“コンパウンド化”の過程で直面した、3つの難しさの正体━Asobicaが見据える業界変革の鍵となる「データの統合と活用」のプロセスに迫る

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インタビュイー
今田 孝哉

2015年ファインドスターグループ(スタークス株式会社)に入社。年間トップセールス及び、社内の歴代記録を更新し(当時)最年少昇格を達成。CS領域におけるSaaSの立ち上げに従事し、多くの会社のカスタマーサクセス部門を支援。その後株式会社Asobicaを創業し、カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum」をリリース。2019年4月にはForbes JAPANによる世界を変える30歳未満30人の日本人「30 UNDER 30 JAPAN 2019」に選出。

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2022年の終わり頃から、ビジネスシーンでよく耳にするようになった「コンパウンドスタートアップ」というフレーズ。その新鮮な響きは、壮大なビジョンの予感を漂わせ、多くのビジネスパーソンを刺激することだろう。

一方で、複数の事業やプロダクトを巧みに展開することは、決して易しい道ではない。いまだに「まずは単独事業をしっかりグロースさせるべき」という意見も多い。

そんな中、コンパウンドスタートアップを標榜し、新たなチャレンジに挑む企業がいる。FastGrowでもお馴染みのAsobicaだ。

「遊びのような熱狂で、世界を彩る」というミッションを掲げる同社は、2022年にシリーズBラウンドでエクイティとデットファイナンスを用いて30億円を超える資金調達を実施。主力プロダクト『coorum』の導入事例にはSUBARU、花王、すかいらーくグループなど業界を代表する錚々たる企業のロゴが連なっている。

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いで成長するAsobicaだが、なぜ今、コンパウンドスタートアップという道を選んだのか? 実際何が大変なのか?そんな疑問の数々を同社代表取締役CEOの今田氏に余すことなくぶつけてみよう。

複数の事業やプロダクトを抱え、複雑な様相を呈するようになってきたスタートアップ。この時代を起業家はどのように生き抜いていくべきか、読者にはぜひ参考にしてほしい。

  • TEXT BY REI ICHINOSE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「一方的にPRすればモノが売れる時代」の終焉

今田まず、前提としてAsobicaはコミュニティプラットフォームのSaaSではありません。初期段階では機能を特化させるべくコミュニティを軸にプロダクトを展開してきましたが、弊社が中長期で見据えているのはあらゆる企業の意思決定の在り方をロイヤル顧客データ起点に変えていくということです。

そのため、初期段階からマルチプロダクト化を前提にプロダクト作りを進めてきました。昨今ではコンパウンドという概念が徐々に広がり始めていますが、我々もまさにコンパウンドスタートアップとして更なる成長を実現するために日々模索している所です。

取材冒頭から率直に心中をあらわにする今田氏。これまで何度もAsobicaに取材を敢行してきた取材メンバーも、Asobicaがコンパウンドスタートアップへと歩みを進めるその真意はまだ計り知れない。

その背景を理解するためには、まずは同社の「ロイヤル顧客マーケティング」というマーケティング手法が求められている時代背景を理解する必要がある。

今田氏が強調するのは「一方的にPRすればモノが売れる時代」の終焉だ。

今田SNSの普及により、マスマーケティングは徐々に終焉を迎えています。CMなど一方的な発信よりも、知人やインフルエンサー等の信頼する人の発信を重視する人が増えたためです。

今は棚に置けば売れる、工夫すれば売れる、広告を打って露出を増やせば売れる時代ではありません。これまでマスマーケティング一辺倒でも成功を収められた体験をアンラーニングをしないことには、企業は生き残れません。

マーケティングの世界で語り継がれるパレートの法則。「売上の8割は2割の顧客が作る」、つまり2割の“熱狂”が売上の大部分に影響を与える、という法則だ。

この2割の顧客を“ロイヤル顧客”と捉え、自社にファンになってもらうことで、長期的な関係構築を目指すのが、ロイヤル顧客マーケティングの趣旨だ。

しかし、まだまだこの考え方をインストールし、成功している企業の例は少ないのだという。

今田もちろんパレートの法則は、すべての企業に当てはまるとは思いません。それでも、ロイヤル顧客を重視する施策、ライト層をロイヤル顧客に育成するための施策には注力していくべきだと思います。

