優秀な人材を多く惹きつける組織には、“解”がある──業界構造をリデザインし、次代を担うAsobica。その実態に迫る

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インタビュイー
今田 孝哉

2015年ファインドスターグループ(スタークス株式会社)に入社。年間トップセールス及び、社内の歴代記録を更新し(当時)最年少昇格を達成。CS領域におけるSaaSの立ち上げに従事し、多くの会社のカスタマーサクセス部門を支援。その後株式会社Asobicaを創業し、カスタマーサクセスプラットフォーム「coorum」をリリース。2019年4月にはForbes JAPANによる世界を変える30歳未満30人の日本人「30 UNDER 30 JAPAN 2019」に選出。

望月 達矢

大学卒業後、新卒でアフラック生命保険株式会社に入社。その後、株式会社ビズリーチ(現:ビジョナル株式会社)等を経て2017年12月に株式会社メルカリへ入社。メルカリグループの幅広い人事機能(人事制度企画・HRBP・組織開発・人事労務)および子会社人事の責任者を歴任。merci boxやYOUR CHOICEといったメルカリを象徴する人事制度の企画から子会社の組織立ち上げ等に従事し、メルカリグループの2000名規模までの組織拡大を牽引。2023年4月に株式会社Asobicaに入社し、人事・広報領域の統括を担当している。

米田 勝紀

2005年住友商事株式会社に入社。メディア・デジタル部門にて20件超の事業立ち上げに携わる。JCOM株式会社、株式会社ジェイ・スポーツ、BEAJ(一般社団法人 放送コンテンツ海外展開促進機構)、SCSK株式会社、SCデジタルメディア株式会社に出向。スタンフォード大学d.schoolにてUXデザインを学ぶ。2023年7月に株式会社Asobicaに入社。

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熱狂した方が人生は楽しい。そして熱狂には人々を魅了し、人々を引き寄せる力がある。

もちろん、スタートアップなのだから、戦略やプロダクトといった側面も大事。これらがうまく噛み合えば、そこには熱量の高い優秀な人材が集まり続けるのではないか──。

この両者を追い求める企業がある。Asobicaだ。“遊びのような熱狂で、世界を彩る”というミッションを追求する同社は、直近2022年に、シリーズBラウンドにてエクイティ、デットファイナンス両者による資金調達を実施。その累計額は30億円を突破。そして昨年における同社の主力プロダクト『coorum』のMRRは前年同期比で433%の成長率を誇る。

そんなAsobicaには現在、続々と優秀な人材が集まっていると聞く。同社にその裏側を尋ねたところ「ミドルステージ以降、“これまでの延長”ではハイクラス人材の採用に苦戦する」との提言がなされた。

一体どういうことだろうか。そこで、今回Asobicaの代表取締役 CEO 今田氏に加え、ビジョナル、メルカリにて1,000名以上の規模へと組織拡大を牽引してきた望月氏と、18年勤めた住友商事からスタートアップへの転職を果たした米田氏に取材を実施。

アーリーステージ〜ミドルステージへと移行するスタートアップが採用力のブレイクスルーを起こす瞬間、その裏側に迫った。

  • TEXT BY REI ICHINOSE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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祖業のクローズ、組織崩壊。
「なんでも自分がやりたい」から脱却できるかが、命運の分かれ目

今田近頃になってベンチャー企業の創業からグロースまでを経験された方や、メガベンチャー、大企業で活躍された経験を持つ人が多数入社してくれるようになりました。

ちなみに今回の取材に同席している望月さんはメルカリ出身、米田さんは住友商事出身です。

現在Asobicaにて人事・広報の責任者を務める望月氏は、前職のメルカリにてHRマネージャーとして同社のIPOを経験した人物。次いで米田氏は新卒から18年間、住友商事でありながら特殊的にスタートアップに多く関わり、IPコンテンツや動画配信などの事業立上げに心血を注いできた人物だ。

優秀な人材が集まるAsobica──。冒頭でも紹介した通り、事業も、採用も、資金調達も、まさに“破竹の勢いで”という枕詞が相応しいほどの成長ぶりを見せる。しかし、もちろん今に至るまで決して全てが順風満帆だったというわけではない。

創業当時の事業は悔しくもクローズし、ピボットを決意。それに伴い創業メンバーの多くがAsobicaを離れた。そんな状況下でどのように今田氏は再起を図ったのだろうか。

