「愛されるプロダクトは社内カルチャーから作るべし!」──カルチャーと事業成長を結びつける3つの思考法、Asobica CCO小父内氏 x CSチームに聞く

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インタビュイー
小父内 信也

20歳から工事現場で働きながら、夜はラッパーとして活動。突如、25歳で大手電子機器メーカーへ転職。在職中に中小企業診断士を取得、毎朝4時半起床、3年間で1000冊以上の書籍を読破。2010年より名刺管理システムのSansan株式会社でデータ化部門責任者を7年間、ユーザー3000万人の名刺アプリEightのコミュニティマネージャーを3年間務める。2019年よりCS最適化システムを開発・提供する株式会社Asobicaに取締役CCOとして参画。

山崎 愛美

大学在学時に、リクルートホールディングスMedia Technology Lab. にインターンとしてジョイン。新規プロダクトのグロースに貢献。その後新卒で、株式会社Gunosyに入社。大手代理店からナショナルクライアントへのブランド広告営業を経験した後に、広告事業本部プランニングGサブMGRとして、広告商品企画や販促キャンペーン打ち出し、大型案件の配信結果分析など幅広い業務を担当。2020年2月よりAsobicaへジョイン。

関根 玄大

新卒で株式会社ジーニーに入社しWeb広告とSaaS法人営業に従事。新人賞を受賞。その後、新規サービスの立ち上げに貢献。SaaS営業の経験からカスタマーサクセスに深く関わりたいと思い、2021年8月よりAsobicaへジョイン。

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顧客から愛されるプロダクトとは一体なんだろう。近年のSaaSの盛り上がりに見られるように、“売り切り”から“サブスクリプション”へと方針転換する流れは止まることを知らない。こうしたSaaS全盛の時代において、顧客にとって本当に価値があるもの、また愛されるものでなければ、そのプロダクトはすぐに見放されてしまうだろう。故に、SaaS系スタートアップにおいては、一定期間の継続的な利用を前提とした、“息の長いプロダクト”の提供が求められているのだ。

そんな“顧客から愛されるプロダクト”は社内カルチャーからつくるべし──。

今回、FastGrowが伝えたいのはこの1点だ。カルチャーの重要性はスタートアップ界隈においてもよく話題に上がる話。なぜなら、カルチャーは組織全体の士気を上げることに直結し、事業成長に大きな影響を及ぼすものだからだ。とはいえ、なぜこのカルチャーが事業において重要なファクターとなるのか、そして実際それはどのようにつくり上げていくのか、「分かっているようで分からない」のもリアルな読者の声ではないだろうか。

そこで今回、2022年の7月に27.2億円の大型資金調達を実施し、“SaaS×カスタマーサクセス領域の筆頭格”と名高いAsobicaに取材を敢行した。同社といえば前回の取材においても、VCを推して同社代表・プロダクトの“愛され力”が強みだと触れたばかり。

続編となる本記事では、この“愛され力”にスポットライトを当て、さらに深ぼっていきたい。お相手は同社のカルチャーを最も体現しているとされるCSチーム。この面々へのインタビューにより、“愛され力”の正体、そしてその成り立ちと事業成長への結びつきが明かされた。

  • TEXT BY MISATO HAYASAKA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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長文で愛あるダメ出し。
CCO小父内氏と今田氏の出会い

まずは今回の登場人物をご紹介したい。一人目が同社の取締役CCOを務める小父内氏だ。同氏といえば、代表今田氏の熱烈なアプローチの末にジョインしたというエピソードを前回の記事で紹介した。Asobicaの第二創業期を支え、今田氏と二人三脚で事業・カルチャーづくりに邁進。つまり“顧客から愛されるプロダクト”と名高いAsobicaの社内カルチャーを築き上げたキーパーソンである。

そんな小父内氏と今田氏の出会いは実にユニーク。前職はSansanにて、名刺アプリ『Eight』のコミュニティマネージャーを務めていた。その際、今田氏からの依頼でAsobica主催のイベントに登壇したという。

