マッチング事業の勝ち筋は「即払い」にある──創業3期目で売上10億円。人材、M&A、ヘルスケア...と事業ポートフォリオを拡大するWonder Camelは「あと5年で100億円」へ

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インタビュイー
和田 淳史

上智大学経済学部経済学科卒。アビームコンサルティングにて業務改革、システム導入など国内外それぞれで幅広いプロジェクトを経験。ボストンコンサルティンググループではナショナルクライアントを相手に全社的な戦略策定に携わる。その傍ら、ベンチャー企業支援の経験も積んだ。2021年、株式会社Wonder Camel創業。

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創業3期目にして年間売上10億円を達成し、勢いを止めることなく成長し続けるWonder Camel。同社の主事業であるフリーコンサルタントに特化した人材マッチングサービス『quickflow』は、「高単価案件×即払い」という働き手の視点に立った魅力を掲げ、同領域における独自のポジションを築きあげた。

2023年7月には隣接領域への事業拡大を目指し、システムエンジニアの人材マッチング事業を展開するRotoworksを自己資金によるM&Aという大きな決断に踏み切った。

コンサルティングファーム出身者が率いる会社は、そのままブティック・コンサル化することも多い。一方Wonder Camelは、「働き手側の課題解決」を軸に、業界や領域を問わずにいくつもの事業を創出し、市場拡大を続けようとしている。その柔軟な経営判断の根幹にあるのは、「人々の情熱と共に歩む」という同社のミッションだ。『quickflow』の次にある景色とは。Wonder Camelが描くこれからの事業戦略と、その展望について和田氏に聞いた。

  • TEXT BY YUKI YADORIGI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「高単価×即払い」でフリーコンサルタントの課題に風穴を開ける

和田創業2期目で当初の目標を大きく上回る年間売上5億円を達成し、3期目を終えた現在は年間売上10億円という大台に乗ることができました。

この成果には私自身が驚いています。前職では売上の一部を担っていたものの、自ら売上を作っている感覚は正直あまりありませんでした。しかし、Wonder Camelを創業して事業をゼロから生み出してみて、改めて売上に対する捉え方が大きく変わりましたね。

そう振り返るのは、Wonder Camelの代表取締役社長である和田淳史氏だ。アビームコンサルティングやBCGに在籍し、国内外を横断する数々の戦略策定を経験する傍ら、ベンチャー企業支援にも携わってきた経歴の持ち主だ。

2021年、「人々の情熱と共に歩む」をミッションに掲げ、Wonder Camelを創業。現在同社はフリーランスマッチング、ヘルスケアベンチャー支援、経営コンサルティング、そして転職支援と幅広い事業ポートフォリオを持つ。創業当初はコンサルティングを軸とする構想を描いていたという和田氏。しかし、そこで出てきた新たな要望を踏まえて事業を広げていくうちに、想像以上の事業成長が続くこととなった。

和田売上の増加に伴って扱える金額の規模は必然的に大きくなります。それにより、これまでの広告投資などの事業を直接成長させる投資だけでなく、たとえばオフィスの拡張や、採用媒体の活用などの間接的・中長期的な視点での投資ができるようになりました。

会社のブランディングも高まり、ハイレイヤーな人材の採用にもチャレンジできるようになったので、今後さらに会社として大きく飛躍できると感じますね。

同社の躍進の屋台骨となったのは、フリーコンサルタントの人材マッチングサービス『quickflow』だ。SAP案件とフリーコンサルタントのマッチングという極めてニッチな領域に特化したことで、「高単価案件の充実と即払い」という独自の強みを築き上げた。情熱をもって独立に挑まんとするフリーコンサルタントを支える同事業は、まさにミッションを体現したプロダクトとも言える。

和田「人々の情熱と共に歩む」というミッションの原点には、大学時代に友人のテスト勉強を手伝ったときに感じた「頑張る人に対して価値を届けたい」という思いがあります。

『quickflow』もミッションに深く根付いたプロダクトです。従来のフリーコンサルタント向けの案件紹介サービスでは、プロジェクト終了から報酬の振込までの期間が長引いたり、最悪未払いなどのトラブルが起こったりすることもしばしばあります。こうしたキャッシュフローに関する課題を「即払い」によって解決すれば、新規事業の立ち上げに向けて資金を集めたい人や、フリーランスとして活躍していきたい人に価値を届けられると考えました。

