まだまだ希少な「事業視点を持つエンジニア」の育て方──CTO歴20年の鈴木氏に聞く組織づくり

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インタビュイー
鈴木 史朗

1996年、東京工業大学大学院情報理工学研究科修了後、株式会社構造計画研究所に入社。その後のテクマトリックス株式会社までの経歴を通じて、コンピュータ・シミュレーションや金融計算など、数理技術を活用した研究開発に従事。2002年に株式会社ネットプロテクションズに入社し、NP後払いの立ち上げに参画。その後の新規事業や海外進出を支援し、現在はCreditTech分野を中心にデータサイエンス施策を推進している。

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経営戦略・事業戦略に「IT」が組み込まれるのが当たり前の時代。IT人材の枯渇が国全体で叫ばれているが、企業の現場はすでに逼迫している。特に、スタートアップの経営陣で、エンジニアの採用と育成に悩んでいない者はいないだろう。そもそもやはりまだ、スタートアップにおいてこの課題に長く向き合ってきた人物が、日本には少ない。

そこで、スタートアップで20年にわたってCTOを務めている稀有な日本人、ネットプロテクションズの鈴木史朗氏を招いた。創業期はほとんど一人だけで企画や開発を担い、拡大期にはひたすら組織に向き合ってきた。

時代変化を鑑みてお聞きしたのは、「売り手市場において、エンジニアはどんな環境に身を置くべきなのか?」という問いだ。獲得競争が苛烈を極め、非常に高い待遇が用意される様子を同氏は「バブル感がある」と憂う。

新卒や第二新卒から、レベルの高いエンジニアリングとビジネス感度を習得し、複雑性の高いBNPL(後払い)領域のプロダクトや基幹システム、パートナー企業とのアライアンスを組み上げる。それがネットプロテクションズのメンバーたちだ。この育成の要因をひも解き、「いかにして、中長期的なエンジニアキャリアを描き、挑戦していくべきなのか」という問いの答えを探っていきたい。

  • TEXT BY TOSHIYA ISOBE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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エンジニアは、サービスの提供価値に“肌感”を持つべし!強いプロダクトをつくるための組織論

成長とは何だろうか、と、多くのビジネスパーソンが考える。考えるけれど、答えは出ない。20年もの間、創業期から東証一部(現プライム)上場までCTOとして考え続けている鈴木氏ですらそうなのだから、やはり難しい問いだ。

それでも、間違いなく言えることがある。エンジニアに求められるスキルや仕事の取り組み方自体が、時代や環境の変化に伴って、明らかに変容してきている。

鈴木クラウド技術が普及してから、アプリケーションをつくるスピードは格段に上がりましたよね。以前は、まずサーバーを構築し、システムやツールなど裏側をつくるところから始まるのが、ITプロダクトの開発でした。

今は、プロダクト開発に活用できるツールが、無料のものも含めて非常にたくさんあります。個別のコードも、参考にできるものがたくさんあります。こうしたものをいかに効率的に習得し、使いこなして、スピーディーに良いプロダクトの開発にとりかかることができるか。こうしたスキルやマインドが問われます。

私がCTOになったころと比べると、ものすごいスピードでの変化が起こってきたわけです。そりゃ、組織づくりも難しくなります(笑)。

鈴木氏が述べているのは、単に「開発環境が整ってきて、やりやすくなった」という話では決してない。目的を果たす手段として、どのような技術を選び、どのように活用し、どのように組織を構成して実現するのが最適なのかという、いわば「より総合的なプロダクト開発」をしっかりと考えられる人が求められるようになっているというわけだ。

そうした変化の中で注目すべきポイントとして鈴木氏は、「ユーザーへの価値提供の場」にまで染み出すエンジニアが増えているはずだと指摘する。

鈴木ユーザーの近くでファクトやニーズを収集し、「提供価値」がどうあるべきかを直接考え実装しようとするエンジニアこそ、今求められる存在だと思います。そんなメンバーが多くいる組織なら、プロダクトやサービスの企画起案からデリバリー(ローンチ)までのスピードを高めることができるはず。これが私の、そしてネットプロテクションズの考え方です。

ときには企画や営業といった業務まで自ら推進し、技術者の視点とビジネスサイドの視点をかけ合わせて、より本質的な構想を描けるようにする。そうすることで、手戻りを大きく減らし、かつ、サービスの品質を早期に高めていくことにまで貢献できるのです。

