ブロックチェーンで運営される国、エストニア 起業家を惹きつける「未来型国家」の設計思想とは?

次なるシリコンバレーを目指し欧州で加熱する起業家誘致合戦。並み居る大都市の中で一際存在感を放つのは、人口たった130万人の小国、エストニアだ。国民一人あたりのスタートアップ数が欧州最多で、「最も起業家精神が旺盛な国」として知られる同国の原動力は、電子政府による未来型の国家運営にあった。激動の欧州スタートアップシーンにおけるキープレイヤーの秘密に、オランダを拠点にするLivit代表の岡が迫った。

2017.06.27 Tue

「外国人起業家の奪い合い」が欧州で起こっている

エストニア最大のテックカンファレンス「Latitude59」

筆者が暮らすオランダではアムステルダムが、隣国ドイツではベルリンが、フランスではパリが、それぞれ「スタートアップシティー」を謳い、起業家を呼び込もうとしている。その他の国でも各政府が規制緩和を進めており、欧州では今、「外国人起業家の誘致合戦」が加熱中だ。

背景には起業家にとっての聖地(メッカ)、アメリカ・シリコンバレーへの進出の障壁が人件費やリビングコストの高騰で高まっていること。また、各国政府が起業家に対して、ローカル人材の雇用創出と、事業の海外展開による自国経済への貢献を期待していることが挙げられる。

シリコンバレーが証明するように、優れたスタートアップは良質な人的ネットワークがダイバーシティーを許容するオープンな文化に支えられ、化学反応を起こすことで生まれる。そんな「オルタナティブ・シリコンバレー」を各国・都市が目指し、場作りを進めているというわけだ。

一人当たりスタートアップの数が最多の「エストニア」

「e-estonia」、電子国家を謳うエストニア

そんな「奪い合い」とも言える誘致合戦が繰り広げられる欧州で、世界経済フォーラムに「最も起業家精神が旺盛な国」として今年選出され、起業家を増やしているのが「エストニア」である。グローバルビジネスを志向する起業家なら、どこかでその名を聞いたことがあるかもしれない。

そもそもエストニアがどこにあるか、ご存知だろうか。北欧に位置するバルト三国の一国で、人口はたったの「130万人」。しかしあの「Skype」を生んだ国であり、国民一人当たりスタートアップの数は欧州で最多。また、世界で最も政府の電子化が進んだ「未来型国家」なのである。

筆者は5月、同国最大のテックカンファレンス「Latitude59」を取材すべく、首都タリンを訪れた。そこで感じたのは、国そのものが「インターネット・ベース」のマインドセットで設計されており、そのことが起業家を惹きつける「カルチャー」を生み出しているということだった──。

国そのものが「ブロックチェーン・スタートアップ」

「Latitude59」で基調講演するケルスティ・カリユライド大統領

エストニアが「未来型国家」と形容される最たる所以、それは「電子政府」だ。すべての行政サービスのうち、99%がインターネットで完結する。残りの1%、つまり紙での手続きが必要なのは、

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