「全部、僕のせいでした」。
「み」言葉に支配された他責の男が、日本を代表する経営者に変貌するまで──GMOインターネットグループ代表の熊谷氏が実践する「周囲に流されない主体的思考」の身につけ方

インタビュイー
熊谷 正寿
  • GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長・グループ代表 

1963年生まれ。高校中退、放送大学の除籍を経験。その後、1991年にマルチメディア事業をベースとするボイスメディアを設立。1995年には、インターネット事業を開始するとともに商号もインターキューに変更。1990年代にインターネットビジネスの時流を牽引する存在となり、1999年に店頭公開を達成した。2001年、グローバルメディアオンライン(GMO)へ商号変更。GMOペイメントゲートウェイなど、次々と新規事業によるグループ会社の上場も達成。現在のGMOインターネットグループを拡大成長させていった。著書に『一冊の手帳で夢は必ずかなう-なりたい自分になるシンプルな方法』(かんき出版)や、『完訳 7つの習慣 7人の直筆メモ』(キングベアー出版)などがある。公式プロフィール

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インターネット革命を黎明期から牽引し、デジタル変革時代の今もなおトップランナーをひた走るGMOインターネット。その創業者でグループ代表でもある熊谷正寿氏が久方ぶりに取材に応じてくれた。

テーマは“習慣”。コロナショックを経て、世界が、人類が、ビジネスが、新たなフェーズを迎えようとする今、個々のビジネスパーソンが体現すべき“習慣”とは何なのか?そして、「夢」はどうすれば「現実」にできるのか?公私にわたりダイナミックに活動し続ける熊谷氏が明かしてくれたその内容は、意外にも……。

  • TEXT BY NAOKI MORIKAWA
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GMOインターネットグループの大胆経営。その根源の1つに流れるのはベストセラー『7つの習慣』

最近では「飛行機の操縦免許を取得する」という夢を叶えるべく、時間を捻出しながらチャレンジしている模様を自身のブログでも発信している熊谷氏。GMOインターネットグループ(以下、GMO)の代表としても、個人としても、常に旺盛なチャレンジ精神を発揮して、大胆な行動を起こしてきた。

熊谷氏夢を叶えるためなら何だってする。そこに公私の境なんてありません。夢の達成に必要なことと、今の自分ができることとの間にギャップがあるのなら、それをしっかり正確に把握して1つ1つ埋めていく。それが夢を実現するための唯一無二の方法ですから、不足している知識や技術、考え方などがあれば、貪欲に吸収してきました。

このチャレンジングな価値観を貫くために、速読術を会得しながら書物も次々に読破してきた熊谷氏だが、中でも特に強い共感を得た本があるという。それが『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著。キングベアー出版)。

熊谷氏私は30代のはじめにインターネットという大きな可能性に出会い、事業参入すると自ら創業していた会社の名前も「インターキュー(GMOの前身)」に改めました。そしてこのころ、夢を明確な言葉と数字で掲げたんです。それが「スピリットベンチャー宣言」と、2020年の今も定量目標として続いている「55カ年計画」です。

こんな風に「夢や目標は曖昧にせずハッキリさせて、期限を決める」。そして「常に自分を客観視しながら、夢とのギャップを意識」し、「そのギャップを埋めて、夢に近づいていく」という私の人生観と、『7つの習慣』に書かれていた事柄がいくつもピタリとハマっていました。読んでいて何度も驚かされたことを今でも覚えています。

提供:GMOインターネットグループ

ありとあらゆる企業が「不確実な現代」の中で「5年先、10年先のことはわからない」ことを前提に暗中模索の経営をしているわけだが、GMOは驚いたことにインターネット事業を開始して間もない1998年に「55カ年計画」という長期的な経営計画で数値目標まで発信。その計画に基づいた経営を今も継続中であることをコーポレートサイトで明言している。

そして、このような独自の発想や価値観と相通ずるものが『7つの習慣』にあったというのだ。だからこそ、キングベアー出版から2020年春に刊行された『完訳 7つの習慣 7人の直筆メモ』にも、同書を愛読する7人の著名人の1人(他にはLINE元社長・森川亮氏や、リンクアンドモチベーション元取締役の麻野耕司氏、モテクリエイターのゆうこす氏など)として『7つの習慣』に書き込んだ直筆メモを提供したのだという。