今田大きく組織文化を変えたつもりはありません。創業時から今も変わらず、常にボトムアップの組織を目指していましたが、プロダクトが形になるまではどうしてもトップダウンになってしまっていましたね。

当時、私が事業に使う時間と組織にかける時間の割合はおおよそ9:1。当然、健全な組織運営などできるはずもなく、組織崩壊も経験しました。私を除く5名の社員が当時在籍していましたが、1名以外のメンバーは全員退職する形となりました。

また、面接に割く時間も十分に取っておらず、全然人を採用できない時期も続きましたね。

自戒の念を込めてか、神妙な面持ちで過去を振り返る今田氏。人を採用できないどころか、このままでは在籍しているメンバーもやめてしまうかもしれない。その焦燥感から、採用と組織づくりの重要性を見直すに至ったのである。もちろん大きな葛藤はあった。しかし、そこからAsobicaの新たな物語がスタートしたのだ。

今田当時は何もかも全部自分でやりたかったんだと思います。経営者としては未熟ですよね。組織を大きくするためには誰かに任せないといけない。そう思い、私も覚悟を決めて、入社3ヶ月の方にセールスの責任者を任せる決断をしたんです。

当然、その方に完全に任せられるようになるまでには、フォローに多くの時間がかかりました。しかし、意思決定の機会がないと人は成長しません。短期的には失敗しても、長期的に見てメンバーの成長につながれば良いというマインドセットのもとで進めてきました。

思い返せば、過去の記事でも「今田氏が事業成長のためにやめた3つのこと」というテーマで、自身の経営者として失敗談を赤裸々に語ってくれたことがあった。

今田3年ほど前からですかね、事業のことは現場の責任者に任せ、事業成長に自分がコミットすることをやめたんです。その結果3年連続でMRRはYoY(前年比)で400%以上の成長率と、事業は大きく伸びているので、改めて自分が離れて良かったなと感じています。

その代わり、自分の役割を「会社の成長軌道をもう1段2段上げていくこと」と定義しなおしまして、これまで事業にコミットしていた時間を採用・カルチャーづくりに割くようになりました。

そこから約3年、Asobicaの採用では、1次面談のすべてに私が出て、直接アトラクトを行っていました。

人数が絞られていく2次・3次面接とは異なり、1次面接は相当な人数に会わなければならない。それでも、ほとんどの会社が1次面談にそこまでコミットしていないからこそ、あえてそこに最も力をかける。候補者に“熱量”を伝えられることはもちろん、経営陣が採用に誰よりもコミットしているという姿勢自体が、会社全体の採用に対する意識を高めることにも繋がったのだ。

そして、今田氏の過去の決断は今、優秀な人材が集まる組織として結実し始めている。望月氏、米田氏ももちろんその1人だ。

2人の入社経緯は後に詳しくご紹介するが、とにもかくにも「どうしてミドルステージのAsobicaへ、ジョインを決意したのか」。次章から探っていこう。2人の引く手あまたぶりは容易に想像がつくが……。

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人は最終的にロジックではなくハートで動く

望月私は、メルカリ・ビズリーチを経て、マーケットプレイスや働き方といった世の中の常識やビジネスのスタンダードが変わる瞬間を目の当たりにし、これがスタートアップで働く醍醐味なんだと実感しました。

今回、Asobicaという会社に移り、3度目の人の価値観や思想、常識、ビジネスのスタンダードが変わる瞬間を見れると思うとワクワクしたというのが率直な感覚でした。

そう思えたのは、Asobicaは成果への変数が整っていると思ったからです。事業モデルだけでなく、これからの方針・方向性が正しい方向に向いていること、アサインメントができていること(つまり人が集まっており、しっかり人を充てられていること)、そしてその人たちのモチベーションが高いこと。この3つの変数がしっかり意識されている会社はそんなに多くなく、成功確度の高さを今田さんと話して明確に感じられたことが大きいです。

もちろん成功は約束されてはいないので、最終的に何で決めたかというと、「この人たちとなら失敗したとしても後悔しないか」という観点でしたね。今田さんのことが好きになったんだと思います。

今田さん自身、事業を作りたいというより、事業を通じて社会を変えることに野心がある方だと感じたのも大きく、入社を決めミッションの達成に向けてベストを尽くすぞという気持ちになりました。

