AI時代こそ「現場」「対話」に全振りする──売上30億円ベンチャー・Wonder Camelの裏側
Sponsored大手コンサルティングファームでは、現場のプロフェッショナル人材が高いバリューを発揮しても、その成果がそのまま本人の報酬に直接反映されにくいと言われる。なぜなら、本社機能や間接部門、非稼働人員などのコストを組織全体で負担することになり、顧客企業からの売上のうちメンバーに還元される原資となるのは4割程度にとどまってしまう企業が少なくないと言われているからだ。
2021年の創業以来、Wonder Camelはこの産業構造を疑い、間接コストを削ぎ落として個人へ直接還元する仕組みを構築してきた。
同社は、高還元の仕組みを維持しながら事業を拡大。創業1年目は6,000万円だった売上高が、2025年12月期には約20億円、そして26年12月期は約30億円という着地を見通しているという。また、ベンチャー企業の財務戦略として一般的なエクイティファイナンスでの資金調達に頼ることなく、自社の利益から2件のM&Aを実行したことからも、着実に事業基盤を築いてきたことがうかがえる。
そんな中、この2026年に新たに資金を投じたのが、オフィスだった。メンバー一人ひとりの「情熱」に寄り添い、導線や機能を考え尽くしたレイアウトや什器選定。さらなる事業成長に向けた戦略的投資だった。
掲げてきた「人々の情熱に寄り添い 一人ひとりに合った働き方を実現する」というミッション。これは顧客向けだけでなく、社内メンバーにも向けられた言葉だったわけであり、その最たる例としてこのオフィスがある。
なぜ、利益創出の意識が高いWonder Camelが、リアルな場所に小さくない資金を投じることを決めたのか。そんな疑問を持つ読者もいるだろう。その答えは、同社が効率化すべき仕事と、人間が時間をかけるべき仕事を明確に分けている経営判断にある。事業・組織そしてオフィスにまで通底するその考え方を見ていこう。
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
高還元企業が、なぜオフィスには投資するのか
和田コンサルティング事業から始まり、今はコンサルティング案件のマッチングを中心に事業を運営しています。そんな特徴から、コンサルティングファーム出身者が多く在籍しています。
こう伝えると、「きっと、年収を下げてでも、自由度の高いベンチャー企業で働く道を選んだメンバーが多いのだろう」と思われることが多いのですが、そんなことは全くないんです。たとえば年収800万円ほどだった方が、当社参画後すぐに年収1,000万円ほどになったケースがあります。こうした年収増加は珍しい話ではありません。
弊社では大手コンサルティングファームとは全く異なる発想で、コスト構造を最適化し、一人ひとりの成果に対して還元する制度設計にこだわってきました。
そして今回、メンバー一人ひとりがさらに大きな成果を残していけるよう、新たに「オフィス」という切り口からの還元を考えての経営判断を行いました。
プラットフォームの改善や泥臭い営業に加え、事業買収によって新たな集客基盤を取り込み、さまざまな方向で成長施策を進めてきた。それがWonder Camelだ。
一人ひとりに合った働き方を実現する
それらの一部として蓄積してきた利益を、空間投資に振り向けた。
この空間の再設計を任されたのが、経営管理部 部長の奥村氏。目指したのは、社のブランドイメージを向上させるための綺麗なオフィスなどではなかった。
奥村総務や人事など、経営管理の仕事は、Wonder Camelに来るまでまったくの未経験でした。しかも、何もないところから部署として立ち上げた形です。そうした背景もあり、ここまで本格的なオフィス移転をやるのは、個人としてはもちろん、会社としても初めてのことでした。
以前はコンサルティングファームで働いていたことから、自然と「まずはしっかり要件定義しなくては」と考え、取り組み始めました。その中で至ったのが、「オフィスなのだから、そこに毎日通うことになる社員ファーストで全て考え抜かれるべきだ!」との強い思いです。たとえば「この部署はこの区画」という大雑把な区切り方は絶対にしたくないと思っていました。
