直して、リスクヘッジできる形に整えているところです。サービス開始当初は、どうしても必要最低限の規定しか盛り込めていなかったので。でも、ユーザー数の拡大に合わせて、トラブル対応のフローなども詳細化していく必要がありますからね。

リーガル面から、事業運営の安定性を支えられる。そして、競合と比較したときに、X Mileが業界に対してより誠実な姿勢でサービス提供ができるという基盤を作り出すことができる。可能な範囲で、他の事業に対してもこうした貢献はしていきたいですね。それが今のX Mileにおける私なりの強みだと考えています。

三木氏と吉田氏、2人とも自身の得意領域を起点に、X Mileの事業成長の突破口を開こうと奮闘している。シリーズBの調達を終えて本格的な事業拡大フェーズに突入するX Mileにあっては、既存事業の再定義と新規事業の種まきを同時に進めていくことが求められるからだ。

順調に見える急成長の裏には、このように地道な取り組みの積み重ねがあることを忘れてはいけない。

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グローバル展開を見据えた「組織の柔軟性」が問われる

X Mileは当初から複数事業の展開だけでなく、海外への進出も視野に入れている。特にCEO野呂氏は、テラモーターズ時代に東南アジアでの事業経験を持ち、海外進出への想いも強いはずだ。三木氏、吉田氏はともに海外経験もあり、その展望には意欲的だが、プロセスに抱くイメージはそれぞれだ。

吉田氏は、X Mileの手厚いオンボーディングに、海外展開への布石を感じていると話す。

吉田海外、特に欧米企業だと、入社後のオンボーディングを1カ月ほどしっかり時間をかけて行う企業も多いです。

X Mileでも、私は1カ月ほど、動画を見たりレクチャーを受けたりしながらオンボーディングをしてもらい、入社後のプロセスもかなり細かく仕組み化されていることを感じました。

もちろん実際には、海外仕様に変えるべき部分はたくさんあると思います。しかしX Mileのオンボーディングのベースは、世界的にも有名なHR企業にも引けを取らない印象があり、ある程度通用するのではないかと思っています。

吉田氏の指摘通り、日本企業の多くはオンボーディング期間が数日程度と短い。一方、海外企業は1カ月かけてビジネスマナーからコンプライアンス、企業文化の浸透まで丁寧に教育する傾向にあるという。

グローバル展開を見据える上では、こうしたオンボーディングの仕組み化が非常に重要だと吉田氏は強調する。

一方で、三木氏は過去の経験から、日本人と日本以外のメンバーでマインドやスタンスに違いが出るリスクを指摘する。

三木グローバルな組織に変化するにあたって、結構苦しむ日本企業が多いと思っています。もちろん、X Mileの強みは早いフェーズから仕組み化を強く意識していますが、過去の経験で僕は、日本人と外国人の違いを実感してきました。

グローバルメンバーは、例えばチーム内の議論であっても、経営側から何らかの方針の転換を打ち出された時であっても、たくさんの率直な意見を言います。それに対して、日本人はほとんど意見を言いませんし、経営側から方針転換を打ち出されても、割とすんなり従う人が多いですよね。X Mileでも、そういった違いを感じ、軋轢が生まれるリスクはゼロではありません。

確かに、日本企業の組織は比較的同質性が高く、メンバー間の意識のずれは小さい。一方、海外では多様なバックグラウンドを持つメンバーが集う以上、価値観の違いから対立が生じるのは珍しくない。

グローバル組織運営の肝は、そうした異文化間のギャップにどう折り合いをつけるかだ。X Mileにとっても、海外展開に向けた大きな課題になるはずだ。

三木氏は、メルカリ在籍時にこの「日本人と外国人の意識の違い」を痛感したと振り返る。

三木ある時、全社的な方針転換が行われ、待遇の変更があったんです。日本人メンバーは、一部に不満はあったものの、おとなしく受け入れる雰囲気でした。しかし、外国人メンバーからは猛反発がありましたね。Slackでは意見が殺到する一方、経営陣を前に直接抗議する姿もありました。

