INTERVIEW
山本 マーク 柳澤 大介 加古 静香
18-11-13-Tue
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メルペイの強みは「大胆さ」にあり──10月からプレセールスをはじめた、同社の全容を探る

TEXT BY KAZUYUKI KOYAMA
PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA

「いま決済をやる上で、ここ以上の環境はない」
そう語るのは、決済領域の事業会社でキャリアを重ねてきた、メルペイ執行役員の山本マーク氏だ。

メルカリが、本腰を入れて挑もうとしている金融事業会社メルペイ。
プロダクトはいまだリリースされない中、全容の見えない同社が、少しずつ動きを見せ始めてきた。
2018年10月からプロダクトのプレセールスを開始。
リリースに向け、顧客のニーズを理解すると共に、
決済市場のキャスティングボートを握るために助走をはじめているという。

水面下で事業規模の拡大、人員の増強を続けているが、
リリースに向けどのような環境が作られはじめているのか。
メルカリ初のBtoBゆえ、カルチャーの違いも気になるところだ。

その現状を伺うため、メルペイ執行役員VP of BusinessDevelopment and Sales
/メルペイコネクト取締役の山本マーク氏に同社の描くビジョンを。
メルペイコネクトセールスマネージャーの柳澤大介氏、
シニアマーケティングスペシャリストの加古静香氏に、組織の現在地を伺った。

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先端領域でキャリアを重ねてきた執行役員

メルペイ執行役員の山本マーク氏は常に最先端のキャリアを走り続けてきた。

新卒でNTTドコモへ入社、Googleを経た後、モバイル決済のSquareで日本での事業開発部門の立ち上げ、AppleでApple Payの立ち上げを経て、2018年4月からメルペイへ参画した。

提供:株式会社メルペイ

山本どの会社でも、常に新しい技術で世の中が変化する兆しを追い続けてきました。ドコモでは、コア技術であるモバイルテクノロジーを使ったソリューション提案を担当。Googleではクラウドが世の中に全く浸透していない時期から、Google Cloudのエンタープライズ部門に入りました。

その中で山本氏が3社続けてキャリアを重ねているのがFinTech、決済領域だ。

Squareではモバイル決済事業の加盟店開拓及び事業開発部門の立ち上げを担当。AppleではApple Payの加盟店事業を統括。そして現職のメルペイでは執行役員として事業開発・営業部隊の統括と共に、メルペイの法人向け営業部隊であるメルペイコネクトの取締役も担当する。

次を目指す場としてメルペイを選んだ山本氏。その理由は、キャリアを重ねていく中で見えた未来図と、メルペイが描く未来図が一致したからだ。

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決済の「その後」の世界に描かれる、なめらかな社会

山本メルペイが見据えるのは、決済が浸透した後の世界です。その先には、信用情報やデータの利活用など、社会をなめらかにする大きな変化がある。決済はあくまで入り口にすぎません。お金の本質は信用です。メルペイはその信用をいかに形作り、なめらかに流通させていけるかをサービスにしようと考えているんです。

決済事業でキャリアを積んできた山本氏には、メルペイが市場にインパクトを与えられる可能性は大きく映っているという。鍵となるのは、メルカリという既存ビジネスと、決済の親和性が非常に高いことだ。

山本決済サービスの難しさは、「払う側」と「払われる側」双方への対応が必要な点です。ユーザーが使いやすいだけでも、お店が便利なだけでも普及しない。Squareは加盟店側への導入にフォーカスし、ユーザーは既存のクレジットカードをそのまま利用できる。Apple PayはFeliCaという加盟店側の既存のインフラを活用しています。メルペイのような新しいプレイヤーは、その両方を持っていない状況からはじめなければいけない。難易度は計り知れません。

そこで大きな役割を果たすのがメルカリだ。メルペイはメルカリの売上金を元手に、チャージや入金の手間なしで決済ができる仕組みを構築しようとしている。つまり、「払う側」のハードルはすでに下がっている状態。これが大きなアドバンテージになるという。

山本メルカリを利用して生まれた、売上金やポイントが、シームレスにメルペイでの決済へ繋げられ、新しい決済体験を始めるためのハードルがとても低くなる。同時にメルカリでものを売る意味も高まり、メルカリ自体の価値向上にもつながるでしょう。このサイクルが綺麗に回れば、決済を変える大きな推進力になると考えました。

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変革を起こす実行部隊・メルペイコネクトの重要性

「払う側」のハードルはすでに下がっている。もう一方にある「払われる側」の変革が、これからメルペイには求められる。この変革の実行部隊がメルペイコネクトだと山本氏は考える。