米田住友商事で18年仕事する中で、分かったことがあります。何かを生み出す、成し遂げる、という過程において、メンバー全員が、協力し合って「必ず成功させるんだ」という強い意欲や想いを持っていることこそが、もっとも大切だと。

逆に言うと、そんなメンバーさえ集まっていれば、例え事業が転んだとしても、必ずまた1からすごい事業を作り上げられる。そのため、転職先を探す上で人という軸を重視しており、メンバーを大切にする文化があるAsobicaに心配は要りませんでした。

とはいえ、魅力的な人がそろっていても、事業の方向性が適切でないと、事業はうまく行きません。『coorum』についても徹底的に調べました。『coorum』が必要とされる時代背景、狙う市場、解決する課題、ユーザーの反応、どれをとっても、プロダクトに申し分ありませんでした。

人と事業の両輪が回ってこそ、成功があります。Asobicaは人と事業、どちらも「良い」と感じたのはもちろん、個人的にもすごく「好きだ」と感じたのでジョインしました。

そもそも現在、認知度の高まりや、国策も相まってスタートアップは人気の転職先となりつつある。

そんな風潮も高まるなか、飛ぶ鳥を落とす勢いで事業の歩みを進めるAsobica。直近大型の資金調達も実施したこともあり、転職先としてスタートアップを視野に入れているのならば、一度は目にする存在かもしれない。

そして、米田氏も言及した通り、Asobicaの主力プロダクト『coorum』は、現代の社会的背景を的確に捉え、マーケティングの常識を変革するポテンシャルを持ったプロダクトである。

『coorum』について知らない読者のために、そのプロダクトを簡単に表現するなら、「コミュニティ運営から顧客分析までをワンストップで行い、ロイヤル顧客を起点としたマーケティング・事業戦略を実現するプラットフォーム」と言えようか。

昨今、顧客のロイヤリティ向上やファン育成、LTVの最大化のため、コミュニティを自ら運営する企業は多い。coorumを活用することでLTV向上はもちろんのこと、VoC(顧客の声)の収集やUGCの向上による深い顧客理解、そして顧客分析が可能となる。

なぜコミュニティ運営が重視されているのか。さらに時代背景を理解したい読者は、以前の取材の中で語られた内容を御覧いただきたい。

サイバーエージェント・キャピタル北尾

広告業界では現在、インターネット広告の普及によりCPAが高騰化しています。これはつまり、インターネット広告という表面的なアプローチだけでは、クライアントやエンドユーザーの満足は得にくくなっていることを意味します。

Asobicaが提供するプロダクト『coorum(コーラム)』は、顧客がどういった部分に関心があり、どのような行動をしているかという行動履歴やロイヤルスコアを取得しています。ロイヤルスコアのデータは広告やマーケティングにも密接に結びついているため、広告業界としてもAsobicaの事業には熱烈な期待を寄せています。

(中略)

今田

北尾さんがおっしゃるように、インターネット広告によって販売数を伸ばすという仕組みには頭打ちがきていると思っています。

たとえば飲食店の場合、いくら広告費を使ったとしても口コミの点数が低いとそもそも集客できなかったり、一方でInstagramで拡散されていれば広告費を一切かけなくても集客できるようになったり、ひと昔前までとは世界観が明確に変わってきています。

また昨今では、SaaS企業のみならず、これまでは“とりあえず販売数を伸ばす”のが良しとされていたメーカーなども、ファンマーケティングの重要性を認識しつつあります。つまり新規顧客獲得を目指すだけでなく、既存の顧客満足度をあげることで離反を防ぎ、LTVを向上させていく動きがあらゆる業界で起きているのです。

カスタマーサクセスが重要事項であるという認識は広告業界各社とも一致しているので、そことの連携をさらに強めていきたいと思っています。

──FastGrow『逆風でも輝くスタートアップの条件とは?二極化が進むSaaS市場の行く末をAsobica、Salesforce Ventures・サイバーエージェント・キャピタルに訊く』より引用

「売上の8割は、2割の優良顧客によるもの」──。これはマーケティングの世界でよく言われるパレートの法則だ。広告での売上獲得の頭打ちを感じる今、これまで以上に2割の優良顧客の満足度に注力する風潮が高まっている。

また、SaaSの浸透と共に、各業界でカスタマーサクセスの必要性が増していることも『coorum』の人気に拍車をかけている。『coorum』の導入事例からも読み取れる通り、SaaSに代表される“サブスクリプション・ビジネス”だけでなく、小売、店舗、飲食チェーン、メーカーも、カスタマーサクセスを“事業成長の重要課題”としているのだ。

