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新卒入社1年目社員の独立を支援する。 “構造改革”後のエイベックスが目指すイノベーションを生む組織

エンタテインメント業界の雄、エイベックスから独立する形で、エンターテイナーのためのコミュニティサービス「Areena+(アリーナプラス...
エンタテインメント業界の雄、エイベックスから独立する形で、エンターテイナーのためのコミュニティサービス「Areena+(アリーナプラス)」がこの12月にローンチした。新しいWebサービスを仕掛けたのは2016年11月に入社したばかりの新卒1年目の社員であり、しかもエイベックスが独立を支援したのだという。大きな組織の中で、若手が起業に至ったのには、どんな経緯があるのか。そして、エイベックスが社員の独立をサポートする理由とは。
  • TEXT BY YASUHIRO HATABE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
17-12-21-Thu
加藤 信介 (かとう・しんすけ)
エイベックス株式会社 グループ執行役員 グループ戦略室長
堀毛 太一 (ほりけ・たいち)
株式会社Areena 代表取締役社長

エンタテインメント業界の雄、エイベックスから独立する形で、エンターテイナーのためのコミュニティサービス「Areena+(アリーナプラス)」がこの12月にローンチした。新しいWebサービスを仕掛けたのは2016年11月に入社したばかりの新卒1年目の社員であり、しかもエイベックスが独立を支援したのだという。大きな組織の中で、若手が起業に至ったのには、どんな経緯があるのか。そして、エイベックスが社員の独立をサポートする理由とは。

時代の先頭を走り続けるための改革

Areenaとはどんな事業を行う会社なのですか。

堀毛エンターテイナーとファンをつなぐ応援プラットフォーム「Areena+」の開発・運営を行います。サービスは12月14日にローンチしました。

今って、クラウドファンディングで資金を集めることが一般的になりつつありますよね。そこにあるのは、金銭のやり取りだけではなくて、人と人との間の絆や共感、応援したい気持ちです。

そういう「ちょっと優しい世界」を、エンタテインメントの世界にもつくりたいと思ったことから、事業のアイデアを深めていきました。

社名、そして「Areena+」というサービス名には、コンサート会場のアリーナで感じられるエンターテイナーとファンの強い一体感をWebの世界にも作り上げたいという思いを込めています。

今回はエイベックスからの支援を受けて起業した形で、会社の登記は並行して進めたのですが、現在はリレーのバトンゾーンのような期間。退職を前提としながらも、しばらくはエイベックスに籍を置かせてもらって“助走”をしているところです。

新卒1年目の方の独立起業を支援と聞くと、かなり異例なことのように思います。

加藤今回、グループ戦略室 デジタルR&Dユニットの堀毛太一が、エイベックス・ベンチャーズの出資を受けて、株式会社Areenaを立ち上げました。これは、社内で新たに設けた「起業支援制度」の枠組みで実現したものです。Areenaはその最初の事例になります。

起業支援制度を新設したと。

加藤はい。ただ、起業支援制度をポンと一つ立ち上げたわけではありません。

当社では、2015年の末頃から約1年半かけて、グループの構造改革を行いました。社長の松浦(松浦勝人 代表取締役社長CEO)が旗を振り、組織体制や社内の仕組みを再構築したのです。

この構造改革とは何か、というところからお話ししなければなりません。

エンタテインメント業界において、その楽しみ方が、コンテンツの「所有」から「体験」へと変わりつつあります。

テクノロジーの進化に伴って、エンタテインメントを取り巻く環境もここ数年で大きく変化しました。インディーズのアーティストが、自分たちの音楽や映像を、自前で直接ユーザーに届けられるようになったことなどはその一例です。

この変化は、ユーザーにとっては利便性が高まったということだと思いますし、私たちも「新しい届け方」ができる時代になったのだと、前向きに捉えています。

ただ、コンテンツを届ける側としては、この変化の波に乗っていかなければなりませんし、しっかりとビジネスに転化していく必要があります。

そのために、既存の事業、定型的な業務をオペレーショナルに回していく組織から、物事をスピーディーに決裁する、社員の自由な発想に基づくチャレンジを歓迎し、多様な才能を活かし切る、それによって新しいやり方、イノベーションを生み出していく組織になることを志向しました。

私たちが、これからも世界で戦える未来のエンタテインメントのリーディングカンパニーであり続けるために、非連続な成長を成し遂げられる組織に変えたかった。それが、構造改革の大きなテーマでした。

どんなチャレンジも、まずは受け止める

チャレンジを歓迎するという部分では、具体的に制度をどのように変えたのでしょうか。

加藤今回、「起業支援制度」と同時に「社内新規事業制度」を、今年の夏に立ち上げました。

ただ、制度をつくれば社内の空気が変わるわけではありません。「誰でもチャレンジしていいんだ」「失敗してもいいんだ」という“風土づくり”が大事だと考えています。

そこで、一歩踏み出してチャレンジした人に対しては、その成否にかかわらず、チャレンジしたことそのものをちゃんと評価してあげたい思いから、新たな表彰制度を整えました。それ以外にも、テクノロジー領域の著名な方を呼んで社員向けのセミナーを開催したり、アイデアソン、ハッカソンを積極的に実施したりしている状況です。