提供:『完訳 7つの習慣 7人の直筆メモ』キングベアー出版 より

そこで改めて『7つの習慣』を開き、著者であるスティーブン・R・コヴィーが示した成功するための7つの習慣を確認すると、以下のようになる。

  1. 主体的である(Be Proactive)
  2. 終わりを思い描くことから始める(Begin with the End in Mind)
  3. 最優先事項を優先する (Put First Things First)
  4. Win-Winを考える (Think Win/Win)
  5. まず理解に徹し、そして理解される(Seek First to Understand, Then to Be Understood)
  6. シナジーを創り出す(Synergize)
  7. 刃を研ぐ (Sharpen the Saw)

熊谷氏が特に共感を覚えたのは①と⑤の習慣とのことだが、それはつい最近のコロナショックへの対応にも現れていた。

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主体的に行動するべく「疫学」を学ぶ。コロナショック本格化のはるか前に実行された、グループ約4000人規模での在宅勤務

新型コロナウイルスの脅威に日本中が震えだしたのは3月に入ってから。だが熊谷氏はそのはるか前、1月下旬の段階でグループ全パートナー(従業員)に向けて、明快な見解と指示を出していた。その概要は熊谷氏のブログにも残されている。

熊谷氏1人の生活者としても、経営者としても、今何が起こっているのかを正確に把握し、理解しないと、正しい判断をして行動に移すことはできませんよね。ですから、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた段階で、私は疫学について本気で勉強しました。

人類の歴史上いつどのような感染爆発が起きたのかを学び、今回のウイルスはどのような症状を引き起こすのかという情報も探り、どこでどんな風に感染が広がっているのかを数値で確認したりもしました。

1990年代の起業当時も、「自分は経営のことを何も知らない」という現状理解のもと、会計や法律も含め独学で学んだという熊谷氏。「もちろん専門家である会計士や弁護士ほどの知識を短期間で手に入れられたわけではないけれども、彼らが語る専門領域の話を理解できるところまではキャッチアップできた。

その繰り返しで、夢と自分との間にあるギャップを埋めてきた」と語る。今回の疫学についての学習や積極的な事実情報の収集についても、それまでの“習慣”と何ら変わるところはない、というわけだ。

熊谷氏ろくに事実を知らないまま、過剰な恐怖心に支配されるのではなく、どのくらい恐れるべきなのか、その恐怖に対抗するには何が必要なのかを知る。そうすれば、例えば「ごく普通の大人が“すれ違った”程度ならば、新型コロナウイルスの感染率はさして高くない。現状わかっている範囲でいえば600万分の1程度でしかない」ことがわかります(2020年6月8日時点)。

確かに誰だって感染したくないし、大切な人に感染させたくないけれども、十分対処できるということも見えてきます。そして、こういう種々の事実理解をパートナーの皆と共有できたなら、GMOは足並みを乱すことなく事業を継続していける。ブログにも書いた通り、私が今回下したBCP対応の決断はいたってシンプル。「在宅勤務体制への移行」だったんです。

東京・大阪・福岡のグループパートナー約4000名が1月下旬という群を抜く早期タイミングで、在宅勤務体制へとスムーズに移行。緊急事態宣言が解除された後も、全パートナーで共有してきた事実理解のもと熊谷氏が最終ジャッジをして、6月1日からの恒常的な在宅勤務体制(週1~3日は在宅勤務)の制度の運用が始まった。

まさに、これまで聞いてきた通りの熊谷流対応。「平常時と緊急時の違いを理解し、双方の間にあるギャップを認識し、そのギャップを埋めた」成果がここにある。そして『7つの習慣』と照らし合わせれば、「①主体的」に考え学び、「⑤理解に徹し」、「③最優先事項を優先」したということだ。

熊谷氏夢も、現状の自分も、今回のパンデミックのようなケースを含むあらゆるリスクも、すべて可視化・定量化することができてしまえば、引き算をしてギャップの量を掴むことが可能になります。

