年末年始にまとめて読みたい。2023年、押さえておくべき事業家・経営者のnote特集

さまざまなSNSの誕生と普及で、スタートアップの起業家や経営者も大きな影響力を持つようになってきた。特にnoteは重要なプラットフォームで、会員数は2022年4月に500万人を突破。多くのスタートアップ関係者が「発信ならnote」と考えている。

一方、日々忙しいスタートアップパーソン一人ひとりは、良質なコンテンツが増えたからこそ、「数が多すぎてどれを読めばいいかわからない」という状態に陥ってしまっていることだろう。

そこで年末年始、「来年は飛躍の年にしよう」と意気込む読者に向けて、2023年、押さえておくべき事業家・経営者のnote記事を7つ、FastGrowの独断と偏見で選び、ご紹介したい。 起業家、経営者、もしくはそこを目指す方が、このnoteとともに2024年のロケットスタートを切ることができるよう祈ってお届けする。

本稿では、読者の日々の事業活動の「血肉」となるような、まさに「何度でも読み返したい」noteを厳選している。皆さまの「事業家としてのバイブル」となれば幸いだ。

  • TEXT BY TAKASHI OKUBO
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創業時の自分に言いたいことは「組織づくりをナメるな」──Funds 藤田 雄一郎氏

最初に紹介するのは、上場企業へ間接的に資金を貸し出す形で投資ができる「貸付投資サービス」を提供するファンズ代表取締役CEOの藤田氏のnoteだ。本記事では藤田氏のnoteの中から特におすすめしたい2つの記事をご紹介したい。

まず一つ目が藤田氏が「組織づくりをナメるな」と自身への自戒も込めて、後続の経営者のために記した記事だ。

2023年に創業から7年を迎えたファンズは、100名ほどの規模へと組織が拡大した。創業まもない2〜3年の間は決して心理的安全性が高いとは言えない状態で、藤田氏は組織のことでよく悩みを抱えていた。

当時から「心理的安全性のあるチーム」をバリューに掲げていたものの、実態は形骸化しており、具体的な行動指針に欠けていた。

そこで、藤田氏が決断したのは、バリューの全面刷新だ。生まれたのが「セカンドペンギン」、略して「セカペン」。最初に声を上げる人間と同じくらい、その声に応える2人目、3人目の存在を重視するカルチャーだ。

セカペン文化の浸透には、経営陣が普段の会話から「それ、ナイスセカペンだね!」といった具合に積極的にバリューを使う、「セカペン賞」という社内表彰の設立により、バリューを体現した人を評価する仕組みを作る、オリジナルキャラ「セカペンちゃん」を作る、このような複数の取り組みが功を奏したようだ。

「組織もプロダクトと同じように、よくしようとしないと、よくならない」と強調する藤田氏。バリューの浸透には長期的かつ粘り強い社内コミュニケーションが不可欠。創業時、多くの経営者が事業に集中し組織作りを後回しにしてしまう中、藤田氏は組織・カルチャー作りの重要性をnoteで綴ったのだ。

この記事はnote内で1,600以上の「スキ」を獲得し、話題を読んだ。こうした組織づくりの肝といえるコンテンツは、経営者だけでなく、マネージャーやプレイヤーも知っておくべきであろう。組織は一人でつくるものではないのだから。

二つ目が、昨今注目度の高まるスタートアップ×大企業の連携の“リアル”を描いた記事だ。

ファンズは三菱UFJ銀行、電通、楽天証券といった日本を代表する企業群と提携を果たしている。サービス開始わずか4年目のファンズがなぜこれらを成し遂げられたのか?藤田氏曰く、その答えは「スタートアップは大企業の力を借りるべき」という信念にあるという。

note内では、藤田氏が大企業との提携を図る上で重要になる9項目をまとめている。

  1. 大企業の課題解決に貢献する
  2. 「キーマン」は2人いる
  3. 意思決定しやすいようにサポートする
  4. アクセラレータプログラムを活用する
  5. 出資してもらうと、提携しやすくなる
  6. 自社にアライアンス部隊をつくる
  7. 人脈や経験の豊富な人に顧問になってもらう
  8. 「大企業にできないこと」だってある
  9. 担当者と「共犯関係」になる

