“セオリー”を意識するようじゃ、“競争優位”なんてつくれない──「非常識を常識に」を突き詰める、AI inside CEO渡久地・CXO保坂の組織デザイン思想

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渡久地 択

2004年から人工知能の研究開発をはじめる。以来10年以上にわたって継続的な人工知能の研究開発とビジネス化・資金力強化を行い、2015年にAI inside 株式会社を創業。2019年には東証マザーズ(グロース)上場を果たし、グローバルNo.1のAIプラットフォーム構築に向け舵を取る。

保坂 浩紀

光学機器メーカー、IoTベンチャー、UXデザインコンサルティング会社を経て、2019年10月に1人目デザイナーとしてAI inside に入社。デザイン組織を立ち上げ、プロダクト・会社・顧客・従業員をつなぐエクスペリエンスデザインに従事。2021年4月当社CXO(Chief Experience Officer・執行役員)就任。

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セオリーとは、何だろうか?うまくいく方法?失敗しないための約束事?おそらくそういったものだろう。敢えてそこから外れるという選択肢は、なかなかとりにくい。

だが起業家という存在はそもそも、前例や慣習に縛られることなく思考と実践を進め、過去にないイノベーションを目指す存在であるべきではないだろうか?そんなことを、取材陣に思い起こさせてくれた上場ベンチャーの経営者がいる。AI inside の渡久地択氏だ。

経営層から現場まで、妥協せずにユニークなあり方を探り、常に最適な組織をつくる。そんなAI inside における組織づくりの事例を、この記事ではお届けする。グローバルNo.1のAIプラットフォームを構築するため、あらゆるエクスペリエンスを管掌するCXO保坂氏の存在、そして強力過ぎるCxO陣はどのような布陣でどのように動いているのか、その具体的な姿から、刺激と学びを得よう。

「理想の組織形態」を思い描くも、なかなかうまくいかない。そう感じている経営者や事業責任者が多いことだろう。だが、臆することはない。理想を突き詰め、泥臭く行動し続ける。それだけでいいのだ──。

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リミッターを外して、独自の道を走り続けよ

今回の主題は「組織」。東証マザーズ(現グロース)上場から4年が経つ今、再編を行った狙い、そしてその背景にある独自の思想から、経営者・起業家・事業責任者のような立場のあなたに、大きな刺激と学びを届けたい。

まずは同社について、「なかなか“普通ではない”前提」を確認していこう。グローバルNo.1のAIプラットフォームを目指し、一般的なSaaSとはやや異なるリカーリング型モデル、そしてパートナーセールスという手法を駆使し、順調な事業成長を続けている。利益もしっかり積み上がっている。そして組織面では、経営陣(CxO)を見れば、元Apple米国本社副社長 兼 日本法人代表取締役や元マイクロソフト日本・アジア担当最高情報責任者(CIO)、元日本アイ・ビー・エム執行役員と、錚々たる顔ぶれが揃う(役員一覧はこちら)。

だが、こうした事実を知っているスタートアップパーソンは、意外と多くないかもしれない。

なぜか?その理由として大きいのが、あまりに独特な、「事業・プロダクト展開」と「事業KPIの設計」だろう。前者はコーポレートサイトを見ればある程度感じることができるため、ここでは後者について少し具体的に触れたい。ARRやユニットエコノミクスのような「SaaSビジネスモデルのKPIとして一般的な指標」が、決算説明資料において示されることがない。代わりに、AI利用回数やAIモデル数といった「いかにAIが利用されているか」という観点で数字を追っている。

FastGrowが2022年11月、UB Venturesのチーフアナリスト早船明夫氏と共にAI inside のKPI思考について迫ったイベントでも、その実態を明らかにした(イベントレポート記事が残っているので、ぜひ合わせて参照してほしい)。

さてこのように、国内スタートアップでは異例とも言える豪華なCxO陣や、独特の事業モデルといった点で、「セオリーに縛られない経営」を続けているのが、代表取締役社長CEOの渡久地択氏だ。まさにこれまでの軌跡は、「非常識を常識に」という同社が持つ価値観を鮮明に描いたものとなっている。