ここでも、一つ補足しよう。鈴木氏が期待する「ユーザーへの価値提供の場」に染み出し続けるエンジニアという存在は何も、「ユーザーの求めるものを、抽象化した言葉で理解している」といったレベルにとどまらない。ユーザーヒアリングどころか、商談にも主体的に参加することで、ビジネスサイドの動きに関与し、その意図を理解できるようになる。場合によっては企画や営業における意思決定も行う。そうした存在が、日本のビジネスシーンでも増えつつあるというのだ。

こう聞いて、「確かに増えているかもしれないが、まだまだ少数だろう」と思う読者が、今では普通だと思う。だが、ネットプロテクションズには、もう10年ほど前から、そうしたエンジニアが多く存在し、育ってきていたのである。

なぜか?それは、事業特性と、経営陣の思想がそうさせている。詳しい内容は後ほど触れるが、要するに昨今聞くようになった「事業視点を持ったエンジニア」が、以前から多く育つ組織だったのである。

ちなみにネットプロテクションズはこの20年間、BNPL(Buy Now, Pay Later、後払い)市場の先駆けとして、国内BtoCでは『NP後払い』『NP後払いair』『atone』を、国内BtoBでは『NP掛け払い』を、そして台湾ではBtoCの『AFTEE』といったプロダクト・サービス群を幅広く展開してきた。BtoB、BtoCでシェアNo.1となっており、2022年3月31日時点で累計取引件数3.7億件以上、年間取引件数約6,800万件、加盟店総数約19.9万店舗と、実績は申し分ない。

これらを支える開発組織を形成したのがCTOの鈴木氏だ、と言えば、その説得力も大きく高まるだろう。

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事業視点を持ったエンジニアが活躍できる環境とは

さて、「事業視点をもったエンジニアを目指そう!」と考える若者は増えてきているようだが、実態はそう甘くない。

鈴木「世の中にほぼない」は言い過ぎですけど、「必要とされるボリュームに対しては全然少ない」のが実態だと捉えています。

だから、いかにして自社で育てていけるか、レベルアップさせていけるか、ということを広く深く考えていくことが不可欠ですね。当社では先駆けて取り組んできたという自負があります。

そうはいっても、ビジネスとエンジニアリング双方をレベル高く捉えられるようになるのが非常に難しいから、多くの企業において分業の体制を採っているわけだ。さらに言えば、日本社会では長らく、システム開発を外注する文化が強かったわけで、分断は深いと言える。

エンジニアが個人的にビジネスに興味を持っていても、実際に関わることのできる機会は少ない。だから、事業視点のエッセンスを体得するまでにはなかなか至ることができず、多少の知識はあっても活用してブラッシュアップする場面がない。

そのような構造的な機会獲得の難しさがある中、ネットプロテクションズには「事業目線で考えられるエンジニアしかいません」と、2020年のインタビューでも鈴木氏は語っていた。それが「ビジネスアーキテクトグループ」という開発組織なのだ。

鈴木もともと、私が管掌する開発組織の部署名は「システムグループ」だったのですが、役割を拡張したいと考えて2013年くらいから「ビジネスアーキテクトグループ」に変えたんです。

もちろん、名前を変えただけではありません。そもそもそれ以前から、きっちり分業するのではなく、緩やかに兼務するようにしていました。私は、担当領域をアメーバのように設定する、という言い方をしていましたね。

ただ、この頃から明らかに、メンバー一人ひとりの意識が変わってきました。

一般的なITベンチャー企業(左)と、ネットプロテクションズ(右)で、組織内の役割イメージの違いを表現してみた図

なぜ、このような組織が自然と実現していたのか。その理由は、事業特性と経営者の思想という2点に集約される。まず、事業特性の観点から見ていこう。

鈴木開発側からビジネス側まで視野が広い必要性は、決済という事業特性によるものです。もちろん、どんな事業でも、視野の広さが重要ですが、当社の場合は特に重要だと考えています。

ユーザーから見れば、「後で支払うこと」が簡単にできるという、非常にシンプルなサービスです。でもその裏側は、ものすごく複雑。なぜなら、ステークホルダーが非常に多く、幅広いからです。

大小さまざまな小売事業者やECプラットフォーム事業者、コンビニや郵便局といったパートナー、そして当社のキャッシュフローにかかわる金融機関まで広がります。そしてそれぞれの事業者におけるキャッシュフローにも直接影響する、つまり、事業継続に直結する責任を負っているんです。決済を事業として扱うというのは、そういうことなんです。