小父内そのイベントは、一言でいえば最悪でした(笑)。“お作法”がまるでなっていなかったんです。当時の今田は20代半ばで、あとはインターン生で構成されている若い会社。経験ある大人がまだいなかったんですよね。「事業は本当にいいのに、とにかくもったいない」。そう強く感じて、長文で“ダメ出し”のメッセージを送りました。

Sansanで培ったノウハウを一から指南した結果、小父内氏は今田氏から大いに感謝された。その“ダメ出し”がきっかけとなり、Asobicaへのジョインを今田氏から根気強く誘われるようになったという。

小父内当初Asobicaに参画する気は全くありませんでしたが、彼の熱意に押され、業務委託という形で手伝うことにしました。そこからフルコミットする転機になったのは、事業のピボットです。創業事業であった『fever(フィーバー)』から『coorum(コーラム)』に転換することを決意した際、一部メンバーの入れ替わりがありました。今田は僕も辞めるんだと覚悟していたようですが(笑)。かえってその出来事が、参画の後押しになりました。

組織の縮小、事業ピボット──分岐点に立ったAsobicaに、なぜジョインを決めたのだろう?

小父内僕は、ミッション・人・ビジネスの3つが、自分の思いと重なる企業にジョインすると決めていたんです。その観点でいうと、Asobicaは全てにおいて間違いないと感じました。ミッションは純粋にワクワクするものだし、代表の今田は謙虚で実直、それでいて熱い人間。Sansanでコミュニティマネージャーを務めた経験から鑑みても、コミュニティを根幹に据えた事業は必ず伸びると言いきれる。

また、今田はビジョナリーだけれどまだまだ若く、組織を率いる経験には伸び代があった。一方で、自分の強みはまさにその組織をまとめる力や全体を俯瞰して判断を下す力にある。「二人の能力を掛け合わせれば、世界を獲れる」。そう感じたんです。

小父内氏がジョインしたタイミングから、事業のみならず組織も急成長。2人して採用活動にも熱心に取り組んできたという。

小父内僕が入社して以降、40名ほどの正社員を迎えています。嬉しさのあまり、内定承諾時には毎回ガッツポーズしています。それくらいに素晴らしいメンバーばかりが集まってくれました。

今回は、そんな小父内氏にガッツポーズをさせた当人らもこの場に招いている。カスタマーサクセスチームマネジャー山崎氏と、カスタマーサクセスチームリーダー関根氏だ。この取材では役員と共にインタビューに臨むわけだが、取材現場の雰囲気に緊張感など微塵もなく、日頃の組織の空気がそのまま伝わってきた。

山崎オブさん(小父内氏の愛称)はとにかくアツい人ですね(笑)。よく社内の全体チャットグループでも、アツいメッセージを投げかけてくれて、自然と人の心をグッと掴む人だと思います。

関根小父内さん含め経営陣は皆、距離感が近く話しやすいです。特に小父内さんのことは“少年のような心をもったおじさん”だと思ってます(笑)。山崎が言ったようにハートフルな側面で皆を鼓舞しつつも、日頃のMTGや、全体会ではしっかり組織を締める。まさにAsobicaの精神的支柱です。

決して弛緩した空気などではない。経営陣の小父内氏に対する“愛のあるイジリ”は敬意と信頼のバランスにより生み出されるもの。早速Asobicaのカルチャーの一端が垣間見えたところで、次章からは具体的なその作り方に移っていこう。

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代表が1次選考に!?
採用現場にも滲み出るカルチャー・ドリブンな姿勢

大きなビジョンを描き、不確実性の高い環境下で、時に厳しい局面でも乗り越えていかなければならないのがスタートアップだ。よって組織カルチャーの醸成以前に、そもそも採用時に厳しく“カルチャーフィットしているか”を見極めることが主流とされている。

各社が独自の採用手法においてカルチャーフィットを測るわけであるが、Asobicaのそれは特にユニークだ。なんと、初回からCEOが登場するのだ。そして二次選考がCCOの小父内氏、三次選考でようやく現場のマネージャーによる面接というステップである。