文字数の都合上本記事では簡単な説明に止めるものの、note内では単なるエッセンスの紹介に止まらず、9つの項目それぞれに具体的なアクションも明示されている。大企業と提携を志すスタートアップ経営者は必読の記事であろう。

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新規事業の失敗。自信を失い、社長を辞めようとした──タイミー 小川嶺氏

「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス『Timee』を提供するタイミー。その代表を務める小川氏が、Forbes JAPANによる「日本の起業家ランキング2024」の第2位に選出され注目を集めたことも記憶に新しい。

そんな小川氏が、起業家ランキング発表の約1ヶ月前にnoteで公開した『タイミーデリバリー』という新規事業開発の失敗談を取り上げよう。彼自身が「大失敗に終わった」と認めるこの事例は、率直で生々しい表現で綴られている。文章からは、絶えず変わる小川氏の意思決定に対する同僚役員たちの厳しい視線、タイミーの筆頭株主であるサイバーエージェントの藤田氏に社長辞任の相談をした際のリアルなやりとりなど、他では味わえない臨場感に満ちており、引き込まれる内容だ。

『タイミーデリバリー』は、新型コロナウイルスのパンデミック下で苦境に立つ飲食業界を救うべく立ち上がった事業だった。小川氏自身が配送員として直接関わるほどこの事業に全力を注ぎ、期待も大きかった。タイミーがこれまで培ってきたネットワークとの親和性も高く、「タイミーを超える!」と小川氏自ら公言してもいたという。だが顧客獲得の難しさ、そして競合サービスとの激しい競争に直面し、事業は挫折に終わる。

この間、タイミー本体は他の役員たちによって支えられ、会社は小川氏の不在でも成り立っていた。これに気付いた彼は、社長退任を決意するも、その後サイバーエージェントの藤田氏に相談した際、「どんなにつらくてもバッターボックスに立ち続けないとダメだ」との助言を受け、想いを改める。同氏の揺れ動く決断に、役員たちからは厳しい意見が寄せられたが、粘り強い1on1での対話を通じ、引き続き社長として事業に向き合い続けることとなった。

このように赤裸々に語られた失敗談からは、ありのままの小川氏の人柄が透けて見えるようだった。日本の労働市場に、新しい価値観をもたらしたタイミー。この出来事を機に一皮むけた小川氏と、優秀な役員・メンバー達が次にどんなことを仕掛けるのか、とても楽しみに思う。

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スタートアップでも、大企業と同じように衰退の危険が潜んでいる──Momentor 坂井風太氏

SNSやPIVOTで多くの反響を呼んでいる、Momentorの坂井氏。ディー・エヌ・エー(DeNA)で人材育成の基盤をつくった知見と経験を活かし、2022年7月に独立。人材育成・組織開発のコンサルティングを通じて、組織基盤強化やDXドライブ事業を展開している。そんな坂井氏は、これまで発信した動画などでは語りきれなかった部分をnoteに綴り、「スキ」の数は2000にも届きそうな勢いだ(2023年12月27日時点)。

出典:https://note.com/fuuuuuta21/n/n5bd165fa9e3c

タイトルは『【完全版】なぜ組織は衰退していくのか?』。組織衰退の全貌を浮き彫りにするこのnoteは、組織の内部から生じる危険性をどこよりも深く掘り下げた内容となっている。文字数の関係上その全てを取り上げるのは難しいため、FastGrowとして興味深かった箇所を抜粋してご紹介したい。

「Ch8:過剰な自社愛とメディアトラップ、そして内集団バイアス」の章では、自社原理主義と内集団バイアスの重大性が強調される。自社原理主義者は、「自社が今まで守ってきた◯◯Wayを今後も守っていくことが大切なんだ!」と自社の方法論に固執し過ぎることで新しい視点を拒絶してしまう。そして、内集団バイアスは、「自分が所属する集団(内集団)のメンバーの方が、それ以外の集団(外集団)のメンバーに比べて人格や能力が優れていると認知し、優遇する現象」だと勘違いしてしまう現象だ。