事業、組織は急拡大を遂げている。それでも望月氏、米田氏のようなどんな企業からも引く手あまたな人材を惹きつけられるようになったのは、比較的最近になってからだという。

採用のブレイクスルーポイント、そのきっかけはなんだったのか。次章では、アーリーステージ以降のスタートアップに優秀な人材が集まり始めるきっかけについて、より解像度を高めていきたい。

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経験豊富なハイクラス人材を採用したいなら、“ネクストユニコーン”のポテンシャルを見せつけるしかない

「なぜ今、Asobicaに優秀な人材が集まるのか」。ストレートに、今田氏に疑問をぶつけてみた。

今田つまるところ、ネクストメルカリ、ネクストSansan、あるいはそれ以上の存在になれるようなポテンシャルを示すことが、望月さん、米田さんのようなマチュアな人材を惹きつけるためには重要だと思います。

ちょうどAsobicaの採用力の高まりを実感したのが、まさに大型の資金調達を実施した時期と、目に見えて分かる実績を公開し始めた時期が重なった頃だと感じています。

資金調達を実施した際、グローバル規模で多くのユニコーン企業に投資をしている著名VCや、国内でも多数の実績を持つVCからの信頼や期待が寄せられていることを取材記事等を通じて発信しました。そのタイミングで、MRRは大きく伸長し、著名な企業が相次いで『coorum』を導入するなど目立つ実績が出ていました。

この2点が重なったおかげで、メガベンチャーや大企業で経験を積んだ方に、Asobicaのポテンシャルを感じてもらえたんでしょう。在籍している企業以上のポテンシャルを感じていただけないと、面白いと思っていただけないはずなので。

もちろん、会社のポテンシャルの高さにかまけて“受け身の姿勢”になってはいけない。今田氏も「私やCCOの小父内(おぶない)のパワーだけで優秀な人材を魅了できているとは思っていない」と強調する。

スタートアップの採用力を高めるには、採用面談に関わるメンバー全員の総合力の向上、そしてこれまで以上にミッション・ビジョン・バリューを磨き込むことが重要だという。

今田 どれだけ壮大なミッションがあっても、どれだけ魅力的なマーケットや戦略があっても、それらを熱量高く実現していける組織が無ければどんなミッションや目標も実現できないのは明らかだと思います。ともすると候補者に感じてもらうべきなのはミッションや成長性だけではなく、熱量高く実行力の高い組織である点かどうかも非常に重要な要素であると思っています。

そういった前提に立つと、面接する立場の人が、自社のミッションや事業の可能性を本気でワクワクしながら自分の言葉で語れるかどうかは候補者のアトラクトにおいてとても重要だと思ってまして。その状態をいかに作れるか?は常に考えながら採用活動や組織創りを行っています。

Asobicaは、ミッション・ビジョン・バリューについて、それぞれのメンバーが考える機会を積極的に作ってきたという。今田氏は「短期的に見ると目に見えて成果があることではないが、長期的には重要課題だと置いてきた」と語る。

今田おおよそ半年に一度、部門を混ぜたチームに分かれて「掲げているバリューがなぜ重要なのか」「具体的にどのような行動をすればバリューが体現され、評価されるのか」など、具体的な個々のアクションまで考える機会を作っています。

Asobicaには5つのバリューがあるのですが、例えばその一つ「Synergy チームでコトを成す」というバリューについて、「誰のどんな行動が該当するのか」、「このバリューに沿った状態はどういった状態か」といったことを、私もチームの一員として混じって議論するんです。

今田組織が大きくなると、どうしても他の部門が何をしているのか、見えなくなりがちです。それを防ぐためにも、ミッション・ビジョン・バリューについて自分の具体的なアクションを整理し、アウトプットまで行う取り組みを意図的に実施しています。

大きな仕事を進める際には、自部門に留まらず部門を越えてメンバーと協力していくことが重要になりますよね。これを円滑に進められる人が活躍します。ということは、メンバーそれぞれが活躍できる状態を作るためには、部門を超えたメンバー間の信頼関係や繋がりを無数に作っておくのがポイント。

そのため、ミッション・ビジョン・バリューのディスカッション以外にも、様々な横串横断のプロジェクトを立ち上げながら部門を越えたメンバー同士で仕事をする機会を積極的に作っています。