もちろん最終でお見送りとなってしまうケースもあり、コストが少々見合わない気もするが、その真意とはいかに。関根氏が自身の選考過程を振り返り、象徴的なエピソードを披露してくれた。

関根面接では、僕という人間がどんな人間なのか、徹底的に掘り下げられました。面接時間の60分のうち55分は、学生時代に所属していた応援団の話だったんです(笑)。

部活は僕の土台を作った重要な経験ですが、まさか選考時間のほとんどでその話をするとは思わなかったです。通常は、前職の実績や、ビジネスマンとして何ができるかが会話の中心になりがちですよね。その当時一番、“僕自身”に歩み寄ってきたのがAsobicaでした。

山崎氏も選考の中で、大きく惹きつけられた経験があった。

山崎選考時、Asobicaともう一社候補企業がありました。今田さんと小父内さんとの会食で、「そのフェーズの会社にいくなら、もう少し先でも良いのでは?」とストレートに伝えてくれたのが印象に残りました。たしかに、候補企業が上場を迎えて既に成熟した企業ではあったので、「確かに今じゃなくてもいいか」と心底腹落ちしたんです。

そしてその会話以上に心を揺さぶってきたのは、2人が自信満々だったことです。「自分達のプロダクトで世の中を変えていく」という、2人から滲み出る根拠のない自信を直感的に感じました。その在り方に共鳴し、改めて自分の20代後半というリソースをどこで燃やすかと考えたら、「ここだ」と思ったんです。

山崎氏は現在、カスタマーサクセスチームマネジャーとして三次選考を担当する。今田氏、小父内氏が太鼓判を押した採用候補者の最終ジャッジをする重要な役割だ。

山崎2人が人となりやミッション・ビジョン・バリューとの連動性といった、主にカルチャーフィットの部分を見てくれて、かつ採用候補者の入社意欲がかなり高い状態でお話しさせていただきます。

なので私はスキル面や今いるチームメンバーとの相性を中心に判断していますが、三次選考で見送る心苦しさも正直ありますね。

小父内候補者の方とは既にFacebookで友達になっていたりもするので、ご縁がなかった際には「すみません」と理由と共にひと言メッセージを送ることもあります。役員2人がOK出しているのに最後のマネジャー面接で落とされたら、候補者としては疑問が生じてしまいますからね。それでも、お見送りになった方が『coorum』を別の入社先で薦めてくれたり、いまだに近況報告のメッセージをくれたりして、良好な関係が続くケースが多いです。

採用コストだけに目を向ければ、「なぜあえてこのプロセスに?」と疑問を抱く読者も少なくないだろう。このエピソードから取材陣が感じたのは、Asobicaが本気で“仲間”を増やそうとしていることだ。ただ“人数”を増やせば良いわけではない。いくら事業の伸びに組織の拡大が追いつかないような状況でも、決して妥協はしない。価値観や志を同じくする“仲間”でないとだめなのだ。だからこそCEO・CCOがここまで採用にコミットしている。

また、お見送りになった採用候補者と良好な関係を築いているというのも、Asobicaならではのエピソードではないだろうか。“愛され力”とは何も顧客だけに愛されるものではない。自然な形でCS=キャンディデイト・サクセスが実現されているその様に、“顧客体験を一貫して大事にする企業”だと、そう思わずにはいられない。

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正社員、業務委託、インターン。
文字通り全員で創り上げたミッション

採用で一切の妥協を許さないことが、カルチャーを醸成する上でのキーファクターになることが理解できた。ところで、そもそもAsobicaの強固なカルチャーの礎となるミッション・ビジョン・バリューはどのように生み出されたのだろうか。

小父内自分がジョインした当初もミッションはありましたが、当時は形骸化していました。

前職のSansanがミッションドリブンな会社だったこともあり、「Sansanを超える会社にするにはミッションは欠かせない」と僕は考えていたんです。今田ももちろんCEOとしてミッションの重要性を認識していましたが、当時はまだ足元の数字を最優先にせざるを得ない状況でした。しかしそれではいけないと彼の背中を押し、ある営業回りの帰り道で「事業は引き続き頑張ろう。一方、ミッションも決して蔑ろにせずみんなで組み立てるべきだ」と提案したんです。

