「出世も家庭も諦めない」
ニーズ高騰する女性CxO人材、公私両立ノウハウと“山”の登り方

登壇者
申 真衣

東京大学経済学部経済学科卒。 2007年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。金融法人営業部で金融機関向け債券営業に従事。その後、2010年より金融商品開発部にて、金利・為替系デリバティブの商品開発・提案業務、グローバルな金融規制にかかる助言業務等幅広い業務に従事。2016年4月、金融商品開発部 部長、2018年1月、マネージングディレクターに就任。2018年5月、株式会社GENDAを共同創業。2019年6月より現職。

山下 麻亜子

京都大学法学部を卒業後マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。マネージャーとして主に消費財・小売業 の全社戦略、新規事業立ち上げや オペレーション改善の案件を主導。社内の人材育成採用にも従事。2020年6月にビビッドガーデンに入社。

田中 優子

東京大学法学部卒業。トヨタ自動車で新型車の市場導入、需給計画・販売戦略策定、ジュピターショップチャンネルで経営企画、事業開発などを経験。戦略コンサルティングファームA.T.カーニーで、大手企業向けに全社戦略、事業戦略、新規事業開発、組織再編、コスト削減、デューデリジェンスなど多岐に渡るコンサルティングプロジェクトに従事。2011年7月より消費財・小売プラクティスのマネージャーを務める。2014年4月、株式会社クラウドワークスに参画、執行役員に就任。2019年12月、同取締役に就任。

斉木 愛子

フリーランス広報 / 株式会社PRAS取締役 ファイナンス修士(専門職)Master of Business Administration 大学卒業後、大和証券SMBC(現:大和証券)入社、UBS銀行東京支店・Credit Suisseシンガポール支店、フィンテック企業での勤務を経て独立。2019年よりフリーランスとしてスタートアップ企業を中心に広報・渉外支援に携わる。2020年1月に株式会社PRASにCFOとして参画、同年10月より取締役に就任し、経営に携わりながらクライアントの広報支援にも従事。 現在、企業広報・フリーランス広報・PR会社役員の3枚の名刺を持ち、複業しながら年子男児二人を子育て中。

渡辺 秀和

一橋大学商学部卒業。株式会社三和総合研究所(現:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)戦略コンサルティング部門にて、同社最年少でプロジェクトリーダーに昇格し、多数の新規事業支援を手がける。2008年、株式会社コンコードエグゼクティブグループを設立し、代表取締役社長CEOに就任。1000人を越えるビジネスリーダーに対して、戦略系ファームをはじめとするコンサルティング業界、ファンド、事業会社幹部、起業家などへのキャリアチェンジを支援。

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6%──日本の上場企業における、女性役員の割合だ。欧米先進国に比べればまだまだ低い数字だが、政府や経団連が「2030年までに30%以上」と改めてその数値目標を強調するなど、女性リーダーの登用に向けた動きはじわじわと広がってきてはいる。

とはいえ、実際に自分が役員やCxOとして活躍している姿をイメージできる女性は、そう多くはないだろう。背景にはやはり、「ロールモデルとなるような身近な女性リーダーの不在」がある。

こうした現状に一石を投じるべく、「2024年までに投資先企業全社で女性経営幹部を登用する」という方針のもと、女性リーダーの登用に積極的に取り組むPEファンド・ミダスキャピタルは、プロフェッショナル・経営幹部のキャリア支援を手がけるコンコードエグゼクティブグループと共催で「女性CxOセミナー」を開催。経営幹部というキャリアを視野に入れている女性が、現役CxOとして活躍している女性たちから直接話を聞けるイベントだ。

パネルディスカッションに登壇したのは、先月公開の取材記事が大きな反響を呼んだGENDA代表取締役・申真衣氏(ミダスキャピタルの投資先)、農作物のオンライン直売サービス『食べチョク』を運営するビビッドガーデンの取締役・山下麻亜子氏、日本最大級のクラウドソーシングサイト『クラウドワークス』を運営するクラウドワークスの取締役・田中優子氏と、モデレーターの株式会社PRAS 斉木愛子氏だ。

今をときめく女性CxOのお三方から、経営幹部という仕事の魅力ややりがい、キャリアや働き方のリアルについて、和気あいあいに語っていただいた。

  • TEXT BY MARIKO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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「経営に興味はあるけど、スキルや経験に自信がない…」
そんな方こそ取るべき選択肢もある

150名以上の女性参加者が集まり、大きな期待が寄せられる中、コンコードエグゼクティブグループのCEO・渡辺秀和氏の開会挨拶によって、イベントの幕が開いた。渡辺氏は、経営人材の採用トレンドについて「優秀な女性に対する企業の関心は非常に大きい」と説明する。