渡久地最近、スタートアップ経営者の何人かから、こんな相談を受けました。「○○といった施策をやろうと思ったのですが、ビジネスのセオリーに反しているようなので、社内でも議論になっています。こういう時、どうすべきでしょうか?」と。

悩む必要はないのでは?というのが率直な感想です。セオリーに則ったら、差別化なんてできませんよね?セオリーに外れた議論ができるのなら、むしろ最高じゃないですか。それが、競争力の源泉になるわけですから。

歴史の長い大企業も含めて他社にはない強みを構築することこそ、起業家・経営者の至上命題だ。それなのに、セオリーや前例に縛られてしまっては、そもそも勝負が成り立たない。最初から「負け戦」になってしまう。渡久地氏は、そんな懸念を指摘しているのだ。

保坂渡久地と話をすると、「思考のリミッターが外れる」という感覚があります(笑)。社外からもよく言われていますよね。他には、「こんなすごいCxOを揃えるのなんて、難しくないですか?無理じゃないですか?」とも言われます。

渡久地「いや、やればいいじゃない。必要だと思う方に連絡するんです」といった返事をよくしています。僕としては「面白くない回答ですみません」といつも感じているところで(笑)。

核心をついた発言で、そもそも社会の外れ値とされるはずの起業家らのリミッターを刺激する。そんな渡久地氏を中心に、非連続的な企業成長を描くための組織デザインが考え抜かれてきた。

このAI全盛の時代において、グローバルNo.1プラットフォーマーを本気で目指す同社が突き詰めた理想の組織像と、その実践手法を、いよいよここから読み解いていこう。

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「資本力で負ける勝負」を、しないための組織とは?

渡久地私たちが上場する前後の時期にSaaSというビジネスモデルについての情報が広く出回り始めました。私たちは当時、パートナー戦略を強化しAI-OCRのプロダクトをサブスクリプションモデルで拡販していこうと考えていた頃でした。

ただし、SaaSのセオリーといったイメージで急速に広まった「THE MODEL」は、当時から明確に「おかしい」と感じていましたから、そのモデルは採用しませんでした。

今(2023年)でこそ、「THE MODELの体制は、うちの事業特性に合わない」とロジカルに語る経営者も増えている。だが、2020年ごろには、そうした声はかなりの少数派だったはず。渡久地氏はそんな時期から、より洗練された組織構成について想いを巡らせていた。

渡久地誤解を恐れずに言えば、ですが、THE MODEL型って、分業による工場みたいな組織になってしまうと思いませんか?

仕事を綺麗に切り分けて、縦割りで担当を決めこんでいき、それぞれに目標を掲げてオペレーションを確実に回し続ける。確かに、効率的ですし、スケールしていくと思います。それが最適となる事業は少なくないでしょう。

でも、私たちの組織がそうなってはいけないと強く感じていました。

渡久地氏が目指していた姿をまとめて表現するなら、「AIをはじめとした最先端テクノロジーを活用した、少数精鋭・超効率化を突き詰めることで、資本力によって負けることのない企業組織」だ。

渡久地役割分担を細かく明確化して、一人ひとりの工夫によるレバレッジが大きくならない構造にしてしまうと、結局、資本力がモノを言う状況になりませんか?多額の広告費用を投下して、たくさんの人を雇い続けられれば勝てる、というだけのものになりませんか?

我々がそうなってしまうようでは、この社会に大きな変革をもたらすことなどできませんし、グローバルNo.1などもってのほかです。

あくまでベンチャー企業として始めたわけですし、今も限られたアセットの中で戦っているわけです。それでもすでに、この社会に対して新たに創出している価値の大きさや希少さには絶対的な自信があります。この強みを、さらに研ぎ澄ませていくんです。

思想や狙いは、至ってシンプル。ミッションに向かってひたすらまっすぐ取り組んでいるだけなのだ。

これをやや極端に言い表せば、こういうことだろう。AIがあまねく広がり、全人類に届けば、労働力不足や格差拡大といった、資本主義社会の課題に悩む必要はなくなっていくはず。それに逆行するようなビジネスモデルや組織デザインはできない、というわけである。