プロダクトやサービスで、ある機能を追加したとした際に、別の機能で影響を及ぼし、ステークホルダーの一部に大きな損害を及ぼす可能性があります。この、複雑に絡み合った影響範囲を、しっかり読み取って、必要な開発だけを的確に進めていく必要がある。だから、技術に特化していればいいのではなく、ビジネス全体にまで影響が広がることを意識できる必要があるんです。

ステークホルダーがただ多いだけではない。資金繰りという会社存続の“生命線”に直結するような人たちがプロダクトを使っているのだ。

このように書くと「なんて大変な事業なのだろう」と感じるかもしれない。だがこれは、大きな社会的意義があるということの裏返しでもある。ネットプロテクションズは単に決済をカンタンにしているのではなく、商売や購買の可能性を大きく広げているのである。実質的には金融とも言えるし、インフラとも言える。

それだけの社会的責任があるサービス群が、ユーザー・カスタマーに安定的に使われるようになるには、一つひとつの機能リリースだけを考えていればいいというわけにはいかない。「事業視点を持つエンジニアになることは難しい」と書いたが、ネットプロテクションズにおいて、そんなことは言っていられないわけなのだ。

そしてこの話でさらに面白いのが、事業上の合理性だけがビジネスとITの境界を融かしているわけではないところ。経営陣の思想から来る、メンバー一人ひとりが持つ能力への着目だ。

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エンジニア・非エンジニアのキャリアチェンジがスムーズ。真に合理的なキャリアの捉え方

事業特性に基づいて組織をつくっていくなどというのは、本来当たり前の話だ。そう感じる読者も少なくないだろう。「うちだって同じように複雑な事業だけれど、分業も大事だから、分業体制を採っている」だとか「エンジニアがセールスをするようになったら、意思決定者や判断軸がブレて、スムーズに事が運ばない」といった感想を抱くこともあるだろう。

そう、そのように、どうしても前例に囚われるのが当たり前だ。だから、前例のない試みを実行するには、それだけ強い思想やこだわりが必要になる。鈴木氏はそれを持っていた。

鈴木私ももともと、世の中にある職種でやりたい仕事がなかったんですよ。ビジネスとITの真ん中をやりたいと思っていた。ネットプロテクションズの創業期に、ほとんど1人で開発や企画を担う中で、ハイブリッドな立場をとるに至ったという感じです。

今は規模も大きいので、プロダクトやサービスを構成する機能ごとに、便宜的に組織を分ける手段ももちろんあります。ですが、機能を分けることで、一人ひとりのやれる範囲を限定してしまう恐れがあるので、あまり好ましく思っていません。せっかく能力を持っているのに、機能が分かれることで、伸ばせるはずの能力が減ってしまうかもしれない。

通常、人の興味関心は複数領域にまたがっているはずです。「アプリケーション開発にしか興味がない」とか「サーバーサイドの中でもバグ修正だけが自分の好きな仕事だ」といったことってありえませんよね?

機能分断を起こさない組織にすることで、存分に能力を発揮していけるようにしたいんです。

機能ごとの分業体制を取り入れることはしない、そういう思想を明確にしているのだ。「機能に特化させることで深堀りしていける領域もある」という前置きをしつつも、一人ひとりの能力が発揮されれば結果として、チームの総合力は大きく高まる、そう考えている。

より具体的に、ネットプロテクションズだからこそのユニークな働き方を紹介したい。

ここまでの話でも想像できる通り、エンジニアと非エンジニアの兼務やキャリアチェンジがしやすいのは、ネットプロテクションズの特徴のひとつだ。エンジニアとして入社すればその職種を続けることが一般的だが、ネットプロテクションズではそのような常識は関係ない。

鈴木やる気さえあれば、キャリアチェンジすることは簡単にできます。例えば今後のキャリアを決めきれていない人であっても、まずはエンジニア領域が得意だから入ってみて、もし変えたければ少しずつ、領域を超えた兼務を増やし、じわじわと違う領域に軸足をシフトしていくみたいなことができる。むしろ自信があれば、いきなりビジネスサイドの仕事を多く担うようにすることだって可能です。

若い頃に決めたその最初の職業をそのまま全うし続けるって、人によってはつらいじゃないですか。特にエンジニアの場合、技術力を高めたり深めたりし続けなければならない、という側面がありますが、それを今後も続けられるのか、徐々にマネジメントにシフトしていくべきなのか、その場合、どのようなキャリアを歩んでいくべきなのか、といった悩みは付きものです。

先ほども言いましたが、私だってビジネスとITの真ん中をやりたいと思っていた。そういう道がもっとあっていいはずです。

領域を超えるのはIT側からだけではない。ビジネスサイドのメンバーも、ITの理解を深めるために兼務したりキャリアチェンジしたりする例がある。そもそも、新卒社員向けの研修では、必ずIT技術について深く学ぶようにしているのがネットプロテクションズだ。