提供:ミダスキャピタル

渡辺コロナ禍においても、「優秀な経営人材を採用したい」といった企業のニーズは非常に高いです。既存事業の立て直し、DX推進、海外進出など、企業が取り組むべき経営課題は山積していますからね。

その中で、採用担当者からよく寄せられるキーワードに、次の3つがあります。「ポストコンサル / ポストIBD」「デジタル(DX)」「優秀な女性」です。

人口の50%は女性ですから、社会に価値やサービスを提供していくにあたり、女性経営幹部の視点や感性は当然に必要であると考えている企業は多いのです。

しかしながら、「いくら企業からのニーズが高いとはいえ、自分には経営に関するスキルや知識・経験など、経営幹部になれるようなキャリアがない」と悩む女性も多いだろう。

そんな課題に対し渡辺氏は、「キャリアの階段」というキャリア設計の視点を提案する。

提供:ミダスキャピタル

渡辺たしかに、経営スキルを持たない方がいきなり経営幹部として採用されるには難しい部分がありますが、その場合には「中間地点となるキャリアの階段(ハブ・キャリア)をつくる」という発想があります。

経営人材を目指すための代表的なハブ・キャリアは、戦略コンサルティングファーム。戦略コンサルはコンサルや経営企画、財務の経験がない人も積極的に採用しており、営業やSE、研究職から転職したという事例もあります。

また、ITコンサルやIT企業の企画・マーケティング職も比較的幅広い職種・業界からの転職者を受け入れている傾向にあり、こうした「キャリアの階段」を経て経営幹部としてステップアップしていくことは、十分可能です。

加えて、戦略コンサルに代表されるようなハブ・キャリアの働き方に、ワークライフバランス面の不安を感じる女性に対しては、「高いスキルがあれば、働き方や働く環境を選べる自由度が高くなる」とした上で、「仕事に没頭できる若い時期にスキルを磨くことで、“キャリアの自由度”を高められる。少し先の将来を見通して、ワークライフバランスを捉えてみては」と考え方のヒントを示した。

企業の採用ニーズが高く、女性への期待も高まっている経営幹部というポジション。誰もが漠然とした憧れを感じる響きはあるものの、その実際の魅力とは何なのか。続くパネルディスカッションでは、いよいよ現役女性CxOの3名によって、そのリアルな実情が明らかにされた。

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経営参画のきっかけは、
"偶然の出会い"、"転職”、”誘われて”と、多種多様

まずは登壇者たちが経営幹部になるまでのキャリアと、経営幹部になったきっかけについて。業界や経緯はさまざまだが、3人に共通しているのは、渡辺氏がキーワードとして挙げた「コンサルティングファームや投資銀行での経験」だ。

提供:ミダスキャピタル

3年前にGENDAという会社を共同創業し、代表取締役社長を務めています。ゲームセンターの運営を中心としたエンターテインメント領域で、事業を展開している会社です。

起業する以前は、新卒から11年間、投資銀行にいました。「定年まで勤め上げる」というカルチャーがない中、次のキャリアを模索しながら働いている人も多く、私の場合は「“人生100年時代”と言われる中、自分は80歳くらいまで働きたい。転職するなら、似たような業界や分野ではなく、全く違う領域に挑戦した方が、自分のキャリアに広がりが出てくるのではないだろうか」などと漠然と考えていました。

そこに偶然、共同創業者との出会いがあり、「この人とやろう」と思って起業したのがきっかけです。

提供:ミダスキャピタル

山下私は現在、『食べチョク』という産直通販のサービス運営している、ビビッドガーデンという会社の取締役をしています。取締役になったのは今年の2月ですね。

大学卒業後はコンサルティングファームに入社し、8年ほどいました。コンサルの仕事はすごく好きで、自分の性にも合っていたのですが、途中で事業会社に出向した際や新規事業をつくるプロジェクトに携わった際に「自分で事業をつくり、回していく」ことの面白さを実感。「事業をつくりマネジメントする側に行ってみたいな」という気持ちが起き、転職を考え始めました。

そのため「経営と事業のいずれにも関われる可能性があるところ」という前提で転職先を探し、経営幹部候補としてというお話を頂いたビビッドカーデンに入社。半年ほど仕事のパフォーマンスを見てもらったうえで、正式に役員のオファーを頂いたという流れです。

