「全産業のあるべき姿」を見出すのが、Fintechの意義だ──25年間考え抜いてきたインフキュリオン丸山の世界認識を今、知る

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インタビュイー
丸山 弘毅

慶應義塾大学商学部卒業後、株式会社ジェーシービー入社。信用管理部門・マーケティング部門を経て、新規事業開発・M&A部門の設立メンバーとして参画。2006年インフキュリオンを創業し、グループの経営戦略、新規事業を担当。2015年一般社団法人Fintech協会を設立し代表理事会長に就任(現 エグゼクティブアドバイザー)。業界発展・法改正などに貢献。2018年一般社団法人キャッシュレス推進協議会理事に就任。日本のキャッシュレス推進に向け実務・政策の両面から貢献。

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「Fintech」と言われれば、金融や会計にまつわるSaaSプロダクトを思い浮かべる人が多いだろう。たしかにそうなのだが、本当はもっともっと広く、深い世界観なのである。この記事は、知られざる「Fintech第二幕」の壮大なストーリーを、より多くの人に届けるきっかけとしたい。

語り手は、Fintechスタートアップ・インフキュリオンの創業代表である丸山弘毅氏。業界団体・Fintech協会を立ち上げ、代表理事会長を5年間にわたって務めあげてきた人物でもある。

「日本におけるFintechは、まだ始まったばかり。全産業において改めて“あるべき”を検討し、既存プレイヤーと共に刷新を図ろうとするのがFintechの本質です」と力強く語る。だが、一体どういうことなのだろうか?

事業に関わる道を歩むのであれば、ぜひ知っておきたい。そんな感想を、FastGrowの取材陣は率直に抱いたのが、この取材。丸山氏の四半世紀に及ぶFintech思考とユニークな企業戦略から、Fintechが伸び続ける3つの理由を確認しよう。

  • TEXT BY MARI FUJIMOTO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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全産業のFintech化へ、変化が加速し始めた

丸山Fintechは金融業界のものではありません。全企業、全産業に関わるのが本来のFintechであり、このことを「金融の民主化」とも表現できますね。ですが、もっと平易に「あるべき状態に戻す」だけ、とも言えます。

丸山氏はインタビュー中、そう繰り返し力説した。

FastGrowの読者なら「当たり前だ」と感じるかもしれないが、待ってほしい。丸山氏の説明を聞けばきっと、新たな気づきがあるだろう。

まずは、「全企業、全産業に関わる」という点を確認しよう。これが、Fintechが伸び続ける理由の一つ目となる。

わかりやすいのがBtoCサービスだ。たとえばコカ・コーラの電子決済マネー『Coke ON Pay』を見たことがあるだろう。ほかにはファストフードをはじめとしたフードデリバリーやモバイルオーダー、タクシーの予約や決済など、さまざまな消費体験において、すでにFintechが組み込まれつつある。

BtoBの領域においては、クラウド会計がその先駆けとなった。一方で、その手前にある請求や支払い自体のプロセス、あるいはオーダーシステムやPOSレジ、そして昨今の法改正議論が話題となった給与のデジタル化などにおいてFintechが深く組み込まれる余地があると、丸山氏は指摘する。ただし、「まだまだ、具体的には進むべき伸びしろは大きい」と、真顔で話し続ける。

丸山お金に関わらないビジネスなんて、あるんだっけ?と思いませんか。どんなビジネスのどんなフローにおいても、お金の動きが付随するはず。そのすべてが、Fintechになるわけです。

Fintechと一口に言っても、あらゆる業種に携わるホリゾンタルなクラウドサービスと、特定業種の業務プロセスに掛け合わせるスタイルのバーティカルなサービス、大きく分けてこの2種類があります。

編集部から補足するならば、ホリゾンタルなサービスはマネーフォワードやfreeeに代表される会計関連のSaaSプロダクトが代表格になるだろう。バーティカルなサービスは先に挙げたフードデリバリーやモバイルオーダーといった飲食店を対象にしたものや、○○Payという小売事業者を対象にしたものが主流と言える。

丸山日本社会でまず浸透が進んだのは、BtoC領域におけるバーティカルなサービス。ですがここもまだまだ発展途上です。

それからここ数年で一気に、ホリゾンタルに課題解決するクラウドサービスが増えてきました。いずれも、業務フローが劇的に改善され、効率化のみならず売上や利益率の向上という事業成長まで生み出しますから、導入する企業にとっては非常に喜ばしいものとなってきています。