そうしたビジネスとITのオーバーラップがあったからこそ生まれた取り組みだと、鈴木氏が感慨深く振り返るエピソードがある。AIを活用した即時与信機能の構築だ。

鈴木『NP後払い』で、ローンチからしばらくの間、敢えてつくっていなかった機能があるんです。リアルタイムで与信結果を返す機能です。ニーズは存在し、競合他社は早期につくっていたのですが、当社ではしばらく取り掛かってこなかったんです。

なぜなら、当社で掲げるビジョン「歪みのない事業・関係性をつくる」を重視するならば、かなりしっかりした精度を実現できなければ、つくっても意味がないと考えていたからです。

それでも、蓄積してきた莫大なデータがあり、そこに培ってきた洞察力をフルに仕組み化すれば高精度での実現が可能であり、さらにAIを活用すれば精度の維持向上が可能だとわかってきました。加えて、未回収リスクが具体的にどういった例で存在するのかまで、開発チームは解像度高く捉えられていました。ここまで前提が揃えば、あとはとてもスピーディーに進められるのが当社の開発チームの強みです。

システム上での実装形態を的確に定め、実装し、テストを行い、実際に機能をリリースするところまで、ほとんど手戻りなく進めることができたんです。

事業目線とエンジニアリング目線を行ったり来たりしながら検討できるメンバーたちの知見が、日ごろから近い関係性で融け合っていたからこそ、意思決定からリリースまで手戻り少なくスピーディーに進められました(当時のプレスリリースはこちら)。

最初からシステム側の発想だけで自動化や効率化を考えて実装を進めていたら、そううまくはいかなかったかもしれない。また、リーンスタートアップ的な発想で、ローンチしてから改善を繰り返すという手法は、与信というお金が絡むサービスの性質上、例えば誤ったNGを出してしまうと信頼を失い二度と使ってもらえなくなるなど、ユーザーやクライアントへの悪影響が大きいため取り入れにくい。

そうした前提を踏まえ、ビジネス感覚に基づいた実際の日々の事業オペレーションと、ITに関する知見が合わさった好例だ(このリリースの背景はこちらの記事も参照されたい)。

また、プロダクトマネージャー(PdM)というロールが明確には存在しない点も、このスピード開発を成り立たせる重要な特徴の一つだ。

鈴木プロダクトについては、全員が考えるべき。誰か一人が責任を持って推進する役割を担う必要はないという考え方もあっていいはずです。

ネットプロテクションズでは各チームがオフサイトミーティングや合宿を実施して議論を深め、メンバー全員がプロダクトについての共通認識を持つようにして、最短経路を常に探り合っています。「みんながプロダクトマネージャーであってほしい」というイメージですね。

そんな中で新規事業が立ち上がり、責任者が生まれてきているという事例もあります(下図参照、詳しくはVP of Architecture相澤氏のイベントレポートにて)。

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ネットプロテクションズは「自分を知れる会社」

ここまで、ビジネスとITという両極を軸に、その境界の融けた組織とはどんなものなのかを説明してきた。では、そのような環境で、個々人の成長が本当に期待できるのだろうか?この点に関しても、鈴木氏の強い意志が見える。

技術力を高めて、新しくチャレンジしたいエンジニアも多いはずだ。鈴木氏はCPUやHDD、メモリの比喩を用い、CPUではなくHDDやメモリを鍛える仕事をすべきだと話す。

鈴木CPUは仕事の中でどれぐらい頭を使っているかみたいなこと。HDDは全体の仕事量、メモリは現在進行中の処理量といった具合でしょうか。

大事なのは、CPUを100%使い切り続けること。そうすれば、能力を発揮できているので、成長が期待できるはず。逆に、能力を持て余していたら、十分な成長は望めないのではないでしょうか?