メルペイコネクトは加盟店獲得の営業部隊という位置づけであり、狙いはSMB(Small and Medium Business、中堅・中小企業)だ。山本氏は、SMB獲得の重要性をこう語る。

山本決済において、より多くの場所で使えることは極めて重要な価値になります。大手の加盟店で使えることも重要ですが、生活圏内にあるお店が全て大手ということはありえません。SMBはサービスの浸透において埋めていかなければいけないピースなのです。

利便性だけではなく、データ的な観点からもSMBは重要だ。決済の「その先」を狙うメルペイにとっては、大手のみのデータでは不十分。SMBまでカバーできてこそ、より大きなビジョンの実現へと繋がっていく。

ただ、現状では商材たるサービスも立ち上げきっていない。それにも関わらず2018年7月にメルペイコネクトは設立された。このタイミングからSMBへ取り組む意図を山本氏は以下のように考えている。

山本我々のゴールはモバイル決済が普及した世界ではなく、「その先」にある。だからこそ、通過地点である決済サービスの普及に時間を掛けることはできません。だからこそ、最初から全ての市場を全力で取りにいかなければいけないのです。

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立ち上げ経験を持つ豊富なメンバーが、成長環境を求めて集結

この領域にすでに挑みはじめているのが、メルペイコネクトセールスマネージャーの柳澤大介氏、シニアマーケティングスペシャリストの加古静香氏だ。柳澤氏は営業部隊を、加古氏はマーケティング部隊の立ち上げをそれぞれ進めている。二人とも、このタイミングに入社しただけあり、事業立ち上げの経験を豊富に持つメンバーだ。

柳澤氏は、営業としてキャリアを積み重ねてきた。OA機器の営業から始まり、キーエンス初のインターネット事業会社イプロスへ入社。プレイヤー、マネージャーを経て、ダイレクトマーケティング部署を立ち上げた。30名ほどのインサイドセールス部隊をつくり、属人的ではなく、仕組みで効率化する営業を追い続けてきた。

柳澤新卒で営業を4年ほどする中で、トップセールスの人にはパターンがあると気づいたんです。そこで「再現性のある営業」を作り上げたいと、当時、営業を科学し最先端の仕組みを導入していたキーエンスグループの会社と出会い、立ち上げ期のイプロスへ入社しました。スキル共有と仕組み化を通し、プレイヤーとして頂点を目指すのではなく、組織力で成長することを目指してきました。

一方、加古氏は、映画配給会社やコンサルティング企業を経て、2010年、成長期のディー・エヌ・エー(以下DeNA)へジョイン。マーケティング部署が数名の頃から、mobageなどの広告出稿から、CMの効果分析、BIといった領域を歴任してきた。産休を挟み、マーケティングリサーチ部署の立ち上げや複数の新規事業の立ち上げも経験する。数字に厳しく、成果を求められる環境で成長を重ねてきた。

加古当時は会社として急成長するタイミングだったので、あらゆる経験をさせてもらいました。マーケティングもやればやるだけ効果が出るし、新しいことも次々と試せる。P&G出身のマーケティング担当の下で社内の多数の新規事業のリサーチを担当したり、自身で事業の立ち上げや推進をしたりと、成功も失敗も含めて本当に様々なことを学ばせてもらったと思います。

両者とも、成長環境で立ち上げを経験。成果を出し続けてきた中、メルペイへとジョインする。いずれも、よりスピードをもって成長できる環境を求めてのことだった。

柳澤氏は以前からヘビーなメルカリユーザーで、その利便性を高く評価していた。しかし、当時のメルカリはCtoCの会社。BtoBの経験を重ねてきた柳澤氏にはポジションがなかった。それがメルペイコネクトの立ち上がりによって、活躍できる環境を見いだしたという。

柳澤前職での部署立ち上げを経て、一定の成果がでたタイミングで、よりチャレンジできる環境を探していました。その中で、以前から気になっていたメルペイがBtoBのポジションを用意していた。メルペイはスタートアップですが、メルカリがバックにあるので大胆な投資ができる。資金力とスタートアップ的な自由度の中で、一から立ち上げられる環境は日本ではほぼありませんし、数十年に一度の大きなチャンスでしょう。「ここなら思い切りやれる!」とジョインしましたね。

加古氏はDeNAを退職した後、アマゾンでAmazon Payのマーケティングを担当していた。ただ、DeNAの立ち上がりの頃に経験した「500人が2,500人になる」成長速度と比べると感覚値が合わず、より変化のある環境を求めていた際に、メルカリとの出会いがあり転職を決意する。

