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鈴木 雄太 鈴木 大貴
19-02-27-Wed

早期立ち上げでMRR5.5倍の差を生む。カスタマーサクセス組織のつくり方【ビズリーチ×HiCustomer】

TEXT BY TAKUMI OKAJIMA
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SaaS ConferenceTOKYO 2018
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2021年には、国内市場規模が約5,800億円まで膨れ上がると予想される、SaaSビジネス。
そんな中、急成長する複数のBtoB SaaS企業からスペシャリストが集結し、
即実践できるテーマに焦点を当ててディスカッションするイベント「SaaS ConferenceTOKYO」が開催された。

本記事では、カスタマーサクセスについて議論するセッション
「SaaS事業の収益を倍増するカスタマーサクセス」をレポートする。

登壇したのは、株式会社ビズリーチのHRMOS(ハーモス)採用管理事業部でカスタマーサクセス部の立ち上げを手がけた鈴木雄太氏と、
国内初のカスタマーサクセス管理ツールを提供するHiCustomer株式会社の代表を務める鈴木大貴氏だ。

カスタマーサクセス組織を立ち上げるべきタイミングから、見極めが難しい顧客満足度の適切な把握方法、
カスタマーサクセス職を担当させるべき人物像まで、SaaS事業を大きく成長させる秘訣が明かされた。

【カスタマーサクセス担当必見】HiCustomer鈴木氏が、実際のアクションに繋がる戦略策定まで伴走!実践型の特別ゼミ

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6年間でMRR5.5倍の差が生まれる

カスタマーサクセスの役割は、セールスが成約した案件を引き継ぎ、顧客の継続率やLTV(Life Time Value:サービスを使う顧客が、生涯合計で支払う金額の指標)を伸ばすことだ。継続率やLTVをアップさせるためには、チャーンレート(解約率)を指標として追い、顧客満足度の向上を図る必要がある。「カスタマーサクセスは、新規営業よりも低コストで実践でき、売り上げにも貢献しやすい」と鈴木大貴氏(以下、HiCustomer鈴木氏)は力説する。

HiCustomer株式会社 代表取締役 鈴木大貴氏

HiCustomer鈴木チャーンレートを下げていくことで、膨大な収益獲得につながります。たとえばレベニューチャーン(一定期間における損失額を表す指標)がマイナス2.5%の企業とプラス5%の企業では、6年間で月あたりの収益に5.5倍の差が現れるんです。

HiCustomer鈴木継続率を維持し、アップセル・クロスセル施策に力を入れることで、圧倒的な売上を獲得できます。たとえば優れたアップセル・クロスセル施策を行っている企業として、プロジェクト管理ツールを提供するSmartsheetの直近のIRを見てみると、顧客数が8%増加しているのに対して売上は60%も伸びています。

鈴木雄太氏(以下、ビズリーチ鈴木氏)も同意を示し、「カスタマーサクセス部署の立ち上げは、早ければ早いほど良い」と話す。特に「年間チャーンレートが10%を超えている」「アップセル・クロスセル展開がしやすいプロダクトを扱っている」といった場合は、カスタマーサクセスの体制を整えることで大きな改善が見込めるという。

株式会社ビズリーチ HRMOS採用管理事業部カスタマーサクセス部 部長 鈴木雄太氏

ビズリーチ鈴木月間チャーンレート1%以内が、一般的な指標とされているケースが多いのではないでしょうか。これを超えているようであれば、カスタマーサクセス部門の立ち上げを検討すると良いと思いますし、経験上、早いタイミングでの立ち上げの方が効果も大きいと感じています。

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利用データの分析だけでは足りない。顧客満足度をスコア化する際は、顧客訪問も必要

続いて、カスタマーサクセス部署を立ち上げる際の課題について議論された。二人は「顧客状況を正しく把握できる体制を作ることが難しい」と口を揃える。

ビズリーチ鈴木顧客満足度を把握するためには、利用データの分析はもちろん、顧客訪問によるヒアリングも必要です。利用率をはじめとした数字を追いかけるだけでは、顧客の満足度を正しく見極めるのは難しいと感じています。お客様のもとへ足を運んでみると、データ上は満足度が高そうだった顧客からの反応が悪かったり、利用頻度が低い顧客からポジティブな反応がもらえたりすることは珍しくありません。