驚くべきは、この問題が大企業だけでなくスタートアップでも起きうるという指摘だ。創業初期の事業を成功させた事業家本人が、未来の事業成長のボトルネックになるケースも少なくないという。メディアや書籍による称賛がこれを助長し、組織は衰退への道をたどることになる。スタートアップであっても肝に命じておく必要がありそうだ。

また、最後の章で坂井氏は「地上戦の整備」が重要だと主張している。1on1やコーチングのように、単に流行りの施策を真似るだけでは意味がなく、現場の話法レベルまで落とし込む実践性と、特定の事業フェーズ・業界に特化しない普遍性が必要なのだという。

もちろん、この記事で紹介したのはほんの一部に過ぎない。ぜひ、組織づくりへの洞察を深めるためにも、坂井氏のnoteを読むことを強くお勧めしたい。

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経営者に必要なのはスキルよりも圧倒的にマインド──ナレッジワーク 麻野耕司氏

「みんなが売れる営業になる」というコピーを掲げ、営業組織を強化するソリューションを提供するナレッジワーク。代表取締役を勤めるのが麻野 耕司氏。2010年にリンクアンドモチベーションの最年少執行役員(当時)に着任し、2020年、ナレッジワークを創業した人物だ。

そんな浅野氏が2023年4月に『経営チームに求められるもの』というタイトルのnoteを公開。『時々複数の社内のメンバーから「私も経営チームに参画していきたいのですが、どのようにステップアップをしていけば良いですか?」と聞かれる』という書き出しから始まる通り、メンバーが経営レイヤーへステップアップを果たす際のヒントが盛りだくさんの内容。FastGrowの読者であれば必読のnoteであろう。

まず冒頭で述べたのは、「経営チームに必要なのはスキルよりも圧倒的にマインドである」ということだ。経営チームの役割は“意思決定”であり、それにはマインドが何より重要なのだという。ではどんなマインドが必要なのか。麻野氏は「一貫性」「献身性」「責任感」の三つを挙げている。

まず「一貫性」について。経営とは、様々な場面でその時点での最適解を目指す意思決定を下すことだ。例えば、戦略と実行をどう統合するかといったように、複数の要素を明確なストーリーを持って連携させられた時に大きな成果が生まれる。そこで、重要となるのが「経営チームの一貫性」であるという。

「違うシチュエーションや違うタイミングで、同じ判断軸を持って意思決定をするから様々なことに繋がりが生まれていくのだ」浅野氏が本文でも強調する通り、マインドに一貫性がなければ致命的なズレが発生してしまう。経営チームの人選は「ミッションへの共感度合い」や「スタイルの体現度合い」の高いメンバーが必要不可欠だという。

次に「献身性」について。経営者というのは基本的に孤独だ。麻野氏も「経営者になると、会社の中に自分のことを評価してくれる人はいなくなる」と語っている。たとえ自分が身を切って社員のために何かをしたとしても、わざわざそれを褒めてくれる人はいない。もしそうした状況下におかれても、自分の感情やエゴを優先せずに、組織の合理性(みんなのためになるからやる)を重視して意思決定する必要があるのだ。

そして最後は「ステークホルダーに対する責任感」だ。顧客、株主、社員に対して責任を負い、全ての出来事を自分の責任だと捉えて向き合う覚悟が必要不可欠である。麻野氏は「事業や組織、仕事がうまく行かない時に自分以外に理由を求めるタイプは経営に不向きだ」と断言する。

もちろんこれらのマインドセットは、社内の全てのメンバーに等しく求められるものではないが、経営層を目指す者にとっては欠かせない要素であろう。

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自分も含め、上場している起業家の多くがだらしないと感じる──さくらインターネット 田中邦裕氏

IT業界に関わる者であれば、さくらインターネットの名を知らない者はいないだろう。インターネット黎明期からホスティングサーバの提供を行う、国内最大手のインターネット企業の一つだ。また2023年11月には、デジタル庁の募集する「ガバメントクラウドサービス提供事業者」に、国内事業者としてはじめて認定されたことでも話題となった。2025年度末までに技術要件を満たすことを前提とした認定ではあるが、これまでAmazon、Google、Microsoft、Oracleといったメガテックしか認定されてこなかった経緯を踏まえて、日本の重要なクラウドインフラを担う存在として期待が高まる。