では、一体、どのような組織で、その理想への道を進んでいこうとしているのだろうか。次のセクションから、具体的に踏み込んでいく。

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「非常識を常識に」するための、組織進化の軌跡

AI inside の組織デザインを語るうえでのキーワードが、三つある。「機動性」と「価値源泉」、そして「意思決定力」だ。

まずは一つ目の「機動性」。ここに以前から強い意識を持ち、取り組んできた。

渡久地上場直後から少しずつ組織変更してきました。2020年にユニット制を試験導入、2021年から本格導入しました(当時の適時開示資料はこちら)。

推奨5人という小さなチームを「ユニット」と名づけ、各ユニットに権限を持たせることにしました。会社・個人の価値をあげるためにも、とにかく素早い意思決定と行動、そして改善を続けられる機動性を重視しました。

ユニット制となったことで、一人ひとりがより自律的に考え、素早くアウトプットを出す土壌が出来ました。これが、上場後も変わらず事業成長を続けられた大きな要因となっています。

ユニット制の導入に加え、組織力の強化のために推進したのが、CxO陣のアサインだった。2022年2月、すでに取締役としてジョインしていた前刀禎明氏がCMOに就任。同時に、CPOとCFOが就任。さらに同4月にCROとCTOを同10月にCIOを同12月にCESOを設置した(CESOに就任した岡田氏は2023年3月からCROに就任)。

渡久地グローバルNo.1のAIプラットフォーマーを目指すからには、グローバルNo.1の姿を具体的に知っている人物が必要です。そうシンプルに考え、私自身も手間や時間を惜しむことなく動き、この状況をつくりました。

取締役CMOの前刀さんは、元Apple米国本社副社長 兼 日本法人代表取締役という立場で、素晴らしい経験をしてきています。執行役員CIOの鈴木協一郎さんは、マイクロソフトで日本・アジア担当最高情報責任者(CIO)や、米国本社IT部門ゼネラルマネージャーを務めてきました。執行役員CROの岡田和敏さんは、元日本アイ・ビー・エムの執行役員として、AIプロダクトの先駆けとも言える『IBM Watson』を500社以上に普及させた人物です。

CxO陣はそれぞれが別々に管掌する業務範囲を定義してはいるものの、意識の範囲としてはかなり多くの部分が重なり合っているという状態にしているという。

渡久地たとえばCMOがマーケティング戦略を考えるときに、ファイナンスやレベニュー、エクスペリエンスといった要素を考慮しないわけありませんよね?逆もしかりです。

保坂私がエクスペリエンスを担当にしている中でもやはり、前刀さんがマーケティングやプロダクトに関して考えたり動いたりしていることを把握し、しっかりコミュニケーションを取り合って進めているんです。互いに良い影響を与え合い、より良い意思決定と推進・改善ができている感覚が強くあります。

渡久地CxO陣の間には、規律がありつつ、相互に影響しあうことで、イノベーションを起こし続けられるようにしているんです。ここでも常に「非常識を常識に」です。ちなみにこの言葉を社内で広めてくれたのはCMOの前刀さん。ソニーやAppleでの経験を感じる、とても力強い言葉です。

なお、渡久地氏がCPOを兼務して取り組んだ「プロダクトの新規立ち上げ」や最先端の技術研究も、まさに「非常識を常識に」という考えを体現した出来事だ。

渡久地私たちの事業の中心であり続ける「プロダクト」を、もっともっと強化していかなければならないと考え、CEOとしてだけではなくより強いコミットをしていくため、2022年2月からCPO兼任というかたちをとりました。

具体的には、あらゆるデータを元に、つまりマルチモーダルな自律学習によりAIモデルを創出する『Autonomous Learning』の立ち上げと、その技術をもとにして世の中に必要なソリューションを生み出す『AnyData』のローンチですね。主にCMOやCXOとの連携を密にしながら、かなり前線に立って推し進めました(プレスリリースはこちら)。

CPOとして、改めての基盤づくりはひと段落したと考えているので、CPOの立場は一旦ここで退任します。経営上、目下の最重要事項がテクノロジーとなるため、今後しばらくはCEOとして、CTOと連携してテクノロジー強化に注力し、当社サービスを支えるAIインフラの強化と、新技術開発に努めていきます。

