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無知でも手探りでも、動き始めれば新規事業は成る。
事業創造カンパニーの大黒柱に聞いた、CVC創設の狙いと未来図【OPEN VENTURES石井岳之】

インタビュイー
石井 岳之
  • OPEN VENTURES株式会社 代表取締役社長 

慶應義塾大学経済学部卒業後の2005年、新卒でオープンアソシエイツ(現RPAホールディングス)に入社。300社に及ぶクライアント企業の新規事業を支援した後、2016年、35歳でWebマーケティング支援およびRPA活用を軸にした変革支援を行う株式会社セグメントの代表取締役に就任(現任)。2020年、独自のCVCを実施するOPEN VENTURESの創業社長となった。

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テクノロジーが持つ未開の魅力と可能性を駆使しながら、画期的な新規事業を創造していくための個と組織の集団。誤解されがちだが、本来の姿はそういうところにあるのがRPAホールディングスであると、総帥である高橋知道氏は語った。同時に高橋氏は、事業家としての使命について「成長機会をメンバーに提供し続けること」だと説いた。

今回登場する石井岳之氏はまさにここで成長機会を得て飛躍を遂げた人物だ。30代中盤にして2つの事業会社で経営手腕を振るうこととなった石井氏は、どのような経緯で今の立場に到達したのか。

その雰囲気は飄々としつつ、具体的なビジネスの話になるとまさに「楽しそうに」語り出す。立ち上げたばかりのCVC「OPEN VENTURES」を通じて、一体どんなイノベーションを起こそうとしているのか。その狙いを聞いた。

  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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自己満足のチームで「事業創造」はできない

「ボクシングに打ち込み、プロのライセンスまで取得した」と大学時代を振り返る石井氏。とにかくストイックに自らの身体と精神を鍛えてきたという。「やるならとことん集中してやり抜く」というモットーを体現しながら生きていこうとする男にとって「就職活動」は、当初あまりピンと来るものを感じられないトライだった。

石井ボクシングに出会った時のように「これだ!」と確信できる何かをつかめなかった、という感じです。だから、周囲の多くが商社や銀行を受けていく流れに引きずられるようにいくつかの企業の面接に臨んでいました。動き出しは悪くなかったんですよ。

某大手商社でも面接官のミドルマネージャー格の方から「きみのような人材ならば、必ずウチで活躍できるよ」と言っていただきました。

でもそこで「じゃあ●●さん(そのミドルマネジメント)と一緒に働けるんですね?」となにげなく口にしたのですが、「いや、それは人事が決めることだから」という返答。「なんだそれ?」と率直に感じちゃったわけです(笑)。

万事がそういう調子だとは思わないけれども、きっとこの会社に入っても「誰が何を決めるのか」がモヤモヤしているのだろう、と。「どのタイミングで、誰と、どこで、どんな仕事をするのか」がわからないような場所で働きたくはない、と強く思いました。

「やる」と決めたからには、きっちり打ち込みたい男だからこそ、そこは譲れなかった。“大人の論理”なのか“大企業とはそういうもの”なのかは知らないけれど、「自分が誰と働くのかがわからない」というのは、石井氏にとって重大な問題だったのだ。

「どうしても大企業では働きたくない」と思ったわけではないし、「何が何でも小規模な会社が良かった」わけでもない。「誰と働くのか」だけはハッキリしているところで挑戦をしたかった。

石井そうして出会ったのがRPAホールディングス(以下、RPA HD)。当時はオープンアソシエイツという社名で、総勢10名ほどでしかなかった。でもこのベンチャーに惹かれたんです。理由はシンプル。高橋(知道氏。オープンアソシエイツの創業者であり、現RPA HDの代表)をはじめとする創業メンバー全員が魅力的な人物だったから。

漠然とした「優秀な人たち」というイメージではなく、「事業にかける強い思いを明らかに持っている人たち」だと感じたんです。

2005年当時のオープンアソシエイツはまだRPAという“武器”を備える前の段階。それでも、まだ誰も形にしたことのないような新規事業をプロデュースしていこうという集団に、石井氏は強く共感を覚えて入社した。この会社にいるすべての創業メンバーに対し「この人と一緒にチャレンジできるならば打ち込んでいける」と確信できたからだ。