ここまで、Asobicaの採用力のブレイクスルーポイントを探ってきた。徐々に「事業と組織が一緒に成長してきた企業」といったイメージが醸成された読者も多いのではなかろうか。

しかし、それでもまだイマイチ「なぜAsobicaが優秀な人材を惹きつけられるのか」その核心を掴めていないという読者もいるだろう。そこで、より具体的に、この飛び抜けた経験を持つ2人の「N=1」の話、つまり望月氏と米田氏のキャリアを深掘りしながら、2人がAsobicaにジョインを決意したワケに迫っていきたい。

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41歳、住友商事出身。
「スタートアップで世界を変えたい」

さきほど、組織とプロダクトの両輪がうまく回っているかが入社の決め手、と語った米田氏。ここまでどのような経験を積んできたのだろう。

米田世界を「支える」役割を持つのが大企業、世界を「変える」役割を持つのがスタートアップ。私はこのように考えています。

住友商事で18年間、メディア・デジタル領域で、様々な事業立ち上げの仕事に携わらせていただきました。

大企業というのは、すでに今の世の中に対して、大切な役目や責任を果たしており、それらを裏切らないことはとても大切で、崇高なやりがいのある仕事です。一方で、それに合わせて、得意なことや不得意なこともあります。

長年、事業立ち上げの仕事や、スタートアップの方々と協業させていただく中で、スタートアップは世界を変えることができる、その責任を担うべき存在だと思っています。

私は、これから数十年どんな生き方がしたいのかと。スタートアップの立場から世界を変えることに、今後の人生を使う方が自分の性に合っていると。41歳という年齢ではありましたが、まずは意思決定、「えいや」と決めてしまいました(笑)。

そしてその背中を後押ししたのは、やはりAsobicaの人と事業に可能性を感じたからです。長年マーケティングやUXデザインに携わる中で、集客や新規獲得というよりは、ご購入いただいた方に愛される、ロイヤルになっていただく領域にこそ次の可能性を感じていました。転職エージェントからAsobicaを紹介されたときには、「まさに」と思いましたね。

転職市場でもいわゆる“ハイキャリア人材”に該当する米田氏。Asobicaでもやはり珍しいケースだという。今田氏はどう感じていたのだろう。

今田マネジメント経験があり、事業を少人数で立ち上げた経験があり、マーケティングの経験があり……。大企業で勤めていながらも、Asobicaの事業領域や、企業フェーズとの親和性を感じる経験値に、実績面は十分だと感じていました。

その一方で、お会いした際には想像以上に低姿勢。とても謙虚で相手の意見を受け入れる姿とともに、スタートアップに所属する覚悟が印象的でした。

大企業から転職を希望される場合、業務内容を特に気にする方も多い中、米田さんは特に組織に目を向けていらっしゃった。米田さんの組織を見る姿に、「本当にAsobicaで成長したい、Asobicaが最後のキャリアになってもいい」。そんな覚悟を強く感じたんです。

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メルカリを経ての挑戦。新しい時代の組織創りを確立させる

もう一方、望月氏の入社経緯を見ていこう。

望月先ほど話した内容と重複しますが、メルカリ、ビズリーチと経験し、マーケットプレイスや働き方の常識やビジネスのスタンダードが変わる瞬間を目の当たりにし、これがスタートアップで働く醍醐味なんだと実感していました。今日この話をするのは2回目ですね。まぁ大事なことなので2回言ってもいいですよね(笑)。

多くのスタートアップが世の中にはたくさんある中で、Asobicaにはメルカリやビズリーチといった名だたる企業と通ずるものがありました。

メルカリもビズリーチも私が入社したタイミングは、「本当にスタンダードを変えられるのか?」というのが世間からの印象でした。それを二社ともGame Changerとして変えていったことが本当に面白くもあり、中で働いている人たちにとっては成長機会が溢れるほどある、非常に恵まれた環境でした。

なので、私は業界自体がもう世間から必要とされていて、その中で競争していくところではなく、マーケット自体を共創するような、つまり業界構造をリデザインし常識や価値観を変えていこうとしている領域のスタートアップでチャレンジしたい想いが強かったんです。

少し違う話にはなりますが、私は人事という領域で、この短いサイクルで転職していく新陳代謝を促す組織設計がいいのだろうか、ということも常々考えていました。会社の目的と自分の人生を重ねられず、バーンアウトしてる人が増加し続けていくのはなにかもったいない気がしており、新しい時代の組織創りに明確にトライしていきたいと思っていた矢先に、同感覚の今田さんと出会い、私は人事という職種の観点からも、Asobicaへの興味が強くなっていきました。