「人々の情熱と共に歩む」というミッションに直結するプロダクトだからこそ、『quickflow』は多くの支持を集められたのだと思います。

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新しいことに挑戦する人の情熱を支えるのは、健全なキャッシュフロー

「人々の情熱と共に歩む」。そのひとつの形を示した『quickflow』は、Wonder Camelをさらなる挑戦へと導いた。フリーコンサルタントの悩みを解決する段階で確かな手ごたえを感じられたからこそ、新たな方向性も見えてきたと和田氏はいう。

和田SAP案件とフリーコンサルタントを掛け合わせるポジショニングは、高いニーズに応えられる反面、市場規模が小さいという課題も抱えています。いずれ領域を縦横に展開していく必要が出てくるだろうと構想を描いていたところに、ユーザーからも「SAP案件以外の案件はないか」という問い合わせをいただくようになったんです。その声に応える形で新たにDXコンサルティング領域の人材マッチング事業を始めました。

Wonder Camelは2023年7月にRotoworksの全株式を取得し、完全子会社化。エンジニアを擁するRotoworksと手を組むことで企業のDX支援に資するコンサルティングを提供できるばかりか、エンジニアが上流から関われる“一次請け”の構造を生み出すことも意識を向けている。業界課題を中心に捉え、その業界で働く人々が情熱をもって働ける仕組みを作ろうとしているところがWonder Camelらしさであり、事業成長の起点でもある。

和田コロナ禍を機に、広義の“フリーランス”という働き方を検討する人が増えました。その追い風はコンサル業界にも吹いており、激務を経て昇進していくことが健全なキャリアなのか、という疑問から退職・独立を考える人も一定数いらっしゃいます。

実際に、コンサル領域のフリーランスへの依頼案件数とマッチング希望者数が近年顕著に伸びているという調査結果(*)も出ており、フリーコンサルタントの活躍の場は今まさに広がりつつある最中と言えるでしょう。

そしてこの需要急増の背景には、DX支援を推進するITコンサルタントへのニーズの高まりがあると考えられます。私たちはこのニーズに応えるべく、Rotoworksと手を組んだのです。

(*)「ITエンジニア・クリエイター正社員転職・フリーランス市場動向 2023年6月」(レバテック株式会社調べ)によると、コンサル領域のフリーランス案件数は前年同月比7.2倍、案件希望者数は7.6倍。

RotoworksのM&AからPMIまでのリアルな舞台裏については、過去記事にて詳細が語られている。どのようにして創業3期目のベンチャー企業が、完全自己資本でM&Aに挑むことができたのか、ぜひご覧いただきたい。

Rotoworksと手を組むことで『quickflow』でマッチングできる案件の幅が広がっていくことは、コンサルタントのキャリアの選択肢を増やすことにもつながっていく。ユーザーからも「キャッシュの悩みが解決された」という感謝の声が絶え間なく届いているという。

和田日本酒メーカーを立ち上げたい、経理業務のアウトソース化を進めたい……フリーランスのコンサルタントの中には、そういった新たな取り組みに向けてキャッシュを貯めたいと考えている人たちが多くいます。

『quickflow』が強みとする即払いによってキャッシュフローを改善できると、彼/彼女らが挑戦できることの幅も広がっていくわけです。フリーランスとして長くキャリアを築き、他のマッチングサービスを経験してきた方も「こんなに早く支払われるなんてすごい、以前は支払われないことすらあったのに」と驚きの声をいただきました。

コンサルタント業界に限ったことではないが、多重下請け構造の弊害によってフリーランスとして働く人への支払いが遅くなることは決して珍しくない。多様な働き方が選択しやすい社会になりつつあるとはいえ、正当な報酬を適切なタイミングで得ることができず、苦しめられる働き手は多くいる。その課題に根ざした事業領域の拡大を続けることで、Wonder Camelは一般的なブティック・コンサルとは一線を画す成長を遂げたのだ。

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営業力強化が年間売上100億円への道を築く

創業3期目にして年間売上10億円を達成したWonder Camel。しかし和田氏はその結果に一切の奢りを見せることなく、次なる目標“5年で100億円”を虎視眈々と見据えている。その戦略の要となるのが、「つなぐ力の強化」と「フリーランス活用に挑む企業の新規開拓」だ。

