連載スタートアップを知りたいならここを見よ!FastGrow注目スタートアップ特集──FastGrow Pitchレポート

ビジネス特化格安スマホ、電力モニタリングデバイス、医師相談アプリ
デライト・ベンチャーズが投資する注目スタートアップが集結!──FastGrow Pitchレポート

登壇者
渡辺 大

1999年京都大学文学部卒業、都市銀行入社。翌年DeNA入社後、営業企画・新規事業開発など。2006年DeNA北京総経理として中国事業立ち上げ、2008年DeNA Global, Presidentとして米国事業立ち上げ、2016年DeNA West., VP of Strategy and Corp Devを経たのち、2019年DeNAグループ退社し、デライト・ベンチャーズ創業。

常盤 瑛祐
  • 株式会社アメグミ 代表取締役 

小さいころの悪い家庭環境を原体験に、同じような家庭の人たちを支援することをミッションに掲げて、2016年10月に起業。起業前は環境NPOで政策提言や、日本のインターネット選挙解禁活動、クラウドファンディングによるアート活動、徳島県地域活性アプリ開発合宿に参加。Tokyo Otaku Mode・弁護士ドットコム・YJ子会社にてマーケティング・データ分析を経験。これまでの活動をまとめた「悪者図鑑」を自由国民社より出版予定。

塩出 晴海
  • Nature 株式会社 代表取締役CEO 

13才の頃にインベーダーゲームを自作。2008年にスウェーデン王立工科大学でComputer Scienceの修士課程を修了。三井物産に入社し、途上国での電力事業投資・ 開発等を経験。2016 年ハーバード・ビジネス・スクールでMBA課程を修了。ハーバード大在学中にNatureを創業。趣味はヨット、3ヶ月間洋上で生活した経験を持つ。

伊藤 俊一郎

筑波大学医学専門群卒業。心臓外科医。2014年に株式会社AGRI CAREを設立し、訪問介護事業及び住宅型老人ホーム「AGRI CARE GARDEN」の運営を行う。在宅医療を中心にサービス提供している医療法人AGRIEも経営。2017年に株式会社リーバー (旧社名:AGREE)を設立し、医療相談アプリを開発。1979年生まれ。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

今回はシード期を中心としたアーリーステージの優良なスタートアップへの投資を行うVC「デライト・ベンチャーズ」とのコラボレーション企画として、同社の投資先のみが集まる限定回を開催した。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社アメグミ、Nature株式会社、株式会社リーバーの3社(登壇順)だ。今回は、デライトベンチャーズでアソシエイトを務める渡辺大氏も登壇し、各スタートアップの事業や組織の魅力を語っていただいた。

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デライト・ベンチャーズ
「DeNAのアセット」を活用し、国内スタートアップコミュニティの活性化を後押しする

デライト・ベンチャーズ

デライト・ベンチャーズは、ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)がファンドの単独LPとなり2019年9月に設立された独立系VCだ。主要な投資先は、シード期を中心としたアーリーステージのスタートアップ。渡辺氏は、「短期的なイグジットではなく、たとえリスクを負ってでも、中長期的な目線で社会構造を変えていく志を持った企業を支援しています」と述べた。

同社はまた、スタートアップへの投資だけでなく、スタートアップスタジオの運営を通じた支援にも注力している。スタートアップスタジオとは、事業のアイデア創出からチームビルディング、プロダクト開発からバックオフィスの立ち上げまで、スタートアップの創業とその後の成長において不可欠なことを多角的にサポートする事業のこと。

同社はエンジニアやデザイナーなどのDeNA社内リソースはもちろん、蓄積された新規事業立ち上げのナレッジまでも社外へ開放することで、『Venture Builder』と呼ばれる独自のスタートアップスタジオ事業に取り組んでいる。

「永久ベンチャー」を志し、多くの新規事業を生み出してきたDeNAだからこそ可能なサポートを行う『Venture Builder』は、今後ますます起業家たちにとって魅力的な存在となっていくに違いない。

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株式会社アメグミ
低コストかつ高品質“ビジネス特化型”スマートフォン

株式会社アメグミ

最初に登場したのは、『SUNBLAZE Phone(サンブレイズフォン)』を開発・販売するアメグミ代表取締役 常盤瑛祐氏。

『SUNBLAZE Phone』は、月額500円で利用できる法人向けスマートフォンだ。

一つ目の特徴は、安定した動作。アプリは審査基準の厳しい独自のストアからのみダウンロードできる。これによってGoogle Playなどを利用する場合に比べ、アップデート時などの動作不良のリスクが抑えられるという。

また、メールやカレンダーなど業務利用に特化した最低限の機能を搭載している。通常のスマートフォンよりもスムーズな動作を実現しつつも、仕事の効率化を最大限支援する。

常盤スマートフォンでしか利用できないアプリのなかには、仕事の効率化に大きく貢献するものが多数あります。

しかし、会社用スマートフォンの導入を躊躇い、フィーチャーフォンを利用している企業は少なくありません。スマートフォンは、機種代金も比較的高く、セキュリティの問題も起きやすい。格安スマートフォンだと、たった1、2年で動作不良を起こす機種もあります。『SUNBLAZE Phone』は、そうした悩みを取り払う、低コストかつ高品質のスマートフォンです。

国内企業向けの販売は、アメグミにとって新しい展開だ。これまで、『SUNBLAZE Phone』は、インドやルワンダ、ミャンマーなど、新興国の農家への販売に取り組んできた。

