目指すのは、令和を代表するメガベンチャー。
EC・DtoCを軸に日本経済を動かすACROVEの新たなる一歩

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インタビュイー
荒井 俊亮

日本大学法学部在学中にACROVEの前身となる株式会社アノマを設立。植物性プロテインをはじめとした自社ECブランド事業を展開。その後株式会社ACROVEに社名変更し、現在はEコマースやマーケティングの知見を生かしたEC事業者向けBIツール及び周辺サービスの提供を行うECサービス事業、ECブランドの買収とバリューアップを行うECロールアップ事業を展開している。

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創業期にあるスタートアップの約半数は、最初の事業を伸ばせないまま他の事業にピボットすると言われているが、全ての事業を黒字化しつつ、EC・DtoCを軸に領域を拡大している新進気鋭のスタートアップがある。ACROVE(アクローブ)だ。

ACROVEの荒井俊亮氏は、グローバルIT企業AnyMind Groupでの修行期間を経て、2018年11月に前身となるアノマを創業。「世界で最も、強く優しいプロテイン」というコンセプトのもと、エンドウ豆プロテインのD2Cブランド『ANOMAプロテイン』を開発・販売するほか、健康食品のOEM事業も手がけていた。

そして2020年10月、以前より開発を進めてきたマーケティングBIツール『ACROVE FORCE』をローンチし、会社名をACROVEへ変更。

創業期からのメイン事業であるプロテイン事業は、今も順調に伸び続けている。国内プロテイン市場は拡大を続けており、前途は明るい。それでも彼らが事業領域を広げる選択をしたのはなぜなのか。創業2年の若きスタートアップが、新プロダクト開発に込めた想いをひもとく。

  • TEXT BY HARUKA MUKAI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY YUKI KAMINUMA
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目指したのは、アスリートにとって至上のプロテイン

代表の荒井氏がアノマを創業したのは22歳の頃。創業の経緯をこのように振り返る。

荒井子どもの頃から自分で何かをやって、人を驚かせたり喜ばせたりするのが好きでした。ですから、必然的に起業の道に進むことに決めました。ただ、当時の僕が得意だったことと言えば、運動と、かじった程度のマーケティング知識くらい。そこで最初の事業領域は、自分とも関わりが深く、toC向けの商品として売れるプロテインに決めました。

「ANOMAプロテイン」はエンドウ豆を使用したプロテイン(ピープロテイン)製品だ。荒井氏によれば、牛乳を原料とするホエイプロテインや、大豆を原料とするソイプロテインが圧倒的な主流であるプロテイン市場において、ピープロテインの市場シェアは欧米で約5%、日本ではわずか1%に過ぎないという。「ニッチ」とも言えるこの領域にあえて手を出したわけだが、どのような理由があったのだろうか。

荒井アスリートにとって、筋肉をつけるために良質なプロテインを摂取することは非常に重要ですが、なかなか良い製品がないなと感じていました。もともとプロテインは、牛乳をチーズに加工するときに大量に生成されるホエイを有効利用する目的で作られていたという経緯もあり、品質を良くしようという空気があまりなかったんです。

ホエイプロテインでは、アレルギーによってお腹をこわしてしまったり、うまくタンパク質が吸収されないことがある。また、プロテイン製造のために飼われている膨大な数の牛から排出されるメタンガスは地球温暖化の原因になっており、環境にもやさしくない。

一方、植物性タンパク質でメジャーなソイプロテインは、原料に品質の良い大豆が使用されている製品があまり多くなかった。アスリートファーストで考えたとき、たどり着いたのがエンドウ豆を原料にしたピープロテインだったんです。

ホエイプロテインやソイプロテインに比べると、ピープロテインは原価率が高いうえに、日本でどこまで普及するかも未知数だった。難しいように見えるこの領域の開拓について、荒井氏は「素人だったからこそ挑戦できた」と言う。

荒井世界の植物性タンパク質市場はCAGR(年平均成長率)14.0%で伸びていますし、やがて日本のピープロテイン市場も、欧米並みの水準まで追いつくという直感はありました。