このように、ホリゾンタルにもバーティカルにも、さまざまな事業形態・ビジネスモデル形態が考えられるという点も、Fintech市場が盛り上がってきた要因だ。これが、Fintechが伸び続ける理由の二つ目だと捉えていいかもしれない。

かなり多くの場面でFintechを目にする、そう感じている読者のほうが多いだろう。今やいくつも存在する○○Techの中でも、特に浸透しているのがおそらく、Fintechだ。

だが、ジェーシービー(JCB)に新卒入社してから今までの25年もの間、Fintechという言葉がない頃から「お金のデジタル化」を考えてきた丸山氏の脳内においては、まだまだ伸び盛りな業界であり、むしろここからが本番、という認識なのだ。

丸山あらゆる企業のあらゆる業務プロセスにお金が関わる以上、どんなFintechでも、1社で全部を行うのは難しいんですね。影響範囲が広く、複雑性の高いシステム構築が必要になるためです。だから、同じ世界観を共有して動ける仲間が、多く必要になります。

今、Fintechビジネスをやっていきたいという企業が増えています。私たちとしては、仲間がどんどん増えていくという印象で、うれしい限りですね。

自社だけで技術を持つのではなく、複数企業で共有して持つことで、お互いの世界が広がる。あらゆる企業がFintechになる世界観においてはオープンイノベーションで、専門的な強みを活かし合っていくべき。そんな時代の本番が、今目の前に来ているんです。

LegaltechやHealthtech、Insurtechなど、○○Techと称される業界・業種は多々あるが、Fintechは明らかに異質な存在、そういうことなのだろう。「〇〇Tech」と称されるほかの事業領域においても、それらの基盤となって拡大に大きく貢献していくことができるのだ。「SaaS+Fintech」という戦略をとろうとする企業が増えていることからも想像ができる。

つまり、常に他業界・他業種との掛け算が新たに生まれ、非連続的に伸び続けていくわけだ。これが三つ目の理由。「伸び続ける」というイメージが、何となくでも頭の中に浮かんできたのではないだろうか。

キーワードとして改めて強調しておきたいのが、「掛け算」だ。海外事例を見ても、伸びる産業とFintechの掛け合わせで、爆発的な市場拡大を実現する様子が見て取れる。象徴的なのが、アメリカのFintechスタートアップ・Stripeの事例。決済システムを安価かつ手軽に提供することで、急成長中のITスタートアップやD2Cブランドに多く導入され、大きな相乗効果で市場を席巻してきたのだ。こうした絵図が、日本でも見られるようになっていくのだろう。

そして次に、丸山氏の言う「あるべき状態に戻す」というのがどういうことなのかについても、ここで深掘りしよう。

丸山「働いていたら、スマホやスマートウォッチの画面上で、1秒ごとにキャッシュが増える」というのが、あるべき世界のわかりやすい言い方になるでしょうか。だってそうじゃないですか?働いた1カ月後にようやくお金が入るなんて、おかしいでしょう。その時間差はどうして生じると思います?企業側の都合ですよね?

一昔前の日本では、銀行をはじめとした金融機関が、以前と比較しての「あるべき世界」をつくっていた。それはたとえば「毎月ちゃんと間違いなく給与が振り込まれ、現金でいつでもおろせるような状態になっている」という世界だ。端的に言うなら、給与受け取りの非現金化と定常化が実現したということ。

そしてその裏返しのようなかたちで、BtoC事業における振替での支払いや、BtoB事業における振り込みというスキームが一般化し、ビジネスが広く発展・拡大。このサイクルがまわり、企業経営と個人所得が上向き、「一億総中流社会」が実現した、と言ったら大げさだろうか。いや、その一翼を担ってきたのが、日本の金融機関であるはずだ。

この世界観は、間違いなく「あるべき」として希求されてきたものだ。だが、時代変化は早い。次なる「あるべき」を求める声が、大きく高まっている。その担い手になるのが、Fintechに先駆けて挑戦しているマネーフォワードやfreee、そしてインフキュリオンのようなスタートアップだ。

丸山すべての企業がFintech化する世界観、これこそが次なる「あるべき状態」です。

具体的には、先ほど触れた話と近い。それぞれの企業の本業を、Fintech化します。それと同時に、本業以外はSaaSをはじめとした効率化プラットフォームの導入をひたすら進め、本業の進化が早く進むように基盤を整備する。すべての企業が、これをやるべきだと最近は考えるようになってきています。