石井当初はテレマーケティングを行いながら、新規事業の開拓・確立を望むクライアント企業と向き合い、その改善作業に参画するスタイルが中心でした。学生時代からマーケティングやマネジメントなどを学んできたわけではなかったので、吸収して血肉にしていかなければならない事柄が無数にありました。

ただ、恵まれていたのはビジネスの本質部分をダイレクトに学べる環境だったということ。結局のところ、事業とは「売上から原価を差し引いたときの利益」を最大化できてこそ成り立ち、継続性を得ていく。単に「面白い試みができたね」というような自己満足・自己陶酔ではダメなのだという当たり前のことを、しっかり体感できたんです。

時には、クライアント側が「自己陶酔的な喜び」で手を打とうとすることもあった。しかしオープンアソシエイツのメンバーは「こんな自己満足じゃ意味なんてない。もっとしっかり事業化しなければ」との意識を強く持つ面々。

「やり抜きたい」というハングリーさを持つ石井氏にはピッタリの環境といえる。ただ、ここで前回の高橋氏のコメントを思い出す。「楽しさ」こそがこれからのビジネスやイノベーションを左右する、というくだりだ。「面白い試みができた」だけではダメなんだと語った石井氏に、「面白い=楽しさ」ではないのか、あえて尋ねてみる。

石井「知恵とテクノロジーで新しい事業を創造し、個性が輝く楽しい時代に進化する」というのが当社の理念でありミッションですし、私もここに登場する「楽しい」という言葉に共鳴しています。携わっている当人たちが「楽しい」と感じられない事業を世に出したって、現代のエンドユーザーにその価値が伝わりはしない。そう考えています。

だからこそ「自己満足の“楽しさ”」じゃダメだろ、と思うわけですよ。

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「ビジネスリーダーの数だけ事業がある」

何が自己満足で、何がそうではないのかを重ねて尋ねると、石井氏は「世界の一流プロアスリートの仕事ぶり」を例に挙げた。

石井サッカーで言ったら、ワールドカップではなくUEFAチャンピオンズリーグこそが、“真の世界一のプロ集団”を決める大会ですよね?プロサッカーというビジネスで最大の成果を上げようというのなら、このチャンピオンズリーグでの優勝を目指すのが当然。だから、この大会に出場できるチームには世界中から一流の選手が集まってくる。

私なりに解釈している「楽しさ」とは、彼らが求めているような質の「楽しさ」なんです。熾烈なトーナメントを勝ち抜いて、優勝することが目標なのですから、試合に負けてしまっては意味などありません。

「俺はあの試合で絶妙なトラップを決めて、最高のシュートを打った」と言えたとしても、その試合で負けたなら「楽しさ」どころか悔しさしかないはずなんです。「負けちゃったけど、いいプレイができて楽しかったね」なんていうチームでは、優勝はおろか成長さえできはしない。

「どうして負けてしまったのか」「次は何を変えれば勝てるのか」を各自がプロとして主体的に考える。そういう者同士が結束を固めて、連携を深めて勝利を目指す。その過程にしかない「楽しさ」を追求するのがRPA HDだと信じていますし、だから私はここにいるんですよ。

2005年の入社から15年を経て、石井氏はRPA HD傘下の2つの会社でトップに就いた。組織の一員でありつつ、起業家・事業家としてのミッションに向き合い続ける。過去に一度も「このグループを離れ、スタンドアローンの状態で起業する」選択をしなかった。その理由の1つも、この「楽しさ」に対する想いにあるようだ。

石井何を目標としているのか、の違いです。私は起業家になりたくて、あるいは社長になりたくて生きているのではありません。

とにかく今、この時代には新しい事業を創造するチャンスが満ちていると捉えているし、そこでしっかりとパフォーマンスを出して形にしていきたい。そのためにはまだまだプロとして上を目指し、成長していかなければいけないと思っています。じゃあどこでどう戦えば成長できるか、を考えるたびに、このRPA HDが私にとって最良の選択だったと思い至っています。