正しい理解が正しい行動を導き出してくれるし、優先順位も教えてくれる。そうすれば、誰よりも早く動き出すことだって容易にできる。私はそう信じているので、こうした習慣をずっと続けているんです。

限られた取材時間だったこともあり、あえて問い直しはしなかったが、なぜ6000人ものパートナーを率いる熊谷氏が私人としてもアクティブに活動できているのかという理由もここにあるに違いない。

10社の上場企業を有し、合計110社以上の集合体であるグループの多忙な経営者にもかかわらず、ヘリコプターや一級船舶の操縦免許などを次々に取得してプライベートな夢もしっかり追い続けている。公私ともに大胆で新しい発想・行動を実現できているダイナミズムの源が、この“習慣”から生まれているのだ。

そこで、改めて尋ねてみた。熊谷氏が「日々の繰り返し」である“習慣”を重んじる理由がどこにあるのかを。

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僕らは生まれながらにして、忘れっぽくできている。だからこそ“思い出す習慣”づくりが重要だ

熊谷氏難しい話ではないですよ(笑)。人という生き物は、とても素晴らしいし有能ではあるけれども、実は物事を忘れるように設計された生き物でもあるんです。というか、忘れていかないと生きていけないんですよ。

「人生100年時代」と言われる現代だが、その思考と行動を司る脳は取り替えがきかない。そのたった1つの脳で、CPU、メモリー、ハードディスク等の機能を100年間稼働させ続けなければいけないということだ。そのためにも「(表層意識上)忘れる」能力が不可欠であり、事実その機能が備わっていることは明らかになりつつある。熊谷氏はそんな事実理解をここでも軽々と引き合いに出す。

熊谷氏そんな忘れっぽい僕らが、人それぞれ夢や目標を抱いていたりするわけです。簡単に達成できる夢なんてありませんから、長期に渡って努力しなければいけません。

忘れっぽい自分をサボらせることなく、何が自分の夢だったのかを思い出させ、少しずつでも前進させ、地道に変えていく必要があります。だから“習慣”こそがベストな対策。ちなみに私は、忘れっぽさ克服のためにも手帳を持ち歩き、メモをとり続ける“習慣”も身に付けています。

詳しく知りたい人は、熊谷氏の著書『一冊の手帳で夢は必ずかなう-なりたい自分になるシンプルな方法』(かんき出版)を読んでほしい。ともあれ、忘れっぽい生き物が大きな夢を達成するために必要なのは、神がかったひらめきでも、天から授かった才能でもなく、「忘れずに前進し続ける地道な努力」だと熊谷氏は言っているのだ。

ダイナミックな活動の裏で、実は地味な“習慣”がそれを支えているという事実を物語るようなエピソードも、熊谷氏は教えてくれた。

熊谷氏今日のこの取材もそうですが、コロナショック以来、オンラインでのコミュニケーションの機会が急激に増えましたよね?地方拠点のパートナーとのMTG等で普段からオンライン会議等を行っていたGMOでも、やっぱりこれまで以上にオンラインによる会議やミーティングが増えています。

おそらくこの傾向は世界的に進んでいくはずです。でも、そんな時でも相手の目を見て話そうよ、という提言を私はパートナーにしています。「目を見て話す“習慣”」というものの価値を昔から伝えてきたので、あえて今言い出さなくても、皆は実行していましたけれども。

ちなみに、1年前のTwitterで熊谷氏は、自らが欠かさずに続けてきた「3つの習慣」を披露している。

  1. 毎朝、手帳を前にして考える
  2. 相手の目を見てコミュニケーションをとる
  3. 運動を欠かさない

である。リーダーがこれらを発信しながら体現しているのだから、組織のメンバーにもその意識は当然浸透していく。Zoomなどのツールを用いた対外的な会議などでは、特にこうした話をしなくても「GMOの方々は何かが違いますね」などと指摘されることも少なくないらしい。

PC画面に映る小さな顔であっても、相手の目を見て話せば、その違いはちゃんと相手の心にも響くし、それらの積み重ねが企業グループとしての「信頼という強さ」につながっているということだろう。