加古決済がモバイルへと移り変わるタイミングで、市場はまだまっさらに近い。競合も出そろい、皆でこの市場を立ち上げていくタイミング。このチャレンジはそうそうない大きなものだと思っていました。メルペイであれば、自分にとって成長環境であることも間違いない。中国で体験し脳裏に焼き付いていた、世界最先端のスマホ決済社会を日本でも実現したいとも想いもあり、ほぼ迷いなく選択しました。

両者は入社後、サービスリリースに向け、営業・マーケティングとも組織立ち上げに従事。現在もその真っ只中にある。土台を作る立場として、今のフェーズしか得られない経験をしているという。

柳澤メルペイコネクトは、1年後に数百人規模の営業組織を目指しています。採用から入社後の教育、人数が増えてもカバーできる盤石な組織の仕組みを、メルカリのカルチャーにあった形で作らなければいけません。

現状の営業組織は6名体制。毎月数倍の規模で増加していく予定だという。一方、マーケティング組織はまだ加古氏ひとり。採用、組織作りと並行し、メルペイならではのBtoBマーケティングのあり方も検討を進めているという。

加古オンラインでの広告やマーケティングオートメーション、オフラインでのセミナーなど、様々な施策を展開するための組織と仕組み、両方を整備している段階です。BtoBマーケティングというと、セールスにリードを渡す印象が強いですが、メルペイではオンラインで完結させるなど、マーケティング主導で結果を出すことも目指していきたい。その方法や組織作りを任されているという意味で、重責だと思っています。

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「メルカリがやるなら」の強みを活かせた、プレセールスでの手応え

組織作りを進める傍ら、2018年10月からはプレセールスを開始。プロダクトがない営業活動には難しい部分もある。しかし、着実に手応えを感じているという。

柳澤メルカリを知っているお客様からは「メルカリがやるなら」という反応をいただくことが多いです。プロダクトが無いにもかかわらず、契約を結んだお客様も出始めていますね。一方、決済に馴染みのない方やメルカリのことを知らない方となると、難しさもあります。これはモバイル決済各社が立ち向かう課題といっても過言ではありません。ただ、今は社会全体がモバイル決済へシフトしていく転換期。まさに市場を作っている感覚をひしひしと感じています。

営業と並行し、マーケティング側でも施策を打つためのリサーチを進めているという。ここでの感触も、プレセールスに近いものだと加古氏は考える。

加古数千の小規模店舗に対してのリサーチをして見えてきた日本の決済市場の現実は、クレジットカードの導入がやっと進んできた程度。まだまだモバイル決済の成長余地は大きいと感じています。一方、モバイル決済導入で減税をする法案の検討が進むなど、社会的にも追い風がある。やるべきタイミングだと感じる分、力が入りますね。

ここで加古氏はアフリカへ靴を売りに行った営業の話を例に出した。一人の営業は「アフリカは靴を履いている人がいないから靴は売れない」と考えた。もう一人は「全員に靴を履かせる余地がある」と考えたと言う話だ。メルペイが描くものは、限りなく後者に近い。「可能性にワクワクしている」と加古氏は語った。

挑む課題は大きい。加えて、まだプロダクトもできていない。それでも両者はこの環境であれば、挑戦を続けていけば成果を引き寄せるられると考える。その大きな要因にメルカリのカルチャーがある。

柳澤営業だからこそ特に印象的に感じるのが、とにかく管理されない組織です。性善説で、本当に人を信頼している。メルペイの皆がプロフェッショナルなマインドセットを持っているという前提ですが、普通の会社では信じられない裁量が個人に与えられています。この期待に応えなければという想いも強くなりますし、そのカルチャーを持って組織作りをしていかなければいけない。もちろん若手人材に対しては育成制度もしっかりありますし、ある程度の経験がある人であれば、思う存分に暴れられる環境だと思いますね。

加古私も同感です。予算会議に「大丈夫かな?」と思う施策を持っていっても「もっとGo Boldに、大胆なプランを持ってきて」と言われるんです(笑)。もちろん、怖さもありますし、こんなに張って大丈夫かなと思う瞬間もあります。ただ、それはチャレンジへの期待でもあるんですよね。メルペイでは本当にやりたいことをやらせてもらえる。力が有り余っている人ほど、フルスイングできると思います。マーケティング担当として、早く日常生活でメルペイを使う人を増やしていきたいですからね。

成果を引き寄せたメルカリのカルチャーの上に、豊富な経験を持つメンバーが肩を並べるメルペイ。お互いの可能性を引き出す人と場がある。環境を理由に本気を出せないという言い訳は、ここでは通用しないはずだ。だからこそ、同社が描く未来にかかる期待は大きい。

以下エントリー先、面接ではなくカジュアル面談をご希望の方は「補足」項目へ「カジュアル面談を希望」と記入をお願いします。

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[文]小山 和之
[撮影]藤田 慎一郎

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