そんな田中氏が公開したnoteは「上場」をテーマとしたもの。同社の上場から18年がたった2023年。上場の経緯からこれまでの気づき、そして上場することの意義や責任について率直な想いが綴られている。その貴重な体験談から、ビジネスパーソンとして学ぶべきことは多い。

特に、「資金調達と挫折」との見出しの続きに綴られた下記の一文が印象的であった。

本当は2002年に上場すべく頑張っていたものの、ネットバブル崩壊で顧客の大半が破綻して、そもそも自社の資金繰りもままならず、キャッシングをして社員に給与を振り込むような毎日が続き、もしその時に上場してたら24歳だったので、いまだに最年少上場だったかもしれませんが、上場なんて夢のまた夢となるわけです。

テキストではわずか149文字に過ぎないが、当時の田中氏が抱えていた苦悩がこれ以上なくリアルに伝わってくる。その後、なんとか窮地を乗り越え、mixiやCyberAgentというIT黎明期を彩る企業と二人三脚で成長していくことで、業績は劇的な回復を遂げた。しかし2004年、上場申請を行ったものの、西武鉄道の粉飾決算事件の影響を受け、上場審査は全面的にストップ。さくらインターネットは二度目の上場断念に追い込まれる。その後、当時大阪証券取引所が開設していたヘラクレスへの上場を試みるも三度目の挫折を味わう。それでもめげず、2005年10月12日、ついに東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしたのだ。

「買収される方が楽だし、すぐに大きなお金が入るし、途中で業績がダメになることもあるし、上場準備に疲弊して辞めていくメンバーもいるし、何回もトライする気を無くさせる、良いこと悪いこと取り混ぜて、たくさんの脱落ポイントがあります」と、決して上場は簡単に進められるものではないと言及しながらも、「上場してよかった」と振り返る田中氏。それはひとえに、上場したからこそ生まれたチャンスや機会を得られたことが大きいようだ。

だが同時に、上場企業の起業家となったからこそ、自身への警鐘も込めて「いま上場している起業家の多くが、私も含めてだらしないなと思っています」と心の内を語っている。

日本は比較的上場しやすい環境にあるが、多くの起業家は数十億~数百億円ほどの時価総額で満足してしまっていると田中氏は強調する。もちろん、日本初のユニコーン企業を育てる動きもある中、上場企業の経営者たちこそ、現状に満足せず、更なる高みを目指すように語りかけているのだ。

田中氏も言及しているとおりこの2023年末、日本の上場企業の時価総額ランキング上位50社には、直近30年以内に誕生した企業の名前はまだない。田中氏はその一人となるべくストイックにも挑戦を続けているのだ。

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「CEO is Boss」ではなく「CI is Boss」──ジェネシア・ベンチャーズ 田島 聡一氏

ジェネシア・ベンチャーズは、日本や東南アジアのプレシード・シードラウンドのスタートアップを中心に投資を行う2016年8月創業のベンチャーキャピタルである。田島氏はジェネシア・ベンチャーズの創業前から、サイバーエージェント・キャピタルにてキャピタリストとして多数のIPO・バイアウト実績を持ち、国内屈指のキャピタリストの一人だ。

そんな田島氏が書いたnoteは『起業家から経営者に進化するということ』という、実に興味深い記事だ。自身も起業家から経営者となり、さらに投資家としても数多くの起業家・経営者を見てきた経験から独自の論理を展開。冒頭からいきなり「事業とは人間という動物によって生み出される生モノである」というフレーズから始まるこの記事は、読み終えた読者になんとも言えない高揚感を覚えさせるだろう。

結論、田島氏曰く、起業家から経営者へと進化する方法は人によって様々だという。数々のハードシングスを乗り越え、自問自答を繰り返した結果に見えてくるものなのだ。そのうえで「メンバーが持っている能力を最大限発揮できる組織カルチャーの構築が重要だ」と強調する。