提供:ミダスキャピタル

田中私は新卒でトヨタ自動車に入社し、4年働いた後コンサルに転職をしました。その後は再度事業会社に転職し、元のコンサルに出戻りするという経緯を経て、2014年に執行役員としてクラウドワークスに入社しました。社員はまだ20名しかおらず、マザーズに上場する9か月前というタイミングでした。

クラウドワークスの創業者は20代の頃からの友人で、起業してしばらく経った時に「一緒にやらないか?」と声をかけていただき、転職しました。それから7年が経ちますが、取締役に就任したのは約2年前でして、より会社の経営に関わっていけるようになってきたかなと感じているフェーズです。

より参加者の興味・関心に沿ったパネルディスカッションにするため、イベントは随時アンケートを実施しながら進行。まず「女性役員職に関心がある理由」について訊いてみると、「経営業務に携わってみたいから」という理由が72%で第1位となり、改めて経営幹部という仕事への関心の高さが明らかになった。

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なかなか聞けない、役員の働き方と年収事情

続いてのテーマは「役員になって働き方と年収はどう変わったか」。特に年収の部分については、転職における非常に重要な要素でありながら、話を聞ける機会は少ない。イベントならではの赤裸々な内容に、参加者からの注目度が一段と高まる。

年収はすごく下がりました。ただ、「下げるべき」とか「下がって当然だ」と言うつもりは全くありません。女性に限らず、転職する時には簡単に年収を下げるべきではないと思いますし、きちんと交渉した方が良いと思います。

私の場合は、給与自体は下がったものの、それ以外にエクイティという形のリターンがあるため、全体としての経済的なメリットはギブアップしていません。

働き方については、いろいろな捉え方があると思うので、「ラクになった」とか「大変になった」というわかりやすい変化はありません。しいて挙げるならば、本社との時差に振り回されることがなくなり、普通の日本時間で生活できるようになったことでしょうか。前職では、毎週深夜の12時から電話会議があったりもしたので……(笑)

提供:ミダスキャピタル

山下コンサルティングファームからスタートアップへの転職なので、入社時の年収は下がっています。

私の場合は、経済的なメリットとキャリア構築におけるメリットを総合して転職を考えました。今、事業と経営にコミットできるようなポジションに就くことは、何十年というトータルのキャリアを考えたときにすごく良い経験になると思ったので、年収の部分はそこまでは気にしませんでした。

働き方の面では、前職がものすごくハードな時期もあったため、「時間的にちょっとはラクになったかな」という感覚はあります。ただ、前職とは全く違う役割を担っているため、けっこう四苦八苦しながら仕事をしています。楽しいですけどね。

田中コンサル時代に比べると、転職した直後の年収は下がりました。ただ、IPOを目指している会社であれば、株式やストックオプションをもらえるケースは比較的多いと思います。私もそういう形だったのですが、「フローで毎年お給料をもらう」という感覚から、「会社のバリューアップをしていけば、自分の資産も増える」という視点に切り替えて考えてみると、最終的な自分の収入はむしろ上がったのではないかと思います。

それから、3年ほど前から他の企業の社外役員もやっておりまして、いくつかの会社を兼業することで、給与面でもコンサル時代並みの水準に戻ってきました。働き方や給与の得方を自分でデザインできることは、役員という仕事のメリットの1つだと思います。

働く時間については、以前より自分でコントロールできる部分が増え、勤務時間自体は減ったのではないかと思います。ただ、会議やパソコンに向かっていなくても仕事のことを考えている時間は、むしろ増えたかもしれません。コンサル時代にはプロジェクトが終わるごとにリフレッシュ休暇がありオンオフがはっきりしていましたが、今は仕事から完全に離れられる時間は少なくなってしまったのかなと。

投資銀行やコンサルの平均年収が高いこともあり、ここでは「転職の際には一度給与が下がった」という意見の一致が見られた。しかし一方で、ストックオプションによるリターンや他社からの役員報酬など、給与以外による経済的メリットの可能性は増えることもわかった。役員という働き方を選択する際には、キャリアや年収に対する考え方をアップデートし、総合的に判断する必要がありそうだ。

提供:ミダスキャピタル

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「こうあるべき」の固定観念に旧態依然の組織構造
──昇進のハードルにどう立ち向かうか?