和田案件と人材をつなぐポジションで活躍する人を採用し、「つなぐ力の強化」を図ること。そして、フリーランス活用に挑む企業の新規開拓によりその母数を増やしていくこと。双方に注力していくことで、さらに事業の伸長が見込めると考えています。

前者のマッチングを担うポジションを我々は「営業」と呼んでいるのですが、このポジションでは幅広い出自の方々が活躍しています。コンサル業界の知識や経験がある方はもちろん歓迎ですが、その部分は入社後もサポートすることができます。それよりも、臆することなく視座の高い取引先と対話できるスキルのほうが大切ですね。例えば、金融機関で富裕層向けの商材を扱った経験がある方であれば、そこで培ったコミュニケーションスキルを大企業に向けた商談で活かせるはずですから。

一方、フリーランス活用に挑む企業の新規開拓については、現状ですとまだ役員層が担っています。プロジェクトについては一企業ごとに一役員が紐づいて推進することが多いのですが、今後は入社いただいたメンバーにどんどんお任せすることで、社内の力を強めていったり、別の企業にアプローチしたり、フリーランス活用の可能性を一層広げていきたいです。

和田氏はこうした『quickflow』拡大に向けた道筋を描く一方で、個々のフリーランスが頭を抱える構造的な課題を解消することへの視点も捨ててはいない。

和田近年は大手コンサルファームがフリーランスと企業のマッチングプラットフォームを運営しているケースも見受けますが、それで下請け構造が解消されるかと言えば、決してそうとも言いきれません。フリーランスが下請けの下位に入ってしまう構造そのものを変えなければ、仲介側の事情によるキャッシュフローの停滞リスクは残り続けます。

昨年私たちがRotoworksを子会社化したのも、こういった課題意識からたどりついた結論でした。もともとRotoworksはWonder Camelにエンジニア人材を紹介してくれていたのですが、それは結局「多重下請け構造の焼き増しに過ぎないのでは?」と気付いたのです。フリーランスが直接案件を取って単価を上げていくためには、ツリー構造の内部から下請けの弊害を解消していく必要があるとの考えに行き着いたんです。

フリーランスに立ちはだかる構造的な課題を解決することで、自社のプラットフォームに優秀なフリーランス人材を惹きつけ、その潤沢なプールを元手に大手企業への提供価値を高める。HR領域におけるマッチングプラットフォームについては、そういった勝ち筋がすでに見えているのだろう。しかし、Wonder Camelの事業展開の可能性は、HR領域に限られているわけではない。

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人材紹介やベンチャー支援など、幅広い事業ポートフォリオに込められた想い

『quickflow』から新たに広がりつつあるのは、「SAP→DX」といった案件軸での領域だけではない。マッチングする対象、つまり「フリーランス→社員」という雇用形態軸での領域拡大も始まっている。

和田大企業への営業活動をしていくなかで、「フリーランス活用だけでなく、正社員採用も検討したい」という声をいただくことが増えてきました。

というのも、金融をはじめとしたセキュリティに対する規制の強い業界ですと、フリーランス活用への懸念を抱かれることは少なくありません。そういった企業の皆さまの声を受け、2023年8月頃から正社員の人材紹介事業も着手しました。売上はまだ1000万程度と、売上全体に占める割合としてはまだ小さいのですが、1億、2億とさらに売上を大きくしていける手応えを既に感じています。

ご存知の通り、人材紹介事業は多くの競合がひしめく領域だ。これまで「フリーランス×SAP」というニッチな領域でニーズに応えてきたWonder Camelにとって、人材紹介事業への進出に勝ち筋はあるのか。どのように数多の競合サービスと差別化を図り、優位性を打ち出すのだろうか。

和田私たちの競合となるコンサル特化のエージェントは、すでに転職を検討し始めている顕在化した候補者に対し、リスティングやGoogle広告を通じてメッセージを訴求していくマーケティング戦略が一般的です。

一方私たちはSNSによる自社発信に注力していることから、潜在層に直接アプローチできるのが強みですね。

また、Wonder Camelはコンサル業界出身のメンバーが多く在籍しているので、“コンサル業界のキャリアアドバイザー”としてのレベルが高いことが大きな強みになるでしょう。潜在層にアプローチできるチャネルを持つことと、コンサル出身者による質の高いアドバイスが、コンバージョンの高さを生み出す起点になると考えています。