そんな望月氏には、Asobicaの組織をどう創っていきたいかという明確なビジョンがあるという。

望月私が考える新しい時代の組織創りのキーとなるのは、「ビジョンの実現(その達成に向けて会社の成果がでていること)」と「働く一人ひとりが自己実現できていること」、この両立を達成させることです。

「自身の持つ興味や動機、能力が、企業や他者に貢献できている状態」、要するに「やりたいことを通じて自分以外のなにかに貢献できている状態」が私が考える「自己実現できている状態」です。

この自己実現を繰り返していくことで、人は「成長した」「充実している」と実感しますし、これが本当の意味で成長できる環境を提供している、と言えるのではないでしょうか。こうすることで、優秀なメンバーがいつでも転職したり起業したりできるのに、あえて残り続けミッションに向かって熱狂し続けてくれるのではないかと思います。

この価値観が今田さん、そしてAsobicaの価値観と合致したことも大きいです。 また、「株主も非常に豪華である」というのもAsobicaに興味を持ったきっかけの一つでした。

一度Asobicaの資金調達について振り返ろう。Asobicaは2022年に2度、資金調達を発表している。一度目のエクイティ・ファイナンスで27.2億円、2度目のデッド・ファイナンスで3.6億円にのぼる。

前者のタイミングではSalesforce Ventures、電通ベンチャーズ2号ファンド、株式会社サイバーエージェント・キャピタルなど著名VC、CVCから調達している。(リリースはこちら)後者のタイミングでは大手銀行4社から無担保・無保証での調達だ。(リリースはこちら

望月世界中のスタートアップが「冬の時代」に突入した、とも言われた市況感の中、シリーズBラウンドでこの金額。豪華な資金調達ぶりからもAsobicaの事業領域やプロダクトのポテンシャルの高さを感じました。

一方こういった素晴らしい資本政策に反して、組織やプロダクトは非常に手触り感のある、これからの会社であることに非常に興味が湧き、今田さんをはじめとして、Asobicaのみなさんといろいろ話させてもらいました。

今田望月さんとお話しする中で感じたのは、課題があればある程ワクワクする方なんだな、という点です。というのも、現状の組織図や制度面、そこに紐づく課題感をお伝えした際にネガティブな反応をするかなと想定していたのですが、むしろ逆でした。

在籍していたメルカリからすると気が遠くなるくらい何も整っていないフェーズだと思うのですが、その状況をポジティブに捉えつつ、その上でもしAsobicaでチャレンジをするならこういった施策や組織創りをしていきたい、という話をして頂いたのが印象的でした。

私がAsobicaのこれからの課題だと認識していた組織の問題にとてもワクワクしてくれている。それでいて、望月さんには組織をどう創っていきたいかというビジョンがある。きっとこの方なら実現してくれる。そう強く感じましたね。

他にも望月さんの良いところを挙げればキリがないのですが......、あえて言及するとすれば、主体性があり、思慮深い。そしてチームアップするためのコミュニケーション力や他者への共感力がある。この3点から、Asobicaにすぐにでもジョインしてもらいたいと感じましたね。

望月氏と、米田氏もAsobicaのユニークな選考に魅了された2人だ。選考過程における印象深いエピソードを打ち明けてくれるとともに、今田氏の誰からも愛される人たらしな一面が垣間見えた。

望月これがAsobicaの選考のユニークネスだと今になって分かるのですが、選考中にこれまでの人事の経験のことなんて一切聞かれなかったんです(笑)。

気がついたら小学生の頃の話をしていたこともあるくらい、人柄について深く質問されたことが強く印象に残っています。こうやって今田さんや採用メンバーが一人ひとりと向き合うからこそ、選考に進んだほとんどの人がアトラクトされるんだと感動しました。

米田選考中に今田さん行きつけの焼き鳥屋に行きました。昔、その店で今田さんが今の『coorum』にも繋がるインスピレーションを受けたこと、残り50〜60年の人生の時間を何に使いたいか?という今田さんの人生論など、いろんな話で盛り上がりましたね。

この日の会話は、今でもとても印象的に残っています。とてもクレバーで、ズバッと話すこともあれば、時折ふざけるようなメリハリがある。そんな今田さんの人柄に深く触れられた機会だったと感じています。