たとえばアパレル企業ならこうだ。服のデザインや店舗販売といった業務プロセスにおいて、自らデジタル化・Fintech化を推し進めることで、競合他社との差別化に注力すべきであり、一方で服の流通プロセスやEC活用プロセスにおいては差別化の検討が不要なため徹底的に他社サービスを導入して効率化を図ればよい、という考え方になる。

なるほどたしかに、全企業でこの動きが進めば、この時代における「経済社会のあるべき姿」が実現していきそうだ。そんな期待が高まる。

だが、スタートアップがこのように「時代の要請」などと言って壮大なビジョンを唱えていても、なかなか簡単に進むものではない、と想像してしまうのが自然だ。もちろん丸山氏もそう考えている。だからこそ始めた活動がある。Fintech協会の立ち上げだ。ここからさらにマクロな話を展開し、経済社会の最先端を探っていこう。

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世界から羨望集める日本のFintech協会、だが伸びしろは……

先ほども触れた通り、日本国内で先駆けてお金のデジタル化を考えに考え抜いてきた人物が、丸山氏だ。その脳内で描かれていた構想の実現がすなわち、世界のFintech化である。

進め方は、シンプルだ。「掛け算」をひたすら増やし、市場を創出していけばよい。だがそこで、壁が立ちはだかる。ステークホルダーが多すぎるのだ。特に日本では金融機関が大きな影響力を持っており、うまく巻き込まなければ大きな動きにはなりにくい。

丸山氏はこの点の解消が特に重要で、不可欠なものだと考えていた。そんな考えから、ひたすら地道に活動を起こしてきた。その最たるものとして、2015年に設立されたのがFintech協会だ。

丸山Fintechがほとんど認知されていない時代、ボトルネックになるものがたくさんありました。先ほど掛け算と言いましたが、「0」が一つでもあると、掛け算ができなくなってしまいます。私が、自分の会社とそのまわりだけでできることをいくら増やしたって、世の中は変わらない。

コントロールできない場所に0があると、業界として大きな発展は望めません。なので、広く影響力を持てる座組みを、とにかく意識しました。スタートアップだけでなく、行政、金融機関、監査法人、カード会社、そしてさまざまな業界の大手企業。各社のキーマンを人づてに探し、少しずつ話を広げつつ、まずは小さな勉強会から始めていきました。

すると比較的早い段階で、行政や金融機関からの理解を得ることができたので、そこからの拡大は早かった。非常に多くの人たちから、今も新たに共感を得ることができ、多様な活動ができるようになっています。

Fintech協会が主導して、法改正やスタートアップエコシステムの発展について議論する機会が大きく増えた。社会の仕組み自体に、Fintechを組み込んでいく機運が醸成されていったのだ。

その成果としての最近の象徴的な事例をいくつか紹介しよう。銀行同士の送金システムである「全国銀行資金決済ネットワーク」が、Fintech事業者に解放されるという画期的な動きが2022年に実現した。2023年4月からは、企業からの給与支払いが、デジタル通貨でできるように法改正が進む。これらのさまざまな革新的な動きのきっかけをつくり、議論を深める役割を担ってきたのが、このFintech協会なのだ。

丸山実はアジアを中心に、海外のFintechプレイヤーから「うらやましい」という声をよくいただいているんです。それは、スタートアップと大企業、金融機関、そして行政が、「Fintechの推進」という同じ目的で話し合える座組みに対して、です。

アメリカではFintechスタートアップと金融機関が、覇権を争うと言うと大げさですが、ぶつかりあっている部分もあります。ほかの国々でも、行政や金融機関と良い距離感を取れている例は少ないようなんです。

これはやや意外だと感じる読者が多いかもしれない。日本では、行政や金融機関の取り組みが海外と比較して遅かったり小さかったり、という印象もなくはないだろう。実はそんなことはなく、スタートアップとの間で関係性を構築し、具体的な動きを検討している場面が、決して少なくないのだ。

一方でもちろん、日本ならではの課題は山積している。経済産業省が2022年に算出した統計によると、日本のキャッシュレス決済比率は2010年の13.2%から2021年の32.5%へ上昇してはいるものの、実態としてはその8割以上がクレジットカード決済だ。つまり、QRコード決済をはじめとした新たなキャッシュレス決済の浸透は、まだまだごく一部なのだ。参考にすべき諸外国では浸透率が40%ほどにまで高まり、その勢いはより強い地域が多い。