これまでは、そういう風土はなかったのでしょうか。

加藤これまでも、やりたいことを抱えて、会社に提言する人がいなかったわけではありません。ただ、当社は元々、エンタテインメントのコンテンツホルダーであるということが、一番の存在意義なので、新しい「コンテンツ」や「アーティスト」を手掛ける風土はもちろんありましたが、会社の大きな決断や新規事業はトップダウンに依存する事も多く、新しいイノベーションが起きるようなサービスや事業そのものをボトムアップで新しく起こすこと、そしてそのような思考や熱量を持っている社員を会社として歓迎して、支援するようなケースがいままで少ないということは、課題としてありました。

そのような課題感を、誰よりも痛感していたのが社長の松浦であり、それが今回の構造改革の重要なポイントである、トップダウンではなく社員の才能を活かしたチャレンジを歓迎する風土づくりを推進する原動力になっています。

今回新設したさまざまな制度の設計も、トップダウンではなく、全社から若手17人を選抜してつくられた「ジュニアボード」というプロジェクト型の組織と連携してリードしています。

ジュニアボードとは、経営層にいろいろな提言をしたり、経営層が考えていることを現場に浸透させたりといったハブの役割を担う、社長直下の組織です。社内公募したメンバーで、グループ戦略室とも連携しながら動いており、社内の風通しや風土づくりに大きな貢献をしてくれています。

「起業支援制度」「社内新規事業制度」について、どのような制度かを教えてください。

加藤起業支援制度は、最終的には会社を辞めて、新たに会社を立ち上げることを支援するものです。会社設立に当たっては、当社のCVCであるエイベックス・ベンチャーズが一定の自己資金拠出を条件に出資する形になります。

社内新規事業制度のほうはもっとライトなものです。社内やグループ内で事業部化を狙うビジネスアイデアでもいいですし、自分が関わっている事業部以外への提言のようなものも受け付けています。

どちらの制度も、対象はグループの全社員。年次も関係なく、正社員、契約社員、アルバイト社員もエントリー可能です。 最初のエントリーは、シードレベルのアイデアでもまずは受け付けて、その後、実現に向けて練り込んでいく形にしています。通年でいつでもエントリーを受け付けています。

現状では、社内新規事業制度のほうには、新規事業案と社内改善案が合わせて200件ほど集まっています。それらを一つ一つ精査を進めて、一部は年内に社長も含めた最終審査のプレゼンへと進む予定です。

起業支援制度は、やはり退職がイコールになるので、ハードルは高い。現状エントリーは数件です。そのうちの1件が、堀毛の事業案でした。

強みを活かすための“逆張り”

堀毛さんは、そもそもエイベックスにはどのような経緯で就職したのでしょうか。

堀毛私は、アメリカのサンフランシスコ州立大学に留学していました。卒業の1年半くらい前から、ボストン、サンフランシスコ、東京で行われるキャリアフォーラムに顔を出していて、そのときに、エイベックスのブースにふらっと立ち寄ったのが、最初の接点です。

当時私は、学生起業のような形で、日本人留学生向けのコミュニティを立ち上げて運営していたんです。そのため就職活動という目的のほかに、そのコミュニティを日本人留学生の採用に関心のある企業に知って頂こうという思いもありました。

私はネット業界で著名な方々の発信をよくチェックしていて、彼らが20代だったら何をするかという問いに対して、「起業」という回答をしていたんです。そこから起業への興味が湧いてきて、いずれは自分もと考えていたのですが、就職の道も捨ててはいませんでした。

大学ではファイナンスを専攻していたこと、IT企業でインターンを経験したことから、もし就職するなら金融かIT企業と考えて、実際キャリアフォーラムでもその2つの業界の企業の話を中心に聞きました。

でも、エイベックスは金融・ITどちらの業界でもないですよね。

堀毛キャリアフォーラムの後に面談で会ったエイベックスの人事の方が、その後も密にコンタクトをとり続けてくれたこともあって、対話を重ねるうちにいつの間にか関心が高まっていった感じです。2016年5月に大学を卒業した後帰国して、11月にエイベックスに入社しました。

金融・IT業界を選ばなかった理由としては、僕らの世代は、小さい頃からインターネットにアクセスし、学生の頃からスマホを使うデジタルネイティブであり、また近年インターンをする文化が日本でも根付いてきて、若くして優秀な人がたくさんいることがあります。そんな中、自分がIT企業を選んで入ったとして、果たして差別化できるだろうかと考えたわけです。

エイベックスはテクノロジー企業というイメージは強くないですし、そういう会社なら自分が学んできたことをより活かすことができ、貢献できるだろうと考えました。

あともう一つ、これから例えばAIが発展したり、ベーシックインカムが導入された場合、人々の働く時間はトータルで見ればどんどん短くなっていきますよね。そうして生まれた余暇がどこへ向かうかというとエンタテインメントの消費だと思うんです。