具体的な設計やレイアウトを考える前に、まずメンバー全員の顔を思い浮かべ、「誰が、何時に、どのような内容の仕事や会話をしているか」を細かく調べることにしたんです。
「あの人は頻繁にオンライン会議をしている」「この2人は一日に何度も雑談を交わしている」「あの人はリモートの割合がやや多い」といった形で言語化し、実際の業務動線やその中での伸びしろをすべて洗い出そうとしました。
そうして、プロジェクト最盛期には「Your Base(あなた(たち)の居場所)」というコンセプトも言語化しました。
「こうしたい」という思いの前に、課題の特定も重要だ。奥村氏が捉えたのは「各部署の業務用途に合った機能が、オフィスに備わっていない」ということ。そのため、一つひとつの業務が十分に最適化されていないという課題があったのだ。
会社が成長し、メンバー一人ひとりも成長していた。それに伴い、事業部や部署が新設され、さらにメンバーが増え、会社としてもまた成長していく。それにオフィスが追い付き切れていなかった。
以前から感じてはいたものの、簡単に解消できるものでもない。だからこそ、このオフィス移転プロジェクトにおいて必ず解消しよう。そう考えたのだ。
奥村オフィスの使用率(出社率)もあまり高くはありませんでした。働き方が柔軟である、と言えば聞こえは良いですが、もっと適正な出社率があったかもしれません。
なので、出社率の向上を一つの成果指標としておくことを決め、そこから逆算する形での検討もしていきました。具体的には、各事業部・各部署の一人ひとりの業務シーンに合った機能を検討していきました。それにより、「自宅よりもオフィスに来たほうが捗る」という状態を実現しようとしたんです。
吉村以前は、社内でのシビアなフィードバックや熱量の高い議論の声が聞こえてきて、ちょっと集中力をそがれるような場面も実はありました(笑)。
ですが今では、面談や作業に特化した個室ブースや、リフレッシュできるベランダなど、新たなスペースがあります。こうした場所が少し増えただけでも、コミュニケーションのメリハリをつけやすくなっています。集中できる時間が格段に長くなった感覚があります。
個人の価値発揮に寄与しない無駄な間接コストは削ぎ落とす。しかし、自社メンバーの動線を分析し、彼らが顧客や候補者、外部のプロフェッショナルとの対話に集中できる環境をつくるための設備投資は、むしろ積極的に行う。こう言語化してみると当たり前のことのように思えるが、コストに敏感な経営者こそ、意思決定に悩んでしまうポイントだともいえるかもしれない。
創業代表の和田氏は、なぜ、オフィスへの思い切った投資判断を進めることができたのか。ここから、Wonder Camelが掲げるミッションと、そこから生まれた各事業の実態を探りながら、今のオフィスやカルチャーの必然性を探っていく。
「効率化してはいけないこと」を見極める
Wonder Camelが展開する人材支援ビジネスの実態を眺めると、同社が「丁寧な対話」を掲げるだけの会社ではないことがよくわかる。むしろ、その業務プロセスには、徹底した効率化志向が前提として備わっている。
デジタルマーケティングを駆使した求職者の集客、プラットフォームを通じた効率的な案件管理、さらには事前のスクリーニングや初期連絡におけるオンラインツールの活用など、仕組み化や自動化を進めている。
しかし、すべての工程を一律に効率化の対象とするわけではない。
「システムやAIに任せるべき工程」と「人間が時間・工数をかけることで大きな価値を発揮する工程」を見極め、前者の効率化によって生み出された時間を、後者の「対話」へ集中的に再投資するアプローチを選択したのだ。この設計思想が最も顕著に表れているのが、正社員向けの人材紹介事業『Wonder Camel Career』における求職者面談のプロセスである。
福本人材紹介事業を手がける会社は非常に多く、競合に打ち勝つためにも、効率性というのは常に大きなテーマです。たとえば、求職者との面談の回数をできるだけ減らし、一度の接触で機械的に多くの求人票をシステムから送信する手法も確立しており、分業化と紹介数をひたすら最大化することで、結果的に多くの内定や入社を実現しようとするかたちが一般化してきています。
たしかにこれは、ビジネスモデルとして合理的なやり方だと言えるでしょう。しかし私たちは、異なるアプローチをとっています。
