財務もビジネスも知らないエンジニアでは、良いチームをつくれない──‟非分業”で高い開発力を実現する、BNPLスタートアップのプロダクト組織

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東京大学農学部、東京大学大学院を経て、2018年にネットプロテクションズへ新卒入社。研修やマーケティング部署への出向を経て、開発未経験からビジネスアーキテクトグループに所属する。『atone』の立ち上げ期から開発に参画し、2021年10月からは開発チームのリーダーを務める。

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企業組織において、最も意識されるものはなんだろうか。さまざまあるが、「分業」は間違いなく、そのうちの一つとなるだろう。むしろ、たいていの組織論は「いかにして効率的に分業できるか」という考え方で語られているようにすら感じられる。たとえばピラミッド型組織、事業別組織、機能別組織といったフレームが、その最たるものだろう。実際に多くの企業が、こうした組織構成を取り入れている。

そうした枠に収まらず、稀有な組織をつくり上げている東証プライム上場ベンチャー企業を紹介したい。国内BNPL決済サービスのリーディングカンパニーであるネットプロテクションズだ。その特徴は「全員がプロダクトマネージャー」、つまり、「非分業」にある。

特定の誰かがプロダクト開発の責任を負い、他のメンバーが開発を行い、ほかのメンバーが営業し……というのではない。誰もが同じ目線と情報を持ちながら、チーム全員でアイデアを出し、スピーディーに課題を解決していく。一人ひとりが、さまざまな役割を持つのだ。同社内では「アメーバ的な働き方」といった表現もなされる。

そのメリットは、意外にもシンプルで力強いものだ。「その方が、スピーディーで、質の高い事業をつくれる」というもの。本当だろうか?『atone』というプロダクトを推進する現場の声から、その開発体制を検証したい。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY MARIKO FUJITA
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ビジネスサイドのミッションをエンジニア全員で把握し、スピーディーに開発

日本における後払い決済(Buy Now, Pay Later)のリーディングカンパニーであるネットプロテクションズ。「つぎのアタリマエをつくる」をミッションに掲げ、『NP後払い』『NP掛け払い』『atone』『AFTEE』など斬新なプロダクトを次々と世に送り出してきた。

しかし実は、組織づくりにおいても「つぎのアタリマエ」を実践しているのだ。それがネットプロテクションズが掲げる自律・分散・協調のティール型組織、そして開発組織「ビジネスアーキテクトグループ」である。

ネットプロテクションズの技術面でトップにあたるCTO鈴木氏は、組織内の非分業体制に対し強いこだわりを持っている(同氏の考えは、こちらの記事で詳しく述べられる)。それは、単に組織プロセスにおける部署や部門の枠組みを取り払おうとしているのではない。社員の多くが複数の担当業務を当たり前に掛け持ちしながら、幅広い視点で事業に取り組めるようにしているのだ。

実際、『atone』のプロダクト開発を主な業務とする山田氏は、P/L(損益決算書)における経営指標を常に追い、現場における意思決定の軸にしているという。

山田開発しているプロダクトが全社の事業にどれくらいのインパクトを与えているのだろうかと気になり、個人的に財務の勉強をしていたんです。それを知った先輩から、「財務の仕事もやってみないか」と声をかけてもらい、決算書や財務諸表などの資料を扱った業務を担うようになりました。

すると、自分が手がけたシステム開発によって財務上のデータが改善されているのがわかり、大きな手ごたえを感じたんです。それ以降、開発について考えたり意思決定したりする際は、財務インパクトを必ず意識するようにしています。

ここで出たのは経営指標だが、もちろん、セールスやマーケティングといったビジネスサイドの指標も同じく意識している。このように広い視野を持って取り組むからこそ、真にアジャイルな開発が可能となり、その場でスピーディーに意思決定したり、手戻りのない開発を進めたりできるというわけだ。もちろん山田氏だけでなく、ほかのメンバーも同様だ。

新卒で入社し、エンジニアリングは未経験の状態から『atone』の開発に参画した山田氏。この「非分業」の環境でエンジニアリングの技術にとどまらず、ビジネスサイドの知見を身に付け、成長を遂げている。それは難しい課題に先輩のサポートを得ながらも、すべてを自分ごと化して乗り越えられる環境がネットプロテクションズにあるからだ。

次のセクションからは、具体的な同社の仕組みや取り組みに迫っていこう。

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社員一人ひとりが共通の目的が持てば、‟非分業”でも組織は成り立つ

改めて、山田氏が企画から開発まで広く担う『atone』というプロダクトの開発体制について簡単に説明したい。

『atone』とは、スマホのみで簡単に翌月払いができるサービスで、2017年にローンチされた。クレジットカードがなくても、EC物販や実店舗などで後払いでショッピングを楽しむことができる。