新規顧客の獲得コストが、既存顧客に販売するコストの5倍ほどとなる「1:5の法則」からもわかる通り、利益率を向上させるためには顧客との継続的な接点の確保は必要不可欠です。

以前Asobicaに取材した際、同社CCOの小父内氏は次のように語った。

お客様と一緒になって、プロダクトやサービスを作る。そうすることで企業側だけでは思いもよらないようなインサイトを得られますし、直接声を聞くことができる、そしてテストマーケティングもできる。お客様が身近にいることは、企業にとって間違いなく良いことだと思っています。まだまだマーケティング施策としては浸透度が低いですが、このロイヤル顧客マーケティングを起点としたユーザーとのコミュニケーションが企業としてのあるべき姿だと思っています。

【トレンド研究】「顧客不在の企画会議」は、もうやめよう──顧客をファンにする「ロイヤル顧客マーケティング」の最前線

ロイヤル顧客マーケティングを起点としたユーザーとのコミュニケーションの好事例を紹介しよう。食品メーカーのニップンはアマニ油をはじめとするアマニに特化したコミュニティ「ニップンアマニコミュニティ」を運営する。

アマニ油とは、現代人に不足しがちといわれる必須脂肪酸「オメガ3」を豊富に含む健康食品だ。一般的に健康食品はトレンドの移り変わりが激しく、売上を長期的に維持し続けることは困難を極める。しかし、健康食品は売上のピークを過ぎても、使い続けるユーザーが存在する。そのため、ロイヤル顧客が離れないようコミュニティを盛り上げることは中長期的な売上担保に繋がるのだ。

今田ニップンアマニコミュニティは、商品に対するフィードバックを集めたり、オリジナルの活用方法をお客様同士でシェアし合う取り組みを行っていますが、それだけの場所ではありません。

お客様毎の購買頻度やロイヤリティの変化を見ながら、何が顧客に求められているのか?どのようなプロモーション施策が効果的なのか?を分析し、真の顧客理解を推進するための基盤になっています。

もちろん、コミュニティを活用し、顧客理解を深めロイヤリティを高めていく施策は、なにもエンタープライズ企業だけが取り組むべき課題ではない。

宮崎県に本社を置く九南サービスは、タマチャンショップというECサイトを通じて主に食品を販売する企業だ。九州を中心に9つの実店舗を持ち、楽天市場では1年間を通じて口コミや売れ行きが良い店舗に送られる賞「ショップ・オブ・ザ・イヤー」に何度も輝くなど、中小企業ながらに通販業界では名の通った存在である。

今田九南サービス様の「タマリバ」というコミュニティでは、商品を使ったレシピの投稿や商品レビューなど、ロイヤル顧客の熱狂度を高める施策を実施しています。その他、コアなロイヤル顧客の方にアンバサダーとなっていただき、商品のPRにも力を入れました。

その結果、これまで3商品ほどしか購入していなかったお客様が年間60商品を購入するようになったという驚くべき事例も生まれています。

アンバサダーの数も今では100名ほどになり、あらゆる商品や施策に対する質の高いフィードバックがもらえる場所として、コミュニティが重宝されています。

もちろん、ニップン、九南サービスのような事例は、まだまだAsobicaの手元にたくさん届いている。冒頭でも述べた通り、SaaSとしてこの上なく順当に成長しているように感じるAsobicaであるが、今田氏は「中長期で実現したいビジョンからすると、まだまだやらないといけない事だらけ」と一分の隙もない面持ちで語る。

そのワケとは一体?

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経営インフラを目指すには、
データの統合と活用が鍵になる

今田現状の『coorum』がサポートできるのは、コミュニティを介したロイヤル顧客のデータ取得や育成です。

しかし、Asobicaが真に目指す場所は、一施策に留まることのない、経営の在り方そのものを一新するようなOSやインフラの構築です。

具体的に2026年までの中期目標として、「顧客中心の経営をスタンダードにする」を掲げ、顧客のあらゆる部門の業務をロイヤル顧客データを軸に再構築=あらゆる部門の意思決定の在り方をロイヤル顧客のデータを起点に変えていきたいと考えています。

