「法務」のDXは、全ての企業に必要不可欠──多様なプロフェッショナル人材によって生み出される新たな価値

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インタビュイー
角田 望

2010年京都大学法学部卒業、同年、旧司法試験合格、2012年弁護士登録。2013年森・濱田松本法律事務所入所、M&Aや企業間紛争解決に従事。2017年独立、法律事務所ZeLo・外国法共同事業開設及び株式会社LegalForce(現株式会社LegalOn Technologies)を設立し、現職。徳島県出身。

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スタートアップエコシステムを大きく発展させたSaaSバブル。それはすでに弾けてしまったと見る向きが大勢だ。そんな中、提供価値の創出が、新たな局面に入った。

多くの人がSaaSと聞いて思い浮かべるのは、業務効率化あるいはデジタル化だろう。しかし最近では、業務効率化に加え、サステナブルな事業成長に貢献できるものこそ、求められるようになってきた。今成長しているスタートアップは、以前からこうした事業成長の支援を視野に入れ、価値を創出している。

この記事では、まさにそんなSaaS企業の一社であるリーガルテックのスタートアップ、LegalOn Technologies(旧LegalForce)に迫っていく。

2022年に約137億円の大型調達を実施し、従業員規模は約500名。そんな同社から、急成長スタートアップにおける事業成長の要諦を学ぼう。

  • TEXT BY AYA SAITO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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“法務”こそ、企業の成長に不可欠だ

角田私たちの事業領域である「契約業務」は、法務を知らない方や企業内で関わりがない方からは「なじみのない領域」とよく言われます。たしかに、気持ちはわからないでもない。

でも、たとえば営業をしているときでも取引をする際には契約が発生します。マーケティングでも様々なツールを活用する際には契約を結ぶはずです。アライアンスを組むのもそうですし、スタートアップの資金調達だって、契約です。

株主総会や取締役会を実施するのも、会社法に則っているわけです。加えて言うならば、期待値調整や接待といった「商慣習」も、法務領域に含まれると言えます。

これくらい、身の周りに、契約や法というものが溢れているんです。

そもそも契約は、当事者間の「権利」と「義務」を形成するものです。契約書に書かれている内容を踏まえて活用すれば「利益」をもたらすものですし、契約内容に違反をすれば「損害」が発生してしまいます。

事業の全てに関連し、かつ利益にもリスクにもなる。だからこそ、契約を使いこなすことが、企業成長のためには必須なのです。

力強く、だが時折、笑顔も見せながら話す角田氏。LegalOn Technologies(旧LegalForce)を2017年に創業してから、約6年が経つ。

2019年4月に提供を開始したAI契約審査プラットフォーム『LegalForce』の導入社数は、2022年9月末時点で2,500社以上と様々な企業で導入が進んでいる。

導入企業には、サントリーホールディングスや双日、ENEOSホールディングス、大創産業といった名だたる大企業が並ぶ。

さらにスタートアップにも導入は広がっている。たとえば建設DXプロダクトを開発するスパイダープラスでは、契約書を適切な内容で締結することで技術と権利を守るため、『LegalForce』をフル活用してきた(導入事例はこちら)。

また、企業や自治体向けにMaaSプラットフォームを提供するMaaS Tech Japanでは、事業特性として契約書が非常に重要なものとなる一方で、法務体制の確立が簡単ではないという課題に直面。そこで『LegalForce』を活用するようになり、「バックオフィス業務を少人数で担っているスタートアップにおすすめ」と感じるようになったという(導入事例はこちら)。