とはいえ、出してみるまで未知数な部分もあり、プロダクトアウトで自分が理想とする製品を必死に開発しました。栄養価はもちろん、美味しさにもこだわって、何十回も改良を重ねましたね。当時はいい意味でビジネスの素人だったからこそ、採算度外視でこだわることができました。

徹底的な品質へのこだわりの甲斐あって、発売後の売れ行きは好調で、Amazonなどの販売サイトでも高評価のレビューが並ぶ。なかでも、医師や栄養士といった専門家や、プロのアスリートに喜んでもらえたのが特にうれしかったという。「届けたかった人に届いた」という手応えがあった。

しかし、ここで荒井氏は次なる飛躍のために決断をする。今回リリースされたマーケティングBIツール『ACROVE FORCE』の開発だ。

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理想を実現するには、ここで満足するわけにはいかない

DtoCのプロテイン事業が順調に伸びていたタイミングで、「EC事業者向けのBIツール」という新しい事業に着手した背景には、どのような考えがあったのか。見えてきたのは、「起業家として経済を回し、より良い世界をつくりたい」という確固たる意思だ。

荒井より大きく経済を回すことで社会貢献したい。そう思ったのは、21歳の時に訪れたケニアでの経験があったからです。その前の年に続き2度目のケニア滞在でした。とある観光地で、前回出会った6〜7歳くらいの兄弟らしき男の子たちと再会したのです。彼らは、365日こうして観光客に対して物乞いをしています。それまで国際関係論などを学んでいたのですが、理論を学んで、ボランティアをしても、「経済なき道徳は寝言」だと痛感しました。

プロテインの事業では納得のいく製品を作ることができましたが、モノを作って売るというビジネスモデル上、指数関数的な売り上げ増は期待できません。また、売り上げのためにせっかく打ち立てたブランドを壊すようなこともしたくなかった。

そこで、自分たちがDtoC事業で培ってきたマーケティングノウハウをほかの企業と共有し、使っていただくことで、よりダイナミックに経済を回せるようになるのではないか、という発想が出てきたんです。

今回新たにリリースされた『ACROVE FORCE』は、EC事業における売上予測、広告最適化を行うためのツールだ。過去の売り上げや広告効果のデータを入力すると、どのように広告費を分配すれば売り上げや広告効果が最大化するかが分析できる。

一般的に、こうしたマーケティングツールによる予測には膨大な過去データが必要になることが多いが、過去のデータが少なくても高い精度で予測できるのが、『ACROVE FORCE』の最大の強みだ。ベイズ推定の理論を応用した、独自の統計モデルに組み込んでいるためだという。

荒井例えば、広告の費用対効果は、一般的にS字カーブを描くと言われています。数百円から数千円くらいまでは変化がなだらかで、数十万円や数百万円に増えると効果は一気に上がる。その後、数億円から数十億円になると効果は再びなだらかになり、頭打ちになる、というイメージです。

また、時間の経過による広告効果の変化にも一定の規則があります。その一つが「キャリーオーバーエフェクト」と呼ばれるもので、基本的に広告効果は、出稿したのち徐々にその効果が下がっていくという現象です。

私たちは、活用広告効果に関するこうした傾向を、プロテインDtoC商品を開発・販売するなかで実際に活用してきました。今回リリースする『ACROVE FORCE』は、私たちの蓄積してきたマーケティングノウハウを製品に落とし込んだものです。

しかし、専門性の求められる統計学の知識を、どのようにビジネスで活用し、製品化にまで漕ぎつけたのか。実現に際しては、統計学を専門的に扱う研究者たちに協力を仰いだ。

荒井偶然、データサイエンティストの友人と話す機会があり、そこから話が進みました。「ECの売り上げがもっと的確に誰でも予測できたらいいよね」という話から始まったと記憶しています。その後、統計学の研究者たちとモデルの整合性について議論を何度も重ね、どのモデルやどんな変数が適切かを導きました。

