INTERVIEW
刀禰 真之介 山田 真弘
18-12-06-Thu
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「健康経営に、実現力を。」
メンタルヘルステクノロジーズが取り組むAI×ヘルスケアの働き方改革

TEXT BY NAOKI TAKAHASHI
PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA

「幸せをリデザインする」をミッションとしたヘルスケアベンチャー、メンタルヘルステクノロジーズは、
ヘルスケア×テクノロジーという昨今注目を集める領域で成長中の企業だ。

同社が運営する医学会向けのIT支援サービスは、
全国約32万人いる医師のうち累計15万人以上がサービスを利用するという圧倒的なシェアを誇る。
その膨大なデータを活用し、子会社の株式会社Avenir(アヴェニール)では、
「医師のキャリア支援」と「産業医サービス」を展開。近年増加しているメンタルヘルスの課題解決を行うべく、
幅広いサービス開発に取り組んでいる。

代表の刀禰(とね)真之介氏を突き動かしているのは、
「日本の課題を解決したい」という強い思いだという。
上場、CVCの設立、海外展開……刀禰氏の描く未来図をサポートするべくジョインしたのは、
多くの証券会社で上場支援を経験してきた管理部長の山田真弘氏。

両者に成長中であるヘルステック業界の展望、メンタルヘルステクノロジーズが描くビジョンを聞いた。

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ヘルステックベンチャーで「日本の医療に恩返しを」

もともとはキャピタリストとしてのキャリアを歩まれていた刀禰さんが、なぜヘルスケアベンチャーを設立しようと思ったのでしょうか?

刀禰根幹は20代の時に「日本のためになる事業をやっていきたい」と思ったことですね。株式会社環境エネルギー投資というファンドに在籍していたのですが、そこで「日本のために」と志を高く持つ同僚たちに感化され、自分もいずれは社会問題を解決できるような事業に取り組みたいと考えはじめました。

ヘルステックにフォーカスしたのは、体調を崩してしまって入院したのがきっかけです。一歩間違っていたら、大きな後遺症を残してしまうような病気でした。健康の大切さを身をもって感じ、「自分が解決すべき社会問題は医療分野ではないか。何か恩返しをしたい」という思いが湧きました。

株式会社メンタルヘルステクノロジーズ代表取締役 刀禰真之介氏

刀禰そんな折に、医師である義妹から「産業医をやりたくても機会がない」という相談がありました。産業医って、臨床医を離れた方や開業医が兼業で営むケースが多かったんです。

労働安全衛生法改正により、2015年に従業員50人以上の事業所において、ストレスチェックが義務化されたこともあり、メンタルヘルス領域でのサービスにも着目していました。同時期に、株式会社ファーストリテイリング社の本部産業医をされている三宅琢先生に出会ったんです。大変熱い思いを持った方で、今後の産業医の展望に関してディスカッションをしているうちに、非常に近いビジョンを持っていることがわかったんです。

どのような展望だったのですか?

刀禰産業医マーケット拡大のためには、ノウハウのシェア、産業医自体の育成の2つが重要だ、ということです。

現在、50人以上の事業所では嘱託産業医を指名し、定期的に社員の心身に関する健康課題を解決していくことが求められているのですが、企業の健康問題に適切な対応ができる産業医が少ないという課題がありました。これを解決するためには産業医自身がバリューアップをする必要があります。しかし、そのような機会が産業医にありませんでした。ですから、産業医のスキルを学べる機会を提供し、“臨床医のセカンドキャリア”として産業医の方々が活躍できる機会を提供する必要があると考えたんです。

もう一点は、女性医師がもっと進出するべきだという点。現在、大学を卒業する医師の約30%は女性です。臨床医はフルタイムの勤務が求められるケースが非常に多いのですが、結婚や子育てといったライフイベントが発生するなかで、臨床医だけを選択肢とするのはキャリア形成において難しいケースがあります。そこで、産業医を選択肢に入れていただくことで、両者の課題を一挙に解決出来るという展望です。

社会的な課題と医師のキャリアの問題を同時に解決していかなければならないと。

刀禰そうですね。しかし、そこはあくまでスタート地点でしかありません。 今、40代以上の健康診断情報を見ると、多くの方が何かしらの不調を抱えているというデータがあります。より高齢になるとなおさらで、メンタルヘルスはもちろん、フィジカルな問題も企業がケアしなければいけない時代が近い将来必ずやってきます。

それまでに予防の問題に取り組む企業として、一定のポジショニングを築いて解決していきたいという想いが三宅先生とも一致したんですね。メンタルヘルステクノロジーズの子会社であるAvenirを立ち上げる時には、三宅先生に顧問をお願いし、一緒に事業をスタートさせました。

山田さんはどのような経緯でジョインされたのでしょうか?