履歴書や職務経歴書という表面的なデータには現れてこない、求職者様の「生々しい本音」や「キャリアや人生についての想い」を一緒に言語化して受け取る工程が、良い内定獲得のためには不可欠だと考えているんです。
たった1回の面談で十分ということにはなかなかなり得ません。他社に倣って効率化することを目的に考え始めてしまうと、大事なものが欠落してしまうんです。
和田一口に人材紹介といっても、業界・業種によって、面談の役割や重要性は大きく異なります。免許や経験が必要な業種であれば、面談がなくてもマッチングできることだってあるかもしれません。
しかし私たちの『Wonder Camel Career』が取り組む領域で、そうしたことは起こりえません。
コンサルティングファーム未経験者を、コンサルティングファームにおつなぎするという挑戦。「どの企業のどのポジションをご案内すべきか」「エントリーシートや選考の対策はどれくらい必要か」、あるいは「そもそもこの求職者は、本当にコンサルティングファームへの転職を目指すべきなのか」など、さまざまな観点を、じっくりと確認していく必要性があるんです。
一人の求職者に対して、面談に多くの時間をかけることをいとわない。コンサルティング業界の採用動向を熟知した大手ファーム出身のアドバイザーが、回数無制限での人物面接やケース面接の対策に並走し、候補者が納得して選考に臨める状態になるまで付き合う(もちろん、この全工程を人間の対応としているわけではない。ロジカルシンキングや面接対策は動画教材を作成し、想定問題集をつくりこむなど、効率化できる部分も追求している)。
福本競合他社では2~3回の面談で選考応募のステップへ進むケースも少なくない中、私たちは5~10回と行うこともよくあります。最大で5倍くらいの労力をかけているということです。
その分、求職者様一人ひとりが確実に内定に近づいていくよう、その道筋を地道につくり込んでいきます。だから、私たちの部門では、求職者様との間で十分な対話ができているかどうかを測るため、「面談回数の多さ」という、非効率に見える指標を敢えて重要なKPIの一つに置いているくらいです。
この考え方は、創業以来、どの事業の現場でも大切にされてきたことだという。たとえば、フリーランス向けプラットフォーム事業『quickflow』の組織設計にも明確に表れている。
多くの企業がプラットフォームの拡大に伴って導入しがちな「案件を獲得する営業」と「フリーランスに対応する案件紹介の営業」の社内分業を、敢えて行わずに進めてきた。
吉村効率を優先すると、どうしても組織の分業化という結論に至ります。そのトレードオフで起こるのが、担当者間での伝言ゲームです。
SAPを始めとしたITコンサルティング系の案件では、顧客企業がフリーランスに求める役割の微妙なニュアンスと、フリーランスの方が持つスキルセット(ソフトスキル含む)、この間に小さなすれ違いが生じるだけで、後のデリバリー過程において深刻な問題を引き起こしかねないものなんです。
たとえば、SAPそれ自体の高い理解度や、実際の導入におけるスピーディーな整理や実装の技術力を持つ人がいたとします。これらの点はもちろん評価されるポイントになるのですが、他にも重要なことがあります。
その一つが、「現場での立ち回り方」。顧客企業の属性や雰囲気によって、どのような立ち回り・役回りができる人に来てもらいたいか、微妙に異なるものなんです。細かな技術力よりもむしろ、こうした観点の方が結果としてプロジェクトの円滑な推進において重要になるケースが少なくありません。
私たちはこうした観点の把握とそれに基づくマッチングを、きめ細かく検討し、ご提案することを、強みにしてきました。
そのためには、「顧客企業が、言語化し切れていないけれど、求めたいこと」や、「フリーランスコンサルタント一人ひとりが、どのように振る舞えるのかという特徴」を、それぞれ具体的に把握している状態が不可欠です。なので、担当が分かれることで起きるデメリットは大きいと考えてきました。
テクノロジーで定型的な作業時間を短縮し、そこで生まれた余力を「多くの深い面談」や「一気通貫の両面型支援」へ振り向ける。AIが進化しても、相手の感情や言葉になりきらない迷いや希望を受け取り、企業側へ橋渡しする工程では、人間の役割がなお大きいはずだと考えているわけだ。