そこから、正社員のみならず、業務委託やインターン生も加えて全員でミッション・ビジョン・バリューをつくり上げたという。

小父内誕生したミッションは、「遊びのような熱狂で、世界を彩る」。“彩る”というワードは、インターン生が考えてくれたものです。僕も今田も「いいじゃん!それ!」となりました。インターン生であってもミッションを変えてしまうことを是とするのは、Asobica特有の文化かもしれません。

山崎何よりも重要なのは、ミッションをつくった後だと思うんです。よくあるのは、せっかく掲げたミッションなのに、経営陣がどこか恥ずかしがって言葉にしないこと。今田さんや小父内さんは率先して言い続けていたので、その姿勢が周囲を突き動かしたんじゃないかと思います。

小父内会議室の名前にしたり、定例や全社ミーティングのテーマにしたり、口酸っぱく言い続けましたね(笑)。バリューを評価基準に取り入れたりもしました。

カルチャーは一朝一夕では出来上がらない。ミッション・ビジョン・バリューを全員でつくり上げ、一生懸命に啓発し続ける。そんな泥臭い活動が、現在のAsobicaらしさをつくっているのだ。

思いの詰まったミッション・ビジョン・バリューのつくり方。妥協を許さず経営陣自ら徹底的にカルチャーフィットを見極める採用プロセス。強固なカルチャーを築き上げるための仕組みが少しずつ理解できてきた。ところで、ここまであまり触れてこなかったが、肝心の“愛され力”とは一体なんだろうか?次章よりお待ちかね、いよいよその正体を解き明かしていく。

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愛されるプロダクトは、作り手の“素朴さ”や“人間味”からできている

“愛されるカルチャー”の正体を紐解くため、まずは「Asobicaとはどんな組織か?どんな人がいるのか?」と直球すぎる質問を投げかけた。

関根Asobicaのメンバーを一言で表すなら、“素朴”や“素直”。さらに分かりやすく言えば、“前向きでイイヤツ”ですね。ミッションを腹の底から信じて、それに向かって仕事をしていることが、自然と周囲の言動から伝わってきます。

また、実はAsobicaに入ってから、後ろ向きな言葉を誰からも1回も聞いたことがないんです。全員がコトに向かいながら、日々の仕事に夢中になっている。そして「我々がやっている事業は絶対に間違っていない。」という感覚を持ちながら仕事に臨めている証拠だと思います。

ふと始まったオフィスでの雑談がきっかけで、「CSの根深い課題を解決するにはどうしたら良いか」「coorumというプロダクトは何が足りないか、どうあるべきか」みたいなディスカッションが2〜3時間繰り広げられることは、もはや日常茶飯事です(笑)。

山崎ベクトルが自分ではなく周囲に向いている人が多い印象ですね。誰かと比較したり、何かと競争するのではなく、他人のためにどうするのかを考え抜く人たちです。

小父内別の表現にすると、“人間っぽい”んだと思います。ミッションを軸にして、“イイヤツ”が集まると、周囲への親しみや寄り添いが滲む組織になるんじゃないかと。

さらに、Asobicaが扱うのは特殊なSaaSプロダクト。お客さんに提供して終わりではなく、お客さんの先にいるお客さんを幸せにするサービスです。ステークホルダーが多く大変ではありますが、こうした“人間っぽさ”を持つメンバーなら、自然とその人たちの幸せと笑顔を浮かべながら仕事ができるんじゃないかと。多くのお客さんの幸せを自分ごとに置き換えられるカスタマーサクセスチームは、世にあるSaaS系企業においてもレアな存在ではないでしょうか。

続けて、カスタマーサクセスチームマネジャーを務める山崎氏にAsobicaのチームの特徴を聞いた。

山崎私自身の性格も影響していますが、ロジカルというよりは「どういう発言をしたら目の前の人が喜ぶか、どういう行動をしたら相手を幸せにできるか」を第一に考えるチームです。大阪に本社を構えるお客さんには、オンラインではなく直接会いに行ったり。「ここは会うべきタイミングだ」と思ったら、即行動してきました。