熊谷氏特に今はオンラインだろうとオフラインだろうと多くの人がマスクをしているため、普段以上に表情を目で表現することになります。オンラインだったとしてもアイコンタクトは十分機能しますし、目を中心にした表情で相手に何かを伝えようとしたり、相手の目から何かを感じ取ろうとしたりする人と、そうではない人がいたら、間違いなく大きな差が生まれてくる。

精神論なんかではなく、現実論として目は瞬時に意識を伝えることのできる窓です。むしろ言葉よりもスピーディーで説得力のあるもの。無駄が嫌いな私にとってはとても重要だし、この習慣を実践しているGMOのパートナーもそれを実感しているから続けているんだと思います。

魂は細部に宿る。小さな“習慣”はビジネスを大きく変えうる、しかも効率的かつ効果的に、ということだ。

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“習慣”が完全定着するまで、もがき続けた20代。「み」言葉に支配された他責の男はいかにして変貌を遂げたのか

このように自らの夢追いの流儀とそのための習慣がすっかり板に付き、社内外に影響力を及ぼす存在となっている熊谷氏だが、やはり若い頃は大いに悩み、もがいていたようだ。

熊谷氏「やると決めたら、どんなに難しい目標にだってトライする」という性格や価値観は学生時代からありました。教師にも「お前があの学校に入れるわけがない」と言われ、心底悔しくなって猛勉強に励み合格してみせたこともあります(笑)。

でも、今日お話をしてきたような部分、特に主体的に生きていこうという“習慣”がしっかりと根を下ろしたのは20代のころ。この会社の前身を立ち上げ、経営が思うようにいかない現実を痛感していた時期の私の心中にはいくつもの「み」言葉が充満していました。

「み」言葉とはすなわち、イヤミ、ネタミ、ヒガミ、ソネミなど、最後に「み」が付くネガティブワード群のこと。要は「うまくいかないことは、全部ひとのせいにしていた」時期があったのだと熊谷氏。

しかし、そんな他責の思いで経営をしていても事態が解決するわけもない。もがきながら一心不乱に本を読み、人と会い、知識や見識を得ていったのだという。そしてあるとき、「ごく当たり前のことに気づいた」と熊谷氏。

熊谷氏「なんだ、ぜんぶ自分のせいだったんじゃないか」と(笑)。

ここにいる私は、すべて昨日までの私が作った産物。「今の自分」を変えることができなければ、ある日突然「夢を手にした自分」に変身するわけがない。「夢」と「今の自分」との間にあるギャップを埋めるには自分が変わるしかない。「今の自分」がイケてないのは「過去の自分の行動」と、「その結果の積み重ね」によるものであるから、「全て自分の責任」でしかない。

そういう当たり前のことに気づいたんです。そしてようやく、夢を追い求めるための努力、つまり「自分の日々の行動を変えるため、よい習慣をつくる」努力を開始したんです。

提供:GMOインターネットグループ

そんな苦闘と気づきの20代を経て30代を迎え、自分なりの流儀と習慣が身に付いた頃、熊谷氏はインターキューを皮切りにインターネット事業に注力。そして、ちょうどその頃に出版され、世界中でベストセラーになったのが『7つの習慣』だった。

熊谷氏『7つの習慣』は、当時の自分には読みづらいものでしたよ(笑)。分厚いし、抽象的で難しい言葉や、当時は見慣れない単語も登場する本でしたから、即座に共感を覚えたわけでもないんです。

でも最初にお話しした通り、定期的に、何度も読み進めるうちに、この本が主題にしている習慣の全てが、私が現実との格闘で手に入れてきたものと合致していることに気づき、驚きました。そうしてようやく、自責・他責、主体性といった言葉に自分の思いを重ねながら読むことができたんです。

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3つの要素の足し算で、組織も人も、「主体性を発揮」できる「自走型」に生まれ変わろう

先ほどの「オンラインコミュニケーションであっても相手の目を見て話す」という話を聞いた時にも感じたのだが、どうやらGMOのパートナーは「カリスマリーダーがやれと言うから、その“習慣”をやっている(やらされている)」ということではなさそうだ。

SNSやブログ等も駆使しながら、理念もファクトも日々発信し続けている熊谷氏ではあるが、そこに見受けられる温度感に触れてみればわかる。決して「俺のやり方についてこい」的なリーダー像ではない。共通理解と共感のための発信であり、なおかつそれがほぼデイリーで行われる“習慣”として組織に定着している。他責ではなく自責。主体性をもって各員が動いている様子が伝わってくる。