完全独立でアントレプレナーとなる可能性を全否定はしない石井氏だが、「ここにいなければ実現できないチャレンジ」が山のようにあるのに、出ていく必要を感じない、ということだろう。もちろん「RPA HDにいれば、そのリソースやアセットを活用できるから」という理由もあるが、なにより「ここにいれば真剣勝負の場で何度も打席に立てる」。それこそが最大の理由なのだという。

石井私は2012年にグループ企業であるセグメントの設立に携わり、2016年には代表取締役にもなりました。そもそもこのセグメントも当初はオープンアソシエイツが手がけた1つの案件から始まったんです。それは、誰もが知る大手通信企業とのパートナーシップの下で進んでいた新規事業創造のプロジェクト。

途中でその大手企業が、急に撤退を決めたんです。普通ならば当社も退いて、この案件はなかったことになっていたのでしょうけれども、担当者だった私も高橋もあえてチャレンジの続行を選択。そのための組織としてセグメントが誕生し、企業が手がける新規事業および変革事案、つまりトランスフォーメーション専任の部隊として歩んでいくことになったんです。

それまでも変革請負人的な任務を数多く体験し、成長を実感していた石井氏だが、このセグメントの立ち上げに深く関わり、そしてその後トランスフォーメーション専任チームのトップリーダーになったことから、「打席に立つ」機会は劇的に増えていった。しかも石井氏がセグメントのトップとなった2016年には、会社自体もRPA HDと改名して現在の組織陣容のベースが誕生している。

文字通りRPAというスマートロボットの概念が持つ無尽蔵の可能性をフル活用してく、という現在に至る方向性も定まった。まだ世界にはRPA市場と呼べるものさえなく、その可能性をフル活用したイノベーションも登場していない中、「この集団にいなければ立てない打席」で、先陣を切ってバットを振ることを許されたのだ。

石井クライアントからの持ち込み案件であったり、レベニューシェア型の案件もあれば、我々発の試みもある。新たな事業の可能性を追求しつつ、同時にRPAをはじめとする当社保有のデジタル技術も用いてインパクトを出すようなチャレンジにも携わる。いけそうだと思えたら、計画書を書き上げ、周りを巻き込んでいきながら事業化への道を手探りで追っていく。

この繰り返しを何年も体験したことで、私はそれまでにない成長を実感できました。

さらにもう1つ、大きな気づきを得たのだと石井氏は言う。それは「ビジネスリーダーの数だけ事業はある」「各リーダーが主体となって動くことを全面的に許されれば、その事業は成立させられる」「仮に失敗しても主体性さえ担保されれば、そのリーダーは事業を確立できる」といったもの。気づきというよりも信念だという。

石井RPA HDには、もともとアントレプレナー志向の人間が多数います。セグメントでの取り組みで出会った社外のリーダーたちの中にも、確固たるオーナーシップを携えて新規事業に取り組む方々がいます。そしてこの方たちの中でも、特にその主体性を貫こうとする人たちの事業は発展性を得ていきました。

ただ、この主体性の進展を阻む要素も世の中にはたくさんあります。誰かが適切な支援を行うことができたら、この日本でももっともっと「リーダーの数だけ面白い事業が成立していく」のではないか。そう思えた時期に「CVCというアプローチも、新規事業創造の1つのキーワードとして面白いよな」と高橋が言ったんです。

聞こえた瞬間に手を挙げていました、と笑いながら語る石井氏。「もちろん事業経営のノウハウは蓄えていたけれども、投資という領域に精通してなどいなかった」と言い、「でも、たいていの知識はその気になればキャッチアップできますからね」と言ってまた笑う。

石井後付け、後出しでいいじゃないですか、そんなもの(笑)。私にはあったんですよ、「やりたい。やらせろ」という強い主体性が。それで十分だと思ったし、高橋も即答で「よしやれ」と(笑)。これがウチの流儀です。

