「HRと経理は、会社のオーナー視点が求められるグローバルな仕事だ!」
日産自動車の成長を支えるバックオフィサー達の魅力

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インタビュイー
大山 紀香
  • 日産自動車株式会社 人事本部グローバルタレントマネジメント部 グローバルタレントマネジメントグループ 

幼少期を中国ですごしたこともあって早い時期からグローバルな仕事に興味を持ち、大学卒業後ソニーに入社。その後、スイスと中国のジョイントベンチャーである上海の人材関連企業を経て、2017年に日産入社。人事部門でHRBPを担った後、2019年よりグローバルHRのタレントマネジメントに携わっている。

榎本 剛
  • 日産自動車株式会社 IR部 

大学院で会計および経営について学んだ後、アルバイトや旅行で2年間を自由に過ごす中、企業の社会的責任やIR領域に強く惹かれ、2012年に日産へ入社。当初よりグローバル経理関連の仕事に就き、インドへの半年間に及ぶ出張も経験。2018年より現在のIR担当となり、グローバル経理で得た気づきや学びを活用しながら国内投資家等への情報発信を担っている。

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グローバルというキーワードを聞くと、どうしても世界を股にかけて飛び回る商社マンや異国の地で奮闘する駐在員のような社会人をイメージしがち。だが、人口減少の日本ではもはや成長企業の大部分が国際市場と向き合うことを余儀なくされている。人事や経理など、いわゆるバックオフィスの業務に携わる人々にも、当然のごとくグローバルな知見とスキルが問われ始めている。

見方を転じれば、国内のヘッドクォーターに居ながらにして世界中を相手にしていける時代が到来しているということ。そこでしか得られない貴重な経験知が次なるキャリアの扉を開けるチャンスにもつながっていくはずだ。

そこで日産自動車(以下日産)のグローバルHR担当者とグローバルファイナンス経験者に、それぞれのやりがいや醍醐味を聞いた。

  • TEXT BY NAOKI MORIKAWA
  • PHOTO BY TOMOKO HANAI
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グローバル企業・日産では、海外赴任などしなくとも海外とつながる仕事が当たり前

今さら言うまでもないだろうが「日本に本社を構える日産」とはいえ、その実態はグローバルカンパニーだ。販売台数における国内比率は約10%、生産台数における国内比率も約17%。(2018年度実績)つまり販売においても生産においても、その大部分は海外で行われているということになる。拠点もまたアジア、中東、アフリカ、欧米、南米と、世界中に置かれていることから、ヘッドクォーターで経営をサポートするバックオフィス業務においては、全世界へ向けた司令塔的役割も色濃くなる。

榎本私が日産に入社しようと思ったのは、IRという役割に興味を持ち、様々な企業のIR担当者とお会いする中で、日産の人たちが聞かせてくれたお話に最も刺激を受けたことからでした。もちろん、IRを担うにはその会社の全体像をつぶさに把握している必要がありますから、即座にその任に就けるとは思っていませんでした。

加えて、学生時代に一貫して学んできた会計や経営についての知識をベースに、社外に対して社会的な説明責任を果たすという仕事に興味をもっていましたから、数字で明快に物事を説明する経理という仕事で研鑽を積んでいくことを望んでいました。事実、入社後は経理部門に配属されたのですが、担当したのがグローバル経理だったんです。

入社にあたっては、横浜出身の榎本氏が「地元随一の成功企業」として日産に憧れと愛情を募らせてきた背景もあるという。しかし「ローカルの誇り」である日産が「グローバルなリーディングカンパニー」であること、「電気自動車リーフを中心に、自動車の負を解消しようとしている先進的な企業」であることはもちろん知っている。海外で展開する事業の収益を管理し、予実に基づきながら経営課題と向き合う仕事に携わることにも、一切戸惑いは感じなかったという。

榎本むしろ、この仕事に就かなければ知りようもない多様な事業実態や、国・地域ごとのカルチャーの違いなどなどを実感できたことは、非常に大きな刺激になりましたし、現在のIRの仕事にも役立っているんです。

一方、大山氏のほうは学生時代からグローバル志向を強く持っていたようだ。

大山父の仕事の事情から、私は6歳から13歳までを中国で過ごしました。その後、帰国して日本の大学に通っていたわけですが、育った環境のおかげで日本語・中国語・英語を話せるようになっていたこともあり、「グローバルな仕事で活躍できるようになりたい」という願望を抱えていました。新卒でソニーに入社をしたのも、日本企業というよりもグローバルカンパニーとして成功している大手メーカーであれば、世界中と向き合っていく仕事に携われると思ったからなんです。