その中で山田氏は現在、ビジネスアーキテクトグループという開発組織に属するかたちで、『atone』開発チームの一員となっている。推進する業務は、採用・育成・1on1の組織づくり、開発計画の策定、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメントと、非常に幅広い。

山田『atone』のチームはビジネスサイドまで含めると30人ほどの組織。「まだ数人で立ち上げをしているフェーズだから、一人がいろいろとこなさなければならない」というわけではありません(笑)。

このことが、大げさに言えば「分業していない」というのを物語っているでしょうか。「責任範囲」はそこまで広いわけではありませんが、一人ひとりの「意識範囲」はおそらく、他の企業さんで働くのと比べてかなり広いのだと思います。

とはいえ、多くの読者が「分業している方が効率的で業務がスムーズなのでは?」という疑問を持つのも当然だろう。自分が担当する業務が明確になれば、業務への集中力が高まり、学習効率も上がる。だからこそ、多くの企業では分業体制を取り入れているのだ。

一方、非分業では自分の担当業務が幅広い分、業務と業務との境目が見えず、責任の所在も曖昧になりやすい。また進捗状況の管理も難しくなるため、社員がそれぞれ違う方向を向いてしまう恐れがある。

山田氏は、組織上のそういったデメリットを理解した上で、「社員一人ひとりが何のためにやるのかその共通の目的を理解していれば、非分業でも、より強い組織をつくることができる」と強調する。同様にCTO鈴木氏もこちらの記事で、「一人ひとりが能力を最大限に発揮でき、その結果、事業成長に向けた総合力が高まる」と語っている。

つまり、「社員一人ひとりが当事者意識を持って自走できれば、組織は自然と進みたい方向に進んでいくはず」と考えているわけだ。

さて、ここからが本題。「非分業だからこそ実現できていることは何か?」という問いかけに対して、山田氏は高いプロダクト開発力を挙げた。

山田顧客や社会の課題、そして経営やビジネスサイドのミッションをしっかり理解した上で、開発を進めることができます。

先ほども言った通り、ネットプロテクションズでは、自分が開発したものが全社の事業に対してどれだけインパクトを与えているのかを、経営上の数字からわかります。セールスやマーケティングといったビジネスサイドのKPIとのつながりも見えます。ビジネスサイドのメンバーから見ても同様に、それぞれの開発がどのようなインパクトをもたらすのか、よく見えるんです。

さらに、こうした背景から、開発サイドとビジネスサイドがシームレスに繋がっているので、戦略や企画といった面での意思決定もスピーディーに行われます。この繰り返しで、プロダクトの新規開発をどんどん進めることができます。

一般的に若手エンジニアは、上流工程と言われる要件定義や計画立案から参画する場面がどうしても少ないため、プロジェクトの全体像が掴みにくく、ましてや事業全体へのインパクトの理解などもってほかだ。一方でネットプロテクションズでは、エンジニア全員がミッションを理解し、「何のためにやるのか」がクリアな状態で開発に臨むのが当たり前だと胸を張る。

だからこそ、小手先の機能開発にとどまらず、もっと事業を良くするために何をすべきか、もっと社会を良くするためにどうすればよいか。そういった想いが、山田氏自身を難しいチャレンジへと突き動かし続ける原動力になっている。

山田「やらされる仕事」では、まったくありません。自分から考えて、自分の意志で取り組むんです。

例えば、経営の数字が安定していれば、新しいことにチャレンジしたり、細かい改善にリソースを当てたり。反対に、指標に対して不安があれば、それを解消できる業務をしっかり検討して実行したり。これらを現場のエンジニアが、裁量を持って進められるというのが、この組織体制の魅力だと思います。

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担当領域は複雑なグラデーションを描きながら組織内を縦横無尽に動ける

このセクションでは、もう少し具体的にネットプロテクションズの仕組みや組織体制を紐解いていきたい。

CTO鈴木氏のインタビューでも解説しているので、合わせて確認いただきたい

上図のように、一般的なITスタートアップでは、会社の経営を担うCxOをトップに、事業責任者や、プロダクト責任を負うPdM・PMMと続くようなイメージだろうか。そして現場に近い業種が広がり、その中にエンジニアも位置する。そんな組織形態が多くなっている。

一方、ネットプロテクションズでは、職種や部門といった枠組みにとらわれず「何でもやれる仕組みやカルチャー」が存在する。担当領域が、「戦略⇔実行・実装」と「ビジネスサイド⇔開発サイド」の2軸でグラデーションを描くようなイメージで、常に縦横無尽に動くことが当たり前になっている。