山田刀禰社長とは同じ証券会社で働いていたんです。それぞれキャリアチェンジをして、別の会社で働いていたのですが、ある日に「上場を視野に入れて事業を拡大していきたいので手伝ってほしい」と連絡をもらいました。

私は証券会社時代から企業のIPOを支援する仕事に強い興味を持っていたんです。今後は事業会社に移って、上場準備を進める仕事をしたいと考えていたところだったので、「願ってもない良いチャンスだ」と。

株式会社メンタルヘルステクノロジーズ管理部長 山田真弘氏

お互いの求めるものが一致したんですね。

山田タイミングの良さも後押ししたのですが、刀禰社長の人柄が魅力的だったということが一番の理由です。若い頃は「元気があるビジネスマン」という印象でしたが、そこから経験を積んで大きく成長しているのが明らかでしたし、経営者としての素質が備わっているなと。

山田さんは「経営者の素質」をどのように捉えていますか。

山田問題を解決するまでの動き出しが早いこと。それに、広い分野の方々との交流があることでしょうか。刀禰社長は企業の上場引受審査の仕事をしていたので、他の経営者よりも上場のプロセスや会社を拡大していくために必要な手続きには精通しています。そしてビジョンがあり、それを実行する力もあります。社会の潮流をよく読んでマーケットの選定をしていますし、ぜひ支援したいと思いました。

刀禰恐れ多いですね(笑)。厚生労働省や国に対しても様々な提言をしていけるように、ヘルスケアの業界である程度のポジションを築くことをまずは目指しています。法律や制度とリンクする業界なので、影響力を持つために上場というステップは必要ですが、あくまで日本を良くしていくための中継地点です。

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メンタルヘルス疾患を予防する「4つのケア」

過労働によるメンタルヘルス疾患や、それを原因とする過労死は社会問題にもなっています。どういった課題を解決しなければならないのでしょうか。

刀禰自死に至る理由はさまざまですが、半分は労働環境、もう半分はプライベートに起因するといわれています。会社が理由ならば、会社から是正していかなくてはいけません。メンタルヘルス疾患は適切な対策を行えば、ある程度は予防できるものなんです。それを実施している企業は未だ少なく、世の中に浸透していないのが現状です。

なぜ実施している企業が少ないのでしょう?

刀禰ストレスマネジメントは企業が研修の名目で実施するケースが多かったんです。しかし「年に一度の研修を行い、社内にアナウンスしています」という形では不十分。中には専門の産業保健スタッフによるケアを実施できている企業もありますが、コストの問題もあり、実現できている企業は非常に少ない。あるいは、制度は整っていても実態として利用している社員が少ないなど課題は山積みでした。

また、例えば、うつ病は重度になると慢性疾患化してしまいます。完治するまで平均完治期間が2年かかるといわれているのですが、制度上休職できる期間は最大でも1年半の企業がほとんど。そのため中途半端に復職して、休職を繰り返し、結局は退職に至るというケースがほとんどなんです。従業員の方はもちろん、企業の経営としても大きな損失になります。

こうした課題を解決するために、弊社は「4つのケア」に取り組んでいます。

刀禰産業医を含め、これら4つの領域を全てカバーしているのは、競合他社との差別化ポイントでもあります。加えて、企業内のデータをAIに学習させ、メンタルヘルスが崩れる可能性のある人をリストアップする新サービスを準備しています。

我々が持つ登録医師のデータベースをコアに、さまざまなサービスを展開していく予定です。

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産業医にもケアを施し、高いサービス継続率を維持

Avenirの産業医サービスは、解約率が低いと伺いました。要因は何なのでしょうか?

刀禰現在は約900事業所への産業医をご案内させていただいておりますが、サービスの解約数は2年間で10事業所程度です。社員数が50人を切ったとか、M&Aで被買収対象となった、事業所がクローズした等が主な解約理由ですので、サービスの質には自信を持っています。これは顧客である企業、産業医の双方のケアに力を入れているためにカスタマーサクセスチームがワークしていることが要因です。初回はカスマターサクセスの担当が産業医とともに企業に訪問し、それ以降は課題を抽出するために、産業医とは別に訪問し、人事担当者にヒアリングを行うなど、丁寧なフォローを行っています。

もちろん、産業医の方々へのフォローもしています。フォローがなぜ必要かというと、臨床医と産業医では患者へのアプローチが全く異なるからです。臨床医は患者が心身の課題を抱えた状態で訪ねてきますが、産業医は社員の心身に関するリスクを自ら発見し、解決に導く「自発性」が必要です。また、臨床医は患者という「個人」にフォーカスされますが、産業医は「組織」にアプローチするため、臨床医でのご経験がそのまま通用するというケースが多くないというのが実態です。

加えて、産業医は企業の経営陣、人事、社員など、多くの方とコミュニケーションをとらなくてはなりません。つまり、同じ「医者」でも、求められる素質が全く違うんです。これらサポートは、弊社のカスタマーサクセスチームが担っています。

カスタマーサクセスのチームを置いている企業は他にないのでしょうか?