丸山キャッシュレスが広く深く浸透しないと、計画的な支出をするにも、家計簿をつけるにも、投資をするにも、何かと不便です。単純な話で、現金を手で数えて入力する、という手間がいつまで経ってもなくならないからです。

だからキャッシュレス化をはじめとしたFintech化をあまねく広げることで、お金の流れ全体を滑らかにして、その結果として経済発展していくような社会を目指していきたい。

丸山氏は、設立時から5年間、Fintech協会の代表理事会長を務めてきた。2020年に交代し、一つの役目を終えた。これからはインフキュリオンの事業を一層加速させる姿勢を見せている。

そこでここからは、Fintechがさらに大きなムーブメントとなる中で、インフキュリオンがどのような戦略のもとで事業展開を広げていくのか、その構想を聞いていきたい。

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激動期にこそ、挑戦を重ねよ。
ピボットと事業買収で得たものとは

Fintechの市場そのものを、根本からテコ入れし、拡大を図ろうとする丸山氏。ではその中において、インフキュリオンが担うのは、どのような役割になるのだろうか。

それを具体的にひも解くため、丸山氏による三つの大きな意思決定に触れていこう。創業期からのコンサルティングサービスへの注力と、ピボット、そして新事業の買収だ。

丸山インフキュリオンは、プロダクト開発から始まったスタートアップではありません。大企業を主な顧客としたFintech支援コンサルティングをメインのビジネスモデルとして、創業期から数年を過ごしてきたのが特徴です。

社会を大きく変えるためのFintech事業を最初から進めるために、大企業が抱えているすでに大きな事業をFintech化していく支援を、高い技術を駆使して行うことにしたんです。それをコンサルティングサービスと表現していますが、いうなればBizDevですね。大企業と一緒に、事業をFintech化することで新たな市場を創出していくような取り組みでした。

でも、大企業に向くばかりでなく、広く使われるプロダクトを開発していく技術面の向上にも力を入れないと、やっぱり真に目新しいことができないんですよ。プロダクトアウトで社会を変えていく思考が、どうしても重要になっていく。となると、私たち自身がやってみせるしかない。そんな課題感を抱えるようになっていきました。

コンサルティングだけでなく、汎用的なプロダクト開発も行う。その大きなチャレンジとして、2018年にインフキュリオンデジタルを生み出した。注力事業を変化させた、いわば大きな事業拡大を決断したわけだ。

丸山今まで世の中にない事業なので、エンジニアとデザイナーを必死に口説いて集めて、手探りでやっていました。立ち上げ直後から、ありがたいことに大きな反響をいただきました。

掲げたコンセプト「みんながFintech企業になるための道具を提供する」が、良かったみたいですね(笑)。

大企業との契約も、次々に決まった。売上は1年で十億円近くに達し、大きな成功だったかのように見えるが、丸山氏の抱えていた課題が解消されたわけではなかった。むしろ「これが苦労の始まりでしたね」と苦笑する。

丸山今でこそSaaSスタートアップの間であるあるとして語られていますが、大企業にプロダクト型のITシステムを導入してもらうと、どうしても相手企業特有の事情に合わせたカスタマイズが不可欠になってくるため、自社のプロダクトとして洗練させるのが難しくなってきます。

本当に成熟したものになる、世の中に広く知られる事業になるためには、より洗練された技術やアイデア、プロダクト、営業スタイルを自前で確立していくことが必要でした。でも時間がかかるし、組織としても大変です。

そこで代表の私が強い意志を持って宣言したんです。顧客の大企業に合わせるのではなく、自社でSaaSプロダクトをしっかりつくり切ろうと。このタイミングで、BaaS(Banking as a Service)という構想を言語化し、一気に開発・展開するための計画を立て、実行し始めました。

さらにこの時、事業譲受の話が舞い込んできました。「そんなことをしている場合じゃない」という声をまわりから少なからずもらったのですが、もともとロードマップには描いていた構想でもあったので、複数のプロダクトを同時にPMF・PMIさせることを強い気持ちで決断しました。

今の『Wallet Station』というスマホ決済プラットフォームのプロダクトが軌道に乗る前の2020年10月、『Kyash Direct(現Xard)』という企業向けビジネスカード発行プラットフォームサービスをKyashから譲受した(当時のプレスリリースはこちら)。