カスタマーサクセスメンバーは根本的に人が好き、というのも特徴かもしれません。先日、関根さんもお客さんと飲みに行っていたかと思いますが、自然とお客さんとの距離を縮める動きができる人が多い印象です。

関根実を言うと、元々自分は、お客さんと飲みにいくのが得意なタイプではありませんでした。Asobicaでお客さんと向き合う中で、自然と「行きます」と答えている自分がいたんです。

お誘いいただいたのは、さまざまな界隈の方が来られている飲み会でした。その時にちょうど、僕らのサービスの話になって。「ベンダーとして選ぶならAsobicaがいいよ」と僕が担当しているお客さんが別の参加者の方にお薦めしてくれたんです。「パートナーとして寄り添う姿勢が素晴らしい」というお褒めの言葉を添えて。その時は、仕事を通してこんな繋がりが生まれるんだと嬉しさが込み上げてきましたね。

前述した通り、Asobicaが運営するカスタマーサクセスプラットフォームは、顧客の先に常にエンドユーザーが存在している。つまり、Asobicaは“上っ面だけの”パートナーではない。エンドユーザーを幸せにするという名の終着点を追い求める運命共同体なのだ。

三者の話を聞いた上で、あえて言語化を試みるのであれば、“愛され力”とは詰まるところ“顧客との心の距離”であろう。

もちろんAsobicaの提供するプロダクト自体に、“顧客の先にいる顧客”をも幸せにする“戦友”のような立ち回りができる強みがある。しかし、それだけでは顧客、投資家、そして今回取材を実施した我々取材陣まで......様々なステークホルダーから愛される理由にはならない。

人間味があり、なおかつイイヤツ。“愛されるプロダクト”とは、何もプロダクトだけが素晴らしいのではない。実はこうした“人の魅力”にこそ、愛されるべき理由が存在しているのだ。

Asobicaの“愛され力”の輪郭を捉えることができたところで、このカルチャーが生み出す事業上の優位性についても触れていきたい。地道に顧客からの信頼を築き上げてきたAsobicaだったからこそ得ることのできたものとは、一体。

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「我々でよかったら協力させてください」。
顧客でもあり、協力者でもあるAsobicaのステークホルダー

Salesforce VenturesでPrincipalを務める細村氏が前回の記事でとある象徴的なエピソードを披露してくれた。投資判断を行う際のカスタマー向けインタビューの際に「Asobicaのカスタマーサクセスは素早く、前のめりで、あったかい」という意見が集まったというのだ。それこそが、投資の判断にも影響していたという。このエピソードの裏側を覗いてみよう。

山崎お客さんからしたら負担になるようなインタビューや事例記事対応なども、嫌な顔一つせず「我々でよかったら協力させてください」とおっしゃってくれるんです。調達のタイミングに伴いこうした連携をお願いする回数も増えて、「流石に断られるんじゃないか、関係性が悪化するのではないか」とヒヤヒヤもしましたが…その懸念は杞憂に終わりました。

こうしたステークホルダーとの関係値も、Asobicaの魅力のひとつでもありますよね。お客さんの力を借りながら一緒にプロダクトをつくり、力を貸して欲しい時は協力者になってもらえる。まさに我々が持つ競合優位性とも言えるのではないでしょうか。

小父内Asobicaとして明確な実績や提供価値を挙げる前まで夢物語を語ることが多く、お客さんから愛のムチをいただくこともありました。でも、僕らが真にお客さんの成功を願う姿勢は当初から伝わっていたのだと思います。お客さんに育てていただいて、ここまで来たんです。

