上場時は驚くほど少人数。
有名IT企業22社の従業員数成長率ランキング
「上場ゴール」なる言葉で新興企業が批判されることもあるが、上場はゴールではなく、パブリックカンパニーとしての新たな出発点であるはずだ。
今回は、有名ITベンチャーを中心に、上場時と現在の従業員数について調査したところ、今となってはメガベンチャーと呼べる規模まで成長したあの有名企業も新規上場時は意外なほどに小さかったという事実が浮かび上がってきた。
調査対象企業
新興市場(マザーズ・JASDAQ・および過去に新興市場に該当した市場)への上場から4年以上経っている上場企業のうち、インターネット・メディア・テクノロジー・ゲーム関連の企業を中心に22社をピックアップ。過去の従業員数のデータは、有価証券報告書や過去に登場したメディアから収集し、現在の従業員数のデータは、2017年5月10日時点の最新の四季報データより収集した。
従業員数について調査結果と考察
※臨時雇用者を除いた「就業人員」を「従業員」と表記することとする
※連結会社を含めたすべてのグループの従業員数について調査を行った
※上場後の経過年数は1年未満の経過日を切り捨てて計算した(例:2年5ヶ月→2年)
従業員数のCAGR(年平均成長率)が15%以上のIT企業ランキング(表)
平均で114名、一部企業では上場後100倍を超える増加も
調査対象企業22社のうち、上場時の従業員数の平均値は114名、中央値は69名であった。各社によってばらつきがあるため、ぜひ個社ごとに人数を見ていただきたい。
注目すべきは、成長率の高い企業であろう。CAGR(年平均成長率)の上位をみると、株式会社コロプラ、エムスリー株式会社、株式会社リブセンスと並び、成長率の高い会社では1年あたり5割近い成長を遂げていることが見て取れる。
また単純な増加割合だと、株式会社サイバーエージェントは103.6倍、エムスリー株式会社は142.2倍、そして最も増加割合の高い楽天株式会社は201.9倍と従業員が増加している。
なお、今回は従業員数を調査する際、連結会社を含めたすべてのグループの従業員数を調査したため、M&Aに積極的な企業が有利となる傾向がある。
上場はベンチャー企業にとってさらなる成長エンジン。
現在広く認知されている企業も、上場時は少ない従業員数で上場し、上場後さらなる成長を遂げていることはお分かりいただけたであろうか。
「上場ゴール」なる言葉で批判されることもある新興企業群がある一方で、上場後もさらに成長し続け、雇用を増やし続ける企業があることにも是非注目してほしい。やはり、上場によって知名度や信用が高まり採用がしやすくなる点やM&Aがしやすくなりグループとして拡大する点など、上場はベンチャー企業にとっての成長エンジンとなることが、これら事例を通して理解できるのではないだろうか。
こちらの記事は2017年05月12日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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