山田僕たちはその時の経営状況や開発フェーズによって、一人ひとりがアメーバのように職域を広げています。なので組織図も同じく、アメーバのように日々変化しますね。

現に山田氏も開発サイドを中心としながら、商談に出たり企画を考えたりと、ビジネスサイドへとしみ出している。他にも事業戦略を担いながらエンジニアとして開発に従事する人、経営戦略から開発、実装までを担っている人、また逆に、セールスでありながらエンジニアへ手を伸ばしている人もいる。

どの職種、部門においても満遍なく、バランスよく社員がいるように見える。

山田「一人ひとりの守備範囲が広い」とも表現できるでしょうか。これにより、先ほどは「非分業」と言いましたが、場合によっては役割を明確にして分業して目の前の施策を進めることもあります。

取り組みごとに、スピードと制度が最も高まる形を検討し、実践していくことができるんです。

事業を推進するスピードを考える上で、分業体制の仕組みを決して否定しているわけではない。それも取り入れることができるような‟非分業”の組織体制をとっているというだけなのだ。

山田誰もが事業成長に対して、責任を持つのが当たり前になっていれば、このような体制を組むことができる。そうじゃなかったら、責任が分散するだけで、ただ非効率的なだけだと思います。

僕たちが特に大事にしていることは、チーム内で「分断」を生まないこと。事業戦略を考えたり、プロダクトロードマップを引いたりする際は、必ずチームみんなが関わって進めるようにしています。スキルの有無や年次に関わらず、経験の浅い人も一緒に考えていくからこそ、若手のうちから自分ごと化して組織運営に携わっていけるようになります。

ネットプロテクションズでは、経営指標やKPIの進捗といった情報が、全社でオープンにされている。だから、意思決定に必要な情報を、誰もが閲覧できるのだ。その裏返しとして、社員一人ひとりが業務をしっかりと自分ごと化させ、状況に応じて役割を自在に変化させていくことができるのだ。

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組織の課題を自分ごと化して考えるからアイデアが広がる

ここまでのセクションから、ネットプロテクションズの事業成長が、ユニークな組織体制によって形づくられてきたということが少しは伝わったのではないだろうか。最後に、この環境にあって山田氏がどのようなやりがいを感じているのか、聞いてみたい。

山田入社当時は明確にやりたいことがあったわけではありません。しかし、漠然と自分で「ものづくり」ができる力を身に付けたいと思っていました。今、決済サービスという「非常に難しいものづくり」の全体を見て推進することができて、想定以上の強いやりがいと成長実感を覚えています。

中学から大学までバドミントンに注力していたんですが、やはりトップ選手の動画や本で理論を学んでも実践では活かせません。ビジネスも開発も同じく、理論と実践をくり返しできる環境に身を置きたいと思ったんです。それができる、なかなかない環境なのではないかと感じています。

新卒入社5年目、まだまだ伸びしろが大きい山田氏がネットプロテクションズにいるからこそ描ける、今後の目標はどのようなものなのだろうか。

山田組織においては、今後さらに自分の好奇心や事業状況に合わせて流動的に、縦横無尽に動けるようにしたいと考えています。僕は、誰もが抱くはずの「やってみたい」という想いを、とにかく強く尊重したいんです。既定の枠組みの中にとどめるのではなく、自分の意志で自由に暴れられる、そういった組織を目指していきたいですね。

事業においてはもっと拡大していくことが至上命題ですから、やるべきことは山積しています。ここは主に開発面になるのですが、加盟店やユーザー数が増えても問題なく処理できるレベルのシステムを構築したり、使い勝手をもっとよくしてリピーターを増やしたり、といったことは率先して進めていこうと思っています。

まだまだ課題ばかりですが、そこに取り組んでいくことに対しては大きなやりがいとワクワクを感じています。

「エンジニア」という感じがあまりしない、山田氏の受け答え。ネットプロテクションズには、そんな存在が多くいる。入社時のポジションが何であれ、自分ごととして事業に取り組んでいるからこそ、幅広い課題に対して危機感を覚えながら、真摯に柔軟に取り組んでいる。

「常に事業や組織の‟その先”を考えているからか、いろんなアイデアが湧いてきます。楽しいですね」と、山田氏は取材の最後に笑って見せた。

エンジニアであってもビジネスサイドの業務も積極的に担い、視野を広げ、多くの観点を獲得する。そうした働き方を通して、誰もが自分ごととして事業成長に貢献できるのは、「ネットプロテクションズだから」だと言えるだろう。

こちらの記事は2022年11月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田マリ子

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