こうした異文化間コミュニケーションのギャップを放置すれば、組織の分断を招きかねない。三木氏は、グローバル組織運営における「マインドセット」の重要性を指摘する。

三木結局のところ、日本人と外国人の違いを前提としたマネジメントが不可欠なんです。つまり、どちらがあるべき姿ということではなく「違いがあって当然」と考え、その上でどう折り合いをつけるかを考える。価値観の共有とコミュニケーションの深化に努めつつ、時にはぶつかることも厭わない。そんな懐の深い組織でないと、グローバル化は難しい。

ただし、X Mileの経営陣の資質には期待を寄せる。

三木渡邉さんや野呂さんの、日本人離れした意思の強さや、言うべき意見は貫き通す姿勢は、グローバル社会でも通じるものがあると感じています。加えて、彼らは相手の考えをじっくり聞こうとする姿勢も持ち合わせている。こうした器の大きさがあれば、きっと文化の垣根を越えた組織運営ができるのではないでしょうか。

海外展開の成否を分けるのは、経営陣のリーダーシップ、そして「異文化を受け入れる組織の柔軟性」だ。この2つの要件を満たせば、X Mileのグローバル化への道筋は開けてくるはずだ。

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泥臭い行動を厭わない経営陣の姿勢に惹かれた

グローバル展開を見据えた組織の柔軟性や異文化受容力の必要性を語る三木氏と吉田氏。しかし、彼らがX Mileを選んだ理由は、単に海外進出への期待だけではない。事業フェーズに合わせて機動的な意思決定を下せる経営スピードや、HR事業で培ったノウハウをSaaSに活かす戦略的な展開にも魅力を感じたのだという。

加えて、泥臭い仕事を厭わず自ら先頭に立つ経営陣の姿勢に、2人は心を打たれたと語る。X Mileを“挑戦の場”として選んだ背景には、そんな彼らなりの想いが込められているのだ。

三木X Mileは創業初期からHR事業を起点としたプラットフォームビジネスにも着手していました。それでいて、祖業は人材紹介事業ということもあり、営業力や、目の前の数字をしっかりと積み上げていく意識も強い。僕自身、これまで主にプロダクト起点のビジネスをメインに行ってきたので、両者のバランスを取るカルチャーに新鮮さを感じましたね。

特に、実際に営業力を持って事業を伸ばしてトラクションをつくる経験は足りていないと感じていたので、うってつけの環境だと考えたんです。

海外展開への意欲もさることながら、事業を泥臭く成長させる実践的な経験を積みたいという思いが、三木氏をX Mileへと向かわせた大きな要因だったようだ。

三木氏は入社後、HRプラットフォーム事業『クロスワーク』の推進を担当。入社早々、同社の“泥臭さ”を思い知らされる場面に遭遇した。

三木『クロスワーク』は、立ち上げフェーズということもあり、開発したい機能は山ほどあります。だからこそ優先度をつけて、プロダクトの基幹となる部分にフォーカスして開発したいと思っていました。

ところが、事業計画における数字を達成するためには、「今すぐ応募数を増やすための施策を打つべきだ」という意見も出てくる。プロダクトの完成度を高めることと、目の前の数字を追うこと。両者のバランスをどう取るのか、議論が交わされる場面が生まれたという。

三木正直、葛藤の連続でしたね。プロダクトを磨く大切さは理解した上で、でもビジネスを加速させるには、時には目先の数字を伸ばすための施策も必要だと。そこを両立させるバランス感覚が問われるんだなと痛感しました。

しかし、その“泥臭さ”は三木氏にとって新鮮な刺激にもなった。事業の立ち上げフェーズでは「とにかく動いて仮説検証を繰り返す」ことの大切さを痛感したのだ。

三木もちろん中長期的な視点は大事ですが、まずは目の前の一歩を踏み出すこと。そのために、時には泥臭い行動力が求められるのだと、身をもって学ばされましたね。事業を伸ばすために何が足りていないのかを常に考え、打つべき手を見極める。現場の声に真摯に耳を傾ける謙虚さや柔軟さは不可欠なのだとわかってきました。