「効率を捨てる」のではなく、「効率化する場所を徹底的に選び抜く」。この時間の使い方こそが、同社の競争力を形づくっている。
マッチングから、プロジェクト伴走へ──150名のプロと築く支援体制
そんなWonder Camelの屋台骨ともいえるメイン事業『quickflow』の成長は、まさに順風満帆。ここで注目したいのが、「150名」という数字だ。
『quickflow』を通じて実際に継続して案件を請け負い、第一線でアクティブに稼働し続けている「コアユーザー」が、常時150名規模に達しているという。もはや一つのコンサルティングファームのような規模になっている。
同社がアクティブ稼働数を維持・向上させられるほど、顧客企業から信頼を寄せられている理由は、この規模感だけにとどまらない。案件の構造そのものが、旧来の「部分的な1対1のマッチング」から徐々に進化し始めているという。
現在の現場では、フリーコンサルタント単独でのアサインにとどまらず、Wonder Camelの社員と混成チームを組むケースが増えている。顧客企業の重要なDXプロジェクトを、中長期にわたって体制ごと請け負うのだ。
単に1~2人程度の枠の穴埋めとして人材をアサインするのではなく、プロジェクトの核心部分をチームで能動的に牽引する新たな支援の形が生まれているのだ。
吉村中長期のプロジェクトに深く参画すると、私たち一人ひとりの動きが、そのプロジェクトの成否に直結することになる。そんな案件が増えているんです。
たとえば顧客企業からのオーダーが変化しています。以前は「○○な人をマッチングしてほしい」というような形が多かったところ、最近は「○○なプロジェクトを検討していて、○○な課題がある」という抽象度でご相談をもらうことが多くなっています。
そのため、プロジェクトの状況・体制を一緒に整理するところから議論に入らせていただき、既存要員の配置転換や体制的に弱いところを把握したうえで、その補強をどう進めるかというご提案をするような形になっています。
なので、顧客企業からの見方も、「一時的な人員を補填してくれる会社」から大きく変わった感覚があります。今は「プロジェクトをどう成功させるか」を一緒に考える、ビジネスパートナーとしての貢献が求められています。
この体制が、冒頭で和田氏から語られた報酬設計ともリンクし、さらなるやりがいを生んでいる。
チームを組んで顧客の課題に深く入り込み、重い責任を負うプロフェッショナルに対して、Wonder Camelは徹底的に報酬面で報いているわけだ。
マッチングプラットフォーム型の事業といえど、単に案件情報を並べるだけのシステムを構築しているわけではない。実際の案件成約、そしてその後のプロジェクト成功まで、Wonder Camelのメンバーが泥臭く動いて推進する体制になっているのだ。これこそ、まさに競争優位性だと言えよう。
「文化祭の前日」を、持続可能な経営にする
そしてもう一つ、Wonder Camelのメンバーが、成果に向けて共有するカルチャーに「文化祭の前日のような熱狂」がある。『Wonder Camel Career』を牽引する福本氏が入社後、自らの経験を基に表現したものだ。しかし意外なことに、創業期からまさにそうしたカルチャーが連綿と伝わってきていたのだと、ほかのメンバーたちも気づいていったのだという。
福本「文化祭の前日」には、メンバーが仕事に手触り感を持てるようにする、という意図があります。
たとえば、求職者様お一人の内定獲得が決定した瞬間、オフィスでは拍手が起き、ハイタッチをして喜びを共有します。こういう成果の一つひとつについて、個々人で静かに受け止めるのではなく、関わったメンバー全員でその喜びを味わい合いたい。そんな未来に向け、常に目標を明確にし、チーム全員で熱量を高めていくための仕掛けを意図的につくっているんです。
この「仲間と同じ目標を追いかけ、成果を喜び合う」という感覚は、福本氏が早稲田大学のサークル活動で味わった原体験に紐付いている。
福本学生時代、イベント運営のサークルで活動していました。資金がない状態から、早稲田近辺の飲食店を地道に回り、100社ほどから協賛金を募って100万円を集めました。
そして、その資金を元手に、学園祭のステージに芸能人のゲストを招き、700席の会場を満席にすることができました。