ちなみに、この焼き鳥屋は、以前の取材にも登場している。『coorum』の事業構想はこの焼き鳥屋に着想を得たのだ。

このプロダクトを生み出す上でインスピレーションを受けたのは、僕が新卒時代から足しげく通う焼き鳥屋なんです。なぜここへ訪れると心が満たされるのか、それは、僕自身が店主の想いや人柄の良さを知っているからなんですね。勿論、店舗スタッフの接客の質もずば抜けて高い。そしてその裏側には“新規を増やさずリピート客に徹底的に寄り添う経営方針”があることを知った時に、「これこそが自然とお店に通いたくなる所以だな」と理解できたんです。

──FastGrow『“次代のSalesforce”、CSツールより誕生!?──Asobica代表・今田氏に訊く、ユニコーン続出の“カスタマーサクセス×SaaS”の未来』より引用

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“挑戦へのインフラ企業”へ

ここまで、Asobicaの過去・現在を見てきた。優秀なメンバーを迎え、Asobicaは更に強固になった。将来はどんな組織のビジョンを描いているのだろう。

今田ミッションの実現に向けてまだまだ複数のプロダクトや事業を立ち上げていきたいので、それらを統括していく事業責任者やそれを支える各部門のヘッドが組織内に溢れている状態を作りたいですね。

既存事業を越えていくようなプロダクトや事業が社内から起案され、次々と再現性高く生み出されていく仕組みやカルチャーを作っていきたいと思ってます。そのために必要だと考えている企画や制度がいくつかあるので、タイミングを見ながら徐々に実施していきたいなと考えています。

望月今田さんはよく「挑戦へのインフラ企業にしたい」と言ってますよね。そうすることで、起業しても、他の会社に移っても、しっかり成果を出せる、いわゆる“いつでも辞めれる人”が、あえてAsobicaにいる。そんな組織創りにチャレンジしていきたいですよね。

今田氏からも望月氏からも「成長・挑戦できる環境の提供」という部分には並々ならぬ思いを持っていると感じた。一方で、住友商事に新卒から18年在籍していた米田氏の目から見て、Asobicaは成長・挑戦するにあたっての前提となる「長く在籍し続けられる組織」にもなってきていると強調する。

米田まず、本当にメンバー全員が熱狂している点です。Asobicaを大きくしていきたいとか、自分はもっと成長したいとか、メンバーそれぞれの熱量の高さに驚きます。

もう一つは、なにか起こった際に助け合う文化が根付いている点です。正直、普通の会社であれば、何かまずいことが起こったときは、「自分ではない」と他の部署やメンバーのせいにしたり、争いが起こったりしがちかと思います。Asobicaにはそんな気配がありませんでした。むしろ、部署をまたいで助け合う姿を目にしました。

先日カスタマーサクセスでとあるトラブルが発生したんです。すると、対応にあたったメンバーが、それを全体のSlackでシェアしたんです。すぐに他のメンバーが、自身が経験した類似事例や対処方法のアイデアをシェアし合っていました。

困りごとが発生しても、他のメンバーに「助けて」と素直に言える。そしてそれを「自分には関係ない」とスルーしたり押し付け合うような文化はAsobicaには全くない。責任回避や責任転嫁の悪循環がこの組織からは生まれづらいんです。

先ほど話に上がった、部門を超えたチームでの交流機会を設ける効果は、日々の実務に如実に表れている。まさに「組織や採用に注力することは長期的に重要」と語った今田氏の狙い通りだ。

せっかくなので、組織の未来のみならず、『coorum』つまり事業の展望にも話を進めたい。

今田 『coorum』は一見「マーケティングSaaS」や、「カスタマーサクセスのDX」のように見られがちですが、それはあくまで一つの側面でしかないんです。

現段階では、ロイヤル顧客のデータを起点にマーケティングの在り方を変革するチャレンジを行っていますが、我々がビジョンとして掲げる「顧客中心の経営をスタンダードにする」ための一機能でしかない。

今後は更に複合的な価値を提供できるプロダクトに昇華していきながら、マーケティングだけではなく、商品開発や顧客調査・分析、あるいは事業戦略まで企業のあらゆる部署を支える存在になりたいと思っています。