一方、吉田氏が転職先に求めたのは、ズバリ「経営スピード」だった。それまでの経験から、事業のフェーズに合わせて機動的に意思決定ができる経営体制の重要性を実感していたからだ。

また、X Mileが人材紹介事業をしっかりと理解した上で、SaaS事業を展開しようとしている点も、吉田氏の心を動かした。

吉田HRからSaaSへの展開にチャレンジしようとする会社は多いのですが、うまくいっている例はあまりないと思います。なぜか?それは、人材紹介とSaaSでのビジネスモデルの考え方や頭の使い方が違う事と、HR事業とSaaS事業での接点を見いだせず会社資源の活用が出来ていないからだと感じます。それに、HR事業によって見えてくる具体的な社会課題にアプローチすることで、より良いSaaS事業が生まれるはず。

X Mileの経営陣は、こうした本質的な価値をよく理解していました。だからこそ、ノンデスク産業におけるSaaSのポテンシャルを信じ、スピーディーに動けているのだと思います。

また、三木さんも言っていたように、泥臭い部分を経営層が理解している、かつ実行の部分を現場に任せるのではなく、自分たちが下りてきてでもやっていこうという気概を感じます。「ここで働くのは面白そうだな」と思ったのです。

他社が簡単に真似できない独自のビジネスモデルを泥臭く築こうとするX Mile。その挑戦に共感を覚えた両氏は、自身のこれまでの経験をここでなら存分に活かせると感じたのだ。

三木吉田さんと僕では、X Mileに魅力を感じたポイントが少し違うんですよね。僕はどちらかというと、「守りから攻めへ」のマインドシフトを求めていたし、吉田さんは人材紹介からSaaSへのシナジーに惹かれた。一方、共通しているのは、これまでの自分たちの経験を、「ここでなら最大限に活かせるな」と感じたことです。

吉田おっしゃる通りですね。今後、事業のフェーズが進むにつれて、お互いの知見を持ち寄る機会が増えてくるでしょうから、どんなシナジーが生まれるのか今から楽しみですね。

海外事業立ち上げ、経営、起業などさまざまな経験を経て力を培ってきた二人。その血が騒いでいるのは、スピード感を持って新しい価値を生み出す面白さを、X Mileに感じ取っているからだろう。

そんな二人は、これからのX Mikeでの新たなチャレンジをどのように捉えているのだろうか。

三木『クロスワーク』自体、まだまだこれからのフェーズですが、『クロスワーク』の特殊性は、人材紹介との関係性を考えきる必要があることです。

もちろんSaaSとの関係も考えていく必要があるので、独自の切り口での戦略が求められます。

そして『クロスワーク』以外ではやはり、海外事業に携わる機会があれば関わりたいですね。

吉田まずは『メーカーキャリア』を軌道に乗せたいですね。ただX Mileとして、SaaSへの横展開も常に考えているので、私としても人材紹介で自分のバリューを発揮したのちにはSaaSにかかわっていきたい気持ちがあります。かつ、製造業は海外ビジネスとも親和性があると考えているので、そこもやりがいがありますね。

私にとって面白そうだなと思えることが、この会社には散らばっているので、やりたいことをどんどん実現していきたいです。

2人に共通するのは、新規事業を通じた会社の成長への期待だ。三木氏は「いろいろな新規事業が立ち上がり始めているので、その分だけ各事業をリードするポジションも生まれてくる。気概さえあれば、どんどんチャレンジしていける環境」と強調する。

吉田氏も「年間3〜5倍の成長率で伸ばしていくスピード感があり、HR事業の先のビジネスも見え始めている。広い視野を持って働きたい方にとっては非常にいいタイミング」と同調した。

組織拡大によるリスクを、仕組み化によって最小限に抑えながら、アクセル全開で新規事業が立ち上がり、令和を代表するメガベンチャーへの道を切り開き続けるX Mile。その躍動感は、事業づくりの機会を求める人にとって大きな魅力になるだろう。

こちらの記事は2024年05月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

落合 真彩

執筆

藤田 慎一郎

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