そこで最後に、どうすればそういう組織になるのかを尋ねてみた。

熊谷氏主体的な組織というのは、要するに自走できる組織ということです。少なくとも日本には現在500万を超える会社組織が存在するのですが、なかなかこの自走組織になれず、経営者も従業員も悩んでいたりするようです。

だからといって、物凄くワンマンな社長のもとで社員がやらされ気分のまま働いている会社ばかりかというと、そんなこともない。皆、「良い会社」にしようと考えて、あれやこれやと施策を打っているはずです。それでもうまくいっていない企業が多いということは、結局目指している「良い会社」像というのが「社長にとって都合の良い会社」だからじゃないかと私は思っているんです。

「社員一人ひとりには夢がある」にも関わらず、それを全く無視している。もちろん会社組織というのは、株主さんにとっても、お客様にとっても、社員にとっても「良い組織」でなければいけません。

そんなことはわかっている、と思うでしょうけれども、「今この組織はそうなっていない」、「この組織は社員の夢の実現を応援できていない」という事実に気づいていないのではないかと私は思いますね。

『7つの習慣』でいうところの、「④Win-Winを考える」や「⑥シナジーを創り出す」に欠ける組織では、「①主体的である」組織になどなれない。ましてや「⑦刃を研ぐ」ような成長や変革も望めないということ。熊谷氏は特に社員・メンバーたちの「主体性を促す“習慣”」こそが、リーダーである経営者には必須なのではないかと説く。

熊谷氏最後の質問への答えも私独自の流儀になりますが、「主体的」で「自走型」のパートナーを育成するために必要なのは、3つの習慣の足し算じゃないかと考え、私はそれをずっと実行しています。「(a)叱る、(b)褒める、(c)誇りを持たせる」の3つです。

提供:GMOインターネットグループ

大切なのは、3つそれぞれを実行する時の思いにあるのだと熊谷氏。例えば「叱る」時には、失敗の責任を問い詰めるような思いではなく、成長してほしいという切なる気持ちを込める。「褒める」時には、何か効果を狙うのではなく、心の底から喜び、感謝する。その2つの思いがきちんと伝われば、メンバー各員は成功時も失敗時も自分事として捉え、「誇りを持って」次のステップへ進んでいけるはずだというのだ。

熊谷氏やっぱり個人も組織も、成長していくためには「主体性」が不可欠。これらは全て『7つの習慣』が僕たちに教えてくれている通りです。自走できる組織を作るには、そこにいる全員が自走できる個人にならなければいけません。リーダーは、この当たり前のことをきちんと理解して、「自走型人財と組織を作る“習慣”」の中に採り入れていくしかないと私は考えています。

世界も、日本も、ビジネス界も、コロナショックの影響で混乱状態にある。だが、一人ひとりが抱いている夢や目標までが一変したわけではないはず。熊谷流の方式に従い、「今いる自分と夢とのギャップを埋めるための習慣」を迷うことなく続けていけば、夢は実現できる、ということだ。

外部環境がどう変わろうと、それは自分と夢との間にある「ギャップ」に新たな要素が加わったというだけ。それもまた習慣によって埋めていけばいいのだ。組織をリードする者、会社を経営する者も、日々の習慣を通して個々のメンバーとともに成長し、組織全体もまた自走型にもっていけばいい。

もちろん“習慣”は、続けなければ効果が現れない代物。強固な主体性で臨まなければ続かないが、その代わり今すぐにだって始められることが山ほどある。「他責ではなく自責」「全て自分の責任であると思えた時に人生が変わった」と、『完訳 7つの習慣 7人の直筆メモ』にメモを残している熊谷氏のエピソードが、それを教えてくれている。

「自分には夢や目標があるけれど、何から手を付けたらいいかわからない」と感じた読者であれば、まずは徹底的に「熊谷流を模倣」してもいいはずだ。とにかくまずは「主体性を発揮」して、外部環境を言い訳にせず、自ら動く「自走」を始めようではないか。

こちらの記事は2020年07月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

森川 直樹

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