転職者にとって自身と同じバックグランドを持つキャリアアドバイザーに相談し、適切な案件を紹介してもらえる機会は非常に貴重なものであろう。

こうしたコンサル業界特化型の人材紹介業のほか、Wonder Camelはさらにヘルスケア領域のシード期スタートアップ向けのマッチング事業も展開している。

和田ヘルスケアベンチャーの多くは自社技術の研究開発に集中しており、それを市場に出して量産化する段階に対する知見は乏しい傾向があります。将来的にビジネスとしてグロースさせていく戦略について知見があるのは、大手ヘルスケア企業です。

将来性のある技術を持つスタートアップと、ビジネス戦略に長けた大手企業をつなぐことには双方から高いニーズがあったため、私たちはヘルスケアベンチャーのマッチング事業を立ち上げました。本事業についても売上はすこしずつ見え始めており、スポットでのマッチング事例を着実に形にしつつあります。

一見して関連性が見出しづらい事業ポートフォリオの芯にあるのは、情熱を持ってそれぞれの形で社会貢献に挑む人々の姿と、彼らが抱く大きな課題だ。そこに対してあらゆる解決策を提案・実行していくことが、Wonder Camelのミッションに紐づいた使命なのだ。

特定の領域に囚われることなく、「100億円の売り上げを目指したければ、10億円のビジネスを10本作ればいい」と語る和田氏の経営術についても、ぜひ過去の記事をご参照いただきたい。

こうして事業ポートフォリオを見渡してみると、いずれの業界の課題にも真摯に向き合い、そこで働く人々の情熱と共に歩む姿勢を感じられる。それがビジネスとして成功するという勝ち筋の捉え方も美しい。しかし、その道のりの裏側には、当然数えきれない失敗があった。

和田メディア事業を立ち上げて失敗したり、新卒採用支援でうまくいかなかったり……これまでたくさんの失敗を重ねてきました。うまくいく事業もそうでない事業もあったけれど、そのすべてのプロセスを楽しみながら、成功するまで何度もやり続けてきた結果が今につながっているのだと思います。

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自ら事業成長を創り出す人同士が手を組み、「人々の情熱」に向き合い続ける

「Wonder Camelをいい意味で利用してほしい」。これは和田氏が、メンバーや候補者に常日ごろ伝えている言葉だ。Wonder Camelは、売上見込みの規模がさほど大きくない事業アイデアであっても、それが社会課題の解決に資するものであれば積極的に実現をめざす。内容問わず、なんらかの強い目的がメンバーにあれば、チャレンジの可能性は無限大だという。

そんな同社だからこそ、事業の幅を自ら広げ、成長を創り上げていく人を求めている。

和田いまのところコンサルティングファームの出身者が多い組織ですが、抽象度を高めて言えば「考えるのが好き」というところがメンバーの共通点かもしれません。もちろん、非コンサルでも、大企業や富裕層とのやりとりの経験があれば活躍できる素地は十分ありますし、若手でも「人を支えるのが得意」という自覚のある人であれば、ポテンシャル採用をしています。

また、私たちは研修や人材育成に対してかなり力を注いでいるので、業務上必要なスキルを身につけるためのカリキュラムは充実している環境です。これに加えて全社員と月1回の1on1も実施しており、そこでスキルの習熟度をチェックしたり、適切な成長の機会を設けたりすることが仕組み化できているのも強みです。

Wonder Camelの仕事は、既存のコンサルファームとは全く異なります。マッチングプラットフォームとして企業とコンサルタント双方に関わるので、ときに板挟みになることもある難しい立場ですが、だからこそ「人々の情熱」について考え続けられるとも感じています。とてもやりがいのある、面白い仕事ですよ。

事業の特性上、Wonder Camelはハイレベルなコンサル出身者が集う会社というイメージが強いが、異業界から転職してきた人材も、そして若手も活躍できる環境が整っているという。

事業面・組織面に両方でコンサルティング業界と関連性が深い一方で、コンサルティングにこだわらない事業展開を続けてきたWonder Camel。人々の情熱を阻んでしまう要因は、ビジネスのあらゆる点に潜んでいる。その一つひとつを解決していく同社の事業成長は、今後さらに加速していくのだろう。

こちらの記事は2024年01月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

宿木 雪樹

写真

藤田 慎一郎

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