連載ファッションが最強のビジネスである

FAKE TOKYO躍進の黒幕は
今CAMPFIREにいた!
塩原宣章はファッションPRを変えうるか??

インタビュイー
塩原 宣章

法政大学卒業。飲食系サービス経営後、インターネット企業に入社。ファッション事業を立ち上げ、FAKE TOKYO経営に参画。PR・マーケティングを担う。その後CAMPFIREに入社。同社の他、様々な企業のPR・マーケティングコンサルティングに携わっている。

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人生とはわからないもの。

スタートアップ界できらめくキャンプファイヤーに東京を代表するセレクトショップ「フェイク トーキョー」隆盛の立役者がいたなんて。

点と点はつながり、人はどこかに導かれる。塩原宣章はどこに行くのか?

  • PHOTO BY YUKI IKEDA
  • EDIT BY MITSUHIRO EBIHARA

ネットを使った資金調達手段としてクラウドファンディングが注目されているが、日本でもいよいよ本格化の兆しがあり、2018年でその総額は1000億円を突破すると言われている。

連続起業家の家入一真(いえいり・かずま)氏が率いるキャンプファイヤー(CAMPFIRE)もそうしたクラウドファンディング企業だ。

2011年1月に設立された同社のミッションは、「資金集めを民主化し、世界中の誰しもが声をあげられる世の中をつくる」

富と資本の集中が進む現代で、なかなか日の目を見ないアイデアや才能が埋もれないようにするにはクラウドファンディングは有力な方法かもしれない。

キャンプファイヤーの現在のスタッフは約90人で、確実に成果を上げ始めているという。

ユニークで将来性があり資金需要の旺盛な企業や個人を見つけ出し、これに投資を募るわけだから、ある程度経験のあるスタッフのほうが仕事がしやすそうではある。そうしたことから、業務委託契約を結んでいるスタッフも多い。

2016年に同社に入社し、現在顧問でディレクターの塩原宣章(しおはら・のぶあき)氏もそうした契約スタッフのひとりだ。

同氏の経歴がなかなか面白い。生まれは長野県安曇市。長野県出身者というとつい勤勉・真面目・堅物というイメージで見てしまいがちだが、塩原氏はそういう人物ではない。

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キャリアは飲食店から

自身が言うところによると、「人生をなめていた。願えばどうにかなるものだと思って大学時代には司法試験を目指した時期もあった」

しかし大学時代はひょんなことから横浜で飲食店の経営を任されたのを皮切りに、愛知万博でミニバブル化していた名古屋に飛んで、クラブ経営の仕事に携わった。

「クラブ経営といっても、まあパシリですからいいように使われていただけですね。ちょっとかかりましたが、大学は卒業しました」

とにかく、いろいろ気がある性分なのだろう。

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FAKE TOKYO買収でPR・マーケセンスを培う

ファッションにも興味があったようで、「ファッションカメラマンを目指して、写真について学んだこともある。でも、アナログで勉強したのに、デジタルに変わっちゃって、馬鹿馬鹿しくなっちゃって」と笑う。

その後、下北沢の古着屋「ヘイト&アシュバリー」が渋谷で始めたセレクトショップ「フェイク トーキョー(FAKE TOKYO)」が独立しようとした2012年に、知人に出資してもらってこれを援助。

FAKE TOKYO.com

ほぼ同時期に取り扱っているブランドに出資したり、その出資ブランドが海外のファンに買収されてキャピタルゲインを得たり、塩原氏は、ファッションビジネスに深くコミットするようになっていく。

フェイク トーキョーはセレクトショップ運営とプライベートブランドを企画・販売するが、もう一つフェイク ショールーム(FAKE SHOWROOM)というPR業務を担当するセクションがあって、これがフェイク トーキョーをユニークな存在にしている。

販売しているファッションは、どちらかというとインパクトが強い商品が多い。衣装調達店としてフェイク トーキョーを支持しているアーティストが多いのもうなずける。店の商品を、アーティストとドッキングさせ、SNSを通じて魅力を発信するのがフェイク ショールームのPR業務の一つである。

「当時フェイク トーキョーはインスタフォロワーナンバー1のセレクトショップでしたが、言ってみればデザイン・ヴィジュアルでモノを売っているわけです」と塩原氏。

現在CANDY/FAKE TOKYOアカウントのインスタフォロワー数は約10万。インスタグラムで圧倒的なフォロー数・反応は現在もある。しかし、リアルクローズ商品が主流の現在、デザイン性の強い商品が売れるものなのか。

CANDY/FAKE TOKYO Instagramアカウント

「もうブランドが多すぎて、ファッションが好きな人間でも、何を買ったらいいのか信頼するものがないのが今の実情。有名人・友人の口コミが信頼になっている。インスタがその信頼の一つになっておかしいことはない。大きなビジネスをして市場を支配しようというわけではないのだから」と同氏。

さて今後については、「私自身ではPRと営業とマーケティングを一体化したような企業を目指している。クラウドファンディングでも、そうした視点で成果を上げたいと思っている」

1月9日からキャンプファイヤーで始まった、アダストリアの生活雑貨ブランド「ラコレ(LAKOLE)」の新アイテムをクラウドファンディングで販売するプロジェクトを主導している。

大手企業が挑戦する、新しいアパレルの売り方だ。これが成功すれば競合他社も追随するだろうインパクトを含んでいる。

そして、「ファッションのPR&マーケを変えたい」と力強く言う塩原氏。

どんな結果になるか、塩原氏の手腕に注目だ。

こちらの記事は2018年01月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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写真

池田 有輝

編集

海老原 光宏

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