その組織カルチャーとは、メンバー一人ひとりが自分の意思に沿った挑戦を、責任や覚悟とセットで大きな裁量を持って取り組むことができる環境のことだ。人は自分で考えて行動する方が当事者意識を持って、自分の持てる力を発揮しようとするからだ。

こうしたカルチャーをつくるために必要な思考が「CEO is Boss」ではなく、「CI(Corporate Identity)is Boss」の考え方だという。経営と社員を分けて考えるのではなく、チームのビジョンや価値観に照らし合わせ、全員が主役となって成果を生み出そうと考えるカルチャーだ。トップダウン的な考え方は、意思決定を早めて迅速に事業を動かせるメリットがある一方で、後々、本格的に組織を拡大させようとすると、かえってその指示系統が足かせとなってスピードが鈍り、結果連鎖的に様々な弊害を引き起こす。

ただ、組織が大きくなればなるほど、「意見が異なるメンバーとどうやって歩調を合わせるのか」という悩みが出てくるだろう。だがそこでも、組織の人格という概念である「CI is Boss」があれば問題ない。早期から経営者がCIを言語化しておけば、採用面でもカルチャーフィットしない人材の入社を防ぐことができる。つまり、CIとは意思決定をする際の羅針盤の役割を果たすのだ。

起業家から経営者に進化するということ、それは「CEO is Boss」ではなく「CI is Boss」な状態にシフトすることだと田島氏はいう。経営者には、「誰にも属人化させず企業の経済活動を持続的に行うことができるようにする」ことが求められる。属人的な意思決定ではなくCIに沿った意思決定が行われ、自立能動的に動ける人材が増え事業がスケールする。起業家から経営者へと進化するには、目先のハードシングスや状況にブレない気持ちを持って中長期の視点を持って組織づくりができるかどうかということなのだろう。

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歳を取るほど未来から離れていくことの怖さ──NEWPEACE 高木 新平氏

「企業や社会の本質的課題をコミュニケーションで解決する」そんなビジョンを掲げるコミュニケーションの専門家が集うNEWPEACE。代表の高木氏のnoteはフォロワー数2.3万超え、Xも3.9万超え。富山の寿司ブランディングの発起人でもある。

そんな高木氏のnoteへのリンクを、本記事の最後にぜひご紹介したい。ここまで触れられてきた経営論や組織論といった内容とは打って変わって、そのテーマは「この1年の振り返り」について。ぜひ読者もこのnoteを読みながら、2023年を振り返ってみてはどうだろう。

高木氏の一年の振り返りには、クリエイティブな仕事に従事する人間としての深い葛藤が垣間見える。同氏が直近2〜3年間に抱えてきた想いが率直に表現されており、ブランディングやPRのような抽象的な事象を扱う職務において必要なマインドセットについて考えさせられる。

特に「ベンチャーとして新たな習慣や市場をつくるようなチャレンジをするには助走が短すぎる。つまり短期的な話題は作れても、中長期の事業を作るにはアセットが溜まりきらない」という一文には、共感を覚える読者も多いのではないだろうか。

こうした悩みをしっかりと認識、言語化できていないまま経営をしていたことによって、自身の目線が目先にばかり向いてしまい、「目指すべき未来に向かっているつもりがむしろ遠ざかっていた」というのが高木氏にとって大きな気づきだった。

その例えとして、20代の頃は「10年後にどうなっていたいか」という遠い未来の話をしていたのに、30歳半ばになりいつのまにか「再来年」という現実的な話に終始していたということを本記事では図解で示してくれている。

「歳をとるほど、未来から離れていく」。これは、20代で社会に出てただひたすらに頑張り続けてきた30代前後の人間であれば、誰しもが言語化できていないだけで、感覚的には理解できるものではないだろうか。

未来との距離は、歳を取り、環境が変わるごとに意識していないと、いつの間にかこじんまりと収まった自分になってしまい、振り返れば自分自身が一番失望してしまうということになりかねない。

少しでも身に覚えがある読者は、ぜひ2023年という一年を振り返り、新しい年をワクワクしながら迎えてほしい。

こちらの記事は2023年12月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大久保 崇

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