すでに具体的な動きをいくつか始めています。例えば、多くの宇宙開発プロジェクトに携わっている東北大学の吉田和也研究室と、共同研究契約を結びました。当社のパーパスはAIで人類の進化と人々の幸福に貢献すること。そのために、現在のディープラーニングの限界を突破する必要があり、こうした宇宙などの未知のエリアでのAI活用を目指すことは、当社のアーキテクチャやインフラの成長に非常に役立ちます。宇宙とAIは相性も良いので、貢献できるはずです(プレスリリースはこちら)。

渡久地氏も含め、CxO陣の仕事は重なり合い、良い影響を及ぼし合っているという好事例が、こうした取り組みだ。

各ユニットが機動力を持って活動し、新たなことに次々と挑戦する。そして、その組織を強力なCxO陣がマネジメントする。まさに、常に最適な形を模索し、狙い通りの組織変更を進めてきた。

だが実はその裏で、じわじわとたまっていく負債もあったのだという。連携不足による「無駄」の発生だ。

縦割りでは、ボールが間に落ちがちだというイメージを持つ読者が多いかもしれない。AI inside において起きたのはその逆で、「複数のユニットがそれぞれ、同じようなボールを持っていた」という事態だ。

渡久地多くのユニットが同時並行的に速いスピードで動いているので、横の連携がうまくできなかったんです。同じ課題を見つけ、同じ対策と行動を取ってしまうことがあった。シンプルに言うと「統制が取りにくかった」ということですね。

もちろん、まずは現場のユニット同士の連携が進むように意識や業務フローを改めて整えました。ですがそれだけでは根本解決にはならない。そこで、2023年3月に各グループ内に、複数のユニットを束ねるかたちで「ディビジョン」を設置し、統制された情報の流れや組織の規律を持たせました。

事業づくりも組織づくりも、改善の積み重ねだ。渡久地氏がいくら理想の組織像に考えを巡らせたとしても、状況の変化によりその理想がそのままワークし続けるわけではないのである。

特に組織面は、枠組みを減らせば機動力が高まり、枠組みを増やせば統制力が高まる。そんな壁に、AI inside もぶつかっては、新たな改善を加えている。現時点での最適解が、今のかたちというだけであり、今後もさまざまな案が生まれ、進められていくのだろう。

事業の非連続成長につながる組織づくりの妙が、少しずつイメージできるようになってきたのではないだろうか。

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エクスペリエンスを一気通貫で整えるべし

ところで、2023年3月に進められた組織変更における、最大の変化でありユニークポイントについては、まだ触れられていない。それは、同社の組織デザイン思想が表れている。保坂氏が管掌するエクスペリエンスグループだ。ここは、下図を見れば、ピンとくる読者もいるかもしれない。

提供:AI inside 株式会社

渡久地氏が先ほど述べたように、プロダクトが中心に位置し、その周りにステークホルダーが存在している。そして、それぞれの境界において「エクスペリエンス=体験」が生まれるということを図示している。

保坂当社の環境を抽象的に表したのがこのトライアングルです。

右下の、青が濃くなっているあたりは、従来から私がデザイングループとして取り組んでいたあたりです。UXやBXと呼ばれるような体験設計に注力してきました。でもこれだけなら、ほかの多くの企業さんでもやられていることだと思います。

今回、グループとして機能を拡張させた点は、大きく三つ。CX・EX・PXです。

Customer Experience(CX)、Employee Experience(EX)、そしてPartner Experience(PX)。国内でも使われる機会こそ増えてきたものの、その意味合いや意義付けにはまだまだ揺らぎがある。

CXは、プロダクト開発においてUXと同じような内容を指して使われたり、CSの仕事の一環として扱われたり、という場面が多くなっているだろう。EXはCHROが管掌する領域での取り組みについて洗練させていく場面で使われることが多い。PXは、同社の成長要因とも言えるパートナーセールスにおける、パートナー各社のエクスペリエンス向上のことを指しており、読者にとっては最も新鮮な言葉だろうか(同社のパートナー戦略がよくわかる対談記事もあるので、合わせて参照してほしい)。

