「更年期ケア」に科学的根拠を──巨大な未開拓市場を“データ×京大医学”で突破、プレA調達のYStoryが描く女性の健康のスタンダードとは
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2026年4月に資金調達を発表した株式会社YStoryについて、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1:「更年期ケア」に科学的エビデンスを
京都大学との共同研究により、デジタル介入による更年期症状の有意な改善(SMI平均約13ポイント改善)を実証。これまで後回しにされてきた領域に対し、医学的知見に基づいた「信頼性の高いソリューション」を社会実装し、女性の健康に対する新たな基準を構築する。
注目ポイント2:7万人超のデータと独自AIが導く個別最適化
国内No.1規模のアプリ「JoyHer」に蓄積された7万人超のデータ基盤と、国際的な医学論文DBを活用した独自アルゴリズムを構築。200〜300種に及ぶ個人差の大きい更年期症状に対し、一人ひとりにパーソナライズされたプログラムを提供し、市場優位性を確立する。
代表を始めとした、同社のメンバーについて
Sherry Shi 氏(左)と Janet Yu 氏(右)
(1)Co-Founder & 代表取締役社長 Janet Yu 氏
調達に際してのコメント
YStoryは現在、経営幹部COO候補、プロジェクトマネージャー、エンタープライズ向け法人営業、エンジニア、カスタマーサクセスなど、全方位でコアメンバーを求めています。
私たちが挑んでいるのは、まだ日本(そして世界でも)正解の形が存在しない、巨大なブルーオーシャン市場です。「女性の健康課題解決」というソーシャルインパクトの強いミッションと、エンタープライズSaaSとしての急成長(事業的スケール)のど真ん中で、0→1、そして1→10のフェーズをリードできる環境があります。
更年期というテーマは、すべての女性が必ず通る普遍的なライフステージでありながら、これまで十分に向き合われてきませんでした。我々YStoryはこの領域に対し、<テクノロジー×エビデンス>を軸に社会構造そのものを変えようとしています。
少しでも共感していただけたなら、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう。FastGrow読者の皆様とお会いできるのを楽しみにしています。
プロフィール
京都大学MBA修了。Arthur D. Littleのヘルスケアチームで、製薬・MedTech・消費財企業に対し、経営戦略、新規事業、デジタル戦略、BDDを支援。それ以前はIBMでデータサイエンティストとして、保険業界などのデータ分析、機械学習、アルゴリズム開発、アプリ開発に従事。AIとメディカルサイエンスを活用し、更年期女性を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指す。
(2)Co-Founder Sherry Shi 氏
プロフィール
南洋理工大学(シンガポール)応用数学博士。Roland Bergerでプリンシパルとして、海外市場戦略や新規事業開発を中心としたグローバル案件を多数リード。ハードサイエンスと先端技術の社会実装に強みを持つ。自身の更年期経験も原点に、仕事と家庭の両立を追求する女性たちに、最先端のサイエンスと技術で新たな選択肢と価値を届けることを目指す。
調達の概要
| プレスリリース |
|---|
| YStory、プレシリーズAの資金調達を実施。女性の健康課題を支えるデジタルヘルス基盤の展開を本格化 |
| 調達額 |
|---|
| 非公開 |
| ラウンド |
|---|
| プレシリーズA |
| 主な使途 |
|---|
| サービス・プロダクトの機能強化 |
| 採用強化 |
| 新規事業立ち上げ |
| 投資家からの評価(抜粋) |
|---|
| 京都大学イノベーションキャピタル株式会社 投資部マネジャー 篠原昌宏氏 更年期女性向けサービスの市場には、症状は改善しないという認識や専門医の不足が重なり、適切なケアが届きにくい構造的課題があります。その中でYStoryは、データサイエンスと臨床医学を融合し、「確かな効果」を実感できるアプリを開発し、多くのユーザーから支持を獲得してきました。 当社は、潜在市場の大きさ、サービスの独自性、そして創業者Janetさん・Sherryさんの粘り強い実行力に可能性を感じ、投資を決定いたしました。 当社は、YStoryを通じて女性の活躍が一層促進される未来を期待するとともに、京都大学との連携にとどまらず、様々な形でその成長を支援してまいります。 |
| あすか製薬CVC(あすかイノベーション投資事業有限責任組合) ポートフォリオマネジメント部 マネジャー 佐々木悠人氏 株式会社YStoryは、更年期に悩まれている女性に対し、デジタル技術を活用した科学的エビデンスに基づくソリューション創出に取り組まれています。これまで対応の遅れが指摘されてきた女性のヘルスケア領域で、最新技術を活用し新たな価値を提供されている点に大きな可能性を感じております。今後、同社の取り組みがより多くの女性に届き、課題解決に貢献していくことを、製薬会社CVCとしての立場からパートナーとしてご一緒できることを心より期待しております。 |
| 京都キャピタルパートナーズ株式会社 ベンチャー投資部 プリンシパル栁 学理氏 京都大学産科婦人科の江川先生と協力し、更年期障害という女性ならではのペインを女性起業家が解決するというストーリーに感銘を受けて、投資させて頂きました。 更年期障害と聞くと、「結局は気持ちの問題なのではないか」、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのペインは深刻なものです。例えば、昨年の参院代表質問において高市首相が女性の健康課題への対応を問われた際の一幕では、あの高市首相でさえも自身が経験した更年期の症状のつらさや身体的不調について振り返る場面がありました。 京都大学発の技術を活用したJoyHerのプロダクト展開を通じ、更年期障害に悩む一人でも多くの女性に対して、手を差し伸べて頂きたく思います。 |
主なサービス・プロダクト
JoyHer(ジョイハー)企業版
女性特有の健康課題による離職を防ぎ、組織全体の生産性向上を実現する法人向け伴走型サービスです。京都大学との共同研究に基づく科学的エビデンスを基盤とし、独自アルゴリズムによって運動・栄養・メンタルケアなどの個別最適化された行動変容プログラムを提供。さらに、組織課題の可視化レポートや管理職向けセミナーを通じ、組織文化の変革までを一気通貫で支援します。
FastGrow編集部の注目ポイント
- エビデンスに基づく高い信頼性
京大医学部との共同研究でSMIスコア改善を実証。約8割のユーザーが1〜3ヶ月の利用で改善を実感する、医学的根拠に裏打ちされた設計。 - 独自AIによる個別アドバイス
汎用AIではなく、10年分の国際的医学論文DBと京大産婦人科の知見を学習させた独自アルゴリズムを活用。信頼性の高いパーソナライズケアを実現。 - 企業の導入ハードルを越える一気通貫体制
匿名性を担保した課題の可視化レポート提供に加え、男性上司向け教育等も実施。システム提供に留まらない、組織風土の醸成までをカバー。
株式会社YStoryの採用情報
こちらの記事は2026年05月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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