ちなみに大山氏は、前回のインタビューに登場した見座田氏の同期。大山氏も見座田氏同様に経営企画やコンサルティングを担う部門に配属された。IT系コンサル案件がメインだったこともあり「思い切りドメスティックな仕事」を担うことになり、「非常に良い経験となった」とはいうものの、少しでも早くグローバルな仕事に就くために転職に乗り出した。入社したのは、中国の国営企業とスイスに本社のある企業の合弁会社。中国における外資系企業の人事コンサルティングや関連するソリューションを提供している企業だった。

大山急成長する中国のエネルギッシュなビジネスシーンに飛び込んでいった日々は本当に充実していましたし、様々な学びを得ることができました。ただ、どうしても外側から企業のHRや組織に関わっていく立場ですから、「最良な提案ができた」と手応えを感じていても、必ずしもその通りには実行されないジレンマも多く体験しました。ボーダレスなスタンスでHRに関わっていくこと自体には、とてもやりがいを得ていましたから、「今度は事業会社の中でHRのプロフェッショナルとして活躍できる場を探そう」と考え、日産への入社を決めました。

入社後はHRBP(HRビジネスパートナー)、すなわち戦略人事担当として経営と直結した働きを担った大山氏は、2019年からグローバルHRにフォーカス。海外で働く人材のタレントマネジメントに携わっている。

以上が2人の大まかなキャリアヒストリーだが、グローバルHRやグローバル経理、グローバルファイナンスと言われても、経験のない者にはその職務がイメージしづらい。はたして、具体的にどんな使命を全うするのだろうか。

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グローバルHR、グローバル経理は「経営を支える仕事」だ!

大山まず声を大にして伝えたいことは、「グローバルではことさら、HRという役職はバックオフィスではなく、将来の企業成長を見越して人材を発掘し、CEOの隣で経営を支える仕事である」ということ。

それは日産でも同じです。いま日産では全世界の拠点を7つのリージョンに分けているのですが、私の現在のミッションはそれぞれのリージョンのHRがどのような状況にあり、どういった課題を抱えているのか等々について把握。タレントマネジメント領域の問題点についてグローバル本社の観点から、リージョン担当者とともに解決策を追求していくことにあります。

各リージョンのHRリーダーとはマンスリーでオンラインミーティングを実施し、採用状況を把握したり、課題解決の進捗を確認して、それらの分析も常に行っています。

他にもやるべき事は多数。横浜にあるグローバル本社の採用にも関与し、人材エージェントとともにグローバル人材の発掘にも携わる。日産グループとしてのグローバルポリシー策定というミッションにも参画。さらには戦略的に推進しているHR系のプロジェクトワークも抱えているとのこと。まさに「人材を軸にして企業成長を支える役割」を担っているようだ。一方の榎本氏は、グローバル経理を担っていた時期、半年にわたるインドへの長期出張も経験したという。

榎本基本的にはHR分野で大山が担っているように、本社経理部門の人間として海外事業の進捗を把握し、課題解決や問題点の分析などを日本で行っていく立場だったのですが、数字ばかりを追いかけていても完全に理解できない部分もあります。ですからインドに長期間滞在した経験は大きな学びになりました。

体感しなければわからない事柄のうち、最も強烈だったのは時間に対する感覚の違いですね。インドの人たちの時間感覚は一言でいえば「無限」なんですよ(笑)。例えば「●●を●月●日までに終わらせなければいけないから、逆算して●月から動き出す」というような感覚は、日本人ならばあえて言わなくてもわかってもらえますが、インドではそうもいきませんでした。

反面、数字に対する感覚の鋭さは日本人を遙かに超越している長所もあります。もちろん個人差はあるにせよ、ドメスティックオンリーな仕事と異なり、リージョンによるカルチャーの違いを理解し、上手にその違いを活用しなければうまくいかないのだということを痛感したんです。

グローバルの話題となると必ず登場するのが語学力。榎本氏自身は「並み程度の英語力です」というが、言葉の壁よりもずっと大きな存在が文化の壁だというのである。そして、3カ国語を操る大山氏も、この捉え方に大いに共感する。

大山話せないよりは話せたほうが良いのは当然なのですが、共通言語としてミーティング等で用いる英語を各リージョンのかたたちがすべて流暢に話せるかというと、そうとは限りません。「話せるか否か」ではなく「わかり合おうとするか否か」がとても重要なんです。

榎本そうですね。特にファイナンスの領域では、言葉では共有できなかった理解が数字という共通言語で得られることもあります。わかり合おうという姿勢と、共有する専門性があれば、言葉を超えた共通理解につながりますし、やっぱりダイバーシティの意識が何より大事ですね。