丸山当時、3年後のロードマップとして、BtoC領域でのWallet型サービスと、BtoB領域でのカード事業に参入しようという計画を立てていたんです。これらが、中長期的にBtoBとBtoCをつなげるための事業として欠かせない要素だと思っていたわけです。

BaaS企業への大転換を図り、自社のプロダクトを見直して整備していく苦しい時期に、今までとは全く異なる新しい事業をM&Aで買ってくることまで同時に進めることができたのは、今になって振り返れば良い決断だったと思えるのですが、当時は大変でしたね。「気が狂っている」と言っていただいたこともありました(笑)。

それでも、自分たちには見えているゴールがある中で、新たな挑戦ができるタイミングやチャンスは多くない。あのタイミング以外になかったし、中途半端に安全策を取るよりも、突き抜けるべき時だったと思うんです。

さまざまな事業展開を見せる(提供:インフキュリオン)

その後、BaaS事業を手掛けていた子会社のインフキュリオンデジタルは、インフキュリオン本体に合併させ、現在ではこの事業がまさに主軸となっている。この時の決断と、妥協なき事業推進があったからこそ、インフキュリオンの今があるというわけなのだ。

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Fintechが世の中を「あるべき」に持っていくのは、
ここからが本番

あまりに壮大な丸山氏のストーリー。その思想・世界観から触れ、Fintech協会という大きな動きと、これまでのインフキュリオンの挑戦について時系列を追って見てきた。激動を経て今、何を想うのか、何に取り掛かるのか。そう聞くと、「やっとスタートラインに立てた感覚なんです」と、この日一番の笑顔で語り始めた。

丸山繰り返しですが、四半世紀にわたって思い描き、走り続けてきました。今ようやく、事業としてやるべきだと強く思えることにチャレンジできる状況になってきました。

『Wallet Station』と『Xard』を二大プロダクトとして構え、BtoC・BtoBいずれの事業に対しても、Fintech化という大きな価値を提供できます。それを支える技術開発チームと、現場で力強く推進するBizDevチームが、さまざまな業種・業界で変革を起こしていく動きをしています。

「どこから攻めよう」ではなく、「どこからでも攻め、大きな事業の創出ができる」という状況です。

冒頭で語られた「金融の民主化」あるいは「あるべきに戻す」という世界観での事業推進は、ここからが本番になるということ。

「SaaS+Fintech」という言葉でブランディングを図ったり、ビジネスカード事業への参入を発表したり、大手銀行がFintechスタートアップを傘下に収めたりと、スタートアップも大企業も、新たな事業の創出に躍起になっている昨今の日本社会。それらの基盤に、実はインフキュリオンが二つのプロダクトで力添えをしている(マネーフォワードやLayerXなどとの協働事例が象徴的なので、気になればプレスリリースなどで確認してほしい)。

つまり、社会全体のFintech化に広く影響を及ぼそうと、一歩一歩進んできたスタートアップが、インフキュリオンなのだ。

Fintechが広がってきているのも事実ではあるのだが、発揮されるべきポテンシャルは、こんなものではない。丸山氏はそれをずっと唱え続けており、これからも唱え続けていく。

丸山50年後にはFintechが当たり前の世の中になっていて、わざわざFintechなどという言葉を使わなくなっているはずです。

1999年にインターネットに触れて、「これで情報の流れが大きく変わる、ということは、お金の流れも大きく変わる」と衝撃を受けました。それから、その可能性を信じて突き進み続け、間違いないという確信を得ています。

Fintechや決済について知見もアイデアのある我々がやる以上、これからより一層、いろいろな会社と新しい取り組みをどんどんやっていきたい。遠からず、想像がつかないようなサービスも多く出てくるでしょうから、それも楽しみです。

未来について語ると、丸山氏は子どものように無邪気な笑顔を見せる。「本気で信じ、全力で行動し続ける」という気概が取材陣にも感じられ、ワクワクが伝染してくる感覚を覚える。きっと、丸山氏とともに活動する人たちがみな、この感覚を味わい、一緒にはしっているのだろう。

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市場創出が至上命題のBizDev。
インフキュリオンだからこそ、大きな挑戦環境がある