これから採用する方々にも、投資させていただく起業家・事業家の方々にも、同じものを求め続けますよ。

そう、先に語っていた「主体性」の話は、石井氏自身のことでもあったのだ。ともあれ、こうして2020年7月に立ち上がったOPEN VENTURES。日本でもVCのプレゼンスはすでに確立され、CVCも決して珍しくなくなっている。そんな今、同社は何に違いと強みを発揮していこうというのか。

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起業にオートメーションを。事業家のチャンスを増幅させる

プレシード、シード、アーリー、レイターというスタートアップのフェーズ分類でいえば、シードおよびプレシードフェーズのベンチャーにフォーカスして、年間10社をひとまずの目安としながら、投資および支援を実施していくのがOPEN VENTURESだという。投資企業にはRPA HDグループが保有するオフィス空間やIT環境といったアセットも提供するというが、ここまでの内容ならば、今や類似したCVCは少なくない。

石井たしかに当社はある意味、CVCへの着手で後発組と言えるかもしれません。でも、今この時期に立ち上がった意味も理解してほしいですね。

コロナ禍があり、各方面のCVCが投資マネーを引き上げ、後退していたりもする中であえてスタートをしました。なぜなら好不況にかかわらずサステナブルに支援していくのがOPEN VENTURESの理念だからです。そして、なぜそれが可能なのか、という疑問への答えにもなっていきますが、当社には当社でしか提供できないバリューが存在するからです。

石井氏はこれを「ハイパーオートメーション」と呼ぶ。RPA HDがグループ企業であるRPAテクノロジーズ等を通じて市場に提供している多様なRPAベースのオートーメーションバックオフィスを、無償で投資先ベンチャーに提供。さらにセグメント社等を通じて提供しているマーケティング分野におけるオートメーション機能もまた投資先に無償提供するのだという。

石井誤解を恐れずに言えば、起業を志す人というのは、間違いなく価値があると確信している事業を世に出して、収益化を実現しながら、産業や経済や社会や生活に変革を起こそうという人たち。少なくともOPEN VENTURESが投資対象とするのはそういうスタートアップです。

なにも「経理の仕事がしたいから」起業をするわけではなく、「マーケティングで必要になるデータ収集や分析がしたいだけ」で起業をするわけでもないはず。信頼性が高く、人力に圧倒的に勝るスピードと正確さで基本オペレーションをこなしてくれる自動化システム、つまりハイパーオートメーションが利用できれば、起業家の皆さんは本来の志に直結する部分にエネルギーを集中できます。主体性を担保できます。

そう、先ほど石井氏が熱弁をふるった主体性の確保こそがOPEN VENTURESの信条。そこに役立つスマートロボットという武器をRPA HDは持っており、競合を圧倒するだけの成果も出している。この武器を手渡しながら、ともに成功を目指すというわけだ。

OPEN VENTURESが提供する機能

法務、会計、労務、総務の機能
東証一部並みの監査機能
オフィス利用(東京・虎ノ門)
顧客ネットワークの提供
マーケティングオートメーション

とりわけ、現時点でこれらハイパーオートメーション機能提供の有効性が大きくものをいう分野、例えばDX、AI、IoT、5GさらにはRPA HDの主戦場でもあるハイパーオートメーションやインテリジェントオートメーション等々に絡むサービスや事業を主な投資対象としていくとのこと。そこまでならばすんなり納得するのだが、投資対象はそれだけではない。地方創成やU25という単語もそこに並ぶ。

石井地方創成については、RPA HDがグループ全体として重要テーマに掲げています。以前のインタビューで高橋が話したT字型戦略もここに関わってきます。

「日本発グローバル」というヨコ広がりの夢の追求ばかりに価値があるのではなく、「ローカル課題の解決」というタテに深掘っていく追求にも同様の価値があるのだから、タテヨコ双方に伸ばしていく……それが、前回高橋氏が語っていたT字型戦略。OPEN VENTURESが地方創成系のスタートアップを投資対象に挙げているのもその一環ということだ。事実、すでに地方大学との連携による取り組みも進み始めているとのこと。

ではU25とは何なのか?