当然このビジョンを実現するためには、単一的な価値提供では物足りず、複合的なプロダクトを通して、複数部門に対する価値提供を推進していく必要があります。これがAsobicaがコンパウンド戦略を推進している理由です。

既にいくつもの新しいプロダクトを準備しています。

コンパウンドスタートアップとは、アメリカでHR系ソリューションを手掛けるユニコーン企業 Ripplingが2021年に提唱した競争戦略であることは読者もご存知のことだろう。万が一まだ知らない読者は、LayerX福島氏のnoteを参照してみてほしい。

コンパウンドスタートアップとは

・創業時から単一プロダクトではなく、複数プロダクトを意図的に提供

・部署でサービスを区切るのではなく、データを中心にサービスを統合する

・プロダクト間の連携の良さそのものがプロダクトである

・複数のプロダクトを管理、ローンチするケイパビリティを持つ

という特徴のスタートアップです。

コンパウンドスタートアップというLayerXの挑戦 より

スタートアップは単一プロダクトであるべき、という通説を覆し、複数プロダクトをシームレスに提供することで急成長するスタートアップが増えていることで注目を集めている。

Asobicaにおいても、主力の『coorum』のみならず今後複数のプロダクト群により、顧客の経営課題に切り込めるソリューションの提供を目指すというわけだ。

とはいえ、コンパウンドスタートアップを目指すことで具体的に何が変わるのだろうか?次章ではAsobicaのプロダクトの進化を見ていきたい。

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目指すのは、ロイヤル顧客のデータを軸に、
あらゆる意思決定を支えるアシスト的存在

現在Asobicaが提供するプロダクトは『coorum』(ロイヤル顧客の蓄積・育成)と『coorum insight』(ロイヤル顧客分析)の2種類。

ここでは、2つ目のプロダクトである『coorum insight』がどのように顧客の意思決定に影響を与えるのか、先ほど紹介したニップンの事例を紹介したい。

今田『coorum insight』では顧客単位で行動データを統合・可視化することで、顧客の“変化”をリアルタイムに捉えることが可能となります。

我々が定義するロイヤル顧客とは「購買の頻度/単価」とブランドに対する「ロイヤリティ」がどちらも高い顧客。行動データや購買データを元にロイヤル顧客とライト層との差分を分析すると面白い違いが見て取れるんです。

例えばニップンのアマニ油では、ロイヤル顧客はアマニ油を日常の食事の中に取り入れ、ライト層はアマニ油を特別なシーンや料理で使う、という違いが分析で見えてきました。

ここから見えた一つのインサイトとしては、商品をより沢山使っていただける方を増やすためには、特別なシーンで活用することを訴求するよりも、日々の食事にいかに使ってもらえるように訴求するかが重要である、ということです。

このように、正しい訴求や打ち手を行うためには、まずはロイヤル顧客をよく知ることが重要なんです。

今田氏は顧客を理解することに長けた企業としてスターバックスの名を挙げつつも、その難しさを語る。

今田スターバックスコーヒーさんは購買データの取得・活用が上手く行っている企業の代表例です。

自社の公式アプリやスターバックスカードでの決済がユーザーに浸透しているため、誰が・どのお店で・どんな商品を・どの程度の頻度で買っているのか等のデータをリアルタイムで把握することができるため、自ずとPDCAの質とスピードが上がる構造が作れています。

これを参考に、多くの企業が様々な形で行動データや購買データを取得しようと試行錯誤していますが、チャネル毎に様々なツールを導入しているためデータが分断されており、中々正しくデータ取得・分析できていないのが現状です。

そこで、『coorum insight』では自社アプリや会員カードからはもちろん、WEBのログデータやSNS上のデータ等、取得できるデータを顧客IDを軸に一元化して顧客単位での分析をよりスムーズに実現できるようにしています。

『coorum』でロイヤル顧客のデータを取得し、『coorum insight』で顧客の分析が可能となった。Asobicaの次の一手は、「データの活用」だという。

今田これまではデータの取得と統合/可視化を軸にプロダクトを展開してきましたが、今後は集まったデータを活用して、ロイヤル顧客を育成できる機能群をより一層拡張していきたいと思っています。