このように、スタートアップの成長持続においても、重要な役割を担っているのだ。

2021年1月より提供開始したAI契約管理システム『LegalForceキャビネ』も、2022年11月末時点で導入社数600社超に及ぶ。

さらに2022年12月には、グローバル展開を本格的に進めるため、米国法人を設立した。

なぜここまで、順調な事業成長を続けてこられたのか。それは、角田氏が実際に感じていた、「法務業務の在り方が構造的に抱える課題を解決したい」という強い想いの下、創業当初より一貫してそれぞれの職種のプロフェッショナルを採用し続けてきたからである。弁護士の知見やエンジニアの知見を複雑に組み合わせながらも、営業はユーザーの声をしっかり受け止め、顧客ニーズを確かな価値へと変化させるべく開発してきた。

LegalOn Technologiesの組織は、非常に力強い。ITベンチャー・スタートアップ出身のプロダクト開発人材、コンサルティングファームや大手企業出身のビジネス人材、そして法曹をはじめとした法務領域出身のドメインエキスパート人材が揃っている。だからこそ、非常に力強いサービスの開発と導入企業の支援ができるようになっているのだ。

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創業時の壮大な世界観を、
「ユーザーの共感」を生むことで実現

ここで改めて角田氏から、これまでの起業ストーリーの中で、印象深い経験について振り返ってもらった。

角田最初の製品をしっかり企業法務の方に使ってもらえる状態にするまでが、とにかく大変でしたね。そもそも私自身が開発に携わったことがなかったので、「本当にできるのだろうか……?」と完成するのかどうかすら不安でした。そして、できたとしても使ってもらえなかったら資金が尽きる状況でもあったわけです。

しかし、そんな時期の未熟なサービスでも、「大きなポテンシャルを秘めている」という期待と共感を抱いて、複数の会社が導入してくれました。

この時は、お客さんからいただいたフィードバックを聞いてサービスに反映させていくことを、とにかく繰り返していました。より良いサービスにするためにできることは何でもやる、という気持ちで開発に専念していましたね。

また、角田氏だけでなく、メンバーも同社の可能性を強く信じて突き進んできた。現執行役員開発本部長の川戸崇志氏は2020年のインタビューで、以下のように答えている。

「全ての契約リスクを制御可能にする」ことを通じて、今後10年以内で米国のトップSaaS企業にも比肩する規模に拡大することを目指しています。

──https://www.wantedly.com/companies/legalontechnologies/post_articles/292946 から引用

角田氏の創業時のブログからも、描いていた大きな世界観と、そこに向かおうとする熱量がひしひしと伝わってくる。

LegalForceの技術は僕らが独占するべきものではない。同時に、LegalForceはZeLo※だけではなく、法務部門として企業の屋台骨を支え、あるいは最高の法律サービスを提供する法律家を支え支援する存在となるべきだとの想いを強くする。「クライアントに最高のサービスを届けたい」「企業内法務として最高のクオリティで事業推進の一翼を担いたい」そんな想いで仕事をしている法務プロフェッショナルを技術で支えるー。世界の法務業界でリーガルテックの波が押し寄せるなか、日本だけが取り残されてはならない、そんな焦りは日々募ってゆく。

──https://www.wantedly.com/companies/legalontechnologies/post_articles/132798 から引用

※ZeLo:角田氏と小笠原氏の2名で共同創業した法律事務所

角田事業にかける想いが、今も昔もものすごく強いという自負はあります。ですが戦略的な部分で言えば、創業当初から勝ち筋は見えていたわけではありません。ほんの2~3年前までは、とにかくがむしゃらに、その時できることに全力で取り組んでいましたね。

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更に大きくなる責任とプレッシャー。
だが、それが面白い

LegalOn Technologiesといえば、2022年6月に発表した総額約137億円のシリーズDラウンド資金調達を思い出す読者が多いことだろう。SoftBank Vision Fund 2がリード投資家となったほか、Sequoia ChinaとGoldman Sachsというファンドが参画していることでも大きな話題を呼んだ。

これだけの規模で、これだけの投資家の期待を背負うに至ったのだから、さぞかし角田氏も大きな自信を持っているのだろうと考えていた取材陣。だが、その期待は見事に裏切られた。