石井アンダー25、つまり25歳以下ということです。1つの目安ですから、本当は別にU30でもいいんですけど。

とにかく若い起業家に対して積極的にチャンスを提供していく、というのが私たちの方針です。理由はシンプル。起業というのは失敗確率が高いから。なにも失敗前提で投資するわけではないですけれど(笑)、他のVCやCVCのように「IPO確率の高さ」とか「自社事業とのシナジー」などを選定条件にはしていません。失敗する確率がある程度存在していたとしても、私たちは投資を実行するケースが出てきます。キャピタルゲインで儲けることをゴールにしていない代わりに、この国に強靱な主体性を備えた事業家が育っていくことを強く望んでいる、とでも言えばいいでしょうか。

失敗を通じて進化を遂げたり、次のチャレンジに素早く切り換えられるのは若い人たちだと思いますし、彼らにはとにかく多くの時間がありますから。

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社内外での事業共創を急加速させる切り札がCVC

石井現状(2020年10月現在)はまだ、第1号の投資先企業を吟味中です。もちろん、起業や出資のご相談は、お話をいただければ本気でお受けします、ですがまず今は、地道に「私たちと組むべき理由」を伝えていきます。

CVCであるからには当然、起業相談を受け付ける。社内で呼びかけても数人が応募したというから、RPA HDの事業熱も窺える。

社外からの相談は、個別で受けていくというよりも、イベントの開催に注力。「1dayメンタリングピッチコンテスト」と名付け、7月から毎月開催している。ピッチ事業アイデアをピッチしたのち、石井氏をはじめとするメンター陣が徹底的にメンタリングし、ブラッシュアップさせる(ちなみに今後も継続して参加募集中だ)。

メンターや審査員を、外部からも多く招く。これまでに参加したのはREEPRA VENTURES PTEやサイバーエージェント・キャピタル、経営共創基盤の面々だ。また、北海道や広島、福岡など地方にいる起業家のタマゴもオンラインで本格的に参加することが可能な点も特徴的だ。

石井これからもあらゆる手段を使い、さまざまな形の事業創造を仕掛けていきます。CVCはあくまで一つのアプローチ方法なのですが、できるチャレンジは多くある。機会を作り続けることが何より重要です。

そしてここまでの話に加え、投資対象についてどうしても伝えておきたいことがもう1つあるのだと石井氏は言う。

石井目線はあくまでもエンドユーザーなんです。「こういう先進的な技術や仕組みを開発して……」というのも、もちろんイノベーションですが、私たちが投資するかどうかを判断する場合に重視するのは「その技術や仕組みが使われることによって、ユーザーにどういう価値をもたらし、何を改善するのか」です。ですから、保有する技術力の先端性よりも、生活や社会をどう変えようとしているか。

発想、着想の素晴らしさがあれば、それを支えるような技術は、今や外部からいくらでも調達できます。あくまでも「お客様のために」という視野で起業を志すかたがたを支援するCVCだと理解して欲しいです。

IPOを早期に実現出来るかどうか、あるいは高い時価総額を付けられそうかどうかではなく、世の中に役立つ事業として取り組んでいるかどうかが重要。ビジネスとして自立自走できる仕組みとなり得るかが重要だと石井氏は言う。では、以上のようなこだわりを持って進めていくOPEN VENTURESは、RPA HDの何と紐付き、どんな効果を出していくというのか。

石井具体的な効果として望んでいるのは2つです。

1つは、RPA HDが何の会社なのかを明快にしていくことです。当社はグループ全体を見渡せば「BizRobo!」というRPAソリューションの導入事業も行っていますし、競合と比較しても突出した実績を誇っています。そして、そもそも社名に「RPA」と記されてもいます。