この過程での苦労、そして前日・当日のワクワクや熱狂は、忘れることのできないほど印象的なものでした。
そんな福本氏の語る「チーム全員で熱量を高めていく仕掛け」の最たるものが、入社したばかりのメンバーの数カ月後のカレンダーに、先に「内定おめでとう飲み会」を入れるという運用だ。その日までに、新入社員としての最初の内定獲得を生み出すことを、本人だけでなくチーム全体の目標にする。成果が生まれる日を先に予定へ置くことで、全員が同じ期限を見ながら動く。まさに文化祭の準備のような仕掛けである。
この飲み会は必ずしも華やかなお祝いの場になるとは限らない。文字通り「おめでとう」と全員でハイタッチできる祝勝会になることもあれば、思うように結果が出ず、成果に届かなかったケースもある。その場合は、次なる一手のための真摯な「反省会」や作戦会議の場へと変わる。
福本ただ楽しく飲んで終わる仲良しグループになんて、なりたくありません。実際に、目標達成に至らず、厳しい反省会をしたこともあります。
学生にとっての文化祭なら、本番は一年に一度しかありません。しかし、仕事は、毎日が本番であり、毎日が本番前日です。プロとして価値を出し続けなければならず、高い目標に向き合い続けることをやめて良い日はありません。ですがそれは同時に、毎日新たな目標を達成して喜び合うチャンスがあるということだと思うんです。
そういう日々を本気で過ごし、互いに心から認め合い、本当の楽しさを味わっていくチームでありたいですね。
自由と熱狂を重視する一方で、そのためにも、プロフェッショナルとしての規律や成果に対しては当然シビアになる。この楽しさと成果責任の両立こそが、良い意味での“サークル的カルチャー”を持続可能なものにしている。
他の新規事業も同様だ。新たに立ち上がったソーシャルコマース事業では、あるメンバーが夜10時から深夜2時までTikTokライブの配信を毎日続け、まさに「文化祭の前日」のようなコミットを続けているという(※もちろんこのメンバーは、日中の稼働時間をずらすことで、社員としての勤務時間を調整している)。
そして、このメンバーを心から応援しようという雰囲気が社内に広がっている様子も、まさに「文化祭の前日」だ。中には、毎日夜遅くまで、業務時間外に自主的に視聴し、コメントや商品購入をしている社員もいるという。
こうした熱量を持続させるためにも、「成果を出し続けること」は何よりも重要だ。本記事冒頭で示したように、今期だけで10億円規模の増収を目指せる見通しがある。これは、カルチャーを持続させる役割も持っているのだ。
吉村楽しい時間を一生続けるためには、相応の利益を稼ぎ出すことが不可欠。そして、そのためのシビアな目標設定も必要です。それらがないと、大学のサークルと何ら変わらない。ただダラダラと衰退していく「持続不可能な馴れ合い」になってしまいます。
和田私たちが掲げる「人々の情熱に寄り添い 一人ひとりに合った働き方を実現する」というミッションは、生半可な気持ちで到達できるものではないと考えています。しかも事業規模・組織規模が大きくなるにつれて、その難度はどんどん高まっていく。
その一方で、私たちがより大きな力を発揮できるようになれば、その分、寄り添う対象となる求職者・顧客企業、そして社員・従業員の数も増えていき、この世の中に「一人ひとりに合った働き方」が広がることになる。非常に大きなやりがいを覚えるミッションだと感じています。
その中で、利益や売上という成果は、常に必要不可欠なものでもあると捉えています。
AIで時間を生み、人間へ再投資する
ここまでの取り組みをたどると、Wonder Camelが掲げるミッションが、社外への価値提供と社内の環境づくりを貫いていることが見えてくる。このつながりを象徴しているのが、新オフィスの設計時に経営管理部が掲げたコンセプト「Your Base」という言葉に込められた本来の願いでもある。
奥村メンバーそれぞれの仕事や、チームとしての仕事、部署を超えたリアルなつながりが、よりよい形で実現する「あなたたちの場所」が、今、形になった感覚があります。ここからより良い仕事が進んでいくよう、今後もさまざまな取り組みを進めようと思っています。
私たちが考える「社内の環境づくり」には、大きく2つの軸があります。一つは「柔軟な働き方」、もう一つは「オフィス」です。
