従業員Well-being?ブロックチェーンによるファン国家?エンタメスタートアップスタジオ?
未来創造スタートアップが集結──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社Boulder、株式会社Gaudiy、Studio ENTRE株式会社の3社(登壇順)だ。
株式会社Boulder:従業員のWell-beingを客観的データから可視化する
最初に登壇したのは、組織や従業員のコンディションを客観的に可視化するサービス『Well』を運営する、BoulderのHR責任者 近藤尚青氏。
『Well』は、SlackやTeamsのようなコミュニケーションツールのデータを分析し、組織や従業員の状態を「Well-being指標」として可視化するサービスだ。
コミュニケーションツール上の稼働時間や、コミュニケーション量・人数、返信速度や、発言・スタンプの分析から、組織や従業員の状態を「客観的なデータ」にもとづき把握できる。
近藤従業員にアンケートを配布して満足度を聞く調査方法(従来型のサーベイサービス)だと、「本人がどのように認識しているか」はわかりますが、実際にどのような状況なのかは見えづらい。また、回答する従業員のなかには本音で回答できない人も一定数いるかと思います。
『Well』では、実際のコミュニケーションのデータをもとに、客観的にその人の状態を可視化できます。
可視化する機能だけではない。「Well-being指標」が低下している従業員のケアも素早く行える仕組みも提供している。
近藤新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークを導入する企業が増えるなか、順調に導入企業を広げています。満足度も高く、導入企業のWAUは平均90%をキープしています。
Boulderは、現在、設計・実行・戦略まで描けるCOO候補を募集中。その他にもカスタマーサクセスのリーダーやデザイナーなど、多方面で採用を行っている「ぜひご興味のある方は連絡をください」と近藤氏はピッチを締めくくった。
採用情報
株式会社Gaudiy:エンターテイメント×ブロックチェーンで“ファン国家”の熱狂をつくる
次に登壇したのは、「ブロックチェーン×エンターテイメント」領域で事業を展開するGaudiy代表取締役社長の石川裕也氏。誰もが知る大手企業の技術顧問を複数務める、ブロックチェーン領域におけるスペシャリストだ。
Gaudiyでは、コンテンツが単なる娯楽ではなく「人々の生活や自己実現を支える基盤」となる“ファン国家”の実現をミッションに掲げる。そのために主に取り組んできたのは、ブロックチェーン技術を用いたファンコミュニティの仕組みづくりだ。
石川Gaudiyでは、各エンタメ事業社毎の要望に合わせたしたファンコミュニティサービスを提供しています。
ファンコミュニティでは、ファンが主体的に盛り上がれるような体験になっており、また、メンバーのアクションや貢献度など、ファン活動に応じて、独自のトークンを発行することもできます。
ファン活動で得たトークンは、電子書籍やペイメント、チケット、握手券、ゲームアイテムの取引に利用できます。
石川氏は、こうしたファンコミュニティで構築される経済圏を「ファン国家」と捉えている。その実現に向け、コミュニティの仕組み以外にも、ブロックチェーンを活用した電子書籍システムや二次創作の販売ソリューションや、IPコンテンツ事業者やプラットフォーマー間の連携を支援するID管理システムなどを提供している。
AppleやGoogleといったプラットフォーマーの成約に縛られずにアプリを開発できる点も特徴的だ。スマホアプリの公開は、従来であれば少なくない手数料が発生する。それを飛び越えることでほかにない利益率を実現できるという。
石川最近では、週刊少年ジャンプで連載された人気漫画『約束のネバーランド』へ、ファンコミュニティサービスの提供を始めました。また、分散ID管理システム『Gaudiy-DID System』を活用した取り組みも検討を始めています。他にも大手ゲーム企業など多様なパートナーと協業し、新たな経済圏を創出していきたいです。
Gaudiyはすでに国内外の大手企業と共同事業を展開し、数億円規模の資金調達も果たした。石川氏は「成長や最先端技術が好きなエンジニアは随時募集中です」と語った。
採用情報
Studio ENTRE株式会社:エンタメ業界のDX、イノベーションを創出する
最後に登壇したのは、エンターテイメントとテクノロジーを掛け合わせて新規事業を生み出すスタートアップスタジオ、Studio ENTRE代表取締役社長の山口哲一氏。同氏は音楽プロデューサーの肩書を持ち、音楽ビジネスに関する複数の著書でも知られる。
StudioENTREは、音楽、映像、出版、ファッションといったエンタメ領域の事業アイデアを持つ起業家を、事業計画策定から資金や人材調達まで支援する。
山口氏は、「作品を作り続ける映画スタジオのように、スタートアップを作り続ける会社」と形容し、エンターテイメント領域にスタートアップが必要だと考えている理由を次のように語った。
山口国内のエンターテイメント領域には、デジタル化において遅れを取ってしまいます。ビジネスとテクノロジーの知識を備えた起業家も足りません。
しかし、エンターテイメント領域は熱量の高い人が沢山います。そうした人たちがビジネスやテクノロジーの知識や経験を身につけ、新しい事業を生み出すことで、この領域はまだまだ伸びしろがあると考えています。
StudioENTREでは、3ヶ月間で新規事業を立ち上げるインキュベーションプログラムの他、エンターテイメント領域の事業アイディアを持つ起業家向けのピッチイベント「Pitch JAM」も運営している。
こうした取り組みを通して、山口氏はエンターテイメントならではの価値創造を後押ししたいと考えている。
山口エンターテイメント領域の強みは、わかりやすい課題解決ではない、独自の価値を創出できることです。多くの企業が「課題解決」を掲げる時代だからこそ、私はエンターテイメントの力を信じたいと考えています。起業志望者だけではなく、起業家と一緒に事業開発を行うスタッフや、イベント運営などで関わってくれるインターン、アルバイトも募集しています。
StudioENTREでは、ブロックチェーン技術を活用したクリエイター主導の楽曲管理・利用促進サービスや、オンラインのコンサート配信サービスなどを準備中だ。山口氏は「エンターテイメント領域で起業を検討している方は、ぜひプログラムへの参加を検討してみてください」と呼びかけた。社員、業務委託多様な働き方を前提とした採用活動も行っていくそうだ。
第19回目となったこの日は、テクノロジーによって既存の仕組みをアップデートするサービスを展開する企業が登壇した。
今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。
こちらの記事は2020年11月05日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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