大山私は新卒の時、英語も中国語も話せるのだから、きっとグローバルな仕事にすぐに就くことができると思っていましたが、結果としてそうならなかった。当時は「どうして?」という気持ちもなくはなかったのですが、後々考えてみれば「まずは目の前の仕事をきちんとこなす力をつけること」が重要なのだという判断もあってのことだったのだと気づきました。

その後、中国で働いた経験はもちろん今の仕事にも活きていますが、外国語を使って働いたこと以上に、HRの仕事についての理解を深めたことが大きかったと思っています。榎本がファイナンスの世界で数字という共通言語を活用しているのと同じように、私もまたHR領域での世界共通の専門知識であったり、データを起点にしながらストーリーを組み立てていくプロセスであったり、人材の行く末をフォーキャスト(予測)する能力などなどが、各リージョンのHR担当との共通言語のようになっていたりします。

「日本にはなかなかグローバル人材が育たない」という経営陣や人事担当者の嘆きを耳にすることは多い。「最大のネックは語学力の低さだ」と捉える傾向は強いものの、榎本氏も大山氏も「歩み寄って理解しようとするダイバーシティの意識」こそが最重要と説く。では、実際の現場で2人はどんなことを心がけているのだろうか。

榎本「日本からの指示が常に正しいんだから、指示した通りに動いてくれ」というような固定概念や硬直化したコミュニケーションは避けていました。日産として今やるべきことを、そのリージョンの人たちに本質的に理解してもらうにはどうしたらいいか。そのための方法や接し方は地域によって違うんです。ですから「指示する」のが私の仕事なのではなく、先方と「共感し、共鳴できるようにする」のが私の仕事だと捉えるようになりました。この姿勢はIRとなった今も大きな財産になってくれています。

アナリストや機関投資家を相手にする時も、グローバルな仕事とゴールは同じ。「どうすれば様々な“違い”を超えて理解してもらえるか」に心を砕き、柔軟な取り組みをしていくことが求められる、というわけだ。

大山私が一貫して心がけているのは「いつ、どういうコミュニケーションを経て、どんな仮説や結論に到達したのか」を必ず形にして残していくことです。エビデンス(証拠)を残す、という発想とは少し違いますが、実際に話し合った相手にメール等で追認してもらわないと、次へは進めないのがグローバルの鉄則。

例えば私の場合、中国語のコミュニケーションは得意ですから、中国エリアのHR担当者との話し合いはとても円滑に進んだりするのですが、それでも時には「言った、言わない」という展開にもなりかねません。

私たち日本人が思っている以上に、海外では契約文化が当然のこととして根づいていますから、会話だけで「わかり合えた」と思っても安心してしまわず、必ず文書などの形に残す。そうすれば、その文書を出発点にして次段階のコミュニケーションへスムーズに進んでいけるんです。

榎本わかります。経理の世界でも、「数字は万国共通だからいいじゃないか」というのは甘えでしかなくて、その数字を挟んで文化・価値観の違う相手と見解を共有させる作業は必須になります。そして共通理解を得たなら、ちゃんとアグリーメント(同意)の足跡を残していかなければ、ビジネスは前に進んでいきませんよね。

IR担当となった今も、私は安直な情報発信にならないよう心がけています。例えば技術革新の話題などは投資の上で非常に重要なわけですが、公式に入手できている情報をただそのまま流すだけでは正しく理解してもらえないかもしれない。それならば、より深く理解してもらうために当社の先進技術イベントに自動車セクターを担当する証券アナリストや投資家の方々をお招きして、形になった日産の製品をご自分の目で見て、体験していただく。

海外事業の進捗についても同じ事。直近のデータを公表するだけでは伝わらない部分がありそうなら、事前に私のほうから現地担当者に連絡をして、詳しく聞き取りをしたうえで公開情報の範囲内で発信したりもします。

両者に共通するのは、国内外あるいは社内外の「異なる文化・価値観の持ち主」と向き合い、ダイバーシティ推進のためのハブの役割を果たそうという意識。グローバルな職務に就いた者限定ではなく、グローバルなビジネスを営む組織にいる全員が、こうした意識を強く持つべきだということだろう。

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グローバルに働きたいのならば、企業内の人材のダイバーシティに注目せよ

大山氏は横浜にある日産のグローバル本社の状況について、気になる話を教えてくれた。

大山意外に知られていないかもしれないのですが、この横浜のオフィス自体が多国籍なんです。私にとっての上司も、日本人、メキシコ人、ロシア人と変遷してきました(笑)。それに、特にグローバル●●部という部門の人間ではなくても、仕事で英語を使う場面は増えてきていると思います。