AI inside がこだわったのは、事業に関わる「エクスペリエンス」を一気通貫で整え、進化させること。その重要な立ち位置として、CXOを定義し、設置しているのだ。

保坂一人目デザイナーとして入社して、この3年でデザイン組織を12名体制にまで拡大させてきました(軌跡を振り返ったnoteがこちら)。

ここまでの取り組みの中で特に注力していたのが、UXデザインです。プロダクトを深く、多くのシーンで活用し続けてもらえるように、体験設計にこだわってきたんです。

そうして組織を大きくする中で、「ユーザ体験」だけにこだわればいいわけではないということがわかってきました。

渡久地事業として進化していくためには、UXだけを洗練させればいいわけでないはずです。このトライアングルで表現したあらゆる部分まで、エクスペリエンスは統一された思想で設計されていくべきだと、最近、明確に思い至ったんです。

以前からなんとなく、このようにしたいという想いはもっていました。だから保坂さんにも以前から、CDOではなくCXOという肩書になってもらっていたんです。

たしかに、これは一つの理想のかたちと言えそうだ。ユーザー体験が良いとしても、それはたいてい、プロダクト利用中の話である。それを受注前、さらにいえば認知するかしないかというタイミングまで先回りする考え方が、CXだと言える。そしてCXを洗練させていく中では、カスタマーに相対する従業員(Employee)の躍動が不可欠となるため、EXも当然つながってくる。パートナーセールスの割合が多い点を考えれば、PXが同様につながってくることも容易に想像できるだろう。

先の図を敢えて再掲しよう。改めて、そのつながりをイメージしてみてほしい。

提供:AI inside 株式会社

この「あるべき体験設計」の思想を図示したトライアングルこそ、組織再編の狙いを如実に表しているのだ。

ここにこだわる理由が、先に挙げたキーワードの二つ目、「価値源泉」だ。下図でわかるように、同社の成長を生み出す根幹であり源泉となるのが、ユーザ体験(UX)なのである。

提供:AI inside 株式会社

渡久地AI inside Cycleという、当社のビジネスの根幹を描いた好循環サイクルを掲げています。このサイクルの源泉になっているのが「ユーザ体験(UX)」です。そのUXを唯一無二のものとしていくため、CXOの保坂さんがさらに良い汗をかけるようにしたというわけです。

CXを保坂さんの管掌とするという話は、2月上旬頃に保坂さんに電話して決めましたね。

保坂たいていのことはSlackでやりとりやオンラインMTGで会話するのですが、この時は電話でしたね(笑)。

渡久地確かに、電話というのは珍しいかもしれないですね。この時は「今話して、今決めたい」と思ったので、すぐに電話しました(笑)。

保坂私自身も少し前から構想していたことだったので、電話で話して決めた後、すぐに推進を始めました。

CXOとして、すなわち「一人のデザイナーとしての立場を超えて」というイメージで、組織全体を見てきたつもりです。それでも「CXOとして見るべきエクスペリエンスの範囲はどこまでか?どう事業や組織とエクスペリエンスをつなげるのか?」という問いへの答えがなかなか出せず、頭の中がずっとモヤモヤしていたんです。でもようやく、その範囲とつながりを先ほどの三角形の概念図として整理できました。

EXについては私から渡久地さんに「やります」と言いました。というのも、尊敬するデザイナーの先輩が以前、こんなことを言っていたんです。「良いUXを実現していくためには、まず組織体制が必要。その中でも重要なのが、組織カルチャーに紐づくマインドセットと、行動を起こす仕組みだ」と。それはすなわち、EXなんですね。

もちろんEXにおいては、HR部門との連携が必要不可欠です。制度設計や組織開発の領域では、CHROの存在が重要になるでしょう。さまざまな領域で、それぞれが相互作用しながら、「より良い体験」を追求していきたいと考えています。

そうして、この3月の組織変更で、デザイングループからエクスペリエンスグループに名前を変えて拡張しました。

渡久地CXOという肩書の方は日本にも増えてきましたが、ここまでのエクスペリエンスをしっかりと担っている存在はほとんどいませんよね?私はエクスペリエンスは統合を強めるべきだと思いますけどね。