そのせいで、ともすると「RPA導入だけ」をしている企業だとおもわれがちなのですが、そうではありません。

そのことは、前回の高橋氏も冒頭で語っていた。デスクワークのオートメーション化ツールという、世間一般のRPAに対する理解は間違いではないが、同社が追い求めているのはもっと広範囲で真価を発揮していくスマートロボットの総称としてのRPA。しかも製品提供、ソリューション提供は幅広い事業の一部でしかなく、グループ全体で目指しているのは、概念としての広義のRPAやテクノロジーを軸にしながら「新規事業の創造集団」として成長していくことだと。

そのグループ内にOPEN VENTURESが誕生し、多様なスタートアップを支援していき、各事業が確立されていけば、RPA HDグループのブランドも正しく理解されるはずだというのである。

石井概念としてのRPAが持つ可能性の大きさは、まだまだ一般には浸透していません。もちろん当社グループ内でも様々な事業を展開してはいますが、OPEN VENTURESから世に出ていく企業がその多様性を見せてくれれば、我々が「新規事業創造」に特化した集団だということが、もっときちんと理解してもらえる。しかもスマートロボットなどのテクノロジーを活用すれば、これだけ多彩な可能性が現実になるのだということも理解してもらえる。

ですからCVCではあっても、RPA HDの事業との間にシナジーが発生することを特に強く望んではいないんです。

では、2つめの効果とは何なのだろう?

石井RPA HDのキャリアパスをより多様にして、アントレプレナー志向の社員がOPEN VENTURESの支援のもとで起業する可能性も膨らませていきたい、と考えています。今後、RPA HDに入社する人たちが、そういうビジョンを持って入ってきてくれてもいいと思っています。実はちょうど、新規事業の責任者候補を中途で募集し始めたんですよ。

冒頭で石井氏が口にした「打席にたくさん立てる会社」という言葉を思い出す。石井氏自身、RPA HDという新規事業創造集団にいたからこそ、自ら起業をしなくても、常に事業確立に求められる知識や理論やスキルに触れ、当事者でなければ体感できないような成功も失敗も手にしながら成長できたと話していた。そんなグループ内にOPEN VENTURESが誕生したのだから、そこからジャンプするチャンスも手に入るというわけだ。

石井ノウハウや知見を完璧に整えていない若手人材であっても、ここでなら打席に何度も立てるし、自信を得たあかつきに飛び出していくことも可能になれば、世の中にRPA HDのビジョン、ミッションに共感してくれている事業家が増えていきます。もちろんOPEN VENTURESの投資を受けて成功した外部の事業家の皆さんも含め、「もっと上」を目指す人たちに光を当てることができる事業家が増え、皆が主体性をもってチャレンジしていくようになれば、そういう面からも社会に貢献していけますよ。

最後に再び登場した「もっと上を目指す人」という言葉。石井氏はやはり現状の自分に簡単に満足しない者を好んでいるようだ。おそらくこの点も、グループ総帥の高橋氏とシンクロする部分なのだろう。

「企業に属さず、起業するんだ」と息をまく若者のこともOPEN VENTURESは支援していこうとしているが、「現状の自分にOKを出しているようなら話は別」とも言う。「今があなたの成長の上限なの?人生のピークなの?と尋ねたくなる」とイタズラっぽく笑う石井氏。仮に最高のアイデアと、最高のスキルや知見が備わっていたとしても、「じゃあ、それを自分以外の人間でも出来るようにもっていく力はあるのか」「そのビジネスモデルをユーザーに本当に面白いと思ってもらえる力はあるのか」。

そんな風に、「まだやれないかもしれないこと」を探し出して、現実の打席に立って、時には痛い目も見ながら、主体性を失わずに「さらに上」を目指す。

OPEN VENTURESの支援を得ようというスタートアップにも、今後RPA HDの一員になろうという者にも、石井氏はこう問いかけていくという。同じ極上の「楽しさ」を共有しながら成長し、ともに世の中を面白くするために。

こちらの記事は2020年11月06日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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Presented by

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藤田 慎一郎

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