実際のモデルに既存事業のデモデータをインプットしたところ、予測の精度が非常に高いことが分かり、ソフトウェア開発を本格的に始動しました。

EC事業に特化した売上予測・広告最適化BIツールは、既に他社から出ていた。また、大手広告代理店なども、コンサルティングとして近しいサービス提供している。しかし荒井氏は、「中小企業でも利用できる、安価で手軽なツールはまだ少ない」という点に目をつけた。

荒井大手広告代理店の多くは、コンサルティングという形態で広告に関するノウハウを提供していますが、高額で大手企業以外は手が届かないのが現状です。つまり、中小企業にも現実的な価格で、ツールやコンサルティングを提供しているプレイヤーは意外にも少なかった。また、ツールよりもコンサルティングの方が短期で利益が出やすいので、大手広告代理店が同様のツールの販売に参入する可能性は低いだろうと判断しました。

日本に存在する企業のほとんどは中小企業です。なかでも、EC事業を展開する企業が、自社の商品やサービスを最適な顧客に届けられるよう支援する。これなら一定規模の売り上げが期待でき、社会的なインパクトも大きいはずだと考えました。

実際にベータ版のリリース後、順調に顧客は増えている。「売り上げが導入前の3倍に伸びた」など、効果を実感する感想も多く寄せられているそうだ。

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ツールとコンサルティングを両手にクライアントに伴走する

ACROVEのさらなる強みは、コンサルタントによるEC周りの手厚いサポートだ。売り上げを向上させることはもちろん、「冬にアイスを売るにはどうすればいいか?」といった顧客の個別課題にも向き合い、二人三脚で答えを探していく。

荒井これから導入企業を増やしていくうえで、ツールの活用を支援するコンサルタントの人数が、成長のボトルネックにならないようにしないといけないと考えています。そのため、人員確保に向けて、採用や社内育成の仕組みを整えています。育成については営業やコンサルティングのナレッジを細かく蓄積し、一定のレベルまで誰でも再現できるよう、マニュアルにまとめています。

クライアントとの関係構築には、ヘルススコアの活用も欠かせない。ECは売り上げに直結する部署だからこそ、定量的・定性的な評価でクライアントとの関係性をスコアリングし、良好な関係の構築に努めている。こういった地道な取り組みこそ、ACROVEが信頼される理由だ。

BIツールを軸にした、新たなサービスの展開も見えている。会社の展望について尋ねると、荒井氏はいくつかの企業を挙げて語ってくれた。

荒井1990年代後半から2000年代前半に創業し、現在もトップを走るベンチャー企業に早く追いつかなければと思っています。特に、サイバーエージェントや楽天、ディー・エヌ・エーなど。いずれも多角的に事業拡大して成長し、日本経済を支えるような会社になっているので、早くこの規模に追いつくのが直近の目標です。

ACROVEも、10年後には彼らと同じくらいの事業規模を目指したい。そのためにも、既存の事業領域にとらわれず、さまざまな事業を展開していきたいと考えています。

DtoCブランドから始め、EC・DtoCを軸にプラットフォーム企業として拡大、売り上げや社会的インパクトを最大化するために、事業領域を広げていく道を選ぶ荒井氏。その柔軟さもまた、彼の長所なのかもしれない。

ビジョンドリブンで走り始めたACROVE。企業としてのスタートラインを切って2年弱。道のりはまだまだ長いが、視界は良好だ。

こちらの記事は2020年10月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

向 晴香

inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ

写真

藤田 慎一郎

編集

上沼 祐樹

KADOKAWA、ミクシィ、朝日新聞などに所属しコンテンツ制作に携わる。複業生活10年目にして大学院入学。立教大学21世紀社会デザイン研究科にて、「スポーツインライフ」を研究中。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

校正/校閲者。PC雑誌ライター、新聞記者を経てフリーランスの校正者に。これまでに、ビジネス書からアーティスト本まで硬軟織り交ぜた書籍、雑誌、Webメディアなどノンフィクションを中心に活動。文芸校閲に興味あり。名古屋在住。

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