世の中には、実力・経験や「働きたい」という強い意思があっても、出産・育児、介護、あるいはパートナーの転勤など、ライフステージの制約によってキャリアを諦めざるを得ない人たちがたくさんいます。特に女性である私には、そのほとんどが他人事には思えず、非常にもったいない構造があると感じています。
だからこそ、Wonder Camelは創業以来、そうした思いに社外だけでなく社内に対しても寄り添いたいと考えてきました。実際、社内には週3、4勤務のメンバーや、海外・地方から働くメンバー、フリーランス的な働き方を経て今は独立したメンバーなど、さまざまな形で働き続けてきた人たちがいます。実は私自身も週3勤務です。
オフィスも、そうした環境の延長線上にあるものでありたいと思っています。制約を超え、長く継続して働き続けられる、そんな柔軟な環境としての「Base」を物理的な形としてしっかりつくり上げたかった。それがかなったところです。
しかし、オフィスの完成は、事業・組織の次のフェーズの始まりにすぎません。「仕事が終わった」と感じる暇などなく、むしろここがスタートラインだと思っています。柔軟な働き方も、オフィスという場も、これからも両方の軸で取り組みを続けていきます。
『Wonder Camel Career』では求職者の人生の決断に寄り添い、『quickflow』ではフリーランスが抱く新たな挑戦への想いに寄り添う。その中で、顧客企業の新たな取り組みへの想いにも寄り添っていく。
そして、そのためにも、社として空間や制度の整備を通じ、社内メンバーの一人ひとりが抱く情熱に寄り添う。
一人ひとりに合った働き方を実現する
ミッションに向かって突き進むWonder Camelが選ぶのは、効率化によって人の仕事を減らすことではなく、そこで生まれた時間を、求職者や顧客企業との対話に振り向けることなのだ。
和田AIによって、これまで何時間もかかっていた作業が数分で処理できるようになる。そうした効率化は当然どんどん取り入れていきます。しかし、正解のない問いに対する判断や、企業と個人の間で交わされる感情的な納得感までをAIに委ねることはできません。この部分で強みを持つ組織になっていきたい。
これこそが、これからの時代にプロフェッショナルファームが生き残り、価値を提供し続けるためのアプローチになるのだと考えています。
以前から考えていたことが、たまたまこの時代の変化にも合っているという感覚があることも否定はできませんが(笑)、やってきたことが間違っていなかったのだとも思いました。これからもこの強みをさらに発揮していきたいですね。
AIで時間が生まれたとき、人は何をするのか。Wonder Camelの取り組みは、その余白を「深い対話」へ振り向けるという、一つの答えを示している。
こちらの記事は2026年08月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
写真
藤田 慎一郎
おすすめの関連記事
「TAMからの逆算」だけが、社会課題解決じゃない──創業2期目で売上5億円・元BCGのWonder Camel和田が描く、“ゴールを定めない起業・経営術”
- 株式会社Wonder Camel 代表取締役社長
創業3期目のM&Aで描く「コンサル×エンジニア」の構想が、2つの大きな非連続成長を生む──Wonder Camel和田・吉村の挑戦
- 株式会社Wonder Camel 代表取締役社長
20超の事業失敗、自宅玄関で倒れ込む毎日、そして……──Wonder Camel代表・和田 淳史の「やめ3」
- 株式会社Wonder Camel 代表取締役社長
マッチング事業の勝ち筋は「即払い」にある──創業3期目で売上10億円。人材、M&A、ヘルスケア...と事業ポートフォリオを拡大するWonder Camelは「あと5年で100億円」へ
- 株式会社Wonder Camel 代表取締役社長
「非財務情報を軽視したM&Aは失敗する」──Wonder Camelのアクリオ買収に学ぶ、信頼資本の活かし方
- 株式会社Wonder Camel 代表取締役社長
【ベンチャーキーパーソン名鑑】BizDev編 Vol.4:Wonder Camel 吉村 研人氏
- 株式会社Wonder Camel 取締役/共同創業者/人材マッチング事業部リーダー