詳細の機能はまだ非公開ですが、現在複数のプロダクトを準備している所です。

いずれは、これらの複数プロダクト同士のデータを統合/活用を軸に、『coorum』を活用いただいている担当者様向けにあらゆる角度からシステム上でレコメンドを行いたいと考えています。究極的には担当者は実行ボタンを押すだけで施策が実行される(結果的に顧客のロイヤリティが向上する / ロイヤル顧客が増える)という状態が作れたら理想です。

ロイヤル顧客を一元管理するというソリューションはAsobicaの他に未だ存在しない。今田氏にAsobicaのこれからをどのように見据えているのだろうか。

今田私たちが提供するソリューションを通じて、“ロイヤル顧客起点”という概念はますます浸透していくはずです。それにより、顧客を大切にする企業が増え、一過性の売上に頼る企業はますます淘汰される、と考えています。

Asobicaのビジョンである「顧客中心の経営をスタンダードにする」を実現した数年後には、今注力している“企業のマーケティング活動”だけではなく、違うカテゴリへの参入にも目を向けています。「遊びのような熱狂で、世界を彩る」という私たちのミッションが示すように、ロイヤルティが生む“熱狂”はマーケティング以外にも活用できますからね。

実際『coorum』をブランドやサービスの先にいるエンドユーザー向けではなく、ではなく“会社で働く社員向け”に活用してくださっている企業も増えています。消費の体験だけではなく、働く体験をアップデートできる余地もまだまだあると思っています。

コミュニティ作りに留まらない、新たな事業の可能性が既に生まれているのだ。冒頭で今田氏が口にした「AsobicaはコミュニティプラットフォームのSaaS企業ではない」との発言の真意が理解できたとともに、Asobicaが目指す世界の輪郭が徐々に浮き彫りとなってきたのではないだろうか。

しかし、それと同時にそのハードルの高さも感じるところ。今田氏自身「まだまだ課題ばかりだ」と身を引き締める。

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コンパウンドスタートアップの3つの難しさ

今田氏は自身のnoteでも、「コンパウンドスタートアップとしてのチャレンジと難しさ」と題して、コンパウンド化にあたっての3つの難しさに言及している。

今田氏が語るコンパウンドスタートアップの3つの難しさ

  • セールスプロセスの科学が必要になる
  • 顧客の解像度を組織として上げ続ける必要がある
  • プロダクトやデータの統合にコストがかかる

もちろんnote内では、3つの難しさに対してAsobicaがどのような取り組みを行っているのか、具体的なアクションとともに記されている。これからコンパウンドスタートアップにチャレンジする経営者・事業家にとっては必読の記事であろう。

noteの内容を踏まえ、今田氏はこれらの課題に対してどのような心持ちで臨んでいるのだろうか。

今田新規プロダクトをクオリティ高くリリースし続けるための“再現性"を決めるのは「顧客の解像度×事業を作れる人」の掛け合わせであると考えています。

もちろん事業を作れる人の採用も大事にしながら、それ以上に「顧客の解像度」を上げ続けるためにAsobica一丸となって顧客の解像度を上げる“組織づくり”に注力していますね。

例えば、メインターゲットである企業の担当者や役員クラス複数名にそれぞれアドバイザリー的な形で関わっていただき、隔週でヒアリングや壁打ちを行う機会を作っています。要は、その業界のおける業務理解が最も深いであろう人にひたすら教えてもらうという時間を意図的に作っているんです。

また、コンパウンド化というと、どうしても新規プロダクト開発にばかり意識がいってしまいがちですが、良いプロダクトを作っても売る仕組み・人がいなくては始まりません。

属人性を排除しながら、セールスの仕組みをアップデートしたり、提案ストーリーを磨き込んだりと、セールスプロセスの科学にどんどん投資していきたいと考えています。

現在はエンタープライズ企業がターゲットであるが、提供価値を鑑みて、SMBにも拡大していく算段だ。

今田今後の『coorum』が目指す方向性はSAP(会計・人事・労務・勤怠・各部門の予算等を一元管理できるツール)などに近いかもしれませんね。『coorum』をプラットフォームとして開放することで、アプリを提供する企業もでてくるし、『coorum』を活用した支援企業(コンサル会社)なんかもでてくる、そのような未来像も描いています。

データの価値を最大化していくため、クライアント社数というよりは提供できる価値の深さにこだわりたい。また、今はエンタープライズ企業をメインのターゲットと想定していますが、いずれは中小企業にも展開していく算段です。

現在セールスチームはThe Model的(情報を可視化し、営業効率の最大化を目指す仕組み)にセールスするチームと、エンタープライズ企業をターゲットにアップセルを狙っていくチームに分け、特に後者を強化中のAsobica。

組織として一回り脱皮するタイミングに際して、その基盤にあり続けるのがカルチャーだ。

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コンパウンドスタートアップといえども、
成否を分けるのはカルチャーだ!