対してHiCustomer鈴木氏は、「顧客がプロダクトを使いこなせているか把握し、プロダクトの価値が伝わりやすいオンボーディング(導入)体制を築くことが大切だ」と持論を示す。

HiCustomer鈴木「顧客が自分たちのプロダクトを最低限使いこなせているか」が分かる仕組みをつくることが、ファーストステップとして重要だと感じます。

たとえば、ツールのコア機能の利用頻度や、個別の機能の活用状況を見える化すると良いでしょう。また、顧客がプロダクトを使い始めてから、できるだけ早く価値を感じていただけるように、つまづきやすいポイントを減らしていくことが大切です。数ある解約原因の中でも、オンボーディングの失敗は少なくない割合を占めています。

ここで難しいのは、「顧客状況の把握のために、自社のエンジニアリソースをどれだけ投下するか」。ツールを内製するといったお話を聞くこともありますが、自社プロダクトの開発以外にエンジニアの労力を割き過ぎた結果、開発に手が回らなくなって失敗するパターンもよく目にします。リソースが潤沢でない限り、HiCustomerのような専用ツールを導入するのがおすすめです。

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「顧客を愛し、顧客に愛される」人こそが適任

最後に、カスタマーサクセス部署を立ち上げる際の人材登用について議論された。「国内でカスタマーサクセスという概念が普及し始めてまだ1、2年しか経っていないため、採用基準が確立されていないことが課題だ」とビズリーチ鈴木氏は指摘する。そうした状況では「サービスの特性によって4つの採用基準を使い分けるのが良い」と述べる。

ビズリーチ鈴木「顧客視点で考えられる方」がカスタマーサクセスに向いていると考えています。HRMOS採用管理のカスタマーサクセスの経験を通じて、業界経験がなかったとしても。顧客視点で成功を考えられる素地のある方こそ活躍されているイメージを強く持っています。人材を採用する際は、顧客志向のエピソードをぜひお伺いしたいですね。

HiCustomer鈴木その上で、登用すべき人材は、提供するサービスの特性によって4タイプに分けられます。ACV(一顧客あたりの年間平均単価)を縦軸に、ツールのターゲット範囲の広さを横軸に配置し、四象限で区切ったマトリクスを見ると分かりやすいです。

加えてHiCustomer鈴木氏は、「『なんとなく流行っていて、イケている職種だから』という理由でカスタマーサクセス職を志望する人でなく、顧客志向の仕事が好きな人を登用したい」と語る。

HiCustomer鈴木顧客を愛し、顧客から愛される人を採りたいと考えています。カスタマーサクセスの業務は、ビジネススキルよりも、その奥にある顧客志向こそが大切です。お客様に自分たちのプロダクトの良さを直に伝えられるのがカスタマーサクセスの楽しさだし、それを心から楽しめる方にこそ向いている仕事だと思います。

顧客の継続利用によって収益を伸ばしていくサブスクリプション型ビジネスにおいて、カスタマーサクセスへの注力は必須になるだろう。しかし、近年注目されはじめたばかりの概念であるがゆえに、「組織を立ち上げるにも、どこから着手すれば良いのか分からない」と苦悩するスタートアップも少なくないはずだ。

もちろん、カスタマーサクセスに“必勝法”はない。しかし、まずは第一歩として「顧客との対面ヒアリングや専用ツールの導入によって、顧客満足度のスコア化を試みる」ことから始めるなど、二人が語った「先人の知恵」を参考にすることは、大いに意味があるはずだ。

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株式会社ビズリーチ HRMOS採用管理事業部カスタマーサクセス部 部長 鈴木 雄太 HiCustomer株式会社 代表取締役 鈴木 大貴
[文]岡島たくみ

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