常盤新興国では、農村部のスマートフォン普及率が、都市部に比べて著しく低い状況にあります。農作業の効率化を支援するサービスがあっても、富裕層の農家以外は、利用できない。この状況を変えられないかと、2019年8月より市場調査や実証実験を進めていました。これまで、インドで70台、ルワンダで200台を販売しています。

そのなかで、日本の国内企業においても、低コストかつ高品質のスマートフォンへのニーズが高いと知り、2020年2月より日本での営業に乗り出しました。

今後は、主に中小企業を対象に販売を行う予定だ。日本国内と新興国でユーザー基盤を広げ、顧客のデータを活用したサービス展開も視野に入れている。「プロダクトに興味のある方、販売経験のある方は、ぜひ連絡をください」と常盤氏は呼びかけた。

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Nature株式会社
持続可能なエネルギーへのシフトを促すIoTデバイス

Nature株式会社

続いて登壇したのは、Nature代表取締役の塩出晴海氏。Natureは、クリーンエネルギーのシフトを促すために、これから必要となる電力の調整力を確保できるIoTデバイスを開発している。メインのプロダクトはスマートリモコン『Nature Remo』。エアコンやテレビなどの家電を、スマホ一つで操作できる。

もう一つのプロダクトは、家庭の電気使用量をスマートフォンからモニタリングできるスマートエナジーハブ『Nature Remo E』だ。「日別」「週別」「月別」あるいは「年別」に使用量、発電量を分析できるだけでなく、蓄電池の操作も可能。Nature Remoと併用し、使用電力量に応じて自動で家電の電源を切ることができ、手軽に節電につなげられる。

これらのIoTデバイスを普及させ、塩出氏は「よりクリーンで持続可能なエネルギーを利用する未来」を目指す。

塩出これまで、各家庭の電力使用量は触ることができず、電力会社はそこの予測を立てて、供給をコントロールしていました。

今後、各家庭の家電がインターネットに接続されると、電力会社のニーズで家電を操作することが可能になると考えています(注:そのためのインセンティブは家庭に支払われる前提)。

将来的には、大規模発電所の代わりに、インターネットにつながった家電を束ねて集合的に制御し、発電所のように振舞う仮想発電所の構築にも寄与できればと考えています。

塩出氏は、途上国での電力事業投資や・開発等を経験した後、ハーバード大在学中にNatureを創業した。事業を立ち上げた背景には、自身が電力会社で働いていた際に受けた衝撃がある。

塩出2011年に、インドネシアの僻地にある炭鉱を見学しました。そこで、危険な炭鉱開発の現場、そこで働く地元の方を目の当たりにしたんです。

そして、ホテルに戻ると、テレビで福島第一原子力発電所事故のニュースが流れていました。インドネシアの景色と、テレビを通してみた日本の映像。どちらも鮮明に覚えています。

今まで当たり前のように使っていた電気は、実は大きな犠牲の上で成り立っていたという事実に気がつきました。電気の供給源について真剣に考えるべき時だと思ったんです。

今年の9月時点で『Nature Remo』シリーズの累計販売台数は20万台を突破した。「全方位で一緒に働く仲間を募集しているので、ご興味ある方はぜひお声がけください」と塩出氏はピッチを締め括った。

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株式会社リーバー
医師への相談アプリで新たな医療のあり方を創る

株式会社リーバー

最後に登壇したのは、ドクターシェアリングプラットホーム『LEBER(リーバー)』を運営するリーバー代表取締役の伊藤 俊一郎氏。

『LEBER』は、スマートフォンで24時間365日、医師に相談できるアプリだ。症状に合わせた市販薬の紹介を受けたり、適切な医療機関を地図上で確認できる。

伊藤氏は、心臓血管外科医として10年間働いた後、2017年にリーバーを設立。決断を後押ししたのは、優秀な知人の医師たちが過労死していく医療業界の大変な現状。根本的な解決を目指し、サービスの形態を練ってきた。

「医師への相談ハードルを下げる」ことを実現するこのプロダクトの意義を、このコロナ禍で改めて感じていると話した。

伊藤つくば市の要請を受け、4月から9月まで『LEBER』を無料提供したんです。わずか2ヶ月で3,000件の相談が届き、ニーズを実感しました。

新型コロナウィルス感染症の症状を感じて相談してくださった方だけでなく、「別の理由で病院に行きたいが感染を恐れている」という方からも多く利用していただきました。

伊藤氏は100年来のパンデミックが引き起こした、あるいはすでに存在してきた医療現場の課題を踏まえ、これからの時代に求められるのは、「在宅診療」と「遠隔医療」だと語る。

伊藤院内での集団感染や、それによる診療停止、医療崩壊を防ぐために。あるいは、診療機関の少ない医療過疎地に住む人を支えるためにも。医者や病院に通わなくても診断が受けられる仕組みは不可欠です。

また、従来の医療診断は調子が悪くなってから行うことが多かったと思います。しかし、家から気軽に医療機関へ相談できるようになれば、症状が深刻になる前から診療を受け、適切な治療を受けられる人が増えることも期待できます。

今年1月から現在にかけて、『LEBER(リーバー)』のダウンロード数は10倍以上、相談件数7倍以上と大幅に伸びている。企業向けのサービスに加え、現在は小中学校への導入に向けた準備も行っている。最近はパレスチナからも導入の要望が届いたという。

伊藤氏は「どんな苦難があっても、明るく未来を描ける人にぜひ参画していただきたいです」と締め括った。

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第21回目となったこの日は、スマートフォンや電力、医療など、私たちの暮らしに欠かせない領域の課題解決に取り組む企業が登壇する回となった。

今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひ、チェックしてほしい。

こちらの記事は2020年11月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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