榎本そうですよね(笑)。私のかつての上司もアメリカ人だったり中国人だったりしました。毎日通う日本のオフィスにいても、「国や地域ごとに違う価値観や感受性」を意識しながらコミュニケーションをとるのが当たり前です。私も含め、英語を流暢に話せない人間であっても、必要に応じて英語でなんとか伝えようとしてもいますし。

大山きっとそれは日産に限った話でもなくなっていきますよね。多くの会社が自国のオフィス内でもダイバーシティを進めながらグローバルなビジネスの基点になっていくでしょうから。もっと言えば、世界各地の拠点内でもダイバーシティは進んでいます。もうそうなると、地域の特性も考えつつ、相手のパーソナリティも把握しながら、言語も接し方も臨機応変に進めることが当たり前(笑)。「海外で働く」とか「海外にいる相手とやりとりする」ことだけが「グローバルな働き方」ではなくなっています。

例えば「日本のオフィスにいるイタリア人が北米拠点にいる中国人と英語でコミュニケーションする」等という情景が今後は当たり前になっていく。少なくとも日産ではそうなりつつある。それゆえに「グローバルなキャリアを築くぞ」という志の持ち主であろうと、「ドメスティックなビジネスを日本でしたい」という発想の者であろうと、今後は否応なくダイバーシティな環境のもとで成果を上げなければいけなくなるのだ。では、そこで求められる資質とは何なのか。

榎本私は素直さがとても大切だと思っています。相手の国籍がどこだからとか、我々は日本の企業なのだから、という固定観念はいったん捨てて、素直に目の前の相手の話を聞き、その人にわかるように自分の主張をする。

大山そうですよね。むしろ変に「グローバルなんだからこうじゃなくちゃ」という決めつけを持たないことが基本。本質的なコミュニケーションの基礎に立ち返る姿勢がすごく重要だと私も思います。グローバルHRの人間として言わせてもらえば、語学力や海外生活経験のようなものがあればベターです。しかしむしろ必須条件だと考えているのは、ポジティブさや、常に学び続けるマインドセットやタフネスが備わっているかどうかです。

榎本メンタルタフネスは重要ですね(笑)。私は学生時代にバスケットボールに夢中になっていたんですが、なぜか私のチームはめちゃめちゃ多国籍集団で、まとめるのが大変でした。自己主張が激しすぎるチームメートもいれば、放っておいたら何も言わない仲間もいて(笑)。でも、少々大変でも皆が納得いくように話し合い、そうしてタフな思いをしてチームが1つにまとまると、不思議と強豪相手の試合にも勝てましたし、苦労したぶん達成感もひとしおでした。

大山そうそう(笑)。ダイバーシティって本当にタフな環境でもあるかわりに、うまくいったときの達成感はすごく大きいですよね。

榎本「“違い”を乗り越えてわかり合えた」という喜びって、きっと国際人になれた者だけが味わえる醍醐味ですよね。そういう人とは「また何かを一緒にやろう」って自然に思えるし、相手も同じように感じてくれます。特に「グローバルなキャリアを」と願っていない人であっても、ぜひ経験して体感してほしいと思いますし、そのためにはダイバーシティのある組織が一番いいと思います。私自身、働いている間にどんどん「人に対する好奇心や興味」が膨らんでいきました。

大山私も自動車そのものよりも、「世界に対する好奇心」がもともと強かったのですが、日産のこのダイバーシティな環境に入り込んだことで、その好奇心がさらに大きくなっています。ですから、「自動車」という業界やキーワードに興味がない人にも、どんどん日産に興味をもち、入社してこの環境を体験してほしいと思っているんです。今ならITを活用した業務だって、日産の中にはたくさんあるんですから。

そろそろ考え方を改めなければいけないようだ。今や就活や転職活動の際に、誰もがグローバルというワードを意識する。しかし重要なのは「どの国で働くか」「どこの地域と向き合うか」「どの業界で働くか」以上に、「どう生きていきたいか」「働くことにどんな喜びを求めるか」。榎本氏、大山氏の話を聞いていくと、そう感じる。「人として、今までの枠を突き破るくらい成長したい」「仕事を通じなければ出会えなかったような人々から貪欲に刺激を受けていきたい」と願うなら、グローバルな環境、ダイバーシティ経営を進めている組織で働くという選択肢に大いなるチャンスがあるということを理解すべきだろう。

こちらの記事は2019年11月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

森川 直樹

写真

花井 智子

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