刀禰ほとんど見受けられません。本当は企業も産業医も「契約開始」はあくまでスタートに過ぎません。企業であれば、事業規模に合わせて必要な産業医の人数も変わります。なので弊社はカスタマーサクセスを導入し、企業と産業医の双方にケアを行っています。

専門知識が求められるサービスだと思いますが、メンタルヘルステクノロジーズの社員はどういったキャリアの方が多いのでしょうか?

山田常駐役員は金融業界出身が多いのですが、会社全体では業界未経験者も多く、6割が女性です。特に営業メンバーのバックグラウンドは様々ですね。

刀禰もちろん知識があるに越したことはないのですが、採用においては経験よりも「チャレンジ精神」や「ベンチャーの環境で変化を楽しめるか」を重視しています。知識は後から身につけることが出来ますから。

山田医師との信頼関係ありきのビジネスなので、人柄も大事ですね。嘘をつかず、誠実であること。これも採用の面では重視しています。現在のメンバーは受け身ではなく、積極的に課題を見つけて解決していくことが好きな人が多いです。

刀禰知識よりも大事なのは「ミッション、ビジョンへの共感」ですね。サービスの導入ではなく「健康経営」を企業にインストールするために、「健康経営に、実現力を」が現在の当社のビジョンです。そのために必要なあらゆる提案をしていかなければならない。そこで、営業を担当する社員は「ソリューション営業」という肩書きで仕事をしています。

営業にも課題解決の視点が求められるのですね。

刀禰産業医の導入はマネジメントにも密接に関わる問題なので、役員や部長クラスの方々に提案させていただくことが多いです。そうした方々に「社員の健康状態を把握し、適切な予防すれば長期的にはコストが下がる」ことを説明していく役割なので、「サービスを売る」以上の視点が必要かもしれません。大変ですが、その分やりがいもあると思います。

働きやすい環境を整えるために取り組んでいることはありますか?

刀禰従業員が納得して働けるよう「公平な実力主義」を掲げていて、成果に応じた報酬が得られるようインセンティブを設定しています。私自身が20代の頃から「成果をだした分は還元してもらいたい」という気持ちが強かったこともあり、頑張った先に対価がないのは、働く環境として健全ではないと考えていますからね。

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ヘルステック特化型のCVC設立、アジア展開を目指す

最後に、今後のメンタルヘルステクノロジーズの展望を伺えますか?

刀禰そもそもメンタルヘルスケアは診療などを行う「医療」ではなく、疾患を未然に防ぐ「予防」のためのサービスなので、医療サービスに比べて対象となる母数が多いんです。ただ、プレイヤーはまだ少ないのが現状です。

ヘルスケアは、私が経験してきたエネルギーや環境ビジネスを扱う「クリーンテック」と同様、マネタイズまでに時間がかかる領域です。スケールするのが難しいのでプレイヤーが少ない。私の持っている知見が生きる部分も多分にありますし、まずは自分が先頭を切って事業を成功させ、ビジネスを広げていきたいですね。

今後はコンビニ、居酒屋などのサービス業やIT業界をはじめ、より広い業界で外国人労働者も増加していくはずなので、そうした需要にも対応していきたいです。

山田今は事業を伸ばすフェーズですが、将来的にはM&A部隊の立ち上げや投資事業も視野にいれています。

刀禰今も既に複数のサービスラインがありますが、複雑なヘルスケアのマーケットを攻略するためには、新規事業や子会社をいくつも立ち上げていく必要があると思っています。

例えば、上場後にはヘルスケアに特化したCVCも立ち上げたいと考えているんです。ヘルスケアに精通した投資家はまだ多くないので、業界を盛り上げるという意味でも価値があるなと。

また、日本はアメリカと比べてファウンダーズファンド(IPOや企業売却などイグジット経験ある起業家が組成するファンド)が少ないんです。ファンド在籍時に戦略やマーケティング、マネタイズプランの支援に関われましたが、同時に経営者の本当の悩みを理解できていないという悔しさもありました。だからこそ、自分が経営を経験してからファンドをやってみたいという想いもあります。

医療は制度規制も多く、海外進出が難しい分野ですが、ヘルスケアならば国境を超えて展開することができると信じています。今後は国内に限らず、アジアに向けたサービスにも取り組んでいきたいですね。

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[文]高橋 直貴
[撮影]藤田 慎一郎

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