中小飲食店を巻き込むクーポン発行支援、伴走型キャリアトレーニング、マネジャー支援プラットフォーム
ニューノーマル最前線のスタートアップたち──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社GeNEE、ポジウィル株式会社、株式会社KAKEAIの3社(登壇順)だ。
株式会社GeNEE:集客に悩む中小飲食店を支援するクーポンサービス
最初に登壇したのは、法人向けデリバリーサービス『DeliEats(デリイーツ)』や飲食店向け総合クーポン配信サービス『エリチケ』を運営する、株式会社GeNEE(ジーン)代表取締役の日向野卓也氏。
『DeliEats』は、社食形式やデリバリー形式、置き配形式に対応する、オフィスランチデリバリーサービス。2020年10月時点で、提供するランチは550種類を超える。
新規事業の『エリチケ』は、飲食店のクーポンチケットをユーザー別に最適化し、配信するサービスだ。飲食店側のユーザーは、当日客の入り状況などに合わせて、即日クーポンチケットを発行できる。顧客側のユーザーは、エリアやユーザー属性に合ったクーポンをアプリで受け取り、利用することができる。
初期のサービス加盟事業者として、「中小規模の飲食店」を想定していると言う。
日向野中小規模の飲食店の約8割強は集客に悩んでいると言われています。そうした企業にとって、PV数の高いアプリでのクーポンチケット配信は効果的な集客手段になり得ると考えています。
しかし、現状グルメ予約アプリやニュースアプリ一体型のクーポンサービスは、大手飲食チェーンとのみ提携していることが多い。だからこそ、集客に悩む中小規模の飲食店をメインターゲットとした『エリチケ』の果たせる役割は大きいと考えています。
顧客側のユーザーとして『エリチケ』が狙うのは、食事をする店を「お得感」で選ぶ顧客だ。実は日向野氏もその一人なのだと言う。
日向野『エリチケ』は、自分自身が欲しいと思って立ち上げたサービスです。私は25,26歳の頃から仕事等で忙しく食に対する興味が薄れ始め、「今日は何が食べたいか」よりも「何を食べたらお得か」を重視するようになりました。同じ感覚を持つ人に訴求できるサービスをつくりたいと思います。
『エリチケ』は現在テストマーケティングとして東京都の飲食店約100店舗と提携。今後も積極的に店舗を拡大する予定だ。店舗開拓を行う営業スタッフや、サービス改善を担うアプリ開発スタッフを募集している。「興味のある方はメールでお気軽にご連絡ください」と日向野氏は呼びかけた。
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ポジウィル株式会社:「自分らしい生き方」を支援する伴走型キャリアトレーニングサービス
続いて登壇したのは、自分らしい人生を歩むためのオンラインキャリアトレーニングサービス『POSIWILL CAREER』を運営する、ポジウィル代表取締役の金井芽衣氏。
『POSIWILL CAREER』では、キャリアのプロフェッショナル専属トレーナーに伴走してもらいながら、転職に向けた自己分析や面接対策、業界研究をオンラインでマンツーマン支援するサービス。
目先の給料や肩書きではなく、「どんな人生を生きたいのか?といった長期的視点から、キャリア設計を後押しします。
金井キャリアに悩む人は、転職という手段の前に、「やりたいことは何か?」「なぜ自分は満たされないのか?」といった悩みを抱えている人も多いです。そうした人たちが、自分らしく働く、ひいては自分らしく生きるのを手助けしたいんです。
金井氏が『POSIWILL CAREER』を立ち上げた背景には、自身が人材領域で働いた際に得た気づきがある。
金井転職エージェントのなかには、もちろん求職者の人生に寄り添ってアドバイスをくれる方も沢山います。一方で、ビジネスの仕組み上「転職」そのものをゴールに設定しなければいけない。必要であれば転職以外の選択肢も提案するというのは難しいわけです。
でも、本当にそれで良いのかなという葛藤があって。「転職」だけでなく「生き方」と向き合うためのキャリアトレーニングサービスを立ち上げました。
この1年で『POSIWILL CAREER』のユーザー数は30倍と急増している。
今後は、RIZAPのように多様な領域で伴走型トレーニングサービス事業を展開しようと考えているそうだ。キャリア相談事業で培ったノウハウを活かして、広く生活相談に答えるサービスも構想中だ。「マーケティングやカウンセリングの知識を持った方を募集しています」と金井氏はピッチを締めくくった。
採用情報
株式会社KAKEAI:1on1やマネジメント強化・支援の「ピープルサクセスプラットフォーム|カケアイ」
最後に登壇したのは、ピープルマネジメント支援プラットフォーム『カケアイ』を開発・運営する、KAKEAI代表取締役の本田英貴氏。リクルートホールディングスでの新規事業開発や人事部を経て、複数のスタートアップで役員を務めのち起業。
『カケアイ』は、ユニークなテクノロジーやUXにより、属人的で個人力への依存が大きかった、現場マネジャーのメンバーへの関わり方をテクノロジーで変革するプラッフォフォームだ。
従来は「顧客は人事」という色合いの強いサービスを構想していたものの、働き方の変化等も踏まえて考え方を転換してきた。現在は「顧客は、現場マネジャーとメンバー」と位置付け、サービスを磨いている。
本田企業を取り巻く事業環境と、働き方が同時に変わる今、企業と働く一人ひとりの結節点として、現場のマネジャーの重要性は急激に高まっています。 「カケアイ」は、現場のマネージャーを支援するという角度から、その先のメンバーや組織、ひいては社会を支えるプラットフォームです。
利用した組織では着実に成果を出している。業績が33%も向上し、離職率が37%も減少したというデータもある。本田氏は、これからの時代において人や組織を成長させ続けられるか否かは、現場のマネジャー次第だと語る。
本田今後、ますます企業は液状化し、従業員は顧客化します。そのような状況を支えるサービス、つまりは「人事ではなく、現場のため。管理ではなく、支援・自律のため。抽象的ではなく、具体的な示唆。一律ではなく、個別のアプローチ。ただ測るではなく、実態を変える。遮断ではなく、組織や情報は横断」が求められると考えます。
『カケアイ』は2019年のリリース以来、国内のHR Techアワードで数多くのグランプリを受賞。日本企業で初めて「世界のHR Techスタートアップ30社」に選出されるなど、大きな注目を集めている。今後はtoC向けに、会社を超えてマネージャー同士がつながるSNSの展開も検討中だ。
「対峙しているテーマの重要性はもちろん、国内発・海外で戦える『次のHRtechサービス』として、大きな注目を集めている面白いフェーズです。気になった人はぜひ気軽に連絡をください」と本田氏はピッチを終えた。
採用情報
第20回目となったこの日は、キャリアや働き方領域のサービスを運営する企業が印象的な回となった。
今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。
こちらの記事は2020年11月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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