意識すべきは、「いかに多くの観点を持てるか」という点です。ビジネスからITに至るまで広い守備範囲で仕事をするなら、検討できる観点をたくさん持てるようになるべきです。メモリやHDDを拡張させるという成長は、まさにこの点が重要です。いろいろな領域の情報を取り込み、“観点”を増やすべきです。

その観点一つひとつが、自身の興味関心事に沿うものであればあるほど良いんです。きっと、100%の力を発揮し続けていけますよね。

例えば、プロダクト開発における技術選定だったり、より美しいコードの追及だったり、ビジネスサイドにおけるオペレーションの効率化だったり、より高い受注率が実現できる商談のトークスクリプト洗練だったり。こうしたものの、どれでもいいわけだ。興味関心の強いものを組み合わせ、全力で取り組む。そうすれば、組織全体で、アウトプットが大きなものになっていく。「CPUを100%使い切る」とは、そういうかたちだ。

また、鈴木氏はキャリアを個人の幸せの観点からも捉えている。

鈴木組織が大きくなるにつれて、「幸せって何だろう?」とよく考えるようになりました。人生の大半の時間を使うからこそ、仕事自体を通じて関わるメンバーが幸せを掴むことが重要だと考えてきましたが、具体的な幸せの形は個人が決めること。そんな中で現時点では、「自分で選択できること」であると考えています。

自分で選択したからこそ、自分で責任を持ち、100%の力を出せる。そんな仕事の仕方を増やすために、HDDに色々な手段を貯めていく必要はありますよね。

以前ネットプロテクションズに転職してきた外国籍のエンジニアが「ネットプロテクションズは自分を知れる会社ですよね」と言ったそうだ。自分の特性を知り、自分の合ったポジションにアサインされていることをメンバー視点でも感じられるという事例として、象徴的なものだったと鈴木氏は振り返る。

鈴木「自分をちゃんと理解して、自分自身をしっかりと使いこなそう」とよく言っています。自分の得意なことや苦手なことを理解して、得意な領域の中で選択肢を増やす、得意な領域を活用して苦手な領域をカバーしていく。このことを自然とやっていける環境をつくってきましたし、これからもつくっていきたいと考えています。

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短期の待遇で未来を選ぶな。
技術や知識を自分なりに開発できる環境を見つけよ

ここまで見てきたように、一人ひとりの異なる興味関心を基に、多様なキャリアを開発していけるのがネットプロテクションズだ。だから、ロールモデルの考え方もユニークだ。

鈴木単一のロールモデルを規定してしまうと、成長や活躍の仕方が規定されてしまうのではないかと思っています。

それよりも、さまざまな活躍を見せる先輩がいて、それぞれの様子を見ることで参考にする部分をたくさんつくるべき。そうなれば自然と、個々人がオリジナルのキャリアを歩めるのではないかなと思いますね。

「自分なりの、オリジナルのキャリアを描き、歩んでいきたい」そんな想いを抱く若者は、少なくないはずだ。ネットプロテクションズのメンバーはみな、それを自然と実践している。

だからこそ、エンジニアリングに自信のある人こそ、ネットプロテクションズでの躍動をイメージしてみてもらいたいと、鈴木氏は強調する。

鈴木以前は「技術ファーストのエンジニアはいらない」と言っていました。今はそうでもありません。企業のフェーズが変わり、技術ファーストのエンジニアも積極的に採用しています。むしろ、高い技術力を活かす場として非常に魅力的だと思います。

当社は「サービスを回していく大きな仕組みをつくる機会が多い」んです。なにせ、後払い決済というのは、これからのインフラになっていく事業ですから。

つまり、単なるサービス開発をするような場ではありません。ものづくりを突き詰め、仕組み自体を新たにつくり続けることができる環境だということ。

規模も大きくなり、関わる人も増えてきているので、技術の重要性がどんどん上がっています。品質やパフォーマンスをより一層高めていきながら、セキュリティもより強固にしていきたい。専門的な深い知識が必要になってきています。

ITエンジニアの給与水準がどんどん高まっていく中、重視すべきは、「中長期的なキャリア戦略」であるはずだ。短期的な待遇に目を奪われることなく、エンジニアリングを軸に中長期のキャリアを開発していく、そのために身を置くべきはどのような環境か、今一度、足下を見つめなおすべきタイミングがきっと、今なのだろう。

鈴木究極的には「時間を忘れて熱中してしまう状態」こそ、モチベーションが最も高まる働き方なのではないでしょうか。そのために、組織や職種といった枠組みに縛られることなく、興味関心に沿ったキャリアを描けるような社会をつくっていきたいですね。そのための貢献を、ネットプロテクションズという企業でしていきたい。

私も今の会社に入ってからは、ずっと決済について考えています。決済ビジネスがどういう構造になっていて、どうやって分析したらいいサービスを組織的に素早くつくり、改善できるのか。そのような熱中できることを見つけられると、そこに紐づいてさまざまな選択肢が広がり、より魅力的なキャリアを描いていけるのだと思います。

こちらの記事は2022年11月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

磯部 俊哉

写真

藤田 慎一郎

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