女性経営幹部というキャリアには、普通の会社員では味わうのが難しい仕事のやりがいや働き方の自由、経済的なメリットがある。企業からのニーズも高い。しかしながら、実際に役員として活躍している女性の数は男性に比べて圧倒的に少なく、そこには女性ならではのハードルがあると言える。

そんな現状をふまえた2回目のアンケートテーマは「日本の女性役員昇進を阻むのは何だと思いますか?」というもの。参加者からの回答では、1位「男性中心の社会構造」2位「自分に対する自信や出世意欲の低さ」3位「家事や育児との両立」という結果になったが、登壇者たちはこの問題に対して、それぞれどのように捉えているのだろうか。

生まれた時から刷り込まれる、「女性はこうあるべきだ」という社会的な先入観が非常に大きいと思っています。

たとえば先日保育園のお迎えに行った時のことなのですが、まだ0歳なのに、男の子だけが車のおもちゃで遊んでいたんです。0歳って自分で遊びやおもちゃを選べない年だと思うので、先生が男の子だけを車で遊ばせていて、女の子は違う遊びをしていたんですね。おそらく、無意識のうちに、良かれと思って。

そうやって、「女性/男性ってこういうものだよね」という社会の思い込みを植え付けられていく中で、女性自身が「自分に役員の仕事ができる」とは思えないということはあると思いますし、周囲の人がそう思えないということもあると思います。

山下理由はさまざまあると思うのですが、1つには「日本企業のマネジメントスタイルが比較的限定的である」というのが挙げられると思います。

何となく、マネージャーや役員には「上に立つ人」「リードしていく人」というイメージする傾向がありますが、「全体を見ながらメンバーのパフォーマンスを最大化し、プロジェクトの遂行を管理していく人」と考えてみると、性別は関係ないんですよね。

ただ、現状のマネジャーや役員に男性が多く、彼らが強いリードの仕方でマネジメントしているところを見てしまうと、女性が「私にはあんなことやれる気がしない」と思ってしまうことはあるのかなと思います。

マネジメントスタイルは、結果を出すためのアプローチの1つに過ぎないので、もっと色々なマネジメントのやり方を見ることができたり、自由に挑戦できるようになるといいのかなと思います。

田中経営の仕事や役員として働くのって、やってみるとすごく面白いのですが、傍から見るとあんまり面白そうに見えないというか、役員になるために払う犠牲の方が大きく見え過ぎてしまっているのではないかと思います。

純粋に仕事が好きな女性はたくさんいると思うのですが、「組織で昇進していくには」と考えると、「部下を連れて飲みに行ったり、タバコ部屋で人脈を築かないと上に行けない」というような古い組織のセオリーを想像してしまい、「そういう世界に入りたくない」「社内政治に振り回されたくない」と感じる女性は多いと思います。女性に限らず、小さい子どもがいたりすると、そもそもそんな時間はありませんしね。

でも、役員になる方法って実は昇進だけではなくて。転職したり、起業して役員になるという方法もあるので、今のレールの延長線上だけで考えるのではなく、もう少し幅広に見られるといいかもしれませんね。

続いてのトークテーマは「普段マネジメントで気をつけていること」について。時には圧倒的マイノリティとなることもある女性役員として、どのようなポイントに気をつけることでスムーズなマネジメントを実現しているのか。三者の意見を伺う中で共通して見えてきたのは、「周囲の人に流されない、自分なりの芯の強さ」だ。

提供:ミダスキャピタル

田中今の会社では、執行役員まで入れても女性は私1人なのですが、「良い意味で空気を読まず、言いたいことを言う」ことで、自分のバリューを発揮することを意識しています。

女性は気を遣ったり、相手を立てることを期待されることもあると思うのですが、そうしていると自分のパフォーマンスは出せません。むしろ、同調圧力を感じる中であっても「自分は周りとどう違うのか」「会社のために何ができるのか」といった部分を考えるようにしていますね。

当社は、以前はベンチャー企業として事前検討や議論よりもスピードを重視するところがあり、他部門のことに口出しして物事を止めてはいけないと取締役会や経営会議で意見を遠慮する傾向があったのですが、M&Aや資金調達など重要性の高いコーポレートアクションに対する意思決定が増えてきて、これは上場企業のガバナンスとして改善すべきだと問題意識を思っていました。あるとき、その必要性を社外取締役からも指摘され、会社として意思決定プロセスをどう改革するかというアジェンダが生まれたんです。

そこで、「チクチク言う(誰が起案者かを抜きにして、細かく客観的にフィードバックを行う)人」が適任だということで、コンサル出身で空気を読まない人として、私がその改革プロジェクトの責任者に指名されました。

改革の結果、経営会議の運営は以前よりフェアなものになり、議論も活発になりました。会社としても経営に自信が持てる状態になりました。「空気を読まないキャラ」を、周囲に認知してもらっていたおかげかなと思います。

提供:ミダスキャピタル

山下社内では、「フェアであること」を意識しています。「自分が女性であることのプラス/マイナス」を私自身は特に気にしていないのですが、性別を気にされる方もいると思うので、どちらかというと性別や年齢、ポジションなどに関係なくフェアに1人ひとりに向き合う」ということです。