最後に、丸山氏が強調したことがある。インフキュリオンでこそ、新しい事業・新しい産業をつくっていける、そんな最高の環境である、と。

丸山もちろん職種や役割に関係なく、新たな市場の創出に取り組めるのが、Fintechの、そして当社での仕事の面白さです。プロダクトマネージャーやエンジニアなら、社会を変える基盤として機能し続けるプロダクトの開発に携われますし、マーケターなら社会変革の最先端を常に身近に感じながら取り組むことができます。

そんな中でも、起業家や現役BizDevの読者も多いFastGrowですから、今回特に伝えたいのが「BizDevがものすごく面白い」ということなんです、手前味噌ですが(笑)。

先ほども話した通り、どのような業種・業界に対しても、Fintech化という非常に大きな価値を提供できるんです。それはすなわち、業界変革・事業変革・事業創造といったお話です。

つまり私たちは、「セールス(営業)」をするのではなく、常に新たなBusinessをDevelopmentしていくんです。起業や新規事業と同じか、もしくはもっと壮大でチャレンジングな仕事がここにはあります。

「御社のためにこれをやります」という営業スタイルでは、単なるカスタマイズの話に終始してしまい、業界や市場の変革なんてもってのほか。そうではなく、数多くの企業のもとに足しげく通い、ペインを聞くだけでなく身体で感じ、本質を見つけ出し、仮説を持って検証しながら変革を実現するのがBizDevです。

ビジネスとビジネスをつなげ、アイデアとアイデアをつなげて新しいものを作る。自分の会社という枠を大きく超えて、ディスカッションし、実現を図ることができるんです。こんなに面白い仕事、ほかにそうそうないと思いますけどね……!(笑)

「ビジネスディベロップメント」の求人にかかれている業務内容が非常にわかりやすく、イメージが湧きそうなので、ここで引用しよう。

当社プロダクトや社内に蓄積された決済サービスに関する多くの知見・ノウハウを活用し、クライアントの新サービス立ち上げに伴走いただきます。スタートアップ〜エンタープライズ企業とともに新サービスを構想・事業計画の提案から導入・その後のグロース支援まで、一気通貫なコンサルテーションをハンズオンで行う

──「ビジネスディベロップメント」のジョブディスクリプションから引用

丸山氏の言う「業界変革」や、「自由度・裁量」が、この短い文章からもイメージできる。

エンジニア向けの求人でも同様に、市場変革への直接の貢献が読み取れる内容となっている。

より便利な顧客体験を提供する時代が来るなかで、多様化するユーザーニーズ・市場動向をいち早く捉えてサービスに反映させながら、ユーザービリティ/アクセシビリティを追求していただきたいと思います。

開発スタイルや利用技術の選定も試行錯誤しながら決めているため、開発業務のみならず、ぜひたくさんの意見を出していただけることを期待しております

──「オープンポジション(フルスタックエンジニア)」のジョブディスクリプションから引用

丸山我々はFintechの中でもど真ん中にあたる、決済・金銭の“流れ”を扱っています。そのため「何かが流れる業界や産業」というのを、すべてのメンバーが意識しています。

たとえば、情報が流れるメディアや通信、物が流れる物流や交通などの業界。何かが流れると言うことは、つまりお金も、どこかからどこかへと流れるということなので、私たちの介在価値がより一層高まると考えています。BizDevなら新たな市場創造を、エンジニアなら技術で実現する新たな仕組みでの価値創造を、……といったイメージです。

究極的には、全ての業界が何かしら流れてはいるんですが……(笑)。この自由度や裁量も、意識しているところではありますね。

丸山氏が補足したように、プロダクト開発チームやプロジェクトマネージャー、マーケターといったBizDev以外の職種も同様に、同じ世界観と視座を持って、さまざまな変革に挑もうとしている環境だ。BizDevだけが躍動すればいいわけでは、決してない。

大きな変革を成し遂げるために起業を検討している人がいれば、その前にインフキュリオンでの挑戦を検討してみることが、非常に良い選択肢になるかもしれない。丸山氏はそう語り、FastGrowも強く共感を覚えたところだ。

日本でも随一の、Fintechの知見と経験、そして熱い想いを持つ丸山氏の言葉に、あなたは何を感じただろうか?まだまだ発展途上のFintechという世界で、新たな挑戦を志す者が一人でも多く増え、世の中が良い方向に変革されていくことを、改めて期待したい。

こちらの記事は2023年03月01日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

藤本 摩理

写真

藤田 慎一郎

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