角田資金調達は、決してゴールではありません。むしろ、大きな期待を背負い、成長を間違いなく実現しなければならないというスタートです。だから、気が楽になるということはまったくありません。

と言っても、「苦しい」わけではなく、「面白い」ですね。これまで通りのことをやっていてはダメで、新しいやり方で新しい価値を創出しようかと考え、実行していくのが面白いんです。

現在も、角田氏は実際に現場に入ることも多いという。多くのことを人に任せながらここまでの事業成長を成し遂げてきたと強調する一方で、会社にとって特に重要な事業や業務を捉え、自ら推進の手綱を取ることも少なくないのだ。

角田2022年に注力していたのはアメリカへの進出です。

アメリカでの事業を成功させるためグローバル事業責任者のメンバーと、現地の企業へ足を運びました。ニーズを直に聞きとって、開発やマーケットのニーズに即した事業戦略を描くために最前線で取り組んできたんです。

困難そうに見える挑戦でこそ、現場で腕を振るおうとする角田氏の姿は印象的だ。

同様に、たとえ困難に直面しても、その状況を楽しむメンバーが多く在籍し、活躍している。それがLegalOn Technologiesの姿となっている。

角田最近、当社のバリューに「変化を楽しむ」という言葉を追加したんです。従業員数は500名近くまで拡大しましたが、社内はまだまだカオスな状況なので、認識にギャップが生まれないようにしたくて(笑)。

事業が増え、組織拡大も続いていますから、変化を楽しめるくらいじゃないと大変な状況です。そんな中でも、変化を楽しみながら業務を推進してくれるメンバーがそろっているので、頼もしい限りです。

サービスもさらに進化を遂げそうだ。AI契約審査プラットフォーム『LegalForce』でAI活用をさらに進めるほか、技術基盤の刷新で拡張性を高めつつ、製品ラインナップを充実させる。そしてマーケットとしても日本・アメリカ以外に展開を進める構想があるという。

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カオスな中の「好奇心と野心」こそが、スタートアップとしての成長を形成する

最後に、角田氏が改めて強調したことがある。それは、「弁護士や法務経験者ばかりが活躍しているわけでは、決してない」ということ。

角田法律や法務の知識は入社後にキャッチアップすることが可能です。実際、多くのメンバーが法律や法務の知見を持たないまま入社し、活躍しています。

むしろ、「法×テクノロジー」という面白い事業領域に、すでに持っている専門性を思い切り活かして挑戦したい、そんな気概を持って飛び込んで来たメンバーばかりなんです。

ここまで触れてきたように、LegalOn Technologiesには様々な出自のビジネスパーソンが集まっている。いわば、各業界・各職種のスペシャリストが集まり、「法×テクノロジー」の可能性を強く信じて邁進しているチームなのだ。

角田私は、好奇心と野心が強いんだと思います。まだ見たことのない景色を見たい、という気持ちで、新しいことにチャレンジし続けています。

メンバーも、今までよりも成長したい、自分を試したい、自分の力で変革を起こしたいと思ってくれているようで、うれしいです。先ほど「カオス」と表現しましたが、だからこそ好奇心と野心がうまく成果につながっているのではないかなと。

事業環境の変化に加え、スタートアップという環境も相まって、当社では毎月様々な変化が起きています。その環境の変化を楽しめることが、当社で活躍できる絶対条件です。刺激的ですし、多様な人がそれぞれ持つ価値を最大限発揮してくれているので、切磋琢磨もできる環境は他にはあまりないのではと思いますね。

LegalOn Technologiesでしか見られない景色がある。そう信じて、角田氏も、ほかのメンバーも、躍動している。そんな様子が目に浮かんでくる。

ここからがきっと、事業成長の本番だ。国内外で様々な企業の成長をかたちづくっていく姿に、期待したい。

こちらの記事は2023年02月24日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

齊藤 彩

写真

藤田 慎一郎

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