社外の人と会う時には、相手に合わせて意識的に男性っぽい職業人格を作ることもあります。カチッとした服装で行くとか、ドーンと構えるとかですね。役員として出ていく以上、自分の「若い」とか「女性」といったイメージで損をすることがあると、それが会社のマイナスにつながってしまう場面があるかもしれませんので、お話する相手に合わせて適切なコミュニケーションを取ることを心掛けています。

「忖度をしない」「忖度をさせない」ことを意識しています。これは男性女性限らずですが、「この人はこういう風に働きたいに違いない」という先入観を持つ人って多いと思うんですよね。「お子さんが居たら早く帰りたいに違いない」とか「30歳だったら結婚したいに違いない」とか「男性なら昇進したいに違いない」とか。

でも、性別に関わらず人は一人ひとり違うと思うので、「どういう風に働きたいのか」「どんなキャリア設計をしたいのか」、それぞれの声にちゃんと耳を傾けたいなと思っています。

また、自分も昨年出産したのですが、「妊娠している人をどうやって扱えばいいのか」については、特に周りの人が気を遣う部分だと思います。これに対しては、「妊娠していますが、健康なので大丈夫です」や「ちょっと体調が悪いので在宅勤務にします」となるべく率直に伝えるようにしていましたし、産休復帰後は、授乳したい時間について「授乳」とカレンダーに入れ、ブロックしていました。

そうやって透明に伝えることで、「会社に来て大丈夫なのかな……」「この時間にミーティングを入れていいのかな……」とメンバーに忖度させないよう、心がけています。

提供:ミダスキャピタル

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記事を読んでモチベは上がった。
でも、今日もあなたはブラウザを閉じる。それでいいの?

最後のアンケートにて「本日のセミナーを聞いて女性役員職にチャレンジしてみたいと思いますか?」という質問が投げかけられると、「中長期的なキャリアで検討していきたい」「女性CxO募集要項があれば見て自分に合うポジションにはエントリーしたい」が合わせて29%と、女性経営幹部キャリアに対する参加者たちの前向きな姿勢を伺い知ることができた。

そこで最後に、女性役員というポジションに挑戦する女性に対して、登壇者たちからメッセージとアドバイスを頂いた。

田中私自身は、役員になることで、自由に楽しく働けるようになったと感じています。なので、ぜひチャレンジしていただきたいと思いますし、そのための道筋に「これが正解」というものがあるわけではないので、ご自身の今の時点と何を目指すのかをもとに、フラットかつオープンに選択を考えていただけるといいのではないかなと思います。

山下役員の仕事をやっていて、今すごく面白い仕事だと感じています。会社のフェーズや事業、カルチャーによって、役員の役割は全然変わってくると思うので、役員というキャリアを目指す中で、自分のなりたい役員像を明確にしていくと良いと思います。

また、今いる組織が「女性が役員になるなんて……」という雰囲気ならば、そうしたストレスのない場所でチャレンジするのもありですし、自分が第一号の女性役員になるという道もあります。「役員になりたい」の次には「どういう役員になりたいんだろう?」を考えてキャリア設計をするといいのかなと思います。

仕事においてより大きな責任を持つということは、より大きな喜びを得る可能性を高めることだと思いますので、ぜひ皆さまにはわきまえずに挑戦していってほしいと思います。

弊社でも経営企画などに携わっていただける方を募集しておりますので、ご興味のある方はぜひ応募してください。

パネルディスカッションの後には、ブレイクアウトルームに分かれて交流会が開かれ、登壇者たちと参加者たちの間でカジュアルな対話がなされた。そこにはミダスの投資先企業群から女性幹部(天児友美 株式会社AViC 常勤監査役 / 梅本知世 株式会社デンタルアシスト 取締役CAO/管理本部責任者)らも参加。参加者からのアンケートでは「多くの参加者を勇気づけたと思います。」「これからもこの企画を続けていただいて、より多くの女性幹部の方がスポットライトを浴びることで誰もが挑戦しやすい環境が整っていけばと思っています。」といった感想の声が寄せられるなど、こちらも非常に満足度の高い時間となったようだ。

日本における女性役員の数はまだまだ多いとは言えないが、登壇した3名のような先駆者たちの活躍もあり、流れは着実に変わりつつある。身近にはロールモデルとなるような女性がいない場合でも、ぜひこうしたイベントにてヒントを得ながら、積極的に女性経営幹部というキャリアに挑戦してほしい。

こちらの記事は2021年06月23日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

藤田マリ子

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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