私はとにかくワクワクしていて、保坂さんと一緒に、素晴らしい事業と組織をつくっていける確信を強めているところです。

提供:AI inside 株式会社

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グローバルNo.1へ不可欠な、世界を見てきたCxO陣の「意思決定力」

事業の非連続成長を生み続けるため、渡久地氏や保坂氏らのCxO陣が考え抜いてきた組織デザイン。今、それを次々と実現している 。その狙いと、今後の展望について、最後に整理したい。

この2023年3月の組織再編は、主にエンタープライズへの価値提供を最大化するためのものだという。実は顧客企業とパートナー企業を合わせると、エンタープライズのステークホルダーは1,000社を優に超える。

プロダクトやデータベースの基盤をしっかり整備し続けるだけでも、現状のつながりが強化され、創出できる価値は非常に大きなものとなっていく。

渡久地エンタープライズにさらに価値提供するため、これまで以上に、企業としての強さを突き詰めていきます。そのための力強いCxOの布陣でもあります。

これまでグローバルにプラットフォームビジネスを構築してきた強力なCxO陣の知見が、そのまま活きる場面がすでに多いですし、これからさらに爆発的に増えていくでしょう。

この陣容がどのような意味を持つのか。それが、先ほど上げたキーワードのうち最後の一つ、「意思決定力」という言葉に収斂されると言えるだろう。

ユニット制で機動力を担保した、だが同時に生まれるデメリットとして「情報統制の弱さ」があった。それをどのように突破するのか。それは、マネジメント層に知見も経験も豊富な、非常に力強い人物をそろえ、緻密な調整を基にしてインパクトの大きな意思決定を進めるわけである。

保坂CXは私の管掌となりましたが、特にカスタマーサポート領域についてはまだまだ勉強中の身です。

多様なCxO陣の力をお借りしながら、思考法や具体アクションの質を上げていく一方で、意思決定は私自身が意識して力強く進めていく。このCxO陣の総合力は、まだまだどんどん進化させていけそうですし、それと合わせてメンバー全員が力強く進化していくよう、EXを洗練させていきます。

CxO陣を中心に、メンバー全員が力強く進化していく。そして、エンタープライズへの価値提供の最大化を実現する組織強化には、一人ひとりの生産性をより大きく向上させるための取り組みが必要不可欠になっていくと、渡久地氏と保坂氏は力を込める。

渡久地従業員数は少ないままで、大きなアウトプットが出せるようにする、生産性の向上を図っていくべきだと思うんです。ナンセンスなことや必要ないものは即刻取り除くべきです。そのために、オペレーションエクセレンスを追求し、社内のデータ一元化やシステムの刷新なども進めています。

加えて、一人ひとりがもっともっと勉強して努力や工夫をすれば、生産性向上に繋がり、アウトプットはかなり大きくなります。その伸びしろはまだまだ大きい。

そうでなければ、AIの自律学習に、あっという間に置いていかれてしまう。今話題のChatGPTを触った人なら、きっとわかると思います。AIに任せられる仕事はどんどん任せ、人間の価値を追求すべきです。

保坂生産性向上を図るには、EXの観点も深く関連します。コミュニケーションITに関するものなど、すでにいくつかのプロジェクトが走っています。「非常識を常識に」を実現する組織づくりに向けて、新たな変化が楽しみで仕方がないですね。

セオリーと呼ばれる言説や前例などに縛られることなく、独自の事業モデルを構築し、独自の組織デザインを突き詰めて考えるAI inside 。そのユニークさが伝わっただろうか。

「事業と組織の両輪を一緒に回し続けなければ、企業としてのグロースは続かない」という考え方こそ、広まってきた。だが結局のところ、実践手法を探る中ではセオリーや前例に従いがちだ。ドキッとした経営者の読者もいるかもしれない。

そうではない状況を自らつくり、楽しむ。そんな2人の話から、存分に刺激と学びを得て、明日からの事業・組織変革を具体的に考えてみてもらえれば本望だ。

こちらの記事は2023年03月31日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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