よく、社名を『coorum』に変えないのか?と聞かれるという。しかし、「そのつもりは一切ない」と断じる今田氏の姿勢から、ミッションと社名に込められた想いは今後も変わらないことが読み取れる。『coorum』もあくまでミッション実現のための一歩。Asobicaの“熱狂”を波及させるため、マルチプロダクトの展開や、別領域でのチャレンジも既に構想を練っているという。

そして、今田氏は確信めいた口ぶりで「基盤はできた」と語る。今、どんな人物にAsobicaの門を叩いてほしいのだろう。

今田成長できるポテンシャルのある方をどんどん抜擢して、人が育つ組織、熱量高く働ける組織にしたい。

自ら仕事を取りに行けるような主体性あふれる方。そして、相手の気持ちを想像し、共感できる方、人やチームが好きな方。こんな方だとAsobicaで働くことが楽しいと感じられると思います。

また、米田さんは今のところは社内でも珍しいケースですが、決して年齢は関係ありません。ただ、やはり30代後半、40代の方と面談すると、米田さんのように強烈に「成長したい」という想いを持った方、野心や探究心に溢れている方は少ない印象です。年齢に関係なく、今以上に成長したいという方がAsobicaに興味を持ってもらえると嬉しいですね。

米田10年、20年、30年と同じ会社で働くとそこの中での生き方に慣れてしまっていつの間にか、コンフォートゾーンから出なくなりがちです。すごくもったいないなと思っています。

私は性格的に、良くも悪くも「未熟だ、もっと挑戦しないとダメだ」といつも自分に言い聞かせていました。

今、大企業で働いている方で「実は本当はこんなことがしたい」「もっとこんなことがしたい」と感じている方がいらっしゃったら、私は個人的にとても応援したいです。チャレンジする場所は、スタートアップに転職するでも、今の会社でも、どちらでも構わないと思っています。

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油が乗ったAsobica、成長スピードはさらに加速する

ここまで話を聞いて、過去数年に渡りAsobicaを取材し続けたFastGrow編集部もこれまで以上に組織の成熟を感じた。少しでもAsobicaに興味を抱いた読者がいたら、一言だけ伝えておきたい。

「ここまで油が乗ったAsobicaに、今ジョインせずに、いつジョインする」──。最後に、今ジョインする魅力を語ってもらった。

望月 これからの時代、ビジネスの成功を最も大きく左右するものは「スピード」だと思っています。そして、会社やサービス・プロダクトのスピードを上げるのに最も重要な要素は「組織カルチャー」であると確信しています。

どんなにスキルが高くてもネガティブインフルエンスな人がいたら、知らぬ間に誰かに気を遣って会話をしたり、遠回りの表現や根回しをしたり、会議で萎縮してしまったりしてどんどん動きが遅くなってしまいます。スピード命なスタートアップにおいて、ネガティブインフルエンサーがいない、生まない組織カルチャーなのかが非常に重要だと考えており、私たちはそこに自信があります。

この状態の組織に、知識や経験を持つ方が複数加わり、さらなるスピードの加速は、確実です。著名なSaaS企業に並ぶ、いや、それ以上のスピードを発揮するポテンシャルは十分にあると思っています。なので、これからのAsobicaが最も面白いフェーズに突入すると思いますし、将来何百・何千もの社員数になったときの創業メンバーとなるこのタイミングでのジョインはベストかもですね。

今田私からは最後に一つ。面談でお会いする際には、強みから弱みまで用意していない本当の姿が知りたいです。

ミッションの具現化のために、Asobicaはもっと大きくなります。そうなっても、ミッション・ビジョン・バリューに沿い続けられる組織で有りたいからです。

興味を持っていただいた方には、まずは1回門を叩いていただきたいですね。

FastGrowでAsobicaを取り上げるのはこれで4度目になるが、Asobicaは徹底して、そして一貫して、プロダクトと組織を重要視してきた。

望月氏の言葉を借りるなら、Asobicaは「人を大切にする文化が備わった組織」だ。米田氏の言葉を借りるなら『coorum』は「申し分ないプロダクト」だ。

高い組織力、そして実績が積み上がってきたプロダクト力、この両輪が驚異的なスピードで回り始めた。若手もハイクラスも、優秀な人材が次々ジョインするのは、プロダクトを磨きつつ、組織を重視するAsobicaの姿が“解”だと分かっているからではないだろうか。

こちらの記事は2023年08月29日に公開しており、
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執筆

いちのせ れい

写真

藤田 慎一郎

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