Asobicaといえばカルチャードリブンな企業。それはこれまでの取材でも再三語られてきた。

組織やプロダクトが大きく進化しても、Asobicaらしさはは不変だ。「コンパウンドスタートアップとしてのコアコンピタンスもカルチャーにある」と今田氏は語る。

今田Asobicaの強みはこれまでと変わらずそのカルチャーにあります。

自分の仕事を超えて協力できる。ミッションのために協力できる。自走できる。当事者意識を持てる・リスペクトし合える。

これまで作り上げてきたこれらのカルチャーと、シームレスにデータが連携することで、価値が複利で高まるコンパウンドスタートアップのモデルが非常にマッチする。複数のプロダクトを同時並行的に立ち上げていくためには、ベースにあるカルチャーがとても重要だと考えています。

ALL STAR SAAS FUNDの神前氏も、自身のnoteにてコンパウンドスタートアップの祖Ripplingの成功要因を組織の強さに見ている。

開発の生産性とアップセル/クロスセルが複利的に増加していくことで、明確な競合優位性がでているのがRipplingの強さです。しかしこれは途方もないリソースがかかる上に難易度の高いテーマです。Ripplingがこれを実現できたのは、初期フェーズからのR&Dへの大胆な先行投資と強力な組織づくりにあると思います。

SaaS新世代の野望〜コンパウンドスタートアップと戦略的ポジショニング〜

Ripplingがコンパウンドスタートアップとして成功した大きな要因こそ、組織への先行投資と強力な組織づくりだ。

そしてAsobicaがコンパウンドスタートアップとして果敢にもチャレンジできるのは、その根底にあるカルチャーに絶対的な自信があることも大きいようだ。

そんなAsobicaだからこそ、ハイレイヤーの採用であってもカルチャーを何よりも重視する。

今田Asobicaは、採用時に特にカルチャーとのマッチを見ます。特にその人の人柄に焦点を当て、学生時代のエピソードであっても詳細に掘り下げることで、その人が持っているモチベーションやエネルギーの総量が大きいかどうか、変化することを楽しめるかどうか、他者に対する想像力があるか等のカルチャーフィットを見極めていきます。

すると入社時点でAsobicaのカルチャーに共感し、そのカルチャーを育てることが得意なメンバーが揃うんです。その上、カルチャーを作りあげることには組織として一切投資を惜しみません。

何度も言いますが、コンパウンドスタートアップだからこそ、人が中心にいるのではなく、カルチャーを中心において自走できる組織が求められる。人数が増えても、Asobicaのカルチャーは保ち、活かされるはず。

カルチャーは変わらないですし、採用のペルソナも変わりません。

思い返せば、Salesforce VenturesがAsobicaに投資を決めた理由の一つが「どんなクライアントからも常に“あったかい組織”と形容されるAsobicaの組織カルチャーだ」と過去の記事で語られていた。

「息するようにお客様の信頼獲得ができることは本当に自慢です。」と、今田氏もAsobicaのカルチャーの話題に際しては、自然と表情が緩んでしまう。それほど、Asobicaにとってカルチャーとは、これまでもこれからも“誇り”であり、また“事業成長の核”であり続けるのだろう。

今田AsobicaはコミュニティプラットフォームのSaaS企業ではなく、ロイヤル顧客のデータを意思決定の中心に据えた企業を増やす、「経営変革をともに成す企業」になりたいんです。

経営者である自らが最も“熱狂”し、ビジョンを語るその姿に、カルチャードリブンとコンパウンド化で、ロイヤル顧客を起点に経営OSをアップデートし続けるAsobicaの更なる飛躍を感じさせられた。

こちらの記事は2024年01月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

いちのせ れい

写真

藤田 慎一郎

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