顧客にファンになってもらうだけでも、相当ハードルは高いもの。しかしその先の、“顧客を味方にする”ところまで到達しているのがAsobicaのカスタマーサクセスだ。

まさに小父内氏が、見ず知らずの若手経営者だった今田氏に長文を送って叱咤激励した時と同様に、Asobicaは多くの人に応援されている。それこそがカルチャーであり、Asobicaの成長の源泉となっている。愚直なまでに顧客に寄り添う姿が、ビジネスの枠組みを超えた、人と人との根源的な繋がりを生んでいるのだ。

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「浮き足立つのはダサい」。
大型調達後も愚直に、真摯に

最後に、大型調達後のAsobicaで事業成長を牽引する三人に今の心境を問いかけてみた。今田氏がSNSで資金調達を報告するため放ったツイートは、わずか3日で43万インプレッションを記録。多くの応援コメントが寄せられ、ある種“祭り”のような賑やかさがあった。そんな大盛り上がりを見せたAsobicaだが、小父内氏は「今だからこそ危機感を持ちたい」と冷静な声色で述べた。

小父内今のAsobicaは、「シリーズBだ」「調達27億円だ」「お客さんも増えている」と、あぐらをかくことが可能な状況とも言えるはずなんです。でも、それで浮き足立ってしまうのは、正直「ダサい」なと。

自分自身を律して、お客さんに実直であり続ける。身の丈に合った姿勢で、目の前のことを一生懸命にやり続ける。それこそが、Asobicaのカルチャーだと思っています。だからこそ全社ミーティングでは、今だからこそ起こり得るリスクについてもしっかりと明示し、警鐘を鳴らしています。

山崎小父内さんの発言はタイミングが絶妙なんです。浮き足立ちそうになったタイミングで、しっかりと締めてくれます。

危機感はたしかに重要だが、その一方で全社的な盛り上がりは社員の士気を上げることにも直結するのではなかろうか。ではなぜ、あえてその“リスク”に目を向け、落ち着かせているのだろう。

小父内Asobicaは日本のカスタマーサクセス領域における先駆者です。そうであるがゆえに、己がライバルなんです。フロンティアを開拓し、自分たちという存在を定義して、また壊していく…。マーケットをつくっていく不安がある一方で、いくらでも自分たちを“正解”にできてしまうのが先駆者の怖いところでもあります。

本当はもっとやるべきことが溢れています。一歩進んだ自分を描き続けないと本当の意味で最高の顧客体験は提供できないと、そう思うんです。

力強く言い切る小父内氏。我々は続けて、「最高の顧客体験とは、最終的にはどういった姿を指すのか?」という問いを投げかけた。

小父内これからの時代、コミュニティが“Must Have”となる世界がやってくるでしょう。コミュニティが生活を豊かにして、世界を彩っていく。

だからこそ、Asobicaは安心して使えるインフラになりたいと思っています。生活の営みのすぐそばにAsobicaがあるような、そんなエコシステムをつくっていきたいんです。

今回のインタビューを通じて、顧客から愛されるプロダクトをつくるための要素が3つ浮き彫りになった。

1つ目は、“生きた”ミッション。ステージ上で観衆を鼓舞するアーティストのように、組織を照らし、道標となるミッションがいかに大事かを思い知らされた。同社は全社一丸となってミッションをつくり上げ、組織に浸透するまで啓発し続けた。

2つ目は、“戦友”とも呼べる仲間。単なるスキルの寄せ集めではない、心を一つにした仲間が組織を強くする。採用活動にいかに一途に向き合えるかが、組織力を左右するのだ。経営陣の真剣度合いが問われる要素だと分かった。

3つ目は、“ビジネスの枠を超えた”顧客視点。正直、簡単には養えないものだ。同社では、ミッションに共感し、他人に寄り添えるメンバーだけが集った結果、真の顧客体験を追求することができた。厳しくも愛あるメッセージを顧客から受け取り、懸命に向き合ってきた粘り強さも勝因となったのだろう。

これらが有機的に結びつくことで、Asobicaらしいカルチャーが生み出されたのだ。

最後にもう一度言う。顧客から愛されるプロダクトは社内カルチャーからつくるべし──。そう、Asobicaのように。

こちらの記事は2022年08月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

早坂 みさと

写真

藤田 慎一郎

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