そうだとすると、それを生み出すエンターテイナーに寄り添った仕組みを作ることでより多くの“楽しみ”をファンに提供すること、また、ファン側がもっと参加でき、当事者意識を持って楽しめる仕組みを作ることが必要です。

そういう意味で、エンタメ業界は、今後、テクノロジーを掛け合わせることでもっと新しい価値提供ができたり、世の中をあっと驚かせることができる。そういった無限の可能性がエンタメ業界には眠っていると考えました。

また、元々僕は、人があまりやらないことをやったり、皆とは逆を行ったりするところがあるので、そういう性質もエイベックスへの入社を後押ししたかもしれません。

起業支援制度にエントリーしてから、実際に起業に至るまではどのような流れで進んだのでしょうか。

堀毛「Areena+」の元となる事業アイデアを思いついたのが、今年の6月頃です。その後、起業支援制度がリリースされた時点でエントリーしました。

加藤起業支援制度の場合、基本的にはエイベックス・ベンチャーズから出資する形になるので、最終的にはエイベックス・ベンチャーズの社長でもあり、グループ全体のCEOでもある松浦が同席する場でプレゼンをして、出資の判断を仰ぐことになります。

出資に当たっては、事業計画、チームの編成が精査されるので、投資の回収性をある程度見込めるレベルまで数字面を煮詰めていく必要があります。

堀毛特にチームづくりは一番大事だと考えているので、時間をかけて行いました。

昔からの友人で、現在、IT系の著名ベンチャーで働いている優秀なコーポレート・プロダクトマネージャー・エンジニアに声をかけて、最初は副業という形でAreenaに参画してもらえることになりました。現在は僕も入れて6人のチームでサービスとシステムの開発・運営を進めています。

“元”ベンチャーの次なる挑戦

Areena+をどのように成長させていきたいと思いますか。

堀毛まずは3年で、「Areena+を総合エンタテインメント・プラットフォームにする」という目標を掲げています。

エンターテイナーとファンが交流できるコミュニティサービスは他社でもやっているのですが、どれもジャンルが絞られています。有名なエンターテイナーが多数参加しているプラットフォームは、まだありません。Areena+はそこを獲りに行きたい。

また、ファンと双方向のコミュニケーションができ、ファンにとっては今までになかった価値を享受できて、エンターテイナーにとっては正しいキャッシュバックがなされるWinWinなプラットフォームを実現したいです。

そのために、Areenaに興味がある方はお気軽に連絡をいただけると嬉しいです。いいチームを作り、一緒に成長させて行く仲間こそ重要だと考えています。

エイベックスにとって、独立を支援することにどのような意義があるのでしょうか。

加藤当社も最初はベンチャーとしてエンタテインメント業界に参入し、30年近くかけてここまで大きくなりました。

当然これからも成長にドライブをかけていくことは大事である一方で、これまでいろいろな人に支えられて成長してきたエイベックスが今後なすべきこととして、業界に革新を起こす人や、新しい夢を叶えたい人を支援していくことが、とても大事だと思っています。

そういう人たちを、必ずしもグループに取り込むのではなく支援しながら、エイベックスを中心とする新しいエンタテインメントの連合軍みたいなものが形成できるといいなと思っています。

これからエイベックスに就職を考えている人へ、メッセージをお願いします。

堀毛僕が就活していた時に、一つ大事にしていたのは、「自由にやれる雰囲気があるか」。入社年次に関係なく、事業責任者を任せてもらえるようなフィールドがあるかは注意して見ていました。

そういった意味で、新卒1年目ながら起業支援制度を使って独立というようなキャリアパスがあったり、社内での新規事業をどんどん提案していける雰囲気があるので、新しいビジネスをつくりたいとか、独立志向のある人、でも、起業まではまだ踏み切れないという人には素晴らしい環境があると思います。

また、エイベックスには部署を問わず、それをサポートしてくれる優しい先輩方がたくさんいます。私はそういった方に支えられたからこそ、こうして会社を起業することができました。本当に感謝です。

加藤堀毛については、ある意味「特殊」なケースだと思っています。普通に大学を卒業して、就職して、社会人として一から勉強しますというレベルの新卒1年目ではなかった。

でも結局大事なのは熱意なんですよね。堀毛の場合も最終的には本人の熱意に対して掛けた部分が大きいです。

社員の「これをやりたい」という思いを実現するという意味では、起業支援制度のほかにも、社内新規事業制度や、それぞれの意思に合わせてローテーションの希望を受け付ける制度なども設計していて、今後もさらに制度としても社員の熱意に答えられるようにして行きたいと考えています。

エイベックス全体を見渡せば、さまざまなキャリアの積み方があり、小さなチャレンジから大きなチャレンジまで、そのレベル感に応じて「Will」を実現する素地は整って来ていると思います。エンタテインメント領域で新しい何かを生み